全世代の賃上げ、人事評価制度の見直し
誰もが「働きがい」を持てる職場へ
政府・人事院に重点要求書を提出
国公労連は6月16日、政府(内閣人事局)に「2027年度概算要求期重点要求書」、人事院には18日に「2026年人事院勧告に向けた重点要求書」を提出し、8月上旬までの交渉をスタートさせました。また、政府には「定員合理化の中止・撤回を求める要請署名」(団体署名)940筆を提出しています。26年夏季の重要課題などを職場でも再確認しておきましょう。
比較企業規模1000人以上に
昨年は、少なくない賃金改善を実現しましたが、国家公務員の賃金の在り方をめぐっては、さまざまな課題が残されています。本年の人事院勧告では、そうした諸課題が解消されなければなりません。
1つ目の課題は、民間の春闘相場を下回る賃金改定率の是正です。
厚生労働省が公表している民間主要企業の賃金上昇率との比較では、ここ数年で国家公務員の賃金改定率が下回っており、23年は1.6%、24年は1.7%、25年は1.1%もの官民較差が解消されていません。結果として、「国家公務員は賃金が上昇しない職業」というイメージを増幅させ、「若者の公務員離れ」に拍車をかけています。
昨年の人事院勧告では、官民較差の比較企業規模が50人以上から100人以上に改善されましたが、民間企業が人材確保のために実施している大幅な賃金改善と比較すれば、国家公務員は依然として低水準です。地域別最低賃金の近傍にある高卒初任給などを大幅に改善しながら、中高齢層の賃上げも実現するためには、官民較差に基づく原資が絶対的に不足しています。
その背景に比較企業規模の在り方があることは明白であり、一般職の国家公務員の8割以上が地方支分部局に在職しているところ、そこを100人以上の改善にとどめたことが、低水準の賃金改定率につながったものと判断できます。
将来的にも上昇が見込める賃金体系の存在は、若年層から中高齢層までの「働きがい」に直結する重要な要素です。官民の人材獲得競争が中長期的な課題となることも踏まえれば、地方支分部局も含めて比較企業規模を1000人以上に改善し、本府省との機関間格差を是正させる必要があります。
高齢層・再任用の賃上げを
2つ目の課題には、年齢差別である高齢層の理不尽な賃金抑制の解消があります。
昨年の人事院勧告では、「職員団体の強い要望を踏まえ、昨年を大きく上回る引上げを実施する」という回答がありましたが、行政職(一)では、高齢層が在職する3級以上の最高号俸で2.7%の賃金改定率にとどまりました。民間では3年連続で「5%超の賃上げ」と予想されていることを踏まえれば、依然として半分程度に抑制されています。
本年の人事院勧告では、最低でも前年を上回る賃金改定率を実現し、高齢層の職務・職責に見合った賃上げを継続させる必要があります。
また、再任用職員の俸給額や期末・勤勉手当の支給月数の引上げも喫緊の課題です。26年春の人事院の回答では、「民間の再雇用者の状況も踏まえつつ、俸給と特別給を合わせて適正な年間の給与水準を確保」というものに終始しています。
しかしながら、過剰な定員合理化に伴い、常勤職員の人的体制が脆弱化しているため、再任用以前と同種・同等の職務・職責のまま働き続けざるを得ない実態があります。長年にわたる再任用職員の職務・職責の変化と高度化を踏まえれば、単純に「民間の再雇用者の状況」と比較することそのものが不合理です。むしろ職務給原則を徹底し、常勤職員との均等・均衡待遇こそを実現するなど、再任用職員の賃金体系を抜本的に改善させる必要があります。
人事評価制度は矛盾と弊害顕著
3つ目には、「新たな人事制度」の課題があり、能力・実績主義の強化や人事評価の徹底などが懸念されています。
昨年の人事院勧告では、「職務・職責を重視した新たな給与体系に移行するため、令和8年夏に措置の骨格を、令和9年夏に具体的な措置内容を報告できるよう、勤務時間や任用など他の制度と一体で見直しを進める」こととされました。
その前提となった25年3月の「人事行政諮問会議 最終提言」では、「職員が働きがいと成長実感を得られる人事評価の実現」のための措置として、「人事評価結果と給与上の考課査定結果を連動させていくことで職員の納得感を高める」と提言されています。
