2025春闘交渉スタート
すべての世代で物価上回る賃上げを
国公労連は、政府に2月17日、人事院には18日に「国公労連統一要求書」などを提出し、25春闘期の交渉をスタートさせました。
日本経済は30年以上にわたって停滞・衰退し、コロナ禍に起因する物価上昇、大規模な自然災害なども襲いかかり、国民と労働者の生活がますます苦しくなっています。
石破首相は1月24日の施政方針演説で、「『人財尊重社会』における経済政策にとって、最重視すべきは賃上げ」であることを表明しました。日本経団連の2025年版「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)は、「賃金引上げと総合的な処遇改善を『人への投資』として明確に位置付け」ることを強調し、「ベースアップを念頭に置いた検討が望まれる」と企業に呼びかけています。
25春闘では、物価上昇を上回る賃上げを実現するため、こうした姿勢に至った政府・財界に有言実行を迫るとりくみが不可欠です。
賃金の官民較差と地域間格差を解消せよ
国公労連は、月額2万8000円以上の賃上げなどを要求しています。組合員の要求アンケートでは、すべての年齢層で生活実感が「苦しい」という回答が高止まりし、それに連動した要求額が前年より1000円上昇しました。こうした傾向は、24人事院勧告に基づく月例給の平均改定率が2.76%にとどまった一方で、民間の春闘相場や地域別最低賃金の上昇率が5%超となるなど、官民較差を解消できない低水準の賃金改定への不満も背景にあったはずです。
「給与制度のアップデート」により、若年層の大幅な賃上げが実現しましたが、石破首相の施政方針演説では、「2020年代に全国平均1500円」という地域別最低賃金の目標が表明されました。依然としてその近傍にとどまっている高卒初任給を持続的に上昇させ、すべての世代の賃金の底上げを実現する必要があります。
とりわけ高齢層は、①「給与構造『見直し』」や「給与制度の総合的見直し」による大幅な賃下げ、②55歳超職員の昇給停止・抑制措置、③定年延長による30%もの賃下げなど、「給与の満足度」とモチベーションが著しく低下しています。職務給と生計費に見合った賃金水準を早急に回復しなければなりません。
2024年の改正給与法案の国会審議では、国家公務員の人材確保などに関わって、①官民較差の比較企業規模の引上げ、②地域手当による賃金の地域間格差の縮小、③職員の処遇改善や人的体制の拡充の必要性などが質問され、政府・人事院は、「(改善に向けて)必要な措置を検討する」という趣旨で答弁しています。
賃金の官民較差を適正に解消できない要因の1つには、この比較企業規模があり、早急に50人以上から1000人以上に改善することが不可欠です。国の行政機関は、本府省や地方支分部局による全国ネットワークを構築し、各地域でくまなく公務・公共サービスを提供しています。全国的に事業を展開している大企業に相当する組織であり、新規採用が競合する対応関係なども含めて、同種同等比較をさらに重視すべきです。
「給与制度のアップデート」は、多岐にわたる賃金改定を伴うものでした。世代間や地域間などで「賃上げ」と「賃下げ」が混在する結果を招き、さまざまな課題を残しています。とりわけ地域手当による賃金格差は、人事院も「最大20%という支給割合の差が過大ではないかなどの指摘」があることに言及しており、その解消に向けた検討を早急に開始すべきです。
すべての職員に働くルールの確立を
人事院は、非常勤職員の「3年公募要件」を廃止しましたが、各府省が「公募によらない再採用の上限回数などの目安を独自に設けること」を否定しておらず、当事者たちの不安を煽っています。「有為な人材を安定的に確保する」ためには、任期を1年の範囲とし、再採用をくり返すような運用を抜本的に是正し、「無期転換ルール」を適用することや「任期の定めのない非常勤職員」を実現することなどが不可欠です。
25春闘では、新たに「性的マイノリティをめぐる職場環境の改善等に関する要求書」を提出しました。職員の多様性を尊重するとともに、職場に共生社会を実現するため、諸問題を解消するための措置を求めています。
いわゆる「LGBT理解増進法」が23年6月に施行された一方で、最高裁判所は同年7月、経済産業省の職員が性自認に基づく女性トイレの利用を制限されたことについて、それを是認する人事院の判定が違法であると判示しました。これまで潜在化していた諸課題が社会的にも認識されています。
政府・人事院は、「配偶者」(事実婚を含む)には、同性パートナーが含まれないものと解釈しています。すでに民間企業や地方公共団体などが同性パートナーを対象として諸手当や両立支援制度を適用していることを踏まえれば、性別に基づく差別的な取扱いと指摘せざるを得ません。
職場・地域から交渉に結集しよう
このほか、①マイカー通勤と駐車場利用の経済的負担の解消、②若年層にも魅力的で持続可能性のある職場環境、③定年延長・再任用の適正な勤務条件、④職場実態に見合った大幅増員と長時間労働の是正など、諸要求は多岐にわたっています。
