国公労新聞|2026年8月25日号|1670号

人事院勧告取扱い政府交渉
若者から高齢層まで賃金改善を

 国公労連は8月7日、2026年人事院勧告の取扱いをめぐって、政府(内閣人事局)交渉を配置しました。
 人事院勧告は、月例給が平均1万5056円(3.51%)、一時金が0.05月の引上げを中心とするものとなりましたが、職場の期待感を下回ったという印象を否めません。
 政府が7月21日に閣議決定した「骨太の方針2026」では、「物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を賃上げのノルム(社会通念)」として定着させることや賃上げが「成長戦略の起点である」などと謳われています。約900万人の労働者に影響する国家公務員の賃金は、それを先導するように早急かつ大幅に改善されるべきです。
 内閣人事局の武藤人事政策統括官の回答は、「国家公務員の給与について、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国政全般の観点から、その取扱いの検討をすすめていく」などの抽象的なものにとどまりました。

全世代に物価高上回る賃上げを

 賃上げの世代間の配分は、「各組織の業務遂行において重要な役割を担っている中堅層以上の職員について、令和7年を上回る改定を行う」として、不十分ながらも中高齢層の実態も考慮した給与勧告となりました。俸給の平均改定率は、中高齢層が在職する4級以上で前年から0.2ポイント上昇しています。
 しかしながら、若年層が在職する1級の平均改定率は前年から1.2ポイント、2級は0.6ポイント低下しました。
 若年層の賃上げが例年よりも抑制されることとなれば、世代間の公平性と納得性を維持できず、「若者の公務員離れ」を一層加速しかねません。中高齢層の賃上げを措置しながら、地域別最低賃金の近傍にある高卒初任給などを大幅に改善するためには、官民較差に基づく原資が絶対的に不足しています。その主な要因は、国の行政機関の実態を反映していない比較企業規模にあることが明白です。
 官民の人材獲得競争が中長期的な課題となることを踏まえれば、地方支分部局の比較企業規模も1000人以上に改善することが不可欠です。

高齢層の賃金抑制を解消せよ

 高齢層の職務・職責に見合った賃金体系に是正するためには、55歳超職員の昇給停止・抑制措置、60歳超職員の賃金7割措置という過剰で不合理な賃金抑制を早急に解消することが喫緊の課題です。適正な賃金水準の確保を阻む構造的な欠陥を残存させたままでは、前年を上回る中高齢層の賃金改定を実施しても、ブレーキとアクセルを同時に踏んだ状態でしかありません。
 本年の職種別民間給与実態調査の結果では、定年引上げを前提として、「一定年齢到達を理由とした給与減額の状況」は、非管理職の「給与減額なし」が51.4%で過半を占めています。「60歳で給与を減額している事業所における60歳を超える従業員の年間給与水準」は60歳時点の77.4%です。この賃金水準は、過去数年間にわたって大幅な変動もなく、76%台から77%台で推移しています。60歳超職員の賃金7割措置そのものが情勢適応の原則(民間準拠)に違反しているおそれすらあります。  政府は7月28日、「人口減少社会×AI時代の行政を支える人材改革プラン」を公表しました。「定年引上げ完成を見据えた高齢政策の検討加速」として、「給与7割措置の見直しについて、令和11年までに結論を得るよう、検討の加速を人事院に要請」としていますが、あまりにスピード感が乏しいと言わざるを得ません。人事院が適正な給与勧告を怠っている実態を踏まえ、「令和11年まで」にこだわることなく、過剰で不合理な官民較差が早急に解消されるよう、政府が使用者の責任で緊急的な措置を講じるべきです。

再任用職員の均等・均衡待遇の実現を

 再任用職員も前年を大幅に上回る給与勧告が実現しました。
 これまで再任用職員の賃金は、常勤職員の各級の最高号俸に準じて改定されてきました。人事院は、「民間のフルタイム勤務再雇用者の月例給と比較すると、…課長補佐級、係長級、主任級以下のいずれの役職段階においても公務が民間を下回る状況を踏まえ、…近年の考え方に基づく改定率を上回る改定を行う」としました。俸給の平均改定率は8.5%となり、前年から4.8ポイント上昇しています。
 これまで人事院は、「再任用職員の給与は、民間の再雇用者の状況も踏まえつつ、俸給と特別給を合わせて適正な年間の給与水準を確保し得るように設定されて…きている」という回答に終始していました。それに相反するように「公務が民間を下回る状況」があったのならば、大幅な官民較差を解消することなく、長期間にわたって放置してきたことともなりかねません。
 再任用職員の職務・職責の変化と高度化を踏まえれば、単純に「民間の再雇用者の状況」と比較することそのものが不合理です。むしろ職務給原則を徹底し、とりわけ一時金の支給月数の改善など、常勤職員との均等・均衡待遇こそを実現すべきです。
 今後の政府交渉で国公労連は、他の諸課題を含めて明確な回答を得られるよう、さらに追及を強化していくこととしています。

被爆81年
被爆者の想いを次の世代へ 原水爆禁止世界大会ひらく

 8月4日から9日まで、原水爆禁止2026年世界大会が広島と長崎で開催され、国公労連が運営委員を担った広島には3400人が現地参加しました。4日の開会総会の被爆者あいさつで、日本被団協の箕牧智之さんは「まもなく被爆者がいなくなる時代を迎える。国民一人ひとりが平和な時代をつくる努力をお願いしたい」と語りました。
 5日は17の分科会等が開かれ、学習や運動交流を行いました。

