国公労新聞|2023年9月10日号|第1611号

全員参加型で仲間づくりを
国公労連第69回定期大会ひらく

 国公労連は、「憲法を守り、大軍拡・大増税を許さず、全員参加型の運動を実践し、市民との共同で民主的な行財政・司法を実現しよう」をスローガンに、第69回定期大会を8月31日から9月2日までの3日間、東京都内で開催しました。
 大会には、代議員53人、特別代議員42人をはじめ145人が参加しました。
 冒頭で九後健治委員長があいさつ(別記参照)を行った後、2023年度運動方針案、秋季年末闘争方針案等を浅野龍一書記長らが提案。その後、討論に入り51人(うち単組26人、ブロック・県国公25人)が発言しました。討論では、職場・地域の実態を踏まえたとりくみの経験や教訓をはじめ、各種要求課題を前進させていくための全員参加型運動の重要性、県国公運動活性化への具体的な手立てなどについての意見が出され、議案が補強されました(討論での発言要旨を2〜3面に掲載)。
 討論を受け、浅野書記長による総括答弁(3面に掲載)の後、採決が行われ、すべての議案が満場一致で可決・承認されました。
 役員選挙では、中央執行委員の井上伸氏(書記局)が退任し、新たに中央執行委員に関口香織氏(全司法)が選出されました。

九後委員長のあいさつ(要旨) 市民との共同で行政民主化へ

 相次ぐ自然災害や新型コロナウイルスの流行などをきっかけに、公務が果たすべき役割の重要性について国民の認識が深まり、以前のような公務員バッシングも少なくなりました。また行政体制拡充の必要性についても、私たちの粘り強い運動によって、国会請願署名の紹介議員も年々増えているなど、情勢を切り開けているといった面も生まれています。
 この間、公務職場における能力・実績主義強化、それも政府・使用者にとって「いい仕事をする人」と「そうでない人」を区分けし、露骨なまでに処遇に差を付けようとする方向が強まっています。こうした考え方は、ニュースなどで話題になっている悪徳自動車販売業者と同じなのではないでしょうか。今必要なのは、すべての国公労働者が業務にやりがいを持ち、職場のチームワークをまもることのできる能力・実績主義を実現することです。
 岸田政権の下で打ち出される数々の政策についても、それが生存権をはじめ憲法で保障されている基本的人権の尊重につながるのか、行政のあり方を歪めてしまわないかなどの観点で検証し、問題があるのであれば修正させていくということも必要です。
 方針で掲げている「市民との共同」をすすめるためにも行政や公務員制度の民主化に向けた運動を職場や地域から積み上げなければならないと思いますし、こうした運動は公務員のなり手不足対策としても有効だと考えます。全国津々浦々に組織を持ち、複数の行政分野が地域でつながっている産別組織だからこそ可能性が広がっていると思います。
 今年の給与勧告は26年ぶりの高い改定率になったとはいえ、この間の物価上昇分にも届いておらず、水準的には極めて不十分です。しかし一方で、初任給の大幅な改善を勝ちとったこと、一時金の配分についてこれまでの勤勉手当一辺倒から期末手当への振り分けが行われたこと、在宅勤務等手当が新設されるなどの前進面がありました。私たちの要求に100%沿った内容ではありませんが、こうした到達点を築いているのは、一人ひとりの組合員の要求を大切にし、粘り強く運動をすすめてきた成果です。
 国公労連は春闘のとりくみを中心に「官民一体の賃金闘争」を重視してたたかってきました。各地でとりくまれているビクトリーマップ運動や民間春闘支援に加え、全医労が31年ぶりにストライキで決起し、各県国公はもとより多くの民間の仲間が支援にかけつけるなど、官民一体の春闘が実践されてきました。
 そして、緊急勧告を求め全労連の各ブロックによる人事院要請もとりくまれ、公務員賃金の持つ重要性が広く共有されるなど、私たちが掲げてきた社会的賃金闘争が結実してきています。憲法で保障された健康で文化的な生活をおくる権利の実現に向け、官民一体の賃金闘争と社会全体を底上げするための社会的賃金闘争に引き続き結集することを呼びかけます。

全員参加型のとりくみで県国公の活性化、組織拡大を

討 論(要旨)

 大会議長に、岩谷香寿美氏(全医労)、仲原悟氏(開建労)、松浦淳氏(全労働)の各代議員を選出し、3日間にわたって討論が行われ、この1年間の運動の到達点や運動方針をめぐって51人が発言しました。

