国公労新聞|2024年9月10日号|第1631号

対話と学びあいで魅力ある運動へ
国公労連第70回定期大会ひらく

 国公労連は、「憲法を守り、戦争する国づくりを許さず、全員参加型の運動で組織を強化・拡大し、市民との共同で、公正で民主的な公務員制度と国民本位の行財政・司法を実現しよう」をスローガンに、第70回定期大会を8月29日から31日までの3日間、東京都内で開催しました。大会には、代議員51人、特別代議員38人をはじめ145人が参加しました。
 冒頭で九後健治委員長があいさつ(別記参照)を行った後、2024年度運動方針案、秋季年末闘争方針案等を浅野龍一書記長らが提案。その後討論に入り46本(うち単組24本、ブロック・県国公22本)の発言がありました。
 討論では、24年人事院勧告における「給与制度のアップデート」による不利益変更等の問題にどう対峙していくかをはじめ、県国公運動と職場活動を活性化させていくための全員参加型での組織強化の重要性などについて意見が出され、議案が補強されました(討論での発言要旨を2〜3面に掲載)。
 討論を受けて、浅野書記長による総括答弁(3面に掲載)の後、採決が行われ、すべての議案が満場一致で可決・承認されました。
 中央執行委員の丹羽秀徳氏(全司法)が退任し、新役員に浅野龍一委員長、笠松鉄兵書記長、伊吹五月書記次長が選出されました。

九後委員長のあいさつ(要旨)
労働組合の力量アップで要求前進

 岸田首相が政権を投げ出しました。旧統一教会や裏金問題など自分たちにカネと票をくれる人たちの声は聞くけれど、「生活を改善してほしい」という多くの国民の切実な声には耳を傾けなかったことに対する不満が高まってきた結果です。
 岸田政権を退陣に追い込んだとはいえ、安保三文書の閣議決定にはじまり大軍拡予算や統合作戦司令部の創設など戦争する国づくりが着々と進められ、マイナ保険証のごり押しや原発再稼働、消費税増税やインボイス導入、社会保障改悪などが進められてきた結果、国民の生活や権利、平和と民主主義は危機的な状況にあります。
 政治のあり方が、行政運営や労働条件も含めた公務員制度にも悪影響を与えてきました。定員削減が引き続き行われ、軍事費拡大のあおりで現場の予算も削られています。「人事管理の見直し」や「給与制度のアップデート」で特徴的に表れている能力・実績主義強化の問題などと対峙する必要があります。
 この一年、組合員の奮闘によってさまざまな要求の前進、運動の到達点を築いてきました。とりわけ、政府の定員削減目標を半減させたこと、非常勤職員のいわゆる「3年公募」を撤廃させたことは大きな前進です。どちらの課題も長年にわたる職場での地道な運動が結実したものであり、「職場の要求に依拠してあきらめずに粘り強くたたかう」ことの大切さと「たたかえば要求は前進する」ということを確信できる到達点です。あらためて組合員のみなさんの奮闘に敬意を表するものです。
 労働組合の力は「数」であり、力がなくなれば要求実現も困難になりますし、要求が前進しなければ労働組合の存在価値も内外から問われることになります。また、国公労連の大きな魅力である国公共済会の維持・運営にも関わってきます。労働組合の「見える化」だけに終わるのではなく、それとセットで「要求実現に向けて力を貸してほしい」と率直に呼びかけ、「全員参加型」で魅力のある組織と運動を構築する必要があります。
 そして労働組合の力量アップが必要です。労働組合は一致する要求で団結している組織であり、その要求を実現するための運動がなければ存在価値がありません。すべての組織が要求書提出や交渉を完遂する、組合費でつくられている機関紙をきちんと配布する、組合員の悩みや要求を対話で引き出すといった労働組合の日常活動はきちんとできているでしょうか。なかなか役員のなり手もなく、日常活動をしんどい思いで担っている役員も少なくないと思いますが、基本的な活動の積み重ねが労働組合に対する信頼を高め、組織拡大にもつながります。しんどいからこそ「対話と学び合い」で共感を広げ「全員参加型」で役割分担しながら進めていくスタイルを確立していくことが必要ですし、そのことが役員対策や組織体制の維持、労働組合の力量アップにもつながるのではないでしょうか。

