26人勧に向け政府・人事院と交渉
今こそ暮らし守る大幅賃上げ勧告を
国公労連は7月23日、政府(内閣人事局)と「2027年度概算要求期重点要求書」の最終交渉、人事院と「2026年人事院勧告に向けた重点要求書」などの中間交渉をそれぞれ配置しました。いずれも抽象的で不十分な回答が目立ちましたが、8月上旬に見込まれる人事院勧告に向けては、さらに追及を強化していく必要があります。
「定員の再配置」で人手不足は解消しない
内閣人事局交渉では、賃金改善について、「国家公務員の適正な処遇の確保」「官民比較に基づく人事院勧告の尊重」など、政府の基本姿勢の説明に終止しました。
2026年春闘の賃金上昇率は、3年連続で5%超を維持しましたが、近年の国家公務員の賃金改定率は、民間の春闘相場を1ポイント以上も下回りつづけています。本年の人事院勧告こそは、それに見合った賃金改定率を実現し、最低でも官民較差を確実に解消するものでなければなりません。
7月21日に閣議決定された「骨太の方針2026」では、「賃上げ環境整備」として、「2029年度までの間で、…実質賃金で年1%程度の上昇」など、「…賃上げのノルム(社会通念)として我が国に定着させる」ことが掲げられています。また、「労働供給制約社会においては、賃上げは単なる分配ではなく、人材を惹き付け」るものであり、「…成長戦略の起点である」とも謳われています。
約900万人の労働者に影響する国家公務員の賃金は、それを先導するように早急かつ大幅に改善されるべきです。官民の人材獲得競争が激化していることを踏まえれば、有意な人材を安定的に確保するためにも、国家公務員の賃上げは「戦略的」に推進していかなければならないことなどを主張しました。高齢層や再任用職員の過剰な賃金抑制が明確な年齢差別となっており、早急に解消すべきであることなども強調しています。
定員管理では、「国民のニーズを踏まえて、新たな行政需要に的確に対応していくためには、既存の業務を不断に見直し、定員の再配置を推進していくことが重要である」という従前どおりの回答にとどまりました。
各府省では、職員の年齢別人員構成の不均衡を解消するため、経験者・選考試験などによる中途採用の職員を増加させている一方で、その定着がままならない実態が指摘されています。さらに、若年層を中心とした職員の離職の増加、長期の病気休暇などに伴う代替要員の未配置など、欠員の増加に伴う職場の負担感が顕著となっています。
政府の定員管理政策が職場の極限にまで余裕のない人的体制を慢性化させ、恒常的な長時間過密労働を解消できない元凶となっています。「定員の再配置」という官署間で職員を融通しあうだけの相対的な定員管理では、「既存業務の見直し」の実効性を確保できず、職員から「働きがいと成長実感」や自己実現の機会を奪うばかりです。
職場の絶対的な人手不足が解消され、各府省の定員の底上げが図られるよう、次年度の定員査定での大幅増員を求めました。
実態に即した勤務条件の改善を求める
人事院交渉では、賃金改善のほか、諸制度をつうじた勤務条件の改善などを求めています。
昨年の「公務員人事管理に関する報告」では、「育児や介護などに限らない職員の様々な事情に応じ無給の休暇による勤務時間の短縮等を可能とする」ため、「令和8年夏に措置の内容を報告する」とされています。
しかしながら、「無給の休暇」が利用される場面は、現行の両立支援制度などを補完するようなことが想定されています。現在のところ、取得可能日数の不足などが指摘されている諸制度には、子の看護等休暇をはじめ、さまざまなものがあります。また、「無給の休暇」は、1時間単位で継続的に利用することにより、一時的に短時間勤務とするなどの効果を期待できますが、中長期的にフルタイム勤務が困難となった場合などには、職員の離職を回避できる措置として機能しません。
「無給の休暇」を新設する場合であっても、特定の事由に限定することなく短時間勤務を選択できる措置も併せて検討することを求めました。
さらに、同年の「職員の給与に関する報告」では、「職員の転勤に対する忌避感が高まる中で、勤務地を異にする異動の円滑化を図るためには、必要不可欠な転勤をする職員に対する給与面での支援が必要である」ことを踏まえ、「令和8年度に制度上の措置」を講じられるよう検討することとされました。
「職員の転勤に対する忌避感が高まる」要因には、広域かつ頻繁な人事異動の実態があります。家族を帯同して赴任地に転居することに伴い、配偶者の離職や不安定な非正規雇用、子どもの転校などを余儀なくされています。それを回避するため、長距離・長時間通勤や単身赴任を選択する職員には、過剰な精神的・経済的な負担が伴っています。育児や介護などの家庭的な事情により遠隔地への人事異動が困難な場合には、希望しない離職を余儀なくされる職員も少なくありません。
