2024春闘交渉スタート
大幅賃上げ、非常勤職員の安定雇用を
国公労連は24春闘で、月額2万7000円以上の賃上げ要求をはじめ、非常勤職員の安定雇用と均等・均衡待遇の実現、定員合理化計画中止・撤回、定年延長・再任用制度など高齢期雇用の抜本改善、長時間労働の解消やジェンダー平等など誰もが安心して働ける職場環境整備、民主的な公務員制度の確立などをめざして、「24年春闘統一要求書」「非常勤職員制度の抜本改善にむけた重点要求書」「定員管理等に関する要求書」「国家公務員制度等に関する要求書」を政府(2月19日)・人事院(2月21日)に提出し、交渉をスタートさせました。
物価上昇を上回る 賃上げ勝ちとろう
物価の上昇が止まらず、国民生活を直撃しています。これは国公労働者も例外ではありません。国公労連が昨年秋にとりくんだ要求アンケートでは、「生活が苦しい」とする組合員が6割に迫り、賃上げ要求額も昨年から月額2000円上昇する結果となっています。
こうした状況からも24春闘で物価上昇を上回る賃上げを実現することは、必須課題です。
岸田首相は、第213回通常国会の施政方針演説で「物価高に負けない賃上げ」として、政府による「公的賃上げ」とともに、「賃金が上がることが当たり前だ」という前向きな意識を社会全体に定着させることを明言しました。このように「公的賃上げ」を言うのであれば、直接の使用者である政府が30万人超の国家公務員の賃上げを政策的に実施すべきであり、900万人以上の労働者に影響するとされている国家公務員の賃上げを民間企業に先行して実現し、民間企業が賃上げしやすい環境を整備すべきです。このことは能登半島地震への対応をはじめ、国民のいのちやくらし、権利を守るために昼夜を分かたず奮闘している公務労働者の労苦に報いることにもなります。
職場・地域からの とりくみが重要
職場段階からのとりくみとしては、すべての職場で要求書を提出し、組合員の生活悪化の実態や、人員不足をはじめとするきびしい職場実態などを背景に、要求の切実性・正当性を率直に当局に訴えるとともに、3月1日までに要求書に関わる上申書を発出させるなど、各級機関での交渉を強化していきましょう。
3月7日には春闘最大規模(3千人程度)の中央行動が配置されています。全国各地からの結集を呼びかけます。翌3月8日には総定員法廃止、定員合理化計画の中止・撤回、新たな合理化目標数の検討中止、増員による公務・公共サービス拡充などを求めてとりくんでいる国会請願署名の採択にむけた国会議員会館一斉要請行動を各ブロック・県国公を中心に展開することとしています。すべてのブロック・県国公からの参加で行動を成功させましょう。
国公労連は24年国民春闘の最大のヤマ場の行動日である3月14日を「第2波全国統一行動日」に設定しています。すべての職場で組合員が最大限結集する職場集会を開催し、統一要求の最終回答にむけて政府・人事院あての職場決議を採択・送付しましょう。また、3月13日の回答集中日、14日の全国統一行動日の2日間は、民間労組のストライキ、全国一斉宣伝行動、デモなどの民間支援・連帯行動に積極的に参加し、多様な終日行動として成功させましょう。13日夜には全労連が賃上げ回答速報ネット番組を配信します。
昨年の23春闘では、全医労が要求実現にむけて全国規模でのストライキを実施し、各地の労働者を鼓舞しました。全医労は今年も全国規模のストライキを構えてたたかいをすすめています。国立病院機構との交渉の結果次第にはなりますが3月1日と14日にストライキを実施することが想定されています。多くのなかまで支援・連帯に駆けつけましょう。
24春闘を「主体的」にたたかい、民間労働者・労働組合と一緒になって大幅賃上げ・底上げの実現をめざして奮闘していきましょう。
定員削減ストップへ 院内フォーラムを開催
国公労連は2月16日、「国民のいのち・くらし、権利をまもるフォーラム」を衆議院第二議員会館で開催しました。これは、政府の定員管理政策の経緯や問題点とそれによって現場で起こっている課題を明らかにし、増員をはじめとする公務・公共サービス拡充への理解と世論を広げるためのとりくみです。参加者は会場参加が46人(国会議員3人、議員秘書11人、マスコミ2社含む)、ライブ配信の同時視聴が30人でした。政党では立憲・国民・共産・れいわの各党から参加がありました。
フォーラムでは、笹ヶ瀬亮司中央執行委員から「政府の定員管理政策の問題点と公務職場の現状」の基調報告、国土交通労組の佐藤比呂喜副委員長から「政府の推進施策と定員合理化 〜羽田衝突事故から考える」と題した特別報告がありました。さらに全労働(基準監督行政と非常勤)、国土交通労組(災害対応業務)、全法務(乙号委託業務)、全司法(裁判オンライン化)から定員削減による現場の問題を訴えました。
これらの報告を受け、立憲民主党の川田龍平参議院議員はあいさつで、「業務が追いつかなくなっていると感じている。国会対応業務だけでなく、国の行政が他の国と比較して圧倒的に定員が足りず、国家公務員も含めて非正規労働になっている。本来国が果たすべき役割すら果たせないのが現状で、何とかしなければいけないと思っている」と述べました。