全員参加型の運動をすすめ、県国公の活性化、仲間づくりを

 大会議長に、加藤美幸氏(外国人技能実習労組)、田中一氏(全法務)、吉村直人氏(全司法)の各代議員を選出し、3日間にわたって討論が行われ、この1年間の運動の到達点や運動方針をめぐって46本の発言がありました。

国民本位の行財政・司法確立にむけたとりくみ

 「国民本位の行財政・司法確立」の課題では、「定員削減が続くが、災害等で尊い命が奪われた場合に増員となるいわゆる人柱行政で職員の命が危険にさらされている。組合員一人ひとりの要求をしっかり積み上げ、要求を前進させたい」(国交労組)

「この5月、民法改正法案が成立。家父長制が色濃く残り、共同親権を認めることにより紛争を解決するものでなく更なる紛争を招くもの。家庭裁判所の役割が大きくなるもとで大幅な人員増と物的体制の拡充が不可欠だ」(全司法)

「裁判所でもデジタル化が進んでいるが、人員減ありきの方向でなく、システムの安定稼働など利用しやすい簡易なものにする必要がある」(全司法)

などの発言がありました。

労働条件改善、国民的課題のとりくみ

 「労働条件改善、国民的課題」では、「24人勧は引上げ勧告だが物価上昇に追いつかず、給与制度のアップデートで不利益が生じる組合員もいる。不利益変更のあった全通信の所在地域で試算すると中高年層では多い人で1万5千円減。経過措置をめぐるたたかいも重要だ」(全通信)

「24人勧で高卒初任給が最低賃金を超えたことは成果。10月以降の最賃との比較表を作成しアピールすべき。一方、福井などは地域手当3%がゼロに。高齢層の7割支給や退職金なども今後追及する必要がある」
(中部ブロック)

「能登半島地震発生時、輪島で被災。道路が寸断され港も隆起し自衛隊の空輸で避難。七尾監督署では復興作業に際し労災が多発している。県国公への各単組からの結集をお願いしたい」
(石川)

「笹川保健財団が国立ハンセン病資料館分会の組合員2人を不当解雇した問題では中労委で勝利和解が成立したが、資料館で働く仲間は低賃金と不安定雇用にさらされている。組合員以外にもアンケートを取り財団と団体交渉し大きなインパクトを与えた」
(国公一般)

「24人勧に先立ち、京都府や京都市議会などに地域間格差の解消を求める陳情を行った。人事院と各都道府県人事委員会の民間調査結果を示し、現在の地域手当と乖離していると人事院近畿事務局と交渉。今後は全国一律最賃を求める運動と結合した運動が重要だ」(京都)、「24人勧で秋田県内のいくつかの地域が寒冷地手当の支給地から除かれた。配偶者手当の損失も年間8万円。対象の県国公は一緒に声をあげよう。役員のみでなく全員参加型でとりくみたい」(秋田)

「24人勧にもとづく不利益変更を阻止するために院内集会等でとりくみ強化をすべき。人事院が今回の改悪を公開せず一方的に改悪したことは断じて許されない。改めて労働基本権の回復を強く求めていく必要がある」
(国交労組)

「24人勧での大幅な引上げ等は成果として職場に伝え、特に若年層の賃金改善を組織拡大につなげる必要がある」(全司法)

「地域手当の広域化で、福井市の地域手当は3%から0%となる一方、同じ県内で支給される地域もある。県庁所在地や中核市などでは地域手当を支給するような方策で格差を少しでも解消すべき」(福井)

「地域手当改悪で和歌山県では和歌山市と橋本市が格下げ、和歌山県では0となった。12%支給の大阪とは年間で30万円程度の差が出る。地域手当は早急に本俸に入れるべき。各単組本部から県国公への結集を呼びかけてほしい」(和歌山)