戦時中の国家公務員

 夕方、国公労連は「国公労働者平和のつどい」を開催し、47人の組合員が参加しました。全法務組合員の清水章宏さんを講師に、「軍都・廣島」(現広島)の歴史を軸に、戦争がどのように社会全体を巻き込み、「官吏」であった当時の国家公務員がどのような役割を担っていたのかを学びました。
 「廣島」では港や鉄道が整備され、海外へ兵員を送り出す軍事拠点として発展するとともに、民間企業も軍からの発注を受けて軍需品を生産するなど、街全体が戦争を支える構造だったことから、「戦争は軍隊だけで行うものではなく、行政や産業、国民を含めた社会全体が動員されることで成り立つもので、私たち国家公務員はそれらを動員する側になる」と清水さんは語りました。
 今ふたたび、社会全体が戦争を支える構造に向かいつつある情勢の中、参加者からは、「近年の日本では、戦前の1930年代の状況と酷似する点があることにゾッとした」「国家公務員として国民を戦争に駆り立てる仕事はしたくなく、憲法を守ろうと思った」などの感想が寄せられました。
 6日のヒロシマデー集会では、海外代表から核兵器廃絶のとりくみなどのスピーチが行われ、高校生平和ゼミナールなどが活動や決意を報告しました。最後に「いまこそヒロシマ・ナガサキの「被爆の実相」を広げ、被爆者の願いとたたかいの歴史を受けつぎ、広げましょう」と訴える決議が全体の拍手とペンライトの光とともに採択されました。
 日本被団協をはじめ6団体が共同で開催した「反核平和ペンライト行動」や広島決議の採択時のペンライトの輪など、非核平和を求める市民の新たな連帯も特徴的な大会となりました。

非常勤職員に扶養手当と住居手当支給へ 給与指針・申合せ改正

 7月22日、人事院が非常勤職員の給与指針を、内閣人事局が「申合せ」をそれぞれ改正し、非常勤職員に対して扶養手当と住居手当に相当する給与の支給に努める旨を新たに明記しました。あわせて、その他の手当についても常勤職員との権衡を考慮して適切に支給すべき旨が追記されました。
 非常勤組合員を中心に、交渉などで粘り強く声をあげてきた要求が実現することとなります。
 人事院は改正の目的に「常勤職員との均衡をより一層確保すること」をあげていますが、背景には厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正で家族手当と住宅手当の規定が盛り込まれたこともあります。適用は同ガイドライン改正と同日の10月1日です。
 扶養手当と住居手当支給の対象となるのは「任期が相当長期にわたる非常勤職員」で、人事院は「任期6月以上の非常勤職員を念頭に、勤務日数や勤務時間数等も適切に考慮の上で支給するよう取り組むことを想定している」と説明しています。8月7日の人事院勧告時の報告でも給与指針の改正に触れ、「同指針に沿った適正な給与の支給が行われるよう、各府省を指導していく」と述べています。手当支給には各府省で新たに予算措置が必要となることから、非常勤職員に扶養手当と住居手当が支給されるようになるのは来年度以降と想定されています。

当事者の声で一歩ずつ改善、人勧賃上げ分も4月遡及を

 この改正を経て、27年4月以降、常勤職員と非常勤職員の主な休暇・手当制度の格差は、表のようになる見込みです。
 25年4月に病気休暇の有給化が実現し、26年4月には年次休暇の採用当初付与、保育時間・子の看護等休暇・短期介護休暇・骨髄等ドナー休暇の有給化が実現するなど、休暇・手当制度の不合理な格差は一歩ずつ改善しつつあります。しかし、同じく強い要求であった寒冷地手当の支給が明記されなかったことは問題であり、生理休暇など依然として無給の休暇の有給化も切実な要求です。また、年次休暇や病気休暇については、取得可能日数の格差改善を求める声が多くあがっています。
 今年の人事院勧告では、行(一)俸給表で1級・2級初号俸が9500円、3級初号俸が9900円引き上げられます。給与法改正の際に、このベースアップの4月遡及と一時金0.05月分の引上げを確実に支給するよう、予算確保を含めて当局を追及していく必要があります。

平和で豊かな沖縄を 玉城デニー氏を支援
沖縄県知事選挙

 沖縄県知事選が8月27日告示、9月13日投開票で行われます。国公労連中央執行委員会は、沖縄県国公からの支援要請をうけ、第46回中央執行委員会で3期目をめざす、立候補予定の玉城デニー現知事の支援を決定しました。
 玉城デニー知事は、2018年9月の県知事選挙で初当選し、以降2期8年間、「県民の誰一人取り残さない沖縄らしいやさしい社会」「平和で誇りある豊かな沖縄」の実現を掲げ、弱者に寄り添い、安心・安全に生活できる沖縄県をめざし「建白書」の実現に向け日夜邁進しています。
 また、医療・福祉・中小企業・観光・インフラ・生活支援などありとあらゆる分野で、労働者のくらしを支える豊かな実績のもと、今年度予算は、県政史上最大規模の9468億円を35年ぶりに全会一致で可決させるなど、県民生活を守るために奮闘しています。
 25年度の観光客数は1094万人で過去最高数を記録し、県内の観光収入は1兆円を突破しています。離島対策でも離島住民の航空・船舶運賃の軽減や水道料金の軽減を実施しています。
 6月議会で成立した補正予算では県内企業に資金繰りのため県独自支援を実施しています。
 「いまこそ平和で団結、再び、沖縄を捨て石にさせない」と呼びかける玉城デニー氏の支援を訴えます。

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