国公労新聞|2026年3月25日号|第1661号

責任を果たせ!生活改善できる大幅賃上げを
―2026年統一要求に対する政府・人事院回答を受けて―

 2026年国民春闘では、多くの労働組合が全労連・国民春闘共闘の行動提起に積極的にとりくみました。全医労や国共病組をはじめ、ストライキを背景に、当局との交渉をはじめとするたたかいを展開し、大幅賃上げの国民世論をつくりあげています。国公労連も春闘期における政府・人事院との最終交渉を実施し、その回答を受けて3月27日に中央闘争委員会声明を発表しました。

 国公労連は26国民春闘において、組合員の生活と労働の実態を踏まえた賃金改善も然ることながら、公務員賃金の社会的意義を踏まえて、政府・人事院に対して大幅賃上げによる生活改善を求めてきました。しかし、政府は「人事院勧告を踏まえ、国政全般の観点から検討」、人事院は「情勢適応の原則にもとづき、必要な勧告を行う」との従来の回答に固執し、組合員の切実な要求に真摯に応えませんでした。  高市首相は第221回特別国会の施政方針演説で「物価上昇を上回る継続的な賃上げ」の実現を明言しました。であれば、公務員に対しても例外なく賃上げを行うべきです。また、900万人以上の労働者に影響を及ぼす国家公務員の「政策的な賃上げ」を民間企業に先行して実施し、民間労働者の賃上げにつなげていくべきです。政府・人事院の従来どおりのスタンスを崩さない姿勢は、それぞれの責任、役割を放棄したものと言わざるをえません。

民間春闘を大幅に下回る賃金からの転換図れ

 公務員の賃金改定は人事院勧告制度のもとに置かれているが故に、民間の春闘相場を大幅に下回り続け、職員の生活実態を悪化させています。こうした状況が「公務員離れ」を加速させ、有為な人材の確保を困難にしている要因のひとつになっています。2025年4月に強行された「給与制度のアップデート」によって、この4月にも地域手当の支給割合の引下げ、配偶者にかかる扶養手当の廃止、寒冷地手当の改悪が実施されます。これらは政府の賃上げの方針とも逆行することからも極めて問題です。

 国公労連が26春闘において重視してきた定年延長職員や再任用職員を含めた中高齢層職員の賃金改善、非常勤職員の安定雇用と均等・均衡待遇についても具体的な回答はありませんでした。定年延長職員や再任用職員は、従来から職務・職責が変化しないまま、大幅な賃下げを余儀なくされていることに伴う不公平感と負担感が顕著になっています。非常勤職員も雇用不安が十分には解消されておらず、早急な改善が求められています。

 現在、人事院において2026年夏に措置の骨格を、2027年夏に具体的な措置内容を報告といったスケジュールで「新たな人事制度」が検討されています。給与制度においては、国公労連がこの間指摘してきた「情勢適応の原則」「職務給原則」「生計費原則」を毀損する問題などを内包する人事院勧告制度の矛盾と限界を解消するものでなければなりません。この「新たな人事制度」は、人事評価を徹底し、能力・実績主義を強化する狙いがあります。国公労連は、こうした手法での制度見直しには反対です。

 また、すべての職員が納得でき、労働条件改善につながる制度とするためには、そのための原資の確保が絶対条件です。昨年夏に官民給与比較企業規模が100人以上に引き上げられましたが不十分であり、1000人以上に改善すべきです。

 26国民春闘では、全国の仲間の奮闘が官民共同のとりくみを前進させてきました。その結果、政府・財界に「物価上昇を上回る継続的な賃上げ」の実現を言及させるとともに、昨年並みの賃上げ水準を確保し、賃上げの流れを継続させる到達点を築いています。あらためて、26国民春闘の諸行動に結集された組合員をはじめ全国の仲間のみなさんに敬意を表します。  しかし、生活改善にはまだまだ不十分です。これから、中小企業や非正規労働者の賃上げに向けたたたかいが本格化します。ひきつづき、すべての労働者が生活改善できる大幅賃上げ・底上げを求めていきましょう。

