国公労新聞|2025年3月25日号|第1641号

従来回答に抗議 今夏 生活改善できる大幅賃上げを
—2025年統一要求に対する政府・人事院回答を受けて—

 物価高騰の収束も見えず、労働者・国民の生活は悪化するばかりです。こうしたなか、全医労や国共病組をはじめ、多くの労働組合が全労連・国民春闘共闘の行動提起を積極的に受け止めてストライキ体制を確立し、生活改善にむけて大幅賃上げを求める国民世論を広げて25春闘を展開しています。一方、国公労連も春闘期における政府・人事院との最終交渉を実施し、その回答を受けて3月25日に中央闘争委員会声明を発表しました。その内容を紹介します。

 国公労連は25春闘において、組合員の生活と労働の実態を踏まえた賃金改善とともに、900万人の労働者に影響を与える公務員賃金の社会的意義を踏まえ、政府・人事院に対して生活改善できる大幅な賃上げを求めてきました。しかし政府は「人事院勧告を踏まえ、国政全般の観点から検討」、人事院は「情勢適応の原則にもとづき、必要な勧告を行う」と従来どおりの回答に固執し、国公労連の切実な要求に真摯に応えませんでした。
 また、政府が賃上げ施策を推進しているのであれば、例外なく公務員に対しても賃上げの姿勢は示すべきです。このように従来どおりのスタンスを崩さない政府・人事院の姿勢は、政府の政策とも不整合極まりなく、それぞれの責任と、役割を放棄したに等しいもので許されません。

政府の賃上げ施策に逆行する実質的「賃下げ」
中高齢層含む全世代での賃金改善は急務

 公務員の賃金改定は人事院勧告制度のもとに置かれていますが、春闘相場などに見合った賃金改定を阻害する構造的な欠陥(例えば官民給与の比較企業規模など)があり、①情勢適応の原則、②職務給原則、③生計費原則に適合し得ない矛盾と限界があります。そのことが職員の生活を悪化させる要因となると同時に、有為な人材の確保を困難にし、「公務員離れ」をも加速させる一因となっています。
 職場では4月から「給与制度のアップデート」がスタートし、地域手当の支給割合の引下げや配偶者の扶養手当の廃止、寒冷地手当の改悪などによって、実質的な「賃下げ」が強行されます。このことは、政府の賃上げ施策とも逆行しており、極めて問題です。
 国公労連は25春闘において全世代での賃上げ、とりわけ定年延長職員や再任用職員を含めた中高齢層職員の賃金改善を強調し、その実現を求めてきましたが、政府・人事院は全く応えませんでした。
 中高齢層職員はこれまで、①「給与構造『見直し』」や「給与制度の総合的見直し」による大幅な賃下げ、②55歳超職員の昇給停止・抑制措置、③定年引上げによる30%もの賃下げ、④極めて低水準に据え置かれている再任用職員の俸給・一時金などにより、「給与の満足度」とモチベーションが著しく低下しています。
 公務員賃金の在り方については、こうした実態を踏まえた議論が必要であり、労働基本権回復をはじめ、人事院が言及している官民給与の比較企業規模や65歳定年を見据えた給与カーブの在り方なども含めて早急に検討した上で、改善に向けた措置が講じられなければなりません。

「3年公募要件」廃止も不安つづく
非常勤職員の雇用安定化を

 非常勤職員の雇用については、2024年6月に「3年公募要件」が廃止されたものの、依然として不安は解消されていません。その背景には各府省で期間業務職員の再採用にかかる独自ルールの設定を可能とする人事院の見解(「期間業務職員の採用等に関するQ&A」で明示)があります。一部の府省では「3年公募」を継続している実態や雇止めも発生しており、国公労連や各単組にも数多くの相談が寄せられています。
 「3年公募要件」廃止の趣旨は、非常勤職員の人材確保が困難となっていることを背景としつつ、「行政サービスの提供を支える有為な人材を安定的に確保すること」にあります。現在の一部府省の対応はこの意義・目的を喪失させかねません。政府・人事院は非常勤職員の雇用の安定化にむけた役割を発揮すべきです。
 また、「3年公募要件」の廃止にとどまらず、任期を一会計年度の範囲内とし、再採用をくり返すような運用を抜本的に是正し、国家公務員にも「無期転換ルール」を適用することや「任期の定めのない非常勤職員」という概念を導入することなどが、非常勤職員の雇用の安定にとって不可欠であり、ひいては公務・公共サービスの維持・向上につながるものです。

