国公労新聞|2023年6月10日号|第1605号

公務員賃金は900万人に波及
大幅賃上げ実現を

 5月25日、全労連公務部会・公務労組連絡会が人事院前要求行動を実施し、900万人の労働者に波及する公務員賃金の大幅引き上げを求めました。
 公務労組連絡会の桜井眞吾議長(自治労連委員長)は主催者あいさつで「物価高騰から労働者の生活を守るため、人事院にただちに緊急勧告を出すことを要求し交渉を行ってきた。労働基本権制約の代償機能を果たさせ、すべての公務関連労働者の生活改善につながる大幅賃上げ勧告を出させるよう追及していこう」と呼びかけました。

最低賃金以下で 『困窮者』認定 された職員

 各単産からの決意表明では国公労連から国土交通労組の新倉大輔中央執行委員が、「高卒初任給15万4600円は時給換算すると921円。最低賃金の加重平均額961円を40円も下回っている。昨年、高校を卒業して採用2年目の職員から『非課税世帯むけ給付金のお知らせが届いたのですが、私は申請していいのでしょうか?』という相談があった。あまりに賃金が低すぎるがゆえに、住民税が非課税とされ、『生活困窮者』向けに支給する給付金の対象となったという相談だった。政府が自ら雇用する職員を『困窮者』として認定するということが現実に起こっている。生活できる賃金を勧告するのが人事院の責務であり、政府が今すぐできる構造的賃上げは、最低賃金と国家公務員賃金の引き上げだ。すべての人が普通に暮らせる社会の実現に向け、この2つの賃上げを強く求める」と発言しました。
 この行動に先立ち、人事院に「再任用職員の賃金・労働条件改善を求める署名」(合計5万5979筆)と「物価高騰に対応した緊急勧告を求める団体署名」(合計1300団体)を提出しました。署名提出にあたって、公務労組連絡会の香月直之事務局長は、「再任用職員の理不尽な処遇を改善することと、すべての世代に渡る公務労働者の大幅賃上げは現場の強い要求であり、1日も早い実現を求める」と人事院に訴えました。

沖縄支援・連帯行動
沖縄の問題は私たちの問題

 国公労連は5月21日から23日にかけて、「国公労連2023沖縄支援・連帯行動」を沖縄県内で実施しました。
 行動の初日には、沖縄戦終結地と言われている沖縄本島南部の糸満市摩文仁にある平和祈念公園を訪れ、敵味方関係なく沖縄戦で犠牲になった全戦没者を追悼する「平和の礎」を見学するとともに、沖縄戦の悲惨な状況を伝える沖縄県平和祈念資料館の見学と学習会を行いました。資料館の会議室で行われた学習会では、オール沖縄会議共同代表の中村司さん(元全気象沖縄地本委員長)から、沖縄戦や戦後の米軍統治下での県民のたたかい、また日本復帰後から今もなお続く米軍による事件や事故とのたたかいについて講演を受け、学びと認識を深めました。

辺野古で連帯

 2日目は、「世界で一番危険な飛行場」といわれる米軍普天間飛行場を見渡せる嘉数高台公園や、「東洋一広大」と言われる米軍嘉手納基地を見渡せる「道の駅かでな」、辺野古にある新基地建設現場で日々たたかいが続けられているキャンプ・シュアブ基地ゲート前などを訪れました。
 嘉数高台公園では、この公園がある嘉数高地や隣接する前田高知、西原岳辺りの約5キロメートルの区域は、約3か月繰り広げられた沖縄戦の中でも、米軍と日本軍が最も激戦を繰り広げた場所であり、この区域を米軍が攻略するために1か月以上の期間を要したことなどを学びました。
 米軍嘉手納基地では、3千メートル級の滑走路2本を含む広範な面積を有する嘉手納飛行場で訓練をする戦闘機などを見学するとともに、日本からの思いやり予算で基地内に作られた芝生の庭付き住居などを遠目で見学し、政府による不十分な国民生活支援政策との差や矛盾点を実感しました。
 辺野古では、新基地建設を阻止するためにたたかっている沖縄県統一連事務局長の瀬長和男さんから、現在の辺野古新基地建設の進捗状況や問題点、日々のたたかいについてレクチャーを受けました。そして、基地建設のための土砂を搬入するダンプカーがキャンプ・シュアブゲート前に次々と結集すると、参加者たちはプラカードを掲げ、座り込みをして抗議の意思を示しました。
 最終日の3日目は、豊見城市に存在する旧海軍司令部壕を見学し、戦争時の陣地壕の中の状況がどのような状態であったかなどを学びました。