しかしながら、現在の人事評価制度には、公正性・透明性・客観性・納得性が確保されておらず、職場での矛盾と弊害が顕著となっています。「人が人を評価すること」の限界と困難性を踏まえれば、人事制度としての致命的な欠陥があると言わざるを得ません。そうした評価結果を直接的に反映する昇給や勤勉手当の給与格差は、職員の不公平感を蔓延させ、過剰かつノルマ的な業績管理は、職場の疲弊や職務へのモチベーションの低下につながってきました。
職員のニーズは、人事評価などに煩わされることなく職務に専念できる職場環境や労働条件が確保されることにあるはずです。能力・実績主義の強化は、むしろ国家公務員の志願者の減少や離職の増加を助長しかねません。「新たな人事制度」などが検討される場合であっても、労働組合との交渉・協議が広範かつ透明性のある議論のもとに実施されることが絶対条件です。
このほか、26年夏季の重点要求は、①非常勤職員の安定雇用と均等・均衡待遇の実現、②職場実態に見合った大幅増員と長時間労働の是正、③すべてのハラスメントの根絶に向けた実効性のある対策の実現など、多岐にわたっています。 これらを実現するためには、「全員参加型の運動スタイル」を意識した職場活動の活性化が不可欠です。6月29日の週は第2波全国統一行動として職場集会の開催とともに、要求決議の採択や10月に施行されるカスハラ対策の学習(本紙第1665号参照)を提起しています。すべての組合員に積極的な参加を呼びかけます。
学びと交流で連帯の輪広がる
国公女性交流集会ひらく
国公女性協は6月13〜14日、「広げよう連帯の輪」をメインテーマに、第55回国公女性交流集会を都内で開催し、オンライン参加を含む100人を超える全国の仲間が交流しました。
1日目の記念講演では、筑波大学名誉教授の田中洋子さんを講師にお招きし、「ドイツから学ぶ公務職場とこれから」をテーマに、日本の公務職場も働きやすく、かつ働きがいのある仕組みに変えていくためのヒントを数多くいただきました。田中さんは、ドイツでは働く時間の長短で正規・非正規の処遇に差がなく、労働者(公務員を含む)が自分の生活に合わせて柔軟に働き方を選択できるようになっていると紹介。また、非正規公務員をなくしていくため、時短正社員という雇用形態を公務職場でも実現し、何より公務員削減政策をやめさせ、現場の実態を広く伝えていくことの重要性を強調しました。
ミニ学習会では、第五福竜丸平和協会専務理事の安田和也さんから「平和に向けて第五福竜丸から学ぶ」と題し、マグロ漁でアメリカの水爆実験被害に遭った漁船・第五福竜丸の実態が伝えられ、被曝マグロの流通や全国で放射性物質を含む雨が降ったことをきっかけに原水爆禁止運動が始まったことなどを学びました。
夕食交流会では、地域や単組を越えた交流が深まり、会場が笑顔で溢れました。
2日目は4つの分科会を開催。第1分科会は田中洋子さん囲んでの意見交換が大いに盛り上がり、第2分科会ではSRHR(性と生殖に関する健康と権利)について学びながら、講師の土井希実さんと日常的に感じるモヤモヤを共有し合いました。第3分科会では、ハラスメントをなくすためのワークショップで第三者介入の大切さを学び、第4分科会では第五福竜丸展示館を見学しました。 最後に集会アピール案を採択し、全日程を終了しました。参加者からは「今年も学びの多い集会だった」「周りのみんなにも今日のことを広めたい」といった感想が寄せられました。
「低賃金が定年延長で更に減額」
行(二)職の処遇改善で人事院交渉
国公労連は6月8日、行(二)職の処遇改善を求めて人事院交渉を実施しました。交渉には、全法務と全国税の行(二)組合員3人を含む9人が参加し、人事院側は職員福祉局の能城参事官が対応しました。
放置された行(二)処遇
行政職(二)俸給表適用職員の勤務条件は、①職務や生活実態に見合わない賃金水準、②正当な処遇を阻害している不合理な昇格基準、③再任用すらままならない高齢期雇用などの課題が長年解消されず、劣悪なまま放置されてきました。行(二)職員は自動車運転手が中心となっていますが、民間企業のドライバー人材不足による賃上げ潮流にも遅れをとっています。
