国公労新聞|2023年11月10・25日号|第1614号

物価高から暮らし守れ 公務員賃金引き上げを

 全労連・国民春闘共闘は11月10日、「物価高騰から生活守れ!」「公務員賃金引き上げ、最低賃金全国一律実現!」「社会保障・教育の充実を!」などをかかげて11・10中央行動にとりくみ、全体で800人が参加し、国公労連からは130人が結集しました。
 日比谷野外音楽堂で行われた中央総決起集会では、開会あいさつに立った小畑雅子国民春闘共闘代表幹事・全労連議長は冒頭にイスラエルのガサへの攻撃を直ちに中止し停戦を呼びかけるとともに、日本政府は停戦のための行動を起こすよう呼びかけました。また、秋季年末闘争にむけたたかう労働組合のバージョンアップをかかげ「①大幅賃上げと労働時間の短縮、労働法制の改悪阻止、②公共を取り戻す、③軍拡増税阻止・改憲阻止にとりくんできた。重視したのは最低賃金全国一律への法改正とジェンダー平等の推進、24春闘で大幅賃上げ底上げを勝ち取る流れをつくり上げること。実質賃金は18か月連続で下がっている。岸田政権は臨時国会で『経済、経済、経済』というが、公務員賃金の大幅引き上げや介護報酬の改善などには手を付けず、新自由主義政策頼みであり直ちに退陣を求めよう。戦争の準備ではなく社会保障の充実や生活の改善を求め職場地域から奮闘しよう」と呼びかけました。
 行動提起を行った黒澤幸一国民春闘共闘・全労連事務局長は「日本の労働者の中で大きな変化が起きている。23春闘で全医労が行ったストライキや、西武・そごうのストライキは国民にも支持され浸透してきている。これは労働者が強くなってきていることのあらわれだ。マスコミも変化してきており、たたかう労働組合が必要との論調になってきている。労働組合主導で声を上げ、賃上げを勝ち取ろう。これからは、①最低賃金の法改正を来春の国会に提出する、②公共を取り戻すたたかいを強める、③あらゆる戦争をやめさせ憲法を生かす、④24春闘への準備をすすめよう」と呼びかけました。
 集会後、参加者は国会請願デモ(写真上)と国会議員要請にとりくみました。

青年が今後の労働組合をつくる
国公青年フォーラム総会ひらく

 国公青年フォーラムは10月21日に東京港区で国公青年フォーラム2023年度定期総会を開催し、21人が参加しました。
 来賓として全労連青年部の用松(もちまつ)副部長と国公労連の笠松書記次長を招き、用松副部長は民間・公務、関係なく協力することが大切と強調し、全労連青年部のとりくみへの結集を呼びかけました。また、笠松書記次長は今年の人事院勧告が青年に重点を置いた勧告だったことに触れ、引き続き、青年の活躍が今後の労働組合の運動をつくっていくと訴えました。
 運動方針の提案では、これまでのとりくみの報告や、今後のとりくみと運動の進め方が提案され、採択されました。
 全体討論では各単組からとりくみの報告が行われ、どの単組もコロナ禍の制限が緩和された中で全国交流集会など、全国の青年が結集して交流するとりくみが数多く報告されました。
 分散会では「今の若者が考える普通」をテーマに議論を行いました。宿舎への要望としては「風呂トイレ別」、「独立洗面台があること」、「空調設備が整っていること」などがあげられ、転職へのハードルや今の仕事へのやりがいについては「仕事のやりがいとかはあまり感じにくい」、「やりがいよりも職場の人たちと雑談したり愚痴ったりそういったつながりで保たれているのではないか」、「特に若いうちはちょっとしたきっかけで転職を考えてしまうのでは」などの青年の状況が出されました。
 運営委員長には引き続き国公労連の吉原中央執行委員が選出され、職場の青年たちと一緒に青年運動を盛り上げていく決意を述べ、総会を閉じました。

