国公労新聞|2023年6月25日号|第1606号

全世代の大幅賃上げを
政府・人事院に重点要求書を提出

 国公労連は6月16日、政府(内閣人事局)に「2024年概算要求期重点要求書」、人事院には22日に「2023年人事院勧告にむけた重点要求書」を提出し、夏季闘争の交渉をスタートさせました。
 2023年春闘では、大企業を中心とした多くの企業で満額回答や労働組合の要求を上回る回答があったと報道されました。しかしながら、物価高騰に終息の兆しがなく、それに見合う賃上げに至っていないばかりか、国家公務員の給与は依然として低水準なまま放置されています。
 6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針)では、「三位一体の労働市場改革」により「構造的な賃上げ」を実現すると謳っていますが、「成長分野への労働移動」などによって産業構造の空洞化や不安定雇用の増大などが懸念されます。900万人以上の労働者に影響する国家公務員の賃上げが実現しなければ、公務をはじめとするエッセンシャルワークなどから人材が流出しかねません。その意味でも、今年の人事院勧告にはこれまで以上に重要な意義があります。
 また、いまだ詳細が判明していない「給与制度のアップデート」に多くの組合員が不安を感じています。その目的が「人材の確保や勤務環境の整備など」とされているため、あくまで労働者本位の「アップデート」、すなわち労働条件を改善する措置でなければなりません。若年層の「公務員離れ」も深刻であり、将来的にも持続可能性のある行政組織を構築するためには、魅力ある給与体系を確立する必要があります。
 夏季闘争の重点要求は、①物価上昇を上回る全世代を対象としたベースアップ、②人材確保につながる若年層給与の官民格差の解消、③物価上昇に対応した寒冷地手当をはじめとする諸手当の改善、④ワークライフバランスの実現につながる通勤手当の改善、実効性のある在宅勤務等手当の創設、⑤民間賃金を含めた地域間格差の解消につながる地域手当の見直し、⑥安心して働ける高齢期雇用、⑦非常勤職員の安定雇用と均等・均衡待遇、⑧職場実態に見合った大幅増員と長時間労働の是正などを掲げています。
 こうした多岐にわたる要求を実現するためには、「全員参加型の運動スタイル」を意識した職場活動の活性化が不可欠です。

職場から署名等の追い上げを

 7月3日の週は第2波全国統一行動として、職場集会の開催と職場決議の採択などを提起しています。また、全労連・国民春闘共闘が人事院勧告にむけて提起している「物価高騰から生活守る大幅賃上げを求める署名(人事院あて)」の意思統一も呼びかけています。官民一体となった「公務員賃上げキャンペーン」の一環として、今年の人事院勧告による給与改善を求める署名です。7月14日の最終集約にむけて、組合員とその家族のほか、職場の管理者や組合未加入者などにも訴え、広範な労働者から集約できるよう、最後の追い上げをはかりましょう。全国から集約した署名は、7月26日に実施される人事院包囲行動で提出します。

公務・公共サービス拡充に理解広がる
署名紹介議員 昨年上回る95人に

 公務職場はこれまでの過剰な定員削減により、人的体制が脆弱化し、職員の恒常的な長時間労働、超過勤務に依存しながらの運営を余儀なくされています。その劣悪な労働環境は、若者の「公務員離れ」を招いています。
 この間、国家公務員は少しずつ増員が図られているものの、国民からの期待やニーズに応えるためには、きわめて不十分な体制です。とりわけ、国民と直接向き合う地方出先機関まで増員が行き届いていません。
 国公労連はこうした現状を改善するために、総定員法の廃止、定員合理化計画の中止・撤回、増員による必要な行政体制の確保などを求めて、今年も「公務・公共サービスの拡充を求める請願署名」に職場・地域を中心にとりくみました。
 各ブロック・県国公では、国会議員の地元事務所への訪問・懇談を実施し、自らの仕事の重要性と、人員不足などの厳しい職場実態を訴え、増員をはじめとする公務・公共サービス拡充への理解を広げてきました。また、3月3日には永田町の国会議員会館で一斉要請行動を展開し、各地から上京したなかまが165の議員事務所を訪問して請願署名に対する理解を求めました。
 署名は衆・参両院で2万7604筆を第211回国会に提出し、内閣委員会に付託されましたが「審査未了」となり、請願採択とはなりませんでした。しかし、紹介議員は新規18人を含む95人(昨年89人)にのぼり、紹介議員にはなれないが「請願趣旨には賛同する」との議員も多く、着実に私たちの主張に理解が広がっています。
 このままいけば、来年夏頃に新たな定員合理化目標数が策定・通知されることが想定されます。これまでの運動の到達点に確信を持ち、増員など公務・公共サービス拡充への理解をいっそう広げ、定員合理化目標数策定阻止をはじめ、政府の定員管理政策の抜本的な見直しを実現していきましょう。