一方、「給与制度のアップデート」(24年)や「人事行政諮問会議 最終提言」(25年)などの近年の人事院の政策からは、行(二)職員の勤務条件の改善が埒外とされ、旧来からの諸制度のはざまで理不尽な処遇を余儀なくされています。
現場の行(二)職員の声
行(二)組合員からは、次のような切実な発言が続きました。
「人事院に伝えたいのは、行(二)の給与水準が低すぎること。再任用ではさらに給与が3割強カットとなり、ボーナスは現役時の半分となる。仕事は変わらないのに、60歳を過ぎると処分を受けたような処遇だ」。
「人事評価について、無事故無違反で仕事を貫徹していても高い評価はつかない。命をかけて運転をしていることに対して正当な評価を求める」。
「現在は3割が運転業務、残りの7割は付加業務で総務課の業務をしているが、処遇は行(二)俸給表で低いまま変わらない。定年延長となると、現在の低賃金がさらに減らされる。体力的にも厳しく、転職を考えざるを得ない。人事院には処遇改善を求める」。
これらの追及を受け、人事院は、「給与水準について強い要望があったことは、担当に確実に伝える」、「再任用の一時金は、民間の状況も踏まえて年間の収入水準を設定した上で現状の月数を設定している」、「当局を通じて、従来を上回る職責の評価をすべきことを伝えてもらえれば、必要な昇格を認めることになると考える」、「引き続き改善に向けて検討してまいりたい」といった回答にとどまりました。 最後に国公労連から、行(二)職員として働く一人ひとりの労働者の尊厳を重視し、人事院として行(二)職の勤務条件にも目を向けるよう求め、交渉を終えました。
本省庁対策プロジェクト
主要政党の国会対策委員長に「質問通告の早期化」を要請
国公労連は6月5日、東京国公、霞国公の3団体共同で「霞が関で働く国家公務員労働者の『働き方改革』のための質問通告の早期化を求める要望書」を各党の国会対策委員長に手交し、要請を行いました。この行動には、東京国公の香取議長、霞国公の小池議長、国土交通労組の佐野書記次長、全厚生の渡名喜中央執行委員、国公労連の古澤副委員長と伊吹書記次長の6人が参加しました。
今回の要請は、国公労連と各単組本部・本省支部で構成する「本省庁対策プロジェクト会議」で、本省職場における長時間労働の改善に向けた議論を重ね、東京国公・霞国公の協力のもと実施したものです。
要請項目は、「質問通告は質疑の2日前までに行うよう、質問通告の早期化に向けた指導をすること」「各委員会の開催日などを速やかに確定すること」の2つです。
この要請に議員本人が対応したのは、日本共産党(国会対策委員長の塩川鉄也衆議院議員)と社民党(参議院対策委員長のラサール石井参議院議員)の2党でした。
要請の参加者からは、「質問通告が出されなければ、対応部署の振り分けもできず、多くの部署が待機せざるを得ない」「求められる数値は本省だけにとどまらず、地方の職場に回答を求めるものもあり、地方の職場の超過勤務にも結び付く。速やかな質問通告をお願いしたい」「4月に採用された若手職員が国会対応で深夜2時まで対応している。このままの状況ではこの職場で働き続けていくことができないと話している」など、本省庁で国会対応を行っている職場の実態を訴えました。議員からは各委員会の開催の問題点なども出され、意見交換を行うことができました。
対応したラサール石井議員は「要望書の趣旨を受け止め、党内で徹底したい」と回答。また、塩川議員は「衆議院における『質問通告』の申し合せなどを徹底するとともに、国家公務員の働き方改革のために体制拡充の重要性も訴えたい」と力を込めました。 このほかに、衆参両院の主要政党の国会対策委員長にも要望書を提出しています。議員本人の対応はありませんでしたが、要請に対応した秘書からは、「議員事務所としてはできるだけ早く提出している。委員会の日程を何とかしてほしい」「うちの事務所はリモートで打ち合わせをするなどの工夫をしている」などの発言がありました。
