第163回拡大中央委員会
対話と学びあいで仲間づくり大幅賃上げ、公共の再生へ
国公労連は12月21日、第163回拡大中央委員会を東京都内で開催し、中央委員19人、特別中央委員38人が出席しました。拡大中央委員会では①すべての労働者の賃上げと雇用の確保、②国民本位の行財政・司法の確立、③職場で働くすべての仲間を視野に入れた組織強化・拡大などの柱を基本とする春闘方針案を議論し、2025年春闘方針等を満場一致で決定しました。来賓として、全労連の髙木りつ副議長が挨拶しました。
冒頭のあいさつで浅野龍一委員長は、「改正給与法が12月17日に参議院本会議で可決・成立した。8月8日に人事院勧告が出されてから4か月以上、国家公務員の賃金改善は事実上『凍結』させられた。また、自治体労働者や独立行政法人等労働者など約900万人の労働者の賃上げや労働条件の確定も遅延。この『凍結』状態は、国家公務員の生活改善に向けた期待権を反故にするばかりでなく、労働基本権の代償措置である人勧をも軽視する重大な権利侵害だ。そのこと以前にそもそも今年の人勧にあたって、国公労連との誠意ある交渉・協議が行われたとは到底言えない。公務員の労働基本権が制約されているもとで、このような権利侵害が平然とまかり通っていることを告発したい。国公労連は、25春闘で社会的賃金闘争を官民共同でとりくむ。また、震災対応等で見直された公共の役割を、『市民との共同』『コミュニティとの連帯』の力で確かな国民的コンセンサスにしていくための運動を職場・地域で展開していこう」と呼びかけました。
続いて、笠松鉄兵書記長が2025年春闘方針を提案し、討論では26人から発言がありました。
討 論 発言順
〈全司法〉家庭裁判所の役割をアピールするため「家裁を考える集会」を開催。25春闘では裁判所の人的物的充実へ地域に踏み出していく。
〈九 州〉政治を国民の手に取り戻す春闘になる。夏の参院選では、情報戦略が必要。要求に照らした正しい情報を伝えることが重要だ。
〈全司法〉12月に開催した国公青年交流集会コネクトでは、単組を超えた交流が深まった。各単組での青年活動も活発にしていくことが必要。
〈島 根〉新幹線通勤の改善はよかったがマイカー通勤の課題(駐車場代等)は残っている。ブロックでも引き続き要求を強めたい。
〈全労働〉若年層の処遇改善の次は高齢層の番。カスハラによるメンタル疾患も増えている。職員の健康と命を守るとりくみを。
〈京 都〉5月に新採歓迎BBQ、12月には青年層中心にクリスマスパーティーを開催。青年層の参加が増え希望を感じる。次世代育成をがんばりたい。
〈滋 賀〉大企業優遇の政治で内部留保は莫大。ビクトリーマップは春闘白書のデータで簡単に作ることができる。みんなでとりくもう。
〈全労働〉全労働は12月に組織拡大推進会議を開き、様々な学びがあった。各職場では悩みもあるが励まし合いながら頑張ろうと意思統一。組織拡大に特効薬はなく、みんなですすめていくことが重要。
〈愛 知〉体制拡充署名にかかわり、10月に「公共の再生をめざす議員懇談会」を開催。国民本位の行財政司法のとりくみについて意見交換した。
〈全法務〉各職場の日常活動が停滞している。支部体制の整備や活動の担い手づくりが必要。できることから一つずつ奮闘していく。
〈国交労組〉非常勤職員のいわゆる3年公募要件が撤廃されたが、国土交通省では独自要件の設定が懸念されている。「仲間の雇用を守る」を合言葉に、とりくみをすすめていく。
〈関 東〉人材確保の困難は当局との共通認識になっている。ブロックでは賃金課題で緊急の署名にとりくむなど、工夫しながら奮