2023春闘交渉スタート
物価高騰に見合った緊急の給与勧告を
国公労連は、政府に2月17日、人事院には21日に「国公労連統一要求書」などを提出し、2023年春闘期の交渉をスタートさせました。
コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻、急激な円安などの影響で消費者物価が急騰し、依然として終息の兆しがありません。1月23日の施政方針演説で岸田首相は、「物価上昇を超える賃上げが必要です」と強調し、「公的セクターや、政府調達に参加する企業で働く方の賃金を引き上げます」とも明言しました。770万人以上の労働者に影響するとされている国家公務員の賃上げは、民間企業を先導して実現すべきです。政府には「政策的な賃上げ」とともに、人事院には緊急の給与勧告を求めています。
初任給の改善で優秀な人材を確保せよ
国公労連は、月額2万5000円以上の賃上げなどを要求しています。2022年秋の要求アンケートでは、すべての年齢層で生活実感が「苦しい」という回答が増加し、要求額が前年より4000円上昇する結果となりました。
国家公務員の高卒初任給は、時給換算921円であり、地域別最低賃金の加重平均である時給961円の水準を下回っています。民間企業では、「優秀な人材の確保」を理由とした初任給の改善が目立ちはじめています。将来的に労働者人口が減少していくなか、初任給の改善は、短期的な人件費の増大ではなく、もはや組織の維持・発展に向けた長期的な投資となっています。
2022年人事院勧告で表明された「給与制度の整備」(アップデート)では、定年引上げに伴う60歳前後の連続的な給与水準の見直しなどに注視が必要です。長期勤続などの傾向にある国家公務員の特性を踏まえれば、年功的な給与の上昇は否定されるべきものではありません。職務給原則に見合った水準を維持し、高齢層職員のモチベーションやライフサイクルに見合った生計費を確保していく必要があります。職務給原則に矛盾する地域手当は、地域別最低賃金をはじめとする民間企業の地域間格差を固定化させる要因となっており、早急に是正・改善する必要があります。
また、民間準拠の原則が重視され、生計費原則を軽視している人事院勧告制度は、物価高騰を迅速かつ的確に反映できないため、職員の生活実態を悪化させる要因となっています。こうした構造的な問題を解消するため、労働者本位の「アップデート」を実現することが不可欠です。
職場では、通勤手当の改善要求が高まっています。自家用車を使用した通勤は、ガソリン価格の高騰や駐車場料金の自己負担とも相まって、家計を圧迫する要因となっています。しっかりと実費弁償されなければなりません。現在、職員の家庭生活の維持やワークライフバランスを優先する価値観の変容もあり、配偶者の離職や子の転校、家族との別居を回避するため、新幹線などの特急列車を使用した長距離通勤を選択する職員が増加しています。高額な特急料金を全額支給するよう要求していく必要があります。
働くルールを確立し、雇用不安と長時間労働の解消を
非常勤職員の労働条件は、これまで少しずつ改善してきましたが、人権侵害とも指摘されている「3年公募」をはじめ、安心して働きつづける職場環境としては極めて劣悪です。2021年の「公務員人事管理に関する報告」では、「妊娠、出産、育児等のライフイベントが生じ得ることは常勤・非常勤といった勤務形態で変わるものではないことから、非常勤職員についても休暇・休業等に関する措置を一体的に講じる」とされ、いわゆる両立支援制度の適用が拡大しました。その観点を踏まえれば、①任用当初からの年次休暇の付与、②病気休暇の有給化、③生活関連手当の支給などは、常勤職員との均等・均衡待遇のためにも不可欠です。
2023年度からの定年引上げに伴い、定年退職者が2年に1回はゼロとなり、新規採用を安定的に確保できないことが懸念されています。
また、いわゆる役職定年制の導入により、60歳を超えた管理職員が下位の官職に「役降り」させられるため、管理職員以外の級別定数が不足し、これまでの昇格ペースを維持できない事態も想定されています。
そうした定員・級別定数の不足は、中堅・若手層職員の不利益として転嫁すべきではなく、任用・昇格における「世代間の公平」を徹底して実現することが不可欠です。
2023年度の定員は、政府全体で8155人の増員となり、3年連続の純増となりましたが、仮に増員された場合であっても、行政サービスを直接的に提供している地方支分部局への配分は僅かにとどまっています。「仕事は増えても人は減っている」というのが職場の実感です。
円滑な高齢期雇用と若年層職員の人材確保を両立しなければならない難局に至ってもなお、定員合理化を継続するようなことがあっては、行政執行体制の破綻を招きかねません。「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」(2014年閣議決定)を即刻廃止させる必要があります。