国民本位の行財政・司法確立にむけたとりくみ

 「国民本位の行財政・司法確立」の課題では、「増員の国会請願は日本維新の会のみが保留したため請願採択されなかった。総括を踏まえ、来年の新たな定員合理化計画阻止に奮闘したい」(全法務)

「ハローワークで勤務。非常勤職員含め120人。9月末で20歳代の職員が2人退職。これからを担う若手職員の退職にショックを受けている」(全労働)

「全司法は労働条件整備と人員拡充を要求しているが裁判所予算は少ない。全司法大運動の請願署名は国会請願採択を勝ち取った」(全司法)

「東京国税局による原口さんの分限免職処分は人事院で審査中。人事評価に対する省庁を横断する第三者委員会の設置を求めたい。国税職場では恣意的な人事評価を強いられ、組合差別が続いている」(全国税)

「国立感染症研究所と国際医療研究センターが統合し国立健康危機管理研究機構という特殊法人となるが、希少感染症の研究はもともと予算が付きにくいなど職員は不安を抱えている。」(全厚生)

「黒字なのに人も賃金も増えず我慢の限界となり全国124支部でストライキに踏み切った。各組織のスト支援に感謝。引き続き国立病院の機能強化の請願署名とハンセン病療養所の充実強化を求める署名にとりくむ」(全医労)

「行政相談活動を7年継続。宣伝にも力を入れ、行政体制の拡充を訴えるパネルを掲げ、ビラ2千枚配布。市民との対話も生まれており、引き続き奮闘したい」(神奈川)

などの発言がありました。

労働条件改善、国民的課題のとりくみ

 「労働条件改善、国民的課題」では、「地域間格差解消には賛成だが原資が増えない中で手当が下がる地域も出てくる。都市部と地方の分断となり、賃下げされた地域の経済にも影響する。地域間格差解消についてどのように進めていくのか明らかにすべき」(全労働)

「北海道ではこの冬、燃料代高騰で例年より1万円以上負担が増えたが、寒冷地手当は改善されていない。支給のない再任用職員からは年を取ると寒さを感じないというのかとの怒りの声が寄せられている」(全通信)

「年3回の人事院九州事務局交渉で通勤手当改善を迫ってきた。民調の前に交渉することが必要と署名にとりくみ本院交渉も要請したがかなわなかった。国公労連が国と自治体の運用格差を調査したことも追及材料となる。アップデートでは真のウェルビーイング実現が重要」(福岡)

「北海道の地域手当は札幌市で3%だが今後の見直しでどうなるか注視している。地域手当で20%の格差がつけられており、このままでは地方職場の人材不足は危機に陥る。寒冷地手当は実際に負担している燃料費などのデータを基準にし再任用職員や非常勤職員にも支給すべき」(北海道)

「裁判所では障がい者は非常勤職員として採用されており、改善するためには常勤と非常勤の均等待遇を行い、合理的配慮も行わなければいけない。旅費について出張費が複雑で負担となっている。事務の簡素化と職員の負担軽減が必要」(全司法)

「高齢期雇用の課題は今が正念場。定年延長が肩たたきの道具にされてしまう。愛知労働局では9割近くが定年延長を希望。賃金格差が大きく賞与が半減されるなど不満が出されている。65歳以上の働き方についても改善するとりくみが必要」(中部ブロック)

「給与制度のアップデートで新幹線通勤手当や再任用に支給する手当が改善方向となり運動の成果だ。再任用職員の賞与は直ちに改善すべき。給与カーブは高齢期職員のみならず、全職員にかかわる問題で学習が必要」(全通信)

「地域間の賃金格差が縮まっておらず大阪と和歌山の最賃賃金の格差が大きい。大企業の存在で地域手当に違いがあることに疑問。和歌山でも特急を利用し通勤している職員も多い。昨年から自由席が廃止され持ち出しも多くなってきている」(和歌山)

「毎年1月にビクトリーマップと高卒初任給最低賃金割れについてビラを作成し県労連の協力も得て市民にアピールしている。埼玉公務共闘では人事院関東事務局に人勧前の要請を実施。団体署名にとりくみ128筆提出した」(埼玉)、「航空職場ではシフトを組んで業務を進めており、時間休暇を取得するとき1時間単位で無駄な時間を放棄することとなっていたが、15分単位の休暇取得が可能となり大きな成果。夏季休暇も繁忙期に取得しにくくなっていたので期間が延長されこれも運動の成果」(国交労組)