平和なくしてくらし・仕事なりたたない

 他方、2月28日にアメリカとイスラエルはイランへ大規模攻撃を行いました。それに対し、イランも近隣諸国へ報復攻撃、ホルムズ海峡を実質的に封鎖しています。こうした緊迫した中東情勢のもと、原油価格の高騰や円安が加速し、それらに伴う物価上昇が懸念されています。

 双方の攻撃によって民間人・施設にも多くの犠牲が出ています。いずれも国連憲章、国際法、国際人道法違反であり、許されるものではありません。国公労連は、これらを強く非難するとともに、即時停戦し、対話・外交により解決することを求めます。また、日本政府には、これらの解決に向けて外交努力を尽くすなど、役割発揮を求めます。そのことが、物価高対策となり、国民のくらしを守ることにもつながります。

 平和でなければ私たちのくらしや仕事もなりたちません。憲法尊重擁護義務を課せられている公務労働者として、国民のいのちやくらし、権利を守るためにも、憲法を守りいかすとりくみの推進や公務・公共体制の拡充など、その責務を果たしていく必要があります。  組合員の団結と産別結集を強め、仲間を増やし、市民と共同をいっそう広げるとともに、26春闘後半と今夏の人事院勧告・概算要求期のたたかいに固く結集することを呼びかけます。

国共病組 賃上げゼロ回答に抗議 署名広がり全国でスト

 国共病組(国家公務員共済組合連合会病院労働組合)は、連合会の2025年度賃上げゼロ回答に対し、全国で「緊急!賃上げ署名」を呼びかけ、職場の内外でケア労働者への賃上げ支援が広がっています。署名は5,000筆を超え、3月9日の連合会交渉で提出。さらに5月末までとりくみが継続され、ネット署名(#KKR病院賃上げゼロは困ります)も展開されています。  こうした中、3月12日にはストライキを実施。北海道、宮城、東京、愛知、大阪、福岡、大分の7都道府県で10支部が行動に立ち上がりました。医療業界を襲う赤字を理由に「国家公務員準拠」と言いながら遡及なし・賃上げゼロとする回答に対し、現場から声を上げたものです。各支部のスト突入行動には医労連や国公労連の仲間も駆けつけ、勇気と連帯が広がるとりくみとなりました。

賃上げを切り拓く26春闘に 大阪国公

 大阪国公は、「賃上げを切り拓け26フロンティア春闘」をスローガンに定め、「賃金が上がる社会へチェンジ」を目指すキャラクターはカエルとして、春闘期の行動にとりくみました。3月12日の大阪総行動のみどうすじランチタイムデモでは、ChatGPTでデザインしたド派手な横断幕を掲げて行進し、注目を集めました。沿道で見ていた青年からは、「これは賃金を上げろということですか?」という声が上がりました。意味が伝わってよかったです。  3月19日の国公近ブロによる人事院近畿事務局交渉の前には、参加者を激励する集会を合同庁舎前で開催しました。交渉では大阪国公の各職場で集約した独自の職場連判状を提出し、地方勤務者の賃金引き上げ、再任用職員の一時金差別撤廃を強く求めました。組織に力を集め、賃上げをかちとりましょう!

通勤手当の改善を実現 4月から駐車場料金を支給

マイカー通勤の支給額が改善

 2025年人事院勧告に基づく通勤手当の見直しでは、同年の職種別民間給与実態調査の結果として、「民間の長距離通勤者に対する支給額が公務の手当額を上回っている状況」などを踏まえ、いくつかの改善が実現しました。

 自動車等使用者(マイカー通勤者)について、①60㎞以上までを上限としていた距離区分を100㎞以上まで増設し、②3万1600円を上限としていた支給額を6万6400円に増額すること、③60㎞以上までの距離区分にも200円から7100円の範囲で増額することとなりました。③の増額は2025年4月に遡及して、①と②の増設・増額は本年4月から適用されます。