また、晴山一穂専修大学名誉教授は連帯あいさつとして、「公務員の定員を増やすことは政治的立場の如何にかかわらず憲法から導かれる当然のことであり、広く国民の共感を得られる課題だ」と述べました。
本フォーラムの映像は国公労連のYouTubeチャンネルから視聴可能で、資料も概要欄からダウンロードできます。2025年度以降の新たな合理化目標数を策定させないためにも、ぜひ職場での学習や国会請願署名の議員要請などのとりくみにご活用ください。
〈24春闘〉大幅賃上げへ 官民共同で宣伝行動
全労連公務部会と民間部会は2月14日、東京・有楽町イトシア前で、物価高騰からくらしを守ろうと宣伝行動を実施しました。
3月13日の24春闘ヤマ場の回答に向け、大幅賃上げ、賃金底上げ、労働条件改善、公務・公共サービス拡充の実現をアピールするとともに、能登半島地震の支援カンパも呼びかけました。
アップデートの課題を学ぶ
春の国公青年セミナーひらく
国公青年フォーラムは2月17日に春の国公青年セミナー2024を開催し、39名が参加しました。
講義では国公労連の笹ヶ瀬亮司調査政策部長を講師に「給与制度のアップデートについて」を表題として今年の大幅な変更が予定されている人事院勧告の諸問題について確認しました。また、国公共済会職員の瀬戸口良子さんを講師として、パンフレットをもとに国公共済会の魅力や制度について紹介してもらいました。
グループワークでは各々の標準生計費の概算を算出し、人事院が公表している標準生計費や全労連が公表している最低生計費調査を比べながら意見交流を行いました。
最後に国公青年フォーラムの運営委員長による団結ガンバローでセミナーを閉じました。
女性交流集会(6/15〜16)成功へ
国公女性協 春の代表委員会
2月17日に国公女性協2024年春の代表委員会をオンラインで開催し、8単組2ブロック5県国公からオブを含め35人が参加しました。午前は、憲法学者の清末愛砂さんの講演動画を視聴し、各地の紛争実態から他者を支配し力を誇示する者が闊歩する社会を無くしていく必要性を学びました。午後は、恒例の「折り鶴行動」を活用した対話のとりくみや女性協作成の「人生いろいろリーフ」を使った学習のすすめ、「第53回国公女性交流集会in湯河原(6月15〜16日)」の開催を盛り込んだ方針が提案され、春闘アピールとともに採択されました。そして大幅賃上げや非常勤職員の処遇改善を勝ち取ること、ジェンダー平等をめざす学習への積極的なとりくみなどへの決意を固めました。
若年層と高齢層の給与のあり方
近年は、「優秀な人材の確保」を理由として初任給を改善する民間企業が目立っています。初任給の改善は、将来的に労働者人口(生産年齢人口)が減少していくなか、短期的な人件費の増大ではなく、組織の維持・発展に向けた長期的な投資であるというトレンドが一般的になっています。
一方で、「若者の公務員離れ」が深刻化しています。2023年度の国家公務員採用試験の一般職(大卒程度)の申込状況は、前年度と比較して6.3%減少しました。
また、若年層の離職者も増加傾向にあります。2017年度と2021年度を比較した自発的な退職者数は、全体で16.0%増加していますが、20歳以上24歳以下では30.2%増加、25歳以上29歳以下では66.4%増加しました。
こうした実態を前提として、2023年8月の「給与制度のアップデート」では、若年層の俸給額の引上げが謳われています。しかしながら、中高齢層の給与の在り方も併せて検討されるべきです。
民間企業よりも長期勤続の傾向にある国家公務員の特性を踏まえれば、年功的な給与の上昇を否定すべきではありません。職務給原則に見合った給与水準を維持し、中高齢層のモチベーションを維持するとともに、ライフサイクルに見合った生計費を確保する必要があります。中高齢層の給与水準は、国家公務員を志願する新規学卒者なども注視する重要な観点であり、持続可能性のある(将来的にも上昇が見込める)給与体系は、職業選択に当たっての不可欠な要素です。
また、近年の実質賃金の低下傾向は、全世代にわたる深刻な課題です。中高齢層も含めた給与改善を実現しなければ、政府が推進しようとしている「成長分野への労働移動の円滑化」(三位一体の労働市場改革)などとも相まって、国家公務員の人材流出に歯止めがかかりません。
2023年の給与改定は、高卒初任給が月給1万2000円の引上げとなりましたが、現在の地域別最低賃金額は、全国加重平均で時給1004円となっており、依然として都市部を中心とした8都府県で高卒初任給が地域別最低賃金を下回っています。
国家公務員には最低賃金法が適用されませんが、それこそが立法政策の矛盾です。該当する地域の職場に赴任する新規採用者は、極めて不合理な給与水準を余儀なくされるため、そうした赴任を回避することに伴い、適正な人事配置が阻害されるなど、職員の労務管理が歪められる事態にも至っています。
岸田首相は2023年8月、「(地域別最低賃金を)2030年代半ばまでに全国加重平均が1500円となることを目指していく」と表明しました。今後も地域別最低賃金が加速度的に引き上げられることも想定されます。実質的に最低賃金法に抵触している高卒初任給を是正するため、必要な措置が講じられるべきです。