「給与制度のアップデートは中高年層だけでなく若年層の問題でもある。学習会や人事院交渉を行ってきたが、全世代の底上げが重要」(九州ブロック)

「北海道では人事異動は転居がセットとなるため、定年延長を希望しない職員が多い。そうすると再任用となるため手当が支給されず改善が必要」(全労働)

「採用1年目の職員がメンタルヘルス不調で休職・退職することが今や珍しくない。労働組合としてもこの課題で学習する必要がある。次世代育成も大きな課題で人づくりへ奮闘したい」(岩手)

「24春闘で活用するビクトリーマップの作成に着手。物価高騰の中、企業が内部留保をため込んでいることを告発することが大事だ。県労連の春闘期の企業訪問で活用してもらっているが内部留保を賃上げに回すことを求め奮闘する」(滋賀)

「東北ブロックの労働学校で採用4〜5年の職員の早期退職やメンタルヘルス不調者が多くなっていることが出された。年齢層がいびつで30代後半から40代前半の職員がいない。増員されても病休者が出てプラスとならず若い職員も退職で職場環境の改善が急務」(東北ブロック)

「人勧期に大阪労連が人事院近畿事務局への要請を実施。賃上げを最重要課題として奮闘しなければいけないが、組合員減少が続いている。年休15分単位や夏季休暇期間延長など運動の成果も知らせて全員参加型で仲間づくりに奮闘したい」(大阪国公)

「業界紙に高卒初任給の調査が掲載されていた。主要産業の平均は約20万円。今年の人勧で高卒初任給が16万6千円で差が大きい。賃上げへ奮闘したい」(青森)

「九州ブロック主催で女性交流集会を宮崎で開催。日本のジェンダーギャップ指数が過去最低の125位。宮崎は全国47位で市議会議員の中で女性は1人。ジェンダーギャップの問題は最低賃金ともあいまって社会的賃金闘争として重視する必要がある」(宮崎)

「沖縄県民の声を聞かず政府は辺野古新基地建設を強行し、南西諸島に自衛隊基地が新設されてきている。与那国島には地対空ミサイル配備が計画され、島が標的となる。来年の沖縄支援連帯行動の成功に奮闘したい」(沖縄)

「全司法青年協アンケートで転職を考えたことがあると51%が回答。転職するか我慢するかでなく第3の選択として組合に入り職場改善する道があることを伝えていきたい」(全司法)

「県国公の春闘討論集会は岐阜市で開催できているが他の地区国公ではできていない。各単組の結集をお願いしたい」(岐阜)

「最低賃金引上げなど不十分であるが賃上げの流れができてきたのではないか。さらに労働基本権回復の課題とともに賃上げをはかる必要がある。アップデートで総人件費削減も予想される中、国公労連が民間労働者とともに大きな運動を作る必要がある。国交労組も地域に結集し奮闘したい」(国交労組)

「国立ハンセン病資料館での雇止めの問題は3年半経過したが雑誌などにも取り上げられ、公務の委託事業の問題点も明らかになっている」(国公一般)

などの発言がありました。

組織強化・拡大、国公共済会拡大のとりくみ

 「組織強化・拡大」の課題では、「定員削減と業務多忙、組織率低下で組織拡大にとりくむことが困難になっている。みんなで考えみんなで行動する全員参加型の運動で組織拡大をすすめたい」(全法務)

「年金機構での非正規職員の格差が大きく改善署名にとりくんでいる」(全厚生)

「青年交流会を秋に開催し、未来に組合組織をつなげるために成功させたい」(全経済)

「政府の有識者会議で現行の外国人技能実習制度を廃止するなどの議論となり、不安な気持ちで働く職員の声を聞くためオンラインも活用し交流している」(外国人技能実習機構労組)

「宮城県で青年交流集会を開催し161人が参加。若い世代の結束力を高めることができた」(国交労組)

「全国青年友好祭典を開催。100人を超えた集会では多様なコミュニティができ楽しく交流」(全司法)

「国公青年交流集会の前日に全通信の青年交流集会を3年ぶりに開催。2つの集会とも大変有意義だったと感想が寄せられた」(全通信)

「火災共済を使って未加入者に働きかけることが必要ではないか。各組織の会議の中で学習する機会を作ってほしい」(全司法)

「県国公の幹事会がかろうじて開催できている。組織拡大へ職場訪問などにとりくみたい」(青森)

「積極的に青年を県国公幹事へ選出するよう要請している。昨年から青年学習交流集会を開催し今年は18人が参加。」(福岡)