 しかしながら、10㎞未満の距離区分では増額が見送られました。各距離区分の支給額について、レギュラーガソリンの店頭価格を170円/ℓ、普通乗用車の平均燃費を15.5㎞/ℓ程度とすれば、概ね燃料費を賄える試算となっていますが、それでも10㎞未満の距離区分(5㎞未満で月額2000円、5㎞以上10㎞未満で月額4200円)では、燃料費すらも不足することとなります。

 また、ガソリンの暫定税率が2025年をもって廃止され、その店頭価格は低下傾向にありましたが、2月28日のアメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃に伴い、一時は全国平均でも190円/ℓ超にまで高騰しました。本来は、こうした不測の事態にも職員の自己負担を解消するための措置が必要です。

 また、自家用車の維持費や減価償却などには個人差があるため、それらも含めた実費弁償の在り方は、今後も継続して検討する必要があります。

駐車場料金の支給を実現

 マイカー通勤で有料の駐車場を利用する場合には、1か月当たり5000円を上限に支給する措置が新設されました。本年4月から適用されます。

 しかしながら、駐車場料金の実費を弁償できる支給額ではなく、一定割合を補助できる程度でしかありません。人事院は、上限の指標として、民間の「支給額の中央値」と説明していますが、全国にくまなく官署を設置している国の行政機関、国家公務員の人事異動や長距離通勤の特性などを踏まえれば、必ずしも民間の実態に固執する必要はないはずです。

 一方で、通勤手当が支給される駐車場の要件は、①自宅や官署から最寄りの公共交通機関の付近にある場合(いわゆるパークアンドライド)、②通勤手当の認定経路でない迂回経路にある場合、③コインパーキングや回数券を使用する場合、④複数の駐車場を使用する場合、⑤複数の職員が共同で(代表者が)賃借している場合などを含むものとなり、いずれも5000円を上限に実費が支給されます。

 しかしながら、⑥自転車(電動自転車を含む)の駐輪場、⑦職員の配偶者又は扶養親族に料金を支払う場合には支給されません。通勤に交通用具を使用する場合に発生する経済的負担は、自転車の駐輪場でも相違するものでないはずです。電動自転車の利用には家庭の電気料金に影響するなど、その要件の合理性には疑問があります。

 通勤手当により駐車場料金の支給を実現できたことを踏まえつつ、今後もあらゆる措置により実費弁償を追求し、早急に職員の経済的負担を解消することが不可欠です。

当事者の活動が要求実現につながる

 2024年人事院勧告では、公共交通機関を中心とした通勤手当の大幅な改善を実現しましたが、マイカー通勤を余儀なくされている職員の経済的負担を解消することが喫緊の課題となりました。①特急列車が通勤の時刻に運行していない地域、②最寄駅まで長距離にある自宅や官署、③朝夕の子の送迎にマイカーを利用する育児中の職員など、マイカー通勤がワークライフバランスの推進などにも有効であることを踏まえれば、その要求は切実なものです。

 各ブロック・県国公でも課題の重要性が認識され、組合員に燃料費や駐車場料金のアンケートを実施するなど、独自のとりくみがすすめられました。その結果に基づき、人事院地方事務局交渉でも要求を強化するなど、各組織・地域の当事者が参加するスタイルの活動が2年連続の改善をもたらしたこととなります。今後の要求にも活用できる貴重な成果と教訓です。

 このほか、通勤手当の全般に適用される改善として、月の初日に支給要件が満たされていなくとも、当月の通勤開始から通勤手当を支給できることとなります。

 これまで月の途中の人事異動や新規採用などでは、翌月になるまで職員の自己負担を余儀なくされてきたため、この支給要件の改善は、職場の要求として根強いものがありました。人事・給与関係業務情報システムの改修に必要な期間などを踏まえ、本年10月から実施される予定です。

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