「ハローワークで働いているが職場の10人中7人が非常勤職員。3年公募撤廃は大きな成果で職場ニュースを配布し喜びを分かち合った。給与制度のアップデートの課題でも学習会や5日連続の宣伝行動を実施した」
(愛知)

「地域手当の依存度を高めると分断につながる。地域手当に代わり広域異動手当の拡充を求めてはどうか。民間調査の企業規模を1000人にすれば改善できると思うがぜひ調査してもらいたい」(全労働)

「気象庁のメッシュデータを基準とする寒冷地手当は生活実態と相関関係になっていない。一方、定員合理化方針を10%から5%に半減、非常勤職員の3年公募撤廃は私たちの運動の成果。これらを励みに奮闘したい」
(北海道)

「地域のとりくみが重要だが県国公の活動が困難になってきている。県国公では公務員の時給単価について告発する記者会見や学習会、自治体訪問を行った。人事院の姿勢は問題。労働者のほうをきちんと向くよう人事院を追及していくべきだ」(神奈川)

「24人勧の地域手当は埼玉県4%、神奈川県12%と大きく差が出た。公務共闘でさいたま市の人事委員会に申し入れを行い、15%を堅持するよう要求した。定年延長では賃金が7割となることと退職金が出ないことも問題。退職し短時間再任用とならざるを得なかった職員もいる」(埼玉)

「通勤手当は長年の要求が実現。今回の措置で上限が15万円となり距離として200キロ程度カバーできる。署名やアンケートのとりくみ、各省当局に対しての要求、地元国会議員と懇談する中での人事院追及などにより実現できた」(九州ブロック)

「国家公務員共済組合病院ではストライキを背景に要求実現をめざしているが、黒字であっても賃金に反映されず運営費に回されている疑いがある。パワハラで精神疾患となり解雇された問題では裁判でたたかっている。支援をお願いしたい」(国共病組)

「非常勤職員の3年公募撤廃は私たちの運動の成果だが、さまざま不安の声もあり、各職場で運用基準をしっかりつくる必要がある」(全労働)

「年間通して人勧闘争にとりくみ、昨年10月に人事院に署名提出、3月には上申書を人事院近畿事務局に提出した。交渉では職場からの声を伝え、人事院前で昼休み集会を開催した」(大阪)

「島根は多くがマイカー通勤。駐車場代が松江市で月額1万円、出雲地域で5千円の持ち出し。人事院交渉でこの状況を訴え、前向きな回答を引き出した」(島根)

「全体で地域手当廃止をめざすのであれば、支給率の高い地域も地域手当廃止の要求を掲げ奮闘すべき」
(九州ブロック)

「労働行政は基本的に同一県内の異動。埼玉県全体の地域手当が4%となり、県内のほとんどの組合員が減額となる。埼玉県知事も格差の拡大を容認できないと言っている。地域経済に与える影響を試算し世論に訴えてほしい。人事院の不誠実な対応は不当労働行為だ」(全労働)

「この間、非常勤職員自らが交渉や定期大会に参加し、非常勤の運動が一段上がった。今後は休暇の改善や雇止めをさせない運動を強める必要がある。次世代育成では、対話力を高める実践的な仲間づくり講座と運動に確信が持てる学習が必要だ」(国公一般)

「新規採用者や社会人採用が増えており、組合説明なども実施したが組合加入が進んでいない。休職者や離職者も増え職場をどう改善すべきか悩んでいる。しかし若い組合員が労働組合に関心を持ち一緒にこの大会に参加し『感動した』と言ってくれ希望を感じている」(開建労)

「全国税など小規模単組への対策強化と、原口朋弥氏の不当解雇撤回のたたかいへの支援をお願いしたい」
(全国税)

「法務局では各種相談や登記業務が滞留しカスハラで休職する職員も出てきている。中年層の職員が少なく若年層に業務がしわ寄せされ、退職が増えている。要員確保へ奮闘したい」(全法務)