そうした実態を踏まえれば、「転勤」の必要性や合理性、その地域的な範囲、頻度の在り方などを検証し、広域かつ頻繁な人事異動の慣行を是正することこそが不可欠です。本措置を講じる場合であっても、既存の諸手当を改善することなども検討させなければなりません。
「新たな人事制度」による能力・実績主義の強化に警戒
昨年の「職員の給与に関する報告」では、「新たな人事制度」として、「職務・職責を重視した新たな給与体系に移行するため、令和8年夏に措置の骨格を、令和9年夏に具体的な措置内容を報告」することとされました。
昨年3月の「人事行政諮問会議 最終提言」では、「年次に縛られず実力本位で活躍できる公務」として、「人事評価結果と給与上の考課査定結果を連動させていくことで職員の納得感を高める」ことなどが提言されました。それらをベースとする「新たな人事制度」の導入が狙われています。
国の行政機関の特性である集団的執務体制を踏まえれば、組織が担う業務やその成果には、複数の職員が多種多様に関与しているため、一部の職員の能力や業績に基づいた人事評価の結果を任用・給与などの決定に活用することは、多数の職員の不公平感を助長するものでしかありません。
「職務・職責を重視した新たな給与体系」とは、能力・実績主義の強化にほかならず、仮にその対象が本府省の幹部職員などであっても容認できません。これは人事評価の矛盾と弊害によって行政や人事管理の在り方が歪められ、それが地方支分部局にも直接的に影響してきた経過があるからです。将来的に対象がすべての職員に拡大することにも警戒しなければなりません。
また、「職務・職責を重視した新たな給与体系」をめざすのならば、そもそも職務給原則に矛盾した実態を解消させるべきです。①55歳や60歳という年齢のみを指標とした賃金抑制、②再任用や非常勤という属性のみに着目した不合理な賃金体系、③地方支分部局の機能を過小評価した本府省との機関間格差、④同一労働同一賃金の原則にも矛盾した地域手当による地域間格差など、職務・職責が軽視された構造的な欠陥が多岐にわたっています。
それらを解消しないまま、「新たな人事制度」の構築を能力・実績主義の強化という施策に矮小化することは、現行の給与制度をさらに歪めることになりかねません。そうしたリスクなどを想定し、極めて慎重に検討・判断することを強く求めています。
公務・公共サービスの拡充を求める請願書名 紹介議員53人
国公労連は、2026年の通常国会(当時)で「公務・公共サービスの拡充を求める請願署名」の採択をめざし、10月中旬から各組織のとりくみを開始しました。
2024年6月に「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」が一部変更されたものの、政府の定員管理政策の構造が踏襲されていることなどを踏まえ、これまでのスタンスを堅持し、今年度も各ブロック・県国公では、各単組の協力のもと、国会議員の地元事務所への要請・懇談を実施しました。自らの仕事の重要性と人員不足などの厳しい職場実態を訴え、増員をはじめとする公務・公共サービス拡充への理解を広げてきました。
さらに、今年度は2月の衆議院解散・総選挙による影響を踏まえ、3月6日、4月10日の2度の国会議員会館一斉要請行動で、各地域から上京した仲間が171人の国会議員事務所を訪問し、請願署名に対する理解を求めました。
全国から集約された2万6936筆の署名を第221回特別国会へ提出し、衆参の紹介議員から内閣委員会に付託されましたが、審査未了による「保留」の取扱いとなり、残念ながら、今年度も請願採択には至りませんでした。
一方、とりくみとしては2月の衆議院議員総選挙の結果などに伴い、前年度114人だった紹介議員が70人も国会議員の資格を失うという大変厳しい状況のなか、最終盤まで要請行動を敢行した結果、53人から紹介議員の応諾を得ることができました。また、各ブロック・県国公の熱心なとりくみの結果として、「請願の趣旨やみなさんの運動には賛同する」という声が多くの議員から得られるなど、私たちのとりくみへの理解は、厳しい国会情勢にあっても着実に広がっています。
国公労連はこれからも、総定員法の廃止、定員合理化の中止・撤回をはじめ政府の定員管理政策の抜本的な見直し、増員による必要な行政体制の確保などを求めるとりくみを継続していきます。これまでの運動の到達点に確信を持ち、公務・公共サービス拡充への理解をいっそう広げていきましょう。