「県国公の今後のあり方について単組代表者会議を開催。4月に役員が異動するなど体制維持も困難。国公労連として県国公運動への支援と、各単組の結集をお願いしたい」(石川)

「各単組と国公労連本部の協力で県国公を再建することができた。これを継続できるよう各単組の横のつながりを強めていきたい」(長野)

「長野の再建の教訓をいかし、山口県国公の再建にとりくみたい」(中国)

「県国公のとりくみが楽しいと感じてもらえるようなとりくみが必要」(全労働)

「組織人員が減少する中で県国公運営が困難になってきている。行動では官民一体のとりくみが大きな成果で引き続き奮闘したい」(愛知)

「単組で集団的な組合脱退が起こったが中国ブロックの労働学校に参加した青年だけは脱退しなかった。国公労新聞新年号のマンガ版仲間づくり講座は大変良かった」(島根)

「国交労組では民間単産と交運共闘などをつくっている。運輸産業ではトラック、バスの長時間労働、建設産業では物価高騰による問題などそれぞれの課題改善へ共闘して運動をすすめたい」(国交労組)

「来年2月に京都市長選が行われる。現市長は財政赤字を理由に市民に負担を押し付けている。民主的な京都市制へ奮闘したい」(京都)

「岡山県国公も役員体制が刷新できていない。県国公の重要性を各単組本部は各支部に伝えていただきたい」(岡山)

などの発言がありました。

女性協活動報告 力あわせジェンダー平等へ

 6月17〜18日に第52回国公女性交流集会を3年ぶりに新潟県の越後湯沢にてオンライン併用で開催し、150人が参加しました。記念講演は、農民連事務局長の藤原麻子氏から「コロナ・戦争等で浮き彫りになった食と農の実態と未来から〜『持続可能な社会』をめざして」のタイトルで講演いただきました。また、分科会は「憲法と生活」「ジェンダー平等について」「しゃべり場」の3分散会を開催し、大いに笑い、語り合い、全国の仲間と連帯と共同の輪を広げることができました。
 誰もがいきいきと安心して働き続けられる労働条件と職場環境の改善、採用・登用の推進、非常勤職員の雇用の安定などを求め、人事院および内閣人事局との交渉を実施しました。
 交渉では、「増員、看護職の昇格基準の引き上げ」「両立支援制度の拡充や職場環境の改善」「非常勤職員の雇用の安定・労働条件等の改善」等を求めました。
 秋・春の全国代表委員会、秋の母性保護月間のとりくみのほか、平和を守るとりくみとして「折り鶴行動」を行い、1260羽を長崎で行われた原水爆禁止世界大会へ献鶴できました。
 女性協はこれからも様々な情勢を捉えながら、共に悩み、分かち合う場として、家事も育児も介護も仕事も労働組合活動も、全国の仲間と支え合いながらとりくみをすすめていきます。

青年フォーラム活動報告 青年集会24年度開催へ

 今年度の青年フォーラムの活動といえば何といっても国公青年交流集会コネクトを開催できたことです。150人近くが参加し、青年たちの「集まりたい」という気持ちが高まっていることを確認できました。そのほかにも例年開催している国公青年セミナーを春と夏に開催し、これらの活動を通して、全国の青年組合員と実際に会って交流することでつながりを持つ必要性を再確認した1年になりました。
 人事院勧告では高卒、大卒初任給を中心に青年層にとって高額の賃上げ勧告となり、財務省交渉では「今の若者が考える普通」の宿舎をめざしていくことが示されました。引き続き、国公青年フォーラムでも青年が将来に希望を持って働き続けられるよう青年組合員の要求を訴えていきます。
 これからのとりくみでは2024年度のコネクト開催に向けた準備を進めています。また、国公青年協再結成に向けて全国の青年の声を聴き、つながりをつくるために、各ブロック国公へのオルグも積極的に行っていきます。
 最後に、楽しむことは徹底的に楽しむ、間違えることを恐れずに議論し行動する、そして学びを次につなげる。青年一人ひとりが思う存分活動を行えるよう、国公青年フォーラム一同頑張りますので引き続きご支援をお願いします。