原口さんを職場に戻そう 支援者らがエール

 国公労連と全国税は11月1日、東京国税局から不当な分限免職処分を受けた原口朋弥さんの職場復帰を求めて、東京都内で決起集会を開催しました。会場には、オンライン参加を合わせて89人の支援者らが結集し、原口さんを激励しました。
 集会で原口さんは、「さまざまな障害をもつ当事者が労働組合に結集してたたかう意義は大きい」と強調。「個人署名の1万筆達成にむけてさらなるご支援を」と訴えました。
 国公労連の九後健治委員長は、このたたかいで明らかになったこととして①職場にはびこるパワハラ、②障がい者への合理的配慮の欠如、③歪んだ人事評価制度の3点をあげ、これらの背景には政府がすすめる能力・実績主義の強化があると指摘。処分取り消しに向けて奮闘する決意を述べました。
 弁護団の浅野ひとみ弁護士は、「国税庁でこんな不当なことがまかり通っていることが大問題。原口さんだけでなく国民全体の問題だ」と指摘。分限免職回避努力義務を尽くさない当局の不当性を強調しました。
 参加者からは、「理不尽さに涙が出た」「当局が主張する不当な解雇理由は必ず崩れる。原口さんに心からエールを送りたい」など激励の言葉が送られました。
 最後に全国税の林登美夫委員長が行動提起を行い、「みなさんから力強いご支援をいただいていることを改めて実感した。諦めないでたたかっていきたい」と決意を述べ、集会を閉じました。
 人事院判定は早ければ年内、遅くとも来春頃には出される見込みです。

国立ハンセン病資料館不当解雇事件 勝利和解を報告

 国公一般の国立ハンセン病資料館不当解雇事件の勝利和解報告集会が10月28日に東京都内で開かれ、支援者ら約80人が勝利和解を祝いました。
 集会では弁護団から今回の争議の経緯、勝利和解までの経過とその意義が報告されたあと、ジャーナリストの竹信三恵子さんから「国の業務の民間委託の裏に隠れた問題点」について発言があり、「公共を取り戻す必要」について訴えられました。
 その後、当事者の稲葉さん、大久保さんから「今回、職場復帰できなかったことは残念だが、今後の国立ハンセン病資料館の改善に係る糸口を掴むことができた。今後とも資料館の正常化にとりくみたい」とお礼と決意が述べられました。
 国公一般は、引き続き国立ハンセン病資料館の正常化のためにたたかいを続けていきます。

<連載> 給与制度のアップデートを考える  第2回

拙速な見直しが危惧される扶養手当

 2023年人事院勧告では、「職員の選択を後押しする給与制度上の措置」として、「配偶者等に係る手当を見直す一方、子に係る手当を増額する」ことが報告されました。「近年、公務において配偶者に係る扶養手当を受給する職員の割合、民間において配偶者に対し家族手当を支給する事業所の割合は、いずれも減少傾向にある」ことが理由とされています。
 しかしながら、令和5年職種別民間給与実態調査の結果では、家族手当制度がある事業所は75.5(前年75.3)%、配偶者に家族手当を支給する事業所は56.2(同55.1)%であり、必ずしも「減少傾向にある」とはいえません。民間が配偶者に支給する家族手当の平均月額1万2744円は、公務の扶養手当の月額6500円と2倍近くも乖離しています。
 6月16日に閣議決定された「こども未来戦略方針」などでは、こども・子育て政策が重視されていますが、職員には被扶養者に関わるさまざまな経済的事情があります。
 例えば、公務の頻繁かつ広域的な人事異動に伴い、赴任地に帯同する配偶者が離職や不安定な非正規雇用などを余儀なくされる実態を踏まえれば、配偶者の扶養手当の重要性が希薄になる傾向はありません。法律婚であれ事実婚であれ、職員に結婚を躊躇させる経済的事情がある場合には、そもそも出産・子育ての機会すら得られません。扶養手当を支給する被扶養者の対象として、配偶者よりも子を優遇することには、必ずしも合理的理由がありません。
 また、この「配偶者等」には、被扶養者である孫、父母、祖父母、弟妹と重度心身障害者が含まれています。人事院は、「配偶者等に係る扶養手当を見直し、それによって生ずる原資を用いて、子に係る扶養手当を増額する見直しを検討する」と説明しています。子以外を扶養する職員の経済的困窮を招くおそれがあるばかりでなく、そもそも人事院が主張する配偶者の扶養手当などの「減少傾向」は、それ以外の扶養手当を見直すこととは無関係であり、その理由としてあまりに飛躍しています。
 さらに、とりわけ配偶者の扶養手当の見直しに当たっては、①育児や介護の家庭事情などで配偶者が自由に就労できない実態、②いわゆる「106万円の壁」「130万円の壁」の税制や社会保障制度の在り方、③男女ともに家庭的責任を果たしながら安定的に就労できる社会環境の整備などを前提とすべきです。その支給水準の適正化を含めて、より慎重な検討が必要です。

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