沖縄だけでなく 日本全体の問題

 現在、現政権が突き進む大軍拡路線により「沖縄が大変なことになっている」という話はよく聞かれますが、実際の現地の状況等を報道番組などで見聞きすることはほとんどありません。
 今回の行動に参加した仲間たちからは、「沖縄のこれまでのたたかいや今なお発生している基地をめぐる問題などについて学べる内容の濃い3日間だった」といった感想も聞かれました。沖縄で起きている問題を沖縄だけはなく日本全体の問題として考え、どう解決していくかの議論を深めるためにも、各参加者が現地で見て聞いて感じたことを地元に持ち帰り、それを身近な人に発信していくことが大切です。国公労連は、沖縄で起きている問題を組織全体で共有していけるようなとりくみをすすめ、支援と連帯を広げていくために奮闘します。

入管法改正案廃案求める談話に反響

 国公労連・浅野龍一書記長による「出入国管理及び難民認定法改正案の廃案を求める(談話)」(5月16日発表)が反響を呼んでいます。
 「ハフポスト日本版」は、「『重大な欠陥はらむ』入管法改正案の廃案求める声相次ぐ。弁護士582人や国家公務員労組が声明」と題した記事の中で、「国家公務員らでつくる労組が加盟する日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)が談話を発表した」「談話の中で、『普遍的に尊重されるべき外国人の人権状況を憂慮するとともに、法務省・出入国在留管理庁の職員を組織する労働組合として、重大な欠陥をはらんだ本改正案の廃案を求める』と述べた」と報道しています。
 また、入管法改悪に反対する弁護士や市民らがツイッターなどSNSで国公労連の談話を大きく評価し紹介してくれています。

人事院口頭審理
原口さん解雇の不当性露呈

 東京国税局から不当な分限免職(解雇)処分を受けた全国税組合員の原口朋弥さんがその処分の取り消しを求めて争っている事案について、人事院公平委員会は6月1日、人事院で公開口頭審理を実施しました。国公労連本部や各単組、その他関連団体の支援者らが傍聴に駆け付け、30席ほどの傍聴席が満席になりました。
 人事院での口頭審理は、すでに本年2月にも2日間に渡って実施されていました。しかし、処分者(当局)側の証人からは、職場でのパワハラや退職勧奨等に関する質問に対して具体的な証言がなく、本件の分限免職処分についても誰がどのように判断をしたのかが不明なままとなっていました。
 そのため、請求者(原口さん)側の代理人は人事院に対し、この処分の経緯や理由を明らかにするため、新たな証人の採用を求めていました。このような請求者側の求めに対し、人事院は1名の証人(東京国税局総務部考査課課長補佐の森弘幸氏)の採用を決定。請求者側→処分者側→人事院の順で、森氏に対する尋問が行われました。
 森氏は障がいに対する「合理的配慮」について、原口さん本人からの配転の申し出がなかったことや、主治医や産業医の指示に従ったことを理由に、「合理的配慮は十分だった」と主張。また、「分限免職回避努力義務」の履行については、「そのような言葉をいま初めて知った」と驚くべき証言。その後、「言葉自体は知らなかったが回避努力は尽くした」などと苦し紛れに陳述しました。
 他方、処分者側代理人は、尋問を放棄。人事院からは、原口さんの配転先として適当と考えられる部署の有無や、障がいを有する職員が実際にどのような職務を担っているか等について質問がなされました。
 最後に、請求者側代理人の加藤健次弁護士は、「証人が分限免職回避努力義務を今回の尋問で初めて知ったということに驚きを隠せない。義務を知らずに処分手続きに関わったというのは由々しき事態。また、配転については人事課の範疇と言っておきながら、最後はあたかも自分(考査課)がその点も考慮したと言い張るなど、矛盾していて信用できない。最終陳述書で改めてこの処分の不当性を明らかにする」と強調しました。
 人事院での公平審査は今回の口頭審理で事実上の結審。両当事者が7月上旬を目途に最終陳述書を人事院に提出し、年内には判定が出される見込みです。

「みんなに体験してもらいたい」(参加者の感想)
あなたも「仲間づくり講座」に参加を

 国公労連は6月2日、第1回「仲間づくり講座」を開催しました。講座は全員参加型の運動スタイルを確立するために、すべての組合員を対象として6月以降毎月開催していきます。
 第1回のテーマは「自分のストーリーを語ってみよう」。参加者から「共感を広げられる話し方、発信のやり方、組み立て方があるのだと初めて知った」「これまで組織拡大の学習会等で話す際は、理屈的な内容になってしまいがちで、上手く伝わっていないと感じる場面がありつつも、どうすれば良いのか分からなかった。今回、講座を受けたことで話す際のポイントを知れた。今後の活動に活かしたい」「自転車に乗るようにトレーニングしてみんなで交流しながら身につけていくというのが目から鱗。よく組織拡大で声かけができず進まないという困難にぶつかっていたが、みんなでトレーニングを積めばいいのだと分かった」「参加していて面白く、いろいろな運動の場面で実際に使ってみたい。これをもっとみんなにも体験してもらえるよう工夫をお願いしたい」との感想が寄せられています。
 第2回「仲間づくり講座」は7月5日に開催します。あなたもぜひご参加ください。

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