財政方針 効率・適正な執行

 2022年度のすべての会計は予算の範囲内での執行となりましたが、一般会計は人件費、書記局費等の増加により剰余金が減少した一方で、闘争特会はコロナの影響により活動が低調であったことから剰余金が増加したことを報告しました。2023年度予算については、納入人員減少が続く中、会費値上げは実施せず、国公労働者が直面する課題に対応する運動を保障しつつ、効率的かつ適正な執行に努めることを提案しました。
 この報告・提案に基づく予算等小委員会では、水道光熱費など書記局費の支出増が懸念されることや一般会計の数年先の見通しなどが質疑され、支出増に対しては予備費の流用を考える旨、見通しについては闘争特会の執行状況も見ながら適切な会計に努める旨が答弁されました。
 以上の予算等小委員会の報告を受け、2023年度財政方針案等は満場一致で可決されました。

国公共済会 加入拡大へ全力を

 大会に提案された国公共済会2022年度事業・活動報告および2023年度事業活動・方針案、役員体制案はいずれも満場一致で承認されました。
 具体的には、この一年間で加入者が約700人の減少、掛金収入が約6000万円の減収となりました。一方、給付の状況は、新型コロナウイルス感染症に関わる入院給付請求の大幅な増加により、生命基本共済、団体生命共済、医療共済は純掛金を上回ったため異常危険準備金を取り崩し補填することを確認しました。
 また、共済会の加入者の平均年齢が50歳代となっており、共済会の運営を安定的なものにするためにも若い人の加入拡大が必要です。そのために、国公労連の組織拡大と連動し、加入拡大のとりくみを強化していくことを確認しました。

総括答弁

 3日間にわたる熱心な討論、ありがとうございました。職場や地域での実践的な経験や教訓にあふれた51本の発言で、運動方針を厚く補強していただきました。とりわけ、ブロック・県国公から25本の発言をいただきました。提案で、「国公労連はタテ(単組)とヨコ(ブロック・県国公)一体となった運動を職場・地域から展開することで、公務産別労働組合としての役割を発揮している。地域でのブロック・県国公の運動があるからこそ、国公労連の運動の前進と存在意義が確たるものになっている」と申し上げましたが、今回の25本の発言はまさにそのことの証左だと思います。

労働組合の闘争力が 賃金・労働条件を改善

 本大会期間中の出来事として、そごう・西武労働組合(UAゼンセン加盟)が、西武池袋本店で、雇用維持・事業継続に確証がないまま株式を売却することに抗議して、百貨店業界では61年ぶりのストライキを決行しました。提案で、日本の労働者の賃金が上がらない原因として、①労働法制の規制緩和で正社員から非正規社員への置き換えがすすんだこと、②企業活動で得た付加価値の労働者への分配が減少しており、これは日本の経営優位の労使関係の在り方に問題があることを指摘しました。議案には記述していませんが、もう一つ原因を挙げるとすれば、この間労働組合の組織率と闘争力(交渉力)が低下していることが賃金低下を許してしまっていることだと思います。労働組合はたたかわなければ組合員の雇用や賃金・労働条件は守れません。その意味で、ストライキを決起したそごう・西武労働組合の皆さんに同じ労働者として連帯の意を表します。

若手職員の退職 職場改善の道示そう

 今回の討論の特徴点(共通点)として、次の2点が挙げられます。
 1つは、若手職員の中途退職が増えている職場の現状が多くの方から報告されました。労働組合として、個人の尊厳、労働者の尊厳、公務員の矜持を持って働き続けることができる仕事や職場にしていかなければなりません。
 討論ではそのための視点として、①退職せずに団結して改善をめざす「第三の選択」の追求(全司法)、②身体的・精神的・社会的に満たされた幸福をめざすウェルビーイングの追求(福岡)などが挙げられました。それらは今回提案した「国公労連ジェンダー平等宣言(案)」によるとりくみにもつうじています。

県国公運動を 全員参加型で活性化

 2つは、県国公組織の厳しい実態が多く報告されました。今回私たちは、長野県国公の活動再開の経験と教訓として、①まずは集まることを重視すること、②全員参加で活動すること、③単組本部の指導・協力が不可欠であることなどを得ることができました。この経験と教訓を活かし、県国公組織の活性化に向けて奮闘します。
 提案で申し上げたとおり、2023年度運動方針(案)のキーワードは、①ステークホルダー(利害関係者)とのつながりをいかした「市民との共同」、②全員参加型の運動の推進と「人づくり」です。討論では、このキーワードを中心に討論を深めていただきました。このキーワードは、これからの実践のなかで大いに進化・発展していくものと考えています。
 給与制度のアップデートに関わって、地域手当について一言コメントしておきます。職務給原則のもとで、公務員賃金の地場賃金化を目的とする地域手当自体に問題があり、この賃金格差を解消すべきということは全体の意見としては一致しています。ただし、地域手当は公務部内の給与原資の配分問題となるので、同じパイの中ですべての組合員が納得を得る解決策を導き出すことが非常に難しい問題でもあり、現在、国公労連ではその解決策は持ち合わせていません。
 今後給与制度のアップデートの課題として、組織内の合意形成を図りながら議論していくことになります。

