国公労新聞|2024年3月10日号|第1620号

物価高騰に負けない 大幅な賃上げを必ず!

 3月7日、春闘山場の行動として「24春闘勝利!3・7中央総決起行動(主催:国民春闘共闘・全労連・東京春闘共闘)」が実施され、24春闘で物価高騰に負けない大幅な賃上げ、いますぐ最低賃金1500円実現などを求め、全体で2000人の各産別の仲間が早朝から様々な行動を展開。国公労連からは200人が参加し、人事院前要求行動、日比谷野外音楽堂での決起集会、国会請願デモ、内閣人事局前要求行動に結集しました。
 人事院前要求行動では、北海道国公の義煎聡議長が「地方と中央の格差が大きく、地方の人材確保にも影響する。そうならないための地域手当の改善を求める。また、燃料費が高騰し家計の持ち出しも多く生活が厳しい状況だ。実態に見合った寒冷地手当の改善を求める。そのためにも地方人事院への要求を強める」と決意を述べました。

非正規公務員の雇用安定を 全労連公務部会シンポジウム

 全労連公務部会は2月23日、「非正規公務員の雇用安定をめざすシンポジウム」を開催しました。全労連会館とZOOMのハイブリッド開催で約120人が参加し、各職場の実態と課題を交流するとともに、公務部会が4月からとりくむ「非正規公務員の雇用安定と処遇改善を求める署名」(政府宛)の意思統一を行いました。
 シンポジウムは、北海学園大学の川村雅則教授をコーディネーターに、国公労連から全労働の津川剛書記長、自治労連から非正規公共評の曽我友良事務局長、全教から臨時教職員対策部の栁澤欣吾事務局次長、自治体議員として橋本亜矢狭山市議が登壇しました。
 全労働の津川書記長は、労働行政で働く非常勤職員の実態を報告し、法制度のはざまに置かれ、各省の予算削減時にその雇用が調整弁とされる制度上の問題を解決する必要性があると指摘。一方で、全労働や国公労連の運動により、非常勤職員の社会人採用や公募の在り方が検討されていることなどを報告しました。
 各シンポジストからは、自治体の会計年度任用職員制度でも国と同様の不当な公募や雇止め、それによる雇用不安が問題となっている実態が報告されました。会場・オンライン参加者からも発言が相次ぎ、非正規公務員が働き続けられる公務職場をつくるため、当事者を中心に住民、行政、議会、メディアまで広く利害関係者を巻き込んだ運動の重要性が議論されました。

「人事管理のアップグレード」に国公労連が意見表明

 国公労連は2月28日、人事院の第6回人事行政諮問会議のヒアリングに出席し、「公務員人事管理のアップグレード」の意見を表明しました。
 人事院は、2023年8月の「公務員人事管理に関する報告」で、「新時代の公務員人事管理の在り方」として「抜本的なアップグレードを実行していく」こととし、同年9月に5人の各界有識者で構成する人事行政諮問会議を設置しました。2024年4月に中間報告、同年秋に最終答申がとりまとめられる予定です。
 当日は、経済産業省、国土交通省と2つの職員団体のヒアリングが実施されました。あらかじめ提示されたヒアリング事項は、①国家公務員の規律、②戦略的人材確保、③多様な属性の職員が働き続けられる環境整備、④エンゲージメント向上につながる評価・育成の在り方などです。
 国公労連は、この意見を提出するため、各単組の代表者が参加する「『給与制度のアップデート』等に関する検討会」で議論を重ねてきました。
 国家公務員の人事行政の在り方を検討するにあたっては、日本国憲法が定める「全体の奉仕者」や国家公務員法の理念を踏まえ、国民に保障された権利を中立・公正に実現するため、その能力を最大限に発揮させるための人事管理をめざす必要があります。
 また、一般職国家公務員の8割以上を占め、公務・公共サービスを直接的に提供している地方支分部局の職員を前提に議論することが重要です。本府省の職員ばかりを念頭にしたものであってはならないはずです。
 さらに、職員の多様性を実現するものであっても、民間企業などで導入されている人事制度は、必ずしも公務になじむものばかりではありません。人材確保をはじめ、職員の処遇やキャリア形成の在り方などを検討するにあたっては、国家公務員の中立・公正性の維持に留意する必要があります。
 一方で、政府の定員管理政策に伴い、とりわけ地方支分部局の人的体制が脆弱化し、行政機能の低下を招いています。職員の長時間労働や健康被害など、勤務環境が劣化する悪循環にも陥っています。安定的な新規採用も確保できず、組織の代謝や人材育成もままならないため、組織や業務の維持・発展が阻害されています。
 当日は、こうした認識を前提としつつ、①経験者採用や障がいのある職員の実態、②勤務条件の改善の在り方、③広域的な人事異動の弊害、④兼業拡大への懸念、⑤昇任・昇格管理やキャリア形成の諸問題などを中心に意見の主旨を説明し、質疑に応答しました。