「経団連が労働基準法を骨抜きにする提言を出した。全労連の労働法制中央連絡会に結集し反対運動を強める必要がある。カスハラで退職する職員が出てきており、全労働、全厚生、全医労で厚労省に申し入れを行う」
(全労働)

「国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの統合で特殊法人(国立健康危機管理研究機構)ができるが、国の研究が切り捨てられ、労働条件が後退させられる恐れがあり、全医労と協力して交渉を強めていく。年金機構では無期転換された非正規職員の昇給が可能になり、再任用職員の処遇も改善された。組織拡大につなげたい」(全厚生)

「羽田事故では事故調査と同時に警察の捜査が並行し行われている。事故調査は事故の再発防止と原因究明のみをするもので刑事捜査には使われないとされている。個人責任の追及は真の原因究明の妨げとなる」
(国交労組)

「宮崎では、最近の地震や台風で公共の重要性が改めて明らかになった。24人勧のとりくみでは九州ブロックに結集し人事院交渉には必ず参加した。通勤手当について宮崎は交通の便が悪く今回改正されたことは大きな成果。これらの成果を職場に返すとりくみを強め奮闘したい」(宮崎)

などの発言がありました。

組織強化・拡大、国公共済会拡大のとりくみ

 「組織強化・拡大」の課題では、「各単組の幹事会への参加が広がっている。組織人員の減少で財政状況がひっ迫。改善したいが苦労しているのが現状。各単組の結集をお願いしたい」(青森)

「日常的な支部活動が停滞していて、職場に労働組合の活動が見えず組織減少となっている。全支部での要求書提出や、機関紙配布など日常活動の徹底が必要。今年の大会では全員参加型の運動を実践できるように意思統一したい」(全法務)

「全医労は大会で増勢にならなかったが組織拡大を柱に奮闘してきた。加えて2年連続でストライキを構え賃金引上げを勝ち取り、体制拡充の国会請願署名では衆院の全会一致で採択することができた。役員だけが奮闘することなく全員参加型で組合活動の見える化を実施していく」(全医労)

「24人勧は多くの問題があるものの勝ち取った賃上げは地域の運動と産別の運動の成果だ。非常勤職員の課題では生協労連など民間の仲間と一緒にとりくみを進めることが大切だ」(岩手)

「青年と対話し労働組合への興味を持ってもらうよう様々な行動に参加してもらうことが大切。職場の仲間が青年と一緒に参加し、その青年に労働組合への理解を深めてもらえるようにすることが大切だ」(国交労組)

「国公労連のジェンダーカフェに参加してジェンダー平等宣言案の作成にかかわった。ジェンダーカフェは男女同数で私も多く発言でき、他の方の意見も学びになり議論が深まった。全通信では国公労連作成資料で学習会も開催。ジェンダー平等実現めざしとりくみを進めたい」(全通信)

「県国公の役員交代が進まない。各単組も支部の運営で大変な状況。役員育成が喫緊の課題だ。ジェンダー平等を進めるにあたり一方の性に特化した女性協組織のことも検討する必要があるのではないか」(福島県)

「平和のとりくみとして8月の世界大会への青年の参加、沖縄支援連帯行動の前に全通信独自の沖縄支援行動を行い、青年の成長が感じられた。来年以降も青年が参加しやすい沖縄支援連帯行動を実施してもらいたい」
(全通信)

「県国公の役員を長期間同じ人が担っている。各単組からの役員選出をお願いしたい。財政は岡山県労会議の加盟費にほとんど捻出している。機関紙も出しているが一人で奮闘している」(岡山)

「県国公でも各単組の組織拡大状況を確認しているが大変な状況だ。県国公で最賃割れの宣伝ビラで宣伝しているがもっと青年にアピールする工夫が必要と感じている。運動の成果を宣伝するリーフ等でアピールし組織拡大や脱退防止につなげる工夫をお願いしたい」(埼玉)

