みんなの力で仲間づくり
すべての新規採用者に声かけを
国公労連は3月から5月を「春の組織拡大強化月間」として、すべての新規採用者への声かけをはじめ、人事異動で新しい職場に着任する職員や未加入者に労働組合への加入を働きかけようと呼びかけています。
全医労は、4月1日から10日までを組織拡大特別旬間とし、9日現在で660人の仲間を迎え入れました。説明会に参加できなかったり、未加入の新規採用者を対象に、第2・第3のとりくみとして、「給与明細の見方学習会」や「共済説明会」などが各支部で予定されています。
全労働は、支部に役員を派遣し組合加入の重要性を訴え、すべての新規採用者を組合に迎え入れようと、支部・分会において「総がかり」「総あたり」で働きかけをしています。すでにいくつかの支部で加入拡大の成果をあげています。
本省庁においては、国土交通労組、全通信、全厚生、全労働が各庁舎の正面玄関と地下鉄通用口前で、早朝宣伝行動を実施し、組合加入を呼びかけるチラシを配布しました。また、国土交通労組の近畿運輸支部は、組合説明会で「労働組合に加入しないとどうなる?」をテーマに西川書記長がわかりやすく労働組合の大切さを解説し40人中34人が加入。昨年に引き続き、多数の新規採用者を迎え入れました。
全司法では、各支部で組合説明会を開催し、7支部から全員加入の報告が届くなど、昨年の2倍のペースで加入が進んでいます。また、加入に至らなかった人へは二の矢・三の矢のとりくみを計画しています。
【第一回】初任給の大幅引上げ
24年人事院勧告は、「給与制度のアップデート」をはじめ、多岐にわたる賃金改定を伴うものとなり、世代間や地域間などで「賃上げ」と「賃下げ」が混在する結果を招きました。そこで残された課題を総括し、その解消に向けた要求やとりくみを構築することは、25年人事院勧告での成果を獲得するためにも重要です。ここでは、25年4月に改定された給与制度などを連載形式で紹介します。第1回は、官民の初任給です。
24年4月に遡及し大幅引上げも未だに低水準
将来的に生産年齢人口が減少していくことを踏まえ、民間企業では人材確保のための大幅な初任給の改善が相次いでいます。
国家公務員の「給与制度のアップデート」では、実質的に24年4月から、初任給や若年層の俸給額の大幅な引上げが措置されました。
行政職(一)では、初任給の改定額(改定率)がそれぞれ、高卒2万1400円(12.8%)、一般職大卒:2万3800円(12.1%)、総合職大卒:2万9300円(14.6%)となりました。結果として、高卒初任給(1級5号俸)は18万8000円、一般職大卒初任給(1級25号俸)は22万円となっています。若年層が在職する1級の平均改定率は11.1%、2級は7.6%です。
これに伴い、しばらく懸案となっていた地域別最低賃金を下回る高卒初任給は、いずれの都道府県でも25年4月までに解消されています。
24年度の地域別最低賃金(時給)の改定では、全国加重平均で1055円、東京都が1163円となりました。高卒初任給の18万8000円は、時給換算で1120円ですが、25年度の東京都の地域手当の支給割合が最低でも4%となり、高卒初任給は時給換算で1165円となるため、地域別最低賃金の水準を僅かに上回ります。
一方で、石破首相は25年1月の施政方針演説で、「最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1500円」をめざすことを表明しました。25年度以降も地域別最低賃金の大幅な引上げが実現することを想定すれば、その近傍にとどまっている現在の高卒初任給は、依然として低水準と言わざるを得ません。
有為な人材確保に向けた賃金体系の構築を
25春闘の賃金交渉では、多くの民間企業で概ね前年並みの高水準の回答が相次ぎ、全体で5%超の賃上げを維持すると予想されています。初任給を30万円超まで改善する大企業も少なくありません。こうした傾向は、物価上昇から従業員の生活を守るとともに、激化する人材獲得競争に対応することが重視された結果です。
一方で、3月に公表された25年度の国家公務員採用総合職試験の申込状況は、前年度から11.6%減少しました。若年層の離職者の増加傾向も含めて、「公務員離れ」が加速度的に深刻化しています。
30年以上ぶりとなっている民間企業の大幅な賃上げにあって、その官民較差を解消できない人事院勧告制度の矛盾と限界が顕著となっています。官民の人材獲得競争が背景にあるにもかかわらず、戦略的な人事政策が不足しているため、初任給や諸手当の改善が先行する民間企業に有為な人材が奪われるばかりです。
初任給を大幅かつ持続的に改善するとともに、中高齢層の賃金の底上げを図り、将来的にも上昇が見込める賃金体系を構築させていくことが不可欠です。