賃上げ・諸要求実現へあなたの声をお寄せください
7・26ツイッターデモ

①国公労連、全労連は7月26日の人事院包囲行動等にあわせて、賃上げ・諸要求実現へ世論にアピールするツイッターデモにとりくみます。ぜひ、賃上げ・諸要求実現を求めるあなたの声を下記QRコードからお寄せください。
②寄せられた声を国公労連のツイッターアカウントからツイッターデモでツイートさせていただきます。
③氏名・職場名等の個人情報についてはツイートしません。
④寄せられた声はこちらで編集してツイートさせていただく場合があることをご了承ください。
⑤職場・地域における宣伝行動の写真や、アピールしたい写真がある場合は、koe@kokko.or.jp まで写真をメールで送ってください。写真は国公労連アカウントからツイートしても差し支えないものを送ってください。写真はワードに貼ったものではなく、JPGファイルで送ってください。

「ただ働き」余儀なくされる行(二)職員
抜本的な処遇改善求め人事院交渉

 国公労連は6月9日、全法務と全国税の行(二)組合員5人を含む12人の参加のもと、人事院交渉を実施しました。
 行(二)職員の労働条件は、職務や生活の実態に見合わない賃金をはじめ、極めて劣悪なまま放置されています。
 政府の退職不補充政策は、部下数を要件とした昇格制度や再任用制度などと矛盾しており、行(一)職員との均等・均衡待遇の観点からも、40年前に閣議決定された政策は速やかに撤廃されるべきです。
 また、自動車運転などを職務とする行(二)職員は、行(一)職員の庶務事務など、いわゆる付加業務にも従事しています。行(二)俸給表には付加業務を前提とした「労働力の対価」が反映されていないため、実質的に「ただ働き」を余儀なくされています。
 組合員からは、「全国の法務局で23人の行(二)職員が働いている。30年前は122人いた。5級昇格は部下がいないので難しくなっているが、後輩のためにもぜひ実現すべきだ」「人事評価の業績目標で運転業務が1つだけ、ほか3つくらいは付加業務になっている。無事故無違反で何年もやっているが、それに対する評価は1回ももらっていない」「付加業務として事務担当者と同じくらいの仕事をこなしている。付加業務に見合う賃金の引上げを求める」「付加業務の比重が大きくなっている。コロナの影響やウェブ会議システムで運転業務が減り、雇用継続に関しても不安な気持ちがある」「今年度から再任用になった。やっている業務は変わらないのに賃金は10数万円下がった。再任用になると最低賃金に近づいてしまう。後輩たちのことを思うと少しでも改善を求めたい」などの要求を切実に訴えました。
 これらの要求に人事院は、「部下数要件について、行(二)職員の昇格基準としては、ある職務の級を役付級として位置づけるための客観的な基準であり、その撤廃は困難である」「各府省からお話を伺いながら、部下数要件を緩和した対応を行ってきており、運用においてもこれまで可能な限り配慮してきている」などと回答するにとどまりました。
 最後に国公労連から、「職場環境の変化などで行(一)と行(二)の境界が曖昧になり、人事制度などの矛盾が顕在化している。行(二)俸給表もアップデートし、抜本的に処遇改善することを求める」と主張し交渉を終えました。

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