などの発言がありました。

女性協活動報告
ジェンダー平等へ学び深める

 6月15〜16日、第53回国公女性交流集会in湯河原をオンライン併用で開催し、115人の仲間が集いました。ジェンダー平等課題を考える上でいろいろな気づきをいただいた記念講演、忙しい日常の中ではあまり意識しない観点を深められた2本のミニ学習会、「しゃべり場でエネルギーチャージ!」と題して全国の仲間と大いに語り合った分散会と、とても充実した交流集会となりました。この集会の成功を、次の活動に活かしていきます。
 また、国公女性協は、年1回の内閣人事局交渉と年3回の人事院交渉を実施しています。これらの交渉では、増員、採用・登用の推進、両立支援制度の拡充や長時間労働の解消のほか、看護職の昇格基準の引上げや非常勤職員に対する処遇改善を特に強く求めました。「公募3年要件」の撤廃と、両立支援制度に関する「子の看護休暇の取得事由と取得期間の拡大」は、女性協運動の成果でもあります。
 このほか、各単組・ブロック・県国公の課題を共有する場である全国代表委員会、平和を守るとりくみとして「折り鶴行動」を実施しました。折り鶴は、各組織から3000羽以上が寄せられ、広島・長崎へ献納しました。
 女性協は来期も「女性が集まって話すこと」を柱に活動を広げ、仲間を増やしていきます。

青年フォーラム活動報告
国公青年交流集会の成功へ

 今年の人事院勧告は32年ぶりに2%を超える改定率となり、初任給においては高卒、大卒ともに2万円を超える青年層に重点をおいた勧告となりました。これまでも高卒初任給が最低賃金を下回る地域が問題視されてきましたが、この勧告で解消されることになります。これらは長年に渡り青年の実態を訴えてきた成果です。
 しかしながら、今回の勧告ですべての課題が解消されるわけではありません。全国の職員が抱える不満や実態を要求にまとめ上げ、青年から交渉を行い、行動していくことが必要です。
 国公青年フォーラムのとりくみの中で昨年10月に開催した定期総会では、どの単組も全国交流集会など、全国の青年が結集して交流するとりくみが数多く報告されました。国公青年フォーラムは今年の12月7〜8日にかけて国公青年交流集会2024Connectを香川県で開催します。1日目にレクリエーションとしてうどん作りを行い、その後に金比羅山で有名な琴平の町を散策します。2日目には呉学殊(オウハクスウ)さんを講師に賃金決定における労働組合の役割について日本と韓国の違いを学習し、意見交流の場とします。
 ぜひ、Connectを含め引き続き、国公青年フォーラムのとりくみへの多くの参加をお願いします。

財政方針
次年度は組織財政を検討

 2023年度決算はコロナ前の活動に戻りつつあることに加え、海外への行動に参加するなど活動が活性化し、一般会計・闘争特会で執行額が増えたことが報告されました。
 2024年度予算では、剰余金が多い単組派遣役員専従補償単組分担金を組合員一人あたり年額240円減額し、一般会計の年間会費を同額増額することで、各単組への実質的な組合費の引上げは行わず財源を確保することが提案されました。
 この報告・提案に基づく予算等小委員会の審議では、基金特会から一般会計に1400万円の繰り入れを行うことによる今後の財政見通しや国際交流費の予算超過に対する扱いなどが質疑され、前者については次年度に組織財政検討委員会で検討することを、後者については予備費を流用する訂正処理を行うことが答弁されました。
 以上の予算等小委員会の報告を受け、2024年度財政方針案等は満場一致で可決されました。

国公共済会
加入拡大へアピールを

 大会に提案された国公共済会2023年度事業・活動報告および2024年度事業活動・方針案、役員体制案はいずれも満場一致で承認されました。
 具体的には、この一年間、加入者は約900人の減少、掛金収入は約6000万円の減収となりました。一方、給付の状況は、新型コロナ感染症に関わる入院給付請求が減少したことにより、約1億6000万円減少しました。ただし、死亡共済金の高額給付が多かったことにより団体生命と基本生命が赤字となったため、異常危険準備金を取り崩すこととしました。
 また、共済会の加入者を増やすためには、国公労連の組織拡大が不可欠であることから、共済会への加入は国公労連組合員の権利・メリットであるとして、民間保険より有利な共済会を組合未加入者にもアピールし、国公労連・国公共済会の加入拡大をすすめることを確認しました。

