国公労新聞|2024年6月10日号|第1625号

増員で職場環境の改善 行政サービスの拡充を

内閣人事局と交渉

 国公労連は5月30日、「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」に基づく定員合理化目標数が2024年度で終了することを踏まえ、「新たな定員合理化目標数の検討の中止などを求める要求書」を提出し、政府の定員管理政策の抜本的な転換を求めました。交渉は内閣人事局の中山諒行政担当総括参事官補佐ほかが対応し、国公労連は浅野書記長を責任者に5人が参加しました。
 交渉の冒頭に浅野書記長は、厳しい実態に置かれている職場の状況を引き合いに政府の定員管理政策がすでに破綻していることに触れ、抜本的な政策転換が必要なことを指摘しました。また、2025年度以降の定員管理政策に関わる政府の検討状況や決定に関わるスケジュールなどを質すとともに、新たな定員合理化目標数の検討などを中止することを要求しました。
 内閣人事局は検討状況等について「内部でもいろいろな意見があるが、現在、詳細をお示しできる状況にはなく、検討中」「『夏までに』ということで総理から指示を受けている。5年前は6月末に決定したのでそれが一つの目安だが、今後の議論にもよる。6月末〜7月には」と具体的な検討状況は示しませんでした。また、「定員合理化は、組織のスリム化そのものを目的とするものではない。定員の再配分は、行政需要が低下した部門を合理化した上で、新たに発生した行政需要・業務につける再配置の枠組み。行政の仕事は10〜20年経つと需要や業務量は変わってくるので、その変化に応じて定員を再配分するという考え方でやっている。政府としては引き続き必要なものだと考えている」と現場の実態と私たちの要求をまったく顧みない極めて不誠実な回答に終始しました。

〈内閣人事局前行動〉
定員合理化計画は中心せよ

 国公労連からは、あらためて定員管理政策が国民への行政サービス提供に悪影響を及ぼしている問題を指摘し、定員合理化目標数の検討中止を求めました。
 最後に浅野書記長が「国家公務員の定員管理システムには長い歴史経過があるなか、制度疲労やしわ寄せが至るところに生じている。このシステムが全体としては総人件費を抑制するための仕組みでしかないというのが組合員の実感である。我々の要求を受け止めて政府の定員管理の抜本的な転換につなげるよう、担当部局として努力を求める」と述べ、交渉を締めました。
 国公労連は定員課題にかかる政府・内閣人事局交渉に先立ち、総定員法廃止、定員合理化計画の中止・撤回、新たな定員合理化目標数の検討中止、増員による公務・公共サービスの拡充などを求めて内閣人事局前要求行動を実施しました。
 行動には各単組本部、東京近隣の県国公、全労連公務部会の仲間など50人が参加しました。
 行動の冒頭、九後委員長は自然災害や新型コロナ禍などへの対応をはじめ、この間の運動で公務の重要性への理解が広がっている状況をつくりだしていることを紹介し、「定員管理政策の思い切った転換の実現が必要だ」と運動への結集を呼びかけました。
 連帯あいさつに駆けつけた自治労連の橋口書記長と全教の吹上書記次長から、力強いエールをいただきました。
 定員課題をめぐる情勢を笹ヶ瀬中央執行委員が報告しました。定員合理化目標数の決定阻止のとりくみが正念場を迎えていることや、岸田首相が発言した「小さくて大きな政府」「全体の公務員数を増やさず」などという観念は、極めて非現実的なものであり、行政の破綻を招きかねない危険な思想であると批判しました。
 人員不足で疲弊するそれぞれの職場実態を、全労働の小部中央執行委員、国土交通労組の佐藤副委員長、全法務の田中書記次長が訴えました。
 浅野書記長からは、現行の定員管理政策の問題点を指摘し、日本の定員管理政策が海外(フランス)にも悪影響を及ぼしている実態が紹介され、「現状を変えるためにも夏季闘争方針の完遂を」と後の政府・内角人事局交渉に臨む決意と行動提起が行われ、最後に政府・内閣人事局にむけたシュプレヒコールで行動を締めました。
 政府・内閣人事局交渉と内閣人事局前要求行動の詳細は5月31日発行の国公労連速報3744号をご覧ください。

沖縄の戦跡から平和を学ぶ
沖縄支援・連帯行動

 国公労連は5月23日から25日にかけ、沖縄支援・連帯行動を実施し、全国各地から36人が結集しました。
 昨年の行動では米軍基地周辺や新基地建設工事現場などの視察が中心となり、沖縄の現在の様子を学習する要素が強かったのですが、今回は平和祈念公園などの資料館、ひめゆりの塔などの祈念碑、戦時中に避難所や野戦病院として使用された自然洞窟の見学など中心として、戦争を追体験しながら平和を学習することをテーマとしました。
 1日目は沖縄戦で最後の激戦地となった糸満市摩文仁(まぶに)の沖縄県平和祈念公園を訪れるとともに、夜には那覇市内で、沖縄県国公の仲間を招いて支援・連帯行動の参加者と懇親・交流を深めました。
 沖縄県平和祈念公園では、沖縄戦で敵味方関係なく犠牲になられた全戦没者の名前が記されている「平和の礎」を見学し、資料館ホールで沖縄平和ネットワークの稲福勉さんによる平和講演を聞くとともに資料館内の見学を行い沖縄戦についての認識を深めました。
 2日目は国公労連の島袋中央執行委員がガイドとなり、1日かけて普天間飛行場、嘉手納基地、梯梧(でいご)の塔、ひめゆりの塔、米須海岸、糸数壕などを順番に視察・見学しました。
 梯梧の塔とひめゆりの塔は隣同士の敷地にありますが、梯梧の塔はほとんど知られていません。ひめゆりの塔も梯梧の塔も戦争に従事し犠牲となった学徒隊の祈念碑ですが、沖縄南部に数多く存在する祈念碑の中でひめゆりの塔ばかりが有名になっているのは、ひめゆり学徒隊の学校が優秀な生徒や軍幹部の子どもなどが通っていた学校であったからと聞き、命の重みについてあらためて考えさせられました。
 その後に訪れた米須海岸や糸数壕は沖縄戦で米軍から追われた住民が命からがら逃げこんだ場所です。米須海岸が今は美しい浜になっているのとは対照的に糸数壕は業火や爆風の跡などが今もなお残っていました。
 3日目は対馬丸記念館と不屈館を見学しました。対馬丸は戦争が激化した時期に疎開のため多くの学童を乗せて航行中に米軍により撃沈された疎開船です。ごくわずか生き残った方の証言や流れ着いた遺留品などが展示されており、沖縄戦の生の声を後世に残すための資料館です。不屈館は戦後沖縄の自由と平和のために立ち上がった政治家・瀬長亀次郎氏の資料館です。
 日本の平和のために巡らなければならない場所、語り継がなければならない話はまだまだ数多くあります。次年度以降も単組のみなさんとともに学習を深めていきましょう。