人事院に設置された「柔軟な働き方に関する研究会」は、3月に最終報告書をとりまとめる予定です。①テレワーク、②勤務間インターバル、③フレックスタイム制などの論点整理が提示されましたが、公務の特性である集団的執務体制を弱体化させ、さらなる長時間労働などにつながるおそれもあります。
職員のワークライフバランスなどを実現するに当たっては、「柔軟な働き方」よりも職場の人的体制の大幅な拡充や業務の効率化を実現するとともに、実効性のある超過勤務の規制や客観的な勤務時間把握をはじめ、長時間・過密労働とそれに伴う職員の健康被害を回避するための措置を優先的に講じるべきです。
職場・地域から要求実現へ「ひとり一行動」を
各ブロック国公は、2月から3月にかけて、人事院地方事務局交渉を配置し、各地域の実情などを反映した要求を強化していくこととしています。また、職場の所属長にも統一要求書の提出し、3月3日までに上申書を発出するよう要求することとしています。「全員参加型の労働運動」や「ひとり一行動」を重視するとともに、各職場・地域から交渉に結集し、一つでも多くの要求を実現できるよう奮闘していきましょう。
列島だより
トヨタ総行動を展開
【愛知国公発】
愛知県労連・愛知春闘共闘は2月11日、第44回トヨタ総行動を展開しました。名古屋駅前の宣伝行動では、愛知国公・國枝孝幸議長が「大企業は賃上げを行うところもあるが中小企業では経営が苦しいとして賃上げに消極的だ。岸田首相が賃上げを主張するなら中小企業でも賃上げできるよう支援すべきだ。大企業も下請けいじめをやめ中小企業に内部留保を回せ。とりわけトヨタ自動車は多くの下請け企業を抱えており、巨大な内部留保を労働者と下請けに回すべきだ」と訴えました。
23春闘は「踏み出す春闘」
【大阪国公発】
大阪国公は1月28日に開催した春闘討論集会において、23春闘のネーミングの投票を行いました。「2×3はロック春闘(要求前進に一枚岩で団結しよう)」、「ふざけるな春闘(思いつきで公務労働者を振り回すんじゃない!先に職場環境を整備しろ)」などの難敵を押しのけ、「地域と仲間づくりに踏み(23)出す春闘」が採択されました。
大阪国公は月に2回、「9の日宣伝行動」と「公務・公共サービス拡充宣伝行動」にとりくんでいます。2月の「9の日宣伝行動」では、投票で惜しくも敗れ去った「ピース賛成春闘」(ピースと「さん」せいで23です)のプラカードも掲げ、アピールを行いました。
平和にYES!戦争NO!軍事費の際限ない拡大でなく国民の暮らし優先、ロシアによるウクライナ侵攻に反対し、核兵器のない世界をただちに実現しましょう。
女性協 春の全国代表委員会ひらく
第52回|国公女性交流集会(6/17〜18)の成功へ
国公労連女性協は2月18日、都内で2023年春の全国代表委員会をオンライン併用で開催しました。8単組、2ブロック6県国公からオブザーバーを含め39名が参加しました。
委員会では、「全労連ジェンダー平等社会をつくろうシンポ」で好評だったフランス在住のライター髙崎順子氏の「フランスの少子化と社会保障〜目から鱗!日本の常識は世界の常識ではない!」の講演動画を視聴し学習した後、執行部より女性協作成の「人生いろいろリーフ」や「折り鶴行動」などを活用した学習や対話、3年ぶりの「9の日宣伝」開催、6月17〜18日に「第52回国公女性交流集会in越後湯沢」開催等の方針提案があり、各職場実態やとりくみなどの討論を行い、2023年の春闘方針を確認しました。
参加者からは、コロナ禍の下でも創意工夫しながら活動している報告がありました。また、女性組織のあり方についても議論するとともに、第52回国公女性交流集会に多くのなかまの参加を呼びかけ終了しました。
原口朋弥さんの不当解雇撤回を
人事院口頭審理 当局が不誠実な対応
東京国税局から不当な分限免職(解雇)処分を受けた全国税組合員の原口朋弥さんがその処分の取り消しを求め争っている事案について、人事院公平委員会は2月13日と14日の2日間、人事院において公開口頭審理を実施しました。
処分者側の証人として原口さんが勤務していた青梅・麹町税務署の副署長と統括(当時)が陳述。処分者側代理人からの主尋問には流暢に応答する反面、請求者側代理人からパワハラや退職勧奨等に関する質問がなされると、「覚えていない」など曖昧な受け答えや答弁不能となりました。
これに対し、請求者側証人の高橋誠さん(全国税前委員長・現副委員長)と小林寛昭さん(全国税元副委員長)は、原口さんに対する人事評価の不当性について論旨明快に陳述。当事者の原口さんも、処分に至るまでの経緯や上司からのパワハラ等について順序立てて説明し、3人の公平委員がうなずきながら聞く様子も見られました。
最後に請求者側代理人の加藤健次弁護士は「今回の口頭審理で処分者側は、この処分について誰がどのように判断をしたのかが分かる人を誰も出してこないということ自体が極めて不誠実。新たな証人に対する調査が必要だ」と人事院公平委員会にさらなる証拠調べを求めました。