総括答弁

 3日間にわたる熱心な討論ありがとうございました。会場で46本の発言をいただき、職場や地域での実践的な経験や教訓を踏まえて、運動方針を厚く補強していただきました。

ブロック・県国公 運動の大きな成果

 九州ブロックの長岡特別代議員から、特急料金の改善を獲得した運動の教訓として、「①地方組織が個別要求に旗を立てとりにいく、②ブロック・県国公は人事院地方事務局を、単組は当局を追及する、③国公労連に意見反映を求め、中央・地方が連携し重層的に運動することで要求が実現した。当たり前のことを当たり前にやることが大切」と発言がありました。国公労連は、タテ(単組)とヨコ(ブロック・県国公)が一体となった運動を職場・地域で展開することで、公務産別労働組合としての役割を発揮しています。地域でのブロック・県国公の運動があるからこそ、国公労連の運動の前進と存在意義が確たるものになっています。長岡特別代議員の発言は「要求実現の道筋」を示したものとして全体で確認したい。

アップデートに対峙 地域間格差解消を

 今回は、24人勧、とりわけ給与制度のアップデートに対して発言が集中しました。
 国公労連は、従来から地域手当は同一価値労働同一賃金の原則、職務給原則に反していると考えており、公務員賃金の地場賃金化を目的とする地域手当には反対の立場です。国公労連は、地域手当を廃止し、本俸に組み入れることを要求しています。賃金の地域間格差を解消するためには、この要求にすべての組合員が結集することが必要であり、そのための議論を深めていきたい。
 このことと同時に、「賃金の地域間格差解消戦略PT最終報告書」(2021年8月)で提示したマクロ的な視点から運動をすすめます。ひとつは、総労働者の賃金原資の拡大の視点です。具体的には、①地域経済の活性化(好循環)を図ること、②国民春闘のたたかいで、賃上げはもとより労働分配率を改善すること、③全国一律の最低賃金制度による規制強化を図ることです。ふたつは、公務員の賃金闘争の方向性の視点です。具体的には、①春闘や最賃運動などの社会的な賃金闘争に結集すること、②労働基本権を回復し、正常な自律的労使関係のもとで交渉力を強化することです。こうした運動をつうじて今回の不利益変更を取り戻すことを展望します。

労働基本権の 「奪還」を展望

 全司法の井上さんからは、給与制度のアップデートに対する今後の方針について発言がありました。①運動の成果は成果として職場に伝え、組織拡大につなげること、②公務員賃金や手当について、国公労連の考え方や要求を確立すること、③公務員の人材確保に対する国公労連の方針を確立し、人事院に対峙すること、④人事院が具体案を示さなかったことを許さず、労働基本権を「奪還」することの4点です。これらについては提言として受け止め、検討をすすめます。同時に、国公労連として回復すべき労働基本権の具体像と全面的回復までの中・長期的たたかいの道筋、及び団体協約締結権や争議権などの権利行使による要求実現の展望を確立するとともに、ILOへの提言型の情報提供をめざします。

役員請負でなく 対話と全員参加型で

 本大会では「国公労連組織強化拡大3か年計画」の総括が重要でした。国公労連は、「役員請負型」ではなく「全員参加型」、「職場活動の活性化」「対話」をキーワードに組織拡大にアプローチしてきました。今後も各組織の成功事例を共有しながら組織拡大のとりくみをすすめます。また、県国公に対する単組本部からの指導・協力をお願いします。

「公共財」の再生と 「ケア」の役割発揮を

 24年度の運動方針のキーワードを「公共財」「ケア」と提案しました。
 「公共財」にかかわって、国土交通労組の笛田さんから災害時のインフラの保全・維持が困難な職場の実態の発言がありました。その発言にありましたが、公務・公共を支えるのは「現場力」(マンパワー)です。市民との共同で、公共財としての公務・公共の社会的な価値と役割を広める運動をすすめます。
 いまの疲弊した職場のなかで労働組合に求められている役割は「ケア」だと思います。「ケア」とは、組合員が成長することや自己実現することをたすけること、それと同時に、自分自身も組合員をたすけながら一緒に成長することです。今後は「メリット論」から「ケア論」へ労働組合の役割を積極的に捉えていきたい。

国公労連本部新執行体制

 役員選挙では、すべての候補者が新任され、新執行体制が決まりました。今大会で、中央執行委員の丹羽秀徳さん(全司法)が退任し、新たに中央執行委員長として浅野龍一さん(全法務)、書記長に笠松鉄兵さん(国土交通労組)、書記次長に伊吹五月さん(全労働)が就任しました

2024年度国公労連書記局の体制

※《 》担当三役、◎は部長
総務財政部《中本》
◎中本、小林

組織教宣部《伊吹》
組織担当
◎大門、島袋、吉原
教宣担当
◎大門、井上、西口、野村、(瀬戸口)

調査政策部《笠松》
◎笹ヶ瀬、関口、西口

共済事業部《千葉》
◎千葉、大杉、吉田、小川、葛原、近藤、髙野、山﨑、濱野
自動車係
大類、大澤、瀬戸口

対話で仲間の要求を集めよう 2025年要求組織アンケート

 国公労連は2025年春闘にむけて、「2025年要求組織アンケート」(5・6面に掲載、基本集約日10月31日、最終集約日11月29日)にとりくみます(10月を集中とりくみ期間としています)。

 毎年この時期にとりくんでいるアンケートは、組合員をはじめ、職場の労働者の要求と意識を一体的に把握し、春闘要求の確立や今後の組合運動に活用することを目的に実施しています。また、本アンケートを活用して、職場の役員が組合員の要求を把握することはもちろんのこと、組合員同士での対話も推進し、要求を交流することなどを通じて一人ひとりが持っている要求を集約するとともに、組織強化・拡大をめざすものです。すべての組合員からのアンケート集約と未加入者への対話を実施するなど、労働組合の「見える化」を実践していきましょう。

終わり見えない 物価高騰と生活苦

 終わりの見えない物価高騰が労働者・国民の生活を苦しめています。6・7月の実質賃金はプラスに転じましたが、これは夏のボーナスの影響が大きく、「きまって支給する給与」はマイナスがつづいており、生活改善が図られているとは言い難い状況です。このような状況から国民生活を守るためにも、いまこそ政府の責任と役割を発揮すべきです。

生活改善できる 大幅賃上げ必要

 8月に出された人事院勧告は、今年も月例給・一時金ともに改善勧告となりましたが、中高年層おいては物価上昇分にも満たない不十分なものとなっています。また、寒冷地手当の級地区分の「見直し」や「給与制度のアップデート」において地域手当や扶養手当の改悪が打ち出されるなど、日頃の職員の労苦に応えるどころか期待を裏切るものとなっています。

 この秋季年末闘争段階から、労働条件の不利益変更を許さないとりくみを強めるとともに、賃上げの世論を職場内外で高め25年春闘では生活改善できる大幅賃上げを勝ちとっていくことが求められています。

アンケート通じて 全員参加型の運動を

 労働組合は、要求で団結する組織であり、職場の組合員をはじめ労働者の生活実態や組合員一人ひとりの要求が出発点になります。「数は力」とあるように、より多くの要求を組織することと、多くの組合員・労働者が要求確立にむけた議論に参加し、要求を練り上げ、組合員一人ひとりが要求に責任と確信を持つことが大切です。この間、みんなの力で少なくない要求を前進させてきました。そのことも対話のきっかとして組織拡大につなげていきましょう。アンケートのとりくみを通じて「全員参加型」の運動を展開し、組織強化・拡大と25年春闘での要求前進を勝ちとっていきましょう。

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