~「期間業務職員の適切な採用について」の一部改正にあたって~
2024年7月3日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 浅野 龍一
人事院は6月28日、「『期間業務職員の適切な採用について』の一部改正について(通知)」を発出した。これにより、改正前通知で「任命権者は期間業務職員を採用する場合において、(中略)公募によらない採用は同一の者について連続2回を限度とするよう努める」とされていた部分、いわゆる「3年公募」要件が撤廃されることとなった。これは、非常勤職員をはじめとするすべての組合員の奮闘や国公労連の運動にご支援・ご協力いただいたみなさんの力で築いた貴重な到達点である。
国公労連はこの間、期間業務職員をはじめとする非常勤職員の雇用が極めて不安定で劣悪な労働条件におかれている実態を早急に改善することを運動の中心に据えてとりくんできた。2017年には「非常勤職員制度の抜本改善要求と運動の基本方向」を打ち出し、その推進を図ってきた。
期間業務職員制度創設(2010年10月)以降、「パワハラ公募」と呼ばれる3年ごとの更新時に強制される公募が繰り返され、職場では期間業務職員が常に雇用不安を抱え、人権問題となっていることや、年度末の多忙な時期に面接や採用業務が膨大となり通常業務にしわ寄せがあることなどをはじめとして、非常勤・常勤問わず職員を苦しめてきた。
政府・人事院は「平等取扱いの原則」「任免の根本基準(成績主義の原則)」を口実に、「3年公募」の正当性を長年にわたり主張しつづけ、私たちの要求を突っぱねてきたが、当事者である非常勤職員の組合員が勇気を振り絞って立ち上がり、自らのおかれている実態や制度の不備・矛盾を鮮明かつ的確に指摘し、その是正をあきらめず粘り強く訴えてきたことによって、国会やマスコミ報道に取り上げられる状況をつくりだすなど、世論も味方につけ「3年公募」要件撤廃を実現させた。
他方、今回の措置は非常勤職員の雇用の安定にむけた一歩とはなるものの、期間業務職員の任用は毎年公募が原則、任用期間は一会計年度に限るといった運用は残されている。各府省では、この運用を盾に毎年公募を実施するなど、非正規労働者の安定雇用を追求する社会の流れと逆行する動きが出ることも懸念される。また、地方自治体における会計年度任用職員制度は運用面も含めて期間業務職員制度の影響を受けることが想定される。したがって、各府省への適切な指導はもちろんのこと、「無期転換ルール」の導入や「任期の定めのない非常勤職員」など、非常勤職員の雇用の安定化を実現するための措置を積極的に検討することを求める。
また、民間企業では許されない労働条件等での常勤職員との不合理な格差も多々存在する。良質で安定的な行政サービスを永続的に提供していくためにも、非常勤職員の安定雇用と均等・均衡待遇は喫緊の課題であり、重ねてその実現を求める。
国公労連は、私たちの運動に結集・協力いただいたみなさんにあらためて感謝申し上げるとともに、非常勤職員をはじめすべての労働者の雇用・労働条件改善にむけたとりくみと労働組合へのいっそうの結集を呼びかける。
以 上