従前の回答に抗議! 生活改善できる大幅賃上げを今夏で必ず勝ち取ろう――2025年統一要求に対する政府・人事院回答をうけて(声明)

2025年3月25日
日本国家公務員労働組合連合会 中央闘争委員会

 国公労連が提出した「2025年国公労連統一要求書」等に対し、人事院は3月19日に、政府(内閣人事局)は3月24日に春闘期の最終回答を行った。生活改善に向けて大幅な賃上げを求める国公労連の要求に対し、政府は「人事院勧告を踏まえ、国政全般の観点から検討」、人事院は「情勢適応の原則に基づき、必要な勧告を行う」と従来どおりの回答に固執するものであった。
 物価上昇の収束の目処も立たず、生活悪化が進むもと、組合員の生活と労働の実態を踏まえた賃金改善も然ることながら、900万人の労働者に影響を与える公務員賃金の社会的意義を踏まえた国公労連の要求に対し、政府・人事院は真摯に応えず、その具体性を欠いた回答は極めて不満である。また、政府が賃上げ施策を推進するなかで、例外なく公務員に対しても賃上げの姿勢は示すべきであり、従来どおりのスタンスを崩さない政府・人事院の姿勢は、政府の政策と不整合極まりなく、それぞれの責任、役割を放棄したに等しいものである。

 全労連・国民春闘共闘委員会の運動は、物価高からくらしを守り、経済の好循環をつくるための大幅賃上げを求める国民世論の広がりをつくった。全日本国立医療労働組合(全医労)や国家公務員共済組合連合会病院労働組合(国共病組)をはじめ、多くの労働者・労働組合がストライキに立ち上がり、現在も果敢にたたかっていることに敬意を表する。
 国公労連は、全労連の社会的な賃金闘争(最低賃金、公契約、公務員やケア労働者の賃上げ)に結集し、公務員賃金改善を柱に主体的にたたかう方針を掲げ、官民共同の行動に積極的に参加するとともに、自らの要求実現に向けて職場・地域で奮闘した。
 25春闘では、こうした労働者のたたかいによって政府・財界が賃上げの必要性に言及せざるを得ない状況をつくり出し、33年ぶりの高水準の賃上げと言われた昨年並みの水準を確保したものの、それでも物価上昇には追いつかず、生活改善するまでには至っていない。

 公務員の賃金改定は人事院勧告制度のもとに置かれているが、官民給与の比較企業規模をはじめ、春闘相場などに見合った賃金改定を阻害する構造的な欠陥があり、①情勢適応の原則、②職務給原則、③生計費原則に適合し得ない矛盾と限界がある。そのことが職員の生活実態を悪化させる要因となると同時に、有為な人材の確保を困難にし、「公務員離れ」を加速させる一因となっている。
 また、職場では4月から「給与制度のアップデート」がスタートし、地域手当の支給割合の引下げや配偶者の扶養手当の廃止、寒冷地手当の改悪などによって、実質的な「賃下げ」が強行される。政府の賃上げ施策とも逆行し、極めて問題である。
 国公労連が25春闘において全世代での賃上げ、とりわけ重視してきた定年延長職員や再任用職員を含めた中高齢層職員の賃金改善にも政府・人事院はゼロ回答であった。中高齢層職員はこれまで、①「給与構造『見直し』」や「給与制度の総合的見直し」による大幅な賃下げ、②55歳超職員の昇給停止・抑制措置、③定年引上げによる30%もの賃下げ、④極めて低水準に据え置かれている再任用職員の俸給・一時金などにより、「給与の満足度」とモチベーションが著しく低下している。
 公務員賃金の在り方については、こうした実態を踏まえた議論が必要であり、労働基本権回復をはじめ、人事院が言及している官民給与の比較企業規模や65歳定年を見据えた給与カーブの在り方なども含めて早急に検討した上で改善にむけた措置が講じられなければならない。

 非常勤職員の雇用について、2024年6月に「3年公募要件」が廃止されたものの、依然として不安は解消されていない。その背景には各府省で期間業務職員の再採用にかかる独自ルールの設定を可能とする人事院の見解(「期間業務職員の採用等に関するQ&A」で明示)があり、一部の府省で「3年公募」を継続している実態や雇止めも発生しており、国公労連や各単組にも数多くの相談が寄せられている。
 「3年公募要件」廃止の趣旨は、非常勤職員の人材確保が困難となっていることを背景としつつ、「行政サービスの提供を支える有為な人材を安定的に確保すること」にある。現在の一部府省の対応はこの意義・目的を喪失させかねず、政府・人事院は非常勤職員の雇用の安定化にむけた役割を発揮すべきである。また、「3年公募要件」の廃止にとどまらず、任期を一会計年度の範囲内とし、再採用をくり返すような運用を抜本的に是正し、国家公務員にも「無期転換ルール」を適用することや「任期の定めのない非常勤職員」という概念を導入することなどが、公務・公共サービスの維持・向上にとっても不可欠である。

 国公労連中央闘争委員会は、「ひとり一行動」のスローガンのもと、25春闘の諸行動に結集された全国の仲間の奮闘に敬意を表する。
 これから中小企業や非正規労働者の賃上げにむけたたたかいが本格化する。現在、石破首相の商品券配付に象徴されるように「政治と金」問題と困窮する国民生活とのギャップが鮮明となるなか、すべての労働者が生活改善できる大幅賃上げ・底上げを求め、引き続き官民共同のたたかいに全力をあげる。また、憲法尊重擁護義務を課せられている公務労働者として憲法をいかし、国民のいのちやくらし、権利を守るためにも、定員合理化の中止・撤回をはじめ、公務・公共体制の拡充のとりくみに奮闘していく。
 引き続き組合員の団結と産別結集を強め、仲間を増やし、市民と共同して、25春闘後半と今夏の人事院勧告・概算要求期のたたかいに固く結集することを呼びかける。

以 上

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