〈レイバーノーツ大会inシカゴ〉
労働者自身にパワーつけ運動前進

 4月19日から3日間、アメリカのシカゴでレイバーノーツ大会が開催され、国公労連から浅野書記長、笠松書記次長、大門中央執行委員が全労連派遣団(39人)の一員として参加しました。全米と世界各国から4700人が結集し、アジア(日本、中国、韓国、タイなど)からも多くの労働者が参加しました。
 レイバーノーツは、「労働運動に運動を取り戻そう」をスローガンに、労働者向けの本やパンフレットの出版活動を軸に、労働運動活動家の大会を2年に1度開催し、様々な労働問題の克服をめざす実践的なワークショップや労働学校を運営している非営利団体(NGO)です。
 大会期間中は毎日2時間程度の全体会が開かれ、その他の時間は数多くあるワークショップのために使われます。全体会では、職場や地域の運動で成果を勝ちとった労働者たちが聴衆に向かって報告し、会場全体でそれを祝福(スタンディングオベーション)します。アメリカ労働運動の高揚感と熱気に包まれ、強い一体感が生まれる刺激的な空間でした。
 大会参加者は、多くのワークショップの中から10個ほどを選んで参加します。どの会場も参加者で溢れかえり、活発な意見交換や演習が行われました。目標に向かう戦略づくりをすすめるため、日常的に対話やスピーチの実践的なトレーニングを行い、その積み重ねが労働者自身にパワーをつけ、職場や地域での連帯の力につながっていることを学びました。
 アメリカの労働者たちが、労働者であることに誇りを持ち、自分たちで社会を変えていけるという確信のもとに団結・連帯し、時に後退や失敗を経験したとしても、それを糧にしてさらに運動を推し進めている姿に、同じく社会変革をめざす労働組合の一員として胸が熱くなりました。そして、こうした運動が、国公労連のめざす全員参加型の運動と流れを共にするものであることを実感し、要求実現に向けて職場や地域で対話と共感を広げていくことの重要性を改めて強く認識しました。
 連邦職員会議(FUN)のほか、シカゴ教員労組(CTU)、全米電気機械無線労組(UE)と交流を図り、互いのとりくみや課題について共有しました。

〈ILO・国連作業部会に要請〉
労働基本権の回復へ情報提供

 6月3日から開催されている第112回ILO総会では、87号条約(結社の自由・団結権保護条約)に関する日本の適用状況が取り上げられる見込みです。そのため全労連公務部会・公務労組連絡会は、5月15日から17日にかけ、スイス・ジュネーブのILO本部及び国連「ビジネスと人権」作業部会へ要請団を派遣しました。要請団には国公労連から浅野書記長と西口書記が参加し、国家公務員の労働基本権制約をめぐる最新の状況と政府・人事院の交渉姿勢などを報告しました。
 5月16日、結社の自由部担当責任者であるカレン・カーティス氏ら4名に、「追加情報」として直近の交渉における政府・人事院の回答ぶりや「給与制度のアップデート」などの検討状況を説明し、労働基本権制約の代償措置とされる人事院勧告制度の矛盾と限界を踏まえ、すみやかな労働基本権回復にむけた尽力を要請しました。
 カーティス氏は「有益な情報提供に感謝する」とコメントした上で「日本には期限を区切った議論の枠組みを要請している。代償制度が機能していない具体的かつ詳細な実態を秋までに報告してほしい」と述べました。
 同日、労働者活動局との懇談でアジア担当のアリエル・カストロ氏は「総会準備の過程から事務局や関係者に実情を訴え、今後の活動として何が必要かを議論する上で、総会の前という要請のタイミングはとても重要」と訪問を歓迎しました。
 教育専門官(公務専門官代理)のオリバー・リャン氏への要請では、国公労連から航空管制官など公務員個人の刑事責任が追及される問題について報告し、見解を求めました。リャン氏は「情報は公務専門官に伝える。管制官の問題は国際的な知見について調べて回答する」と述べました。
 17日には、国連「ビジネスと人権」作業部会と懇談し、昨年訪日調査を行ったピチャモン・エオファントン氏に日本の非正規公務員の実態とジェンダー差別の関係について情報提供をしました。
 エオファントン氏は「公務サービスにおけるジェンダーギャップ、賃金格差は驚きをもって受け止めた。日本政府とは今後も様々な接触を続けていくので、引き続き問題提起をしていきたい」とコメントしました。

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