ブロック国公は、2月から3月にかけて、人事院地方事務局交渉を配置し、各地域の実情などを反映した要求を強化しています。
また、職場の所属長にも統一要求書を提出し、2月28日までに上申書を発出するよう要求しています。「全員参加型の労働運動」を重視するとともに、職場・地域から交渉に結集し、一つでも多くの要求を実現できるよう奮闘していきましょう。
トヨタ総行動
トヨタの内部留保 前年比約5兆円増
一部回せば大幅賃上げ・下請け単価アップ
【愛知国公発】2月11日、第46回トヨタ総行動がとりくまれ、全体で590人、愛知国公からは8単組25人が参加しました。
トヨタ総行動は、内部留保をため込む大企業に対し「内部留保を賃上げと下請け単価の改善に活用せよ」と社会的役割を果たすよう求める行動として、トヨタ自動車本社をはじめとした関連企業への要請やトヨタ本社及び関連企業の最寄り駅での早朝宣伝など、25国民春闘での大幅賃上げをめざす運動として実施されています。
トヨタ自動車の内部留保は36.7兆円。この14年間で2.8倍増、前年度から4.7兆円(14.6%)も積み増しています。この1年で増やした内部留保の一部を回すだけで、大幅賃上げと下請け単価の大幅引上げが可能です。
決起集会では主催者を代表して、全労連の秋山正臣議長が「大企業が内部留保を積み増す一方で、労働分配率は低下し続け、下請け単価も抑えられている。内部留保はこうした労働者の犠牲の上に増大している。内部留保を国民多数の富のために活用するよう強く求める」とあいさつしました。
その後、各単産・地域、階層からのリレートークがとりくまれ、愛知国公からは國枝孝幸議長が、「石破首相は施政方針で賃金の地域間格差をなくし地方創生をめざすと表明。しかし、国家公務員の賃金で20%もの地域間格差が地域手当で生まれ、現職裁判官もこの問題を裁判に訴えている。公務員賃金の地域間格差をなくすとりくみをすすめる」と決意を述べました。
集会後のパレードでは、名古屋駅周辺で「賃金上げろ!」とアピールし、沿道には手をふって共感を示す若者ら市民の姿がありました。
国会クイズ、「103万円の壁」考えた!
春の国公青年セミナーひらく
国公青年フォーラムは2月15日に「春の国公青年セミナー2025」を東京都千代田区で開催し、総勢34人の青年組合員が参加しました。
セミナーの冒頭、グループに分かれてアイスブレイク。自己紹介などを行った後、青年フォーラムのメンバーが国会に関するクイズを出題しました。国会での請願書名の取り扱いや衆参両院本会議場の議長席に置いてある鈴に関する出題など、参加者はグループで相談しながら回答しました。
参加者からは「国会について、楽しくクイズを通して学ぶことができた」「グループの方と話すきっかけになってよかった。国会のことを知ることができて勉強になった」などの感想がありました。
続いて、国会見学を行いました。テレビ中継などでよく見かける衆議院本会議場や伊藤博文、大隈重信、板垣退助らの像が設置されている中央広間など、ガイドの解説を聞きながら50分程度、国会内を見学しました。参加者からは「なかなか国会を見学する機会がないので新鮮で勉強になった」「訪れたのは小学生以来だが今見ても新たな発見があった。今後も国公青年セミナーではこのような訪問とセットにしてもよいと思う」などの感想がありました。
学習会では、静岡県立大学短期大学部社会福祉学科准教授の中澤秀一さんに「社会保障と税について」をテーマにご講演いただき、年収103万円の壁や全世代型社会保障について、学びを深めました。参加者からは「改めて社会保障について考えることができた」「最近話題となっている年収の壁問題や社会保障制度の話もあり参考になった」などの感想が寄せられました。
ストライキ&キャンペーンに共感
国公女性協 春の代表委員会
国公女性協は2月15日、8単組、1ブロック、3県国公を含む26人の参加のもと、「2025年春の代表委員会」をオンラインで開催し、25年春闘方針と女性協独自の要求書を確立しました。
午前中に開催された学習会では、早稲田大学の浅倉むつ子名誉教授の講演「国連女性差別撤廃委員会による日本審査と総括所見」を動画で視聴し、選択議定書を日本が批准することの重要性を学びました。続いて、関口香織議長から春闘方針が提案された後、「指名ストライキを構えた2024年賃金交渉」(全医労)、「当事者が立ち上がった非正規公務員あんみつキャンペーン」(全厚生)の2本の特別報告を受けました。
参加者からは「学習会も特別報告も多くの学びがあった。資料として提供してほしい」「女性差別撤廃条約は男性も自分事として学ぶ必要がある」などの感想が寄せられました。
委員会では、「寒冷地手当の見直しについて、春の人事院東北事務局交渉で追及を強めていく」という秋田県国公の力強い決意をはじめ、「カスハラについては現場の職員だけに任せるのではなく組織的な対応を求めていきたい」「病気休暇による欠員などに対応できる余裕ある人員配置を求めていく」など全体で10本の発言がありました。
国公女性協は、あらゆる職場でジェンダー平等と処遇改善を実現するため、引き続きとりくみをすすめていきます。