 

沖縄基地負担の実相 開建労・仲里書記長が語る

 国公労連は2月21日、「第2回オンライン平和学習会」を開催し、約40人が参加しました。学習会は、沖縄総合事務局開発建設労働組合(開建労)の仲里孝之書記長を講師に、第二次世界大戦で凄まじい地上戦が繰り広げられた沖縄について、歴史を含め、これまで時代に翻弄され続けてきた沖縄の状況などについて講演していただきました。
 参加者からは、「沖縄の基地負担のひどい実態に憤りを感じた」「他人事ではなく自分事としてとらえ、周りにも伝えていくことが重要だと感じ、実践していく」などの感想が寄せられました。
 国公労連では引き続き平和を訴え考えるとりくみとして、5月23日から25日に実施する沖縄支援・連帯行動に向けた学習会をすすめていきます。

水爆被災70年 ビキニデー集会ひらく

 静岡県焼津港所属のマグロ漁船「第五福竜丸」が南太平洋ビキニ環礁の水爆実験で被ばくしてから今年の3月1日で70年。核兵器廃絶を訴える「2024年3・1ビキニデー集会」(原水爆禁止世界大会実行委員会主催)が静岡市で開かれ、およそ1500人が出席しました。
 主催者報告では、ロシアのウクライナ侵略やイスラエルのガサ地区での戦闘行為を強く批判。「ビキニ水爆被災70年」を新たな出発点として、核兵器のない平和で公正な社会の実現にむけて世界に発信していくと訴えました。

〈連載〉給与制度のアップデートを考える  第6回

若年層と高齢層の給与のあり方(後編)

 前編では、「若者の公務員離れ」などを前提とした若年層の俸給額の引上げをめぐる課題などを掲載しました。
 2023年8月の「給与制度のアップデート」ではさらに、「採用後の給与上昇」として、「若手・中堅の優秀者の…給与の満足度が低い実態」などを踏まえ、「若手・中堅の優秀者層の給与水準」の引上げが提示されています。
 しかし、「給与の満足度が低い実態」は全世代に蔓延しており、ことさら「(成績)優秀者」に限定した傾向でもありません。特に高齢層は、①2006年の「給与構造『見直し』」で最大7%の給与の引下げ、②2014年の昇給・昇格制度の改正では、55歳超職員の昇給停止措置、③2015年の「給与制度の総合的見直し」では、50歳台後半層を中心に最大4%の給与の引下げ、④2023年の定年引上げでは、60歳超職員の30%の給与の引下げが実施され、「給与の満足度」が著しく低下しています。
 そもそも「優秀者」を決定するための人事評価制度の結果には、公正性・透明性・客観性・納得性が担保されていません。その結果を直接的に反映する昇給や勤勉手当の格差は、職員のコンセンサスを得られていないばかりでなく、むしろ不公平感を助長し、モチベーションの低下につながるおそれがあります。一部の「優秀者」を優遇することは、「多様で有為な人材を確保するため」の措置として実効性を期待できません。
 また「給与制度のアップデート」では「若年層ほど…キャリア志向や業務上の成果への注目・配慮を求める傾向」や「人事評価や人員配置について肯定的に捉える割合…マネジメントへの納得感が低い傾向」にあるとされています。それらは人事評価制度の構造的な欠陥が招いているものであり、「優秀者」の給与の引上げなどで解消できる課題ではないはずです。すでに本格施行から14年以上を経過した人事評価制度の運用とともに、その結果を任用・給与の決定に活用してきたことの効果検証が不可欠です。
 したがって、「給与の満足度が低い実態」を解消するに当たっては、若年層・中堅層や一部の「優秀者」に限定することなく、全世代を対象とする俸給額の引上げを検討すべきです。
 一方で、これまでの給与改定では、特別給(ボーナス)の配分に当たって、「勤務実績に応じた給与を推進するため、引上げ分を勤勉手当に配分する」などとされ、能力・実績主義が強化されてきました。「給与制度のアップデート」では、「特に優秀と評価される職員に対する勤勉手当の成績率の上限」の引上げも提示されています。前述のとおり、「特に優秀」という僅かな職員を優遇することでは、「若者の公務員離れ」などの課題を解消できません。
 特別給の配分に当たっては、近年にない物価高騰のもと、俸給額の生計費原則が形骸化している給与勧告を補完する観点も踏まえ、全職員のモチベーションの向上に反映できる期末手当を重視すべきです。

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