物価高騰を上回る賃上げ・底上げへ
今夏の人事院勧告に向けた奮闘を

 「ひとり一行動」のスローガンのもと、25春闘の諸行動に結集された全国の仲間の奮闘が、官民共同のとりくみを前進させ、政府・財界にも賃上げの必要性に言及せざるを得ない状況に追い込み、現在の賃上げ状況をつくりだしています。あらためて組合員をはじめ全国の仲間のみなさんに敬意を表します。
 昨年並の賃上げ水準を確保しているものの、物価高のなかでは不十分であり、回答額の上積みをめざしていかなければなりません。現在、石破首相の商品券配付が大きな問題となり、困窮する国民生活とのギャップが鮮明となるもと、中小企業や非正規労働者の賃上げに向けたたたかいが本格化します。
 すべての労働者が生活改善できる大幅賃上げ・底上げを求めるとともに、憲法尊重擁護義務を課せられている公務労働者として憲法をいかし、国民のいのちやくらし、権利を守るためにも、定員合理化の中止・撤回をはじめ、公務・公共体制拡充のとりくみに奮闘していきましょう。
 組合員の団結と産別結集を強め、対話と学びあいをすすめて仲間を増やし、市民と共同して、25春闘後半と今夏の人事院勧告・概算要求期のたたかいに固く結集することを呼びかけます。

大阪国公

 大阪国公は3月13日、大阪労連・大阪春闘共闘委員会の大阪総行動に参加。デモ行進では市民から「ミサイルよりコメって、ほんまやでー!」との声援がありました。

全医労 3・13ストライキ

 全医労は3月13日、ゼロ回答を続ける国立病院機構に対して第2波となるストライキを全国118支部で実施。国公労連の各単組、県国公の仲間もスト支援を行いました(ストライキと連動した仙台駅前の宣伝行動)。

国共病組 3・13ストライキ

 国共病組(国家公務員共済組合連合会病院労働組合)は3月13日にストライキを実施。勤務評価制度が導入され10年経過しましたが、赤字病院には一時金で減算措置が取られています。赤字の原因は、立地条件や医師配置などの要因が大きく、職員の働きによるものではありません。さらに減額幅の拡大を提案されたためストライキにとりくみました(愛知の国家公務員共済組合・名城病院でのストライキ行動)

公務・公共サービス拡充へ議員要請

 【北海道国公発】
 3月7日の議員会館一斉要請行動で、北海道国公は15人の議員事務所を訪問。5人の議員本人とも懇談し、公務・公共サービス拡充署名への協力を要請しました。45分に渡りやりとりした松木けんこう衆院議員(写真)からは、「非正規や委託の増加は結果として組織の力を失わせる。次世代を育てる労働環境が必要。公務員のみなさんを大切にすることが重要」との激励を受けました。

 【秋田県国公】
 秋田県国公は2月21日、秋田市内の地元選出国会議員事務所を訪問。寺田学衆院議員、寺田静参院議員の事務所では、寺田静議員(写真)と面会。従前から紹介議員になっていただいているだけに、「公務員のみなさんはくらしの根幹を支えている。災害に備えるためにも平時に余力を持つ必要がある。現状は全く余裕がなく問題だ」と深く共感を示し、その場で紹介議員を快諾いただきました。

 【愛知国公発】
 愛知国公は地元での要請行動で5人から紹介議員快諾を得て、3月7日の議員会館要請では3人の議員と面談。藤原のりまさ衆院議員(写真)は、「私は『民から官』が公約です」と共感を示しました。

【最高裁前要求行動】裁判所職員の増員を

 国公労連は3月13日、公務・公共サービス拡充を求める宣伝の一環として最高裁判所前要求行動を実施しました。行動には全司法の仲間をはじめ、各単組から50人が参加し、裁判所職員を増やすことで国民のための適正・迅速な裁判の実現を訴えるとともに、全司法新聞号外の配布、横断幕やプラスターボードでアピールしました。
 冒頭、国公労連の浅野龍一委員長は、「これ以上の定員削減が続けば国の機関の機能は更に脆弱化し憲法で保障された権利保障機能を大きく阻害する。国民のくらしを守るために公務・公共体制を拡充しよう」と主催者あいさつしました。
 続いて、全司法の井上隆博書記長が「裁判所ではこの10年間、定員が288人減らされ、病休者や退職者等が増えるなど増員しない最高裁の姿勢が問われている。ところが、今国会提出の裁判所職員の定員に関わる法案では47人の減員が狙われている。事件数が増える中、減員は到底納得いかないと現場から声が上がっている。そして、2026年5月までに施行される離婚後共同親権を見据えた家庭裁判所の人的物的体制の拡充は待ったなしだ。『増員なく共同親権が導入されれば家裁はパンクする』との声が上がっている。最高裁は職員の大幅増員を実施すべきだ」と最高裁に増員を求めました。
 連帯あいさつにかけつけた湘南合同法律事務所の太田啓子弁護士は「私は離婚事件に携わり家庭裁判所の職員のみなさんに大変お世話になる中、人的物的体制が足りないことを痛感する。特に来年施行予定の共同親権で家庭裁判所が機能不全に陥るレベルでパンクするのではないかと危惧している。日弁連も同様の決議を上げている。職員のみなさんへのしわ寄せは、一番弱い市民に影響する。私たち弁護士も裁判所職員を増やせと声を上げていく」とエールを送りました。
 その後、全法務の西山義治委員長からの連帯あいさつ、各界から届いた連帯メッセージの紹介、最高裁に向けたシュプレヒコールを行い、行動を終えました。

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