組合に求められる ケアの役割

 最後に、私は、いまの職場のなかで労働組合に求められている役割は、「ケア(ケアリング)」だと考えています。ケアとは、一般的には「気づかい」「配慮」「世話」「関心」といった意味で用いられています。ケア労働者といえば、医療・介護・看護の従事する人を指しますので、そのようにイメージされる方も多いと思います。ケア論を初めて体系的に、また人間存在論的に展開しているミルトン・メイヤロフによると、「一人の人格をケアするとは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけること」だそうです。そのような意味での「ケア(ケアリング)」と労働組合活動とは非常に親和性の高いものだと考えています。私自身、この課題を次年度に向けての宿題として考えていきたいと思います。

国公労連本部新執行体制

 役員選挙では、すべての候補者が信任され、新執行体制が決まりました。今大会で、中央執行委員の井上伸氏(書記局)が退任し、新たに中央執行委員として関口香織氏(全司法)が就任しました。

2023年度国公労連書記局の体制

総務財政部《浅野》
◎丹羽、小林

組織教宣部《中本》組織担当
◎大門、島袋、吉原

教宣担当
◎中本、井上、西口、野村、(小川)

調査政策部《笠松》
◎笹ヶ瀬、関口、西口

共済事業部《千葉》
◎千葉、岡部、小川、葛原、近藤、瀬戸口、髙野、山﨑、吉田
(自動車係)大澤、大類

全員参加型の実践で組合の「見える化」を
2024年要求組織アンケート

 国公労連は2024年春闘にむけて、「2024年要求組織アンケート」(5・6面に掲載、基本集約日・11月2日、最終集約日・11月30日)にとりくみます(10月を集中とりくみ期間としています)。
 毎年この時期にとりくんでいるアンケートは、組合員をはじめ、職場の労働者の要求と意識を一体的に把握し、春闘要求の確立や今後の組合運動に活用することを目的に実施しています。また、本アンケートを活用して組合員と対話を重ね、一人ひとりが持っている要求を集約し、そのことを通じて組織強化・拡大をめざすものです。感染対策を十分に施したうえで、全組合員からのアンケート集約と未加入者などへの対話を実施するなど、「全員参加型の運動スタイル」を追求し、労働組合の「見える化」をすすめていきましょう。

深刻化する生活悪化

 ガソリン代や食料品をはじめ、歴史的な物価高騰がつづいています。物価高騰が労働者・国民の生活を直撃し、生活悪化がより深刻になっています。図表のように実質賃金は低下をしつづけ、厚生労働省が8月25日に発表した6月の毎月勤労統計調査(確報、従業員5人以上)でも、前年同月比で1.6%減少し、15か月連続でマイナスとなっています。
 このような物価高騰などによる生活悪化から国民生活を守るために、いまこそ政府はその責任と役割を発揮すべきです。

生活改善できる賃上げの実現を

 8月に出された人事院勧告は、今年も月例給・一時金ともに改善勧告となりました。しかし、前述のように物価の高騰・高止まりがつづくなか、物価上昇分にも満たないため生活改善に及ばず、とりわけ中高年層職員には不十分なものとなっています。また、頻発する自然災害やこの間の新型コロナウイルス感染症などへ昼夜を問わず奮闘する職員の労苦や、賃上げの期待に応えるものにもなっていません。
 この状況を乗り越えるためにも24年春闘で大幅賃上げを勝ちとっていくことが不可欠です。この秋季年末闘争段階から、賃上げの世論を高めるとりくみを強めていく必要があり、本アンケートを活用して職場から賃上げの世論を高めていきましょう。

「数は力」多くのなかまの要求を束ねよう

 労働組合は、要求で団結する組織であり、職場の組合員をはじめ労働者の生活実態や組合員一人ひとりの要求が出発点になります。「数は力」とあるように、より多くの要求を組織することと、多くの組合員・労働者が要求確立にむけた議論に参加し、要求を練り上げ、組合員一人ひとりが要求に責任と確信を持つことが大切です。アンケートのとりくみをつうじて「全員参加型」の運動を展開し、組織強化・拡大と24年春闘での要求前進を勝ちとっていきましょう。

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