国公労新聞|2024年2月10日号|第1618号

2024春闘スタート
統一要求 月額2万7000円(6.6%)以上の賃上げを

 国公労連は1月12日に中央闘争委員会を開催し、月額2万7000円(6.6%)以上の賃上げをはじめとする2024年春闘における統一要求を確認・決定しました。
 この統一要求を「第1波統一行動週間」を基本に、任命権者・所属長に対して提出し、生活改善できるすべての労働者の大幅賃上げ、通勤手当をはじめとする諸手当の改善、再任用職員の処遇抜本改善、非常勤職員の均等・均衡待遇と安定雇用の実現、増員などによる安心して働ける職場環境整備など組合員の切実な要求の実現にむけて、交渉を積み上げていくこととしています。それぞれの機関で所属長交渉の重要性を意識して職場からの上申闘争を強化し、3月1日までを基本に春闘統一要求に対する上申を勝ちとりましょう。

物価高こえる大幅賃上げへ

 記録的な物価上昇・高止まりが労働者・国民を直撃しています。実質賃金は21か月連続マイナス、2023年通年でも前年比2.5%減と2年連続で減少し、マイナス幅が拡大しています。現金給与総額は増加しているものの、物価高に追いついていない現状(厚生労働省・毎月勤労統計調査より)にあり、国民生活は悪化の一途です。今春闘においては、生活改善にむけて物価上昇を上回る大幅賃上げ・底上げが待ったなしの課題となっています。
 こうしたもと国公労連は、約900万人以上の労働者に影響し、地域経済にも広く波及する公務員賃金を社会的な賃金闘争の中心に位置づけるとともに、24春闘を「主体的」にたたかうこととしています。また全労連が提起する「労働組合のバージョンアップ」にむけ、公務労働者として組合員一人ひとりがスト権行使に匹敵する決意をもって24春闘に臨むことを呼びかけています。
 職場・地域で提起される行動に積極的に参加するとともに、切実な要求実現のため、要求書の提出や当局交渉、そうしたとりくみを職場内に宣伝するなど労働組合の基本ともいえるとりくみを強化していくことが求められています。こうした組合の「見える化」を実践し、4〜6月の組織拡大強化月間ですべての新規採用者や未加入者の拡大につなげていきましょう。
 「ひとり一行動」を合い言葉に、24春闘勝利にむけ奮闘しましょう。

関口国公労連中執「定員削減ストップを」

 全労連・国民春闘共闘委員会等は、1月9日には新春宣伝行動、1月12日には春闘闘争宣言行動を展開し2024春闘をスタートさせました。
 厚生労働省前の要求行動では、国公労連の関口香織中央執行委員が決意表明。関口中央執行委員は「20年以上もの間、ありとあらゆる分野で公的役割が削り取られてきた。国による定員合理化計画の中止・撤回を求めるとともに、国民本位の行財政・司法の確立と行政態勢の拡充を求める運動を全国各地で展開したい。また、人事院が非常勤職員制度の適切な運用のあり方等について検討するとしている。これを大きなチャンスと捉えて、抜本的な非常勤職員の処遇改善をめざし運動をすすめたい」と述べました。
 その後、丸の内デモ、経団連包囲行動にとりくみ、参加者は「大企業は社会的責任を果たし、莫大な内部留保を賃金・下請けに回せ」とアピールしました。

〈連載〉給与制度のアップデートを考える  第4回

通勤手当の自己負担の解消を

 通勤手当の新幹線などの特急料金の支給は、原則として「官署を異にする異動又は在勤する官署の移転」が要件となっています。昨年の人事院勧告では、「人材確保を支える処遇の実現」として、「新幹線通勤に係る通勤手当…の適用範囲を『採用』の場合にも拡大」することが報告されました。
 また、「円滑な配置等への対応」として、「民間企業における状況を踏まえて新幹線通勤に係る通勤手当額」を見直すことも報告され、いずれも本年の人事院勧告に反映される見通しです。
 国公労連は、通勤手当の見直しにあたって、特急料金にとどまらず、1か月当たりの支給限度額(5万5000円)をはじめ、全般的な改善を要求してきました。
 いわゆるマイカー通勤の通勤手当は、自動車の使用距離の区分ごとに定額が支給されるにとどまり、ガソリン料金や電気料金の実費を賄えないことが指摘されてきました。近年の燃料価格の高騰に伴い、その実態がさらに深刻化しています。職場などに隣接する駐車場料金に至っては、本来は通勤に必要な経費ですが、実質的に自己負担を余儀なくされています。
 さらに、職員の家庭生活の維持やワークライフバランスを優先する価値観の変容などもあり、新幹線や高速有料道路などの特急料金を高額な自己負担を伴って支払い、長距離・長時間通勤を選択する職員が増加しています。家族を帯同した転居による配偶者の離職や子の転校、単身赴任などを回避するためです。そもそも通勤経路に整備された公共交通機関として、新幹線などの特急列車だけが運行している地域もあります。
 国公労連は、こうした職員の過重な経済的負担を解消するため、特急料金の全額支給を要求してきました。現行の特急料金は、半額に相当する金額が1か月当たり2万円を限度として支給されるにとどまっています。人事院は、その理由として、「特別料金等の額がかなり高額であること、通勤経路に新幹線鉄道等がない職員との均衡を考慮する必要があることなど」と説明していますが、必ずしも合理的な指標をもって定められた基準とはいえません。
 さらに人事院は公共交通機関について「1か月当たりの運賃等相当額」の全額が支給されている職員の割合が99.4%であること、マイカー通勤については、民間企業の支給水準が国を下回っていることなどを理由として、極めて消極的な態度に終始しています。
 一方で、昨年の民間給与実態調査の結果では、特急料金を含む通勤手当に支給限度額を設定する民間企業の平均支給限度額が9万2014円となり、国の7万5000円を22.7%上回っています。
 国公労連が調査したところ、地方公務員である都道府県の職員に支給される通勤手当の特急料金は、26府県で国の支給水準を上回っています(2023年6月現在)。全額支給や1か月当たりの支給限度額が4万円程度である事例も見受けられ、一部には駐車場料金を補填する措置も講じられています。新規採用などの人材の確保にあたって、民間企業よりも競合する傾向にある地方公務員の勤務条件は、極めて重要な要素です。
 国家公務員の通勤経路などは、全国の各地域に点在する国の行政機関の特性もあり、極めて多岐にわたっています。その実態として、①短期間の人事異動のサイクルにより転居が容易でないこと、②遠隔地や過疎地などの交通不便地にある官署の地域に公共交通機関が整備されておらず、マイカー通勤や特急列車の利用を余儀なくされること、③広域的な人事異動とも相まって、長距離・長時間通勤が常態化していることなど、単純に民間企業と比較できない要素があります。通勤手当の見直しにあたっては、人事院が主張する民間企業の状況に固執することなく、国家公務員の人事管理の特性などを勘案する必要があります。
 昨年の人事院勧告では、勤務間のインターバル確保を各府省の努力義務として人事院規則に定めることも報告されました。通勤時間を短縮し、職員の身体的負担を解消することは、長時間労働の是正とワークライフバランスの推進を実現するためにも不可欠です。
 通勤手当の特急料金の改善は、そのための措置としても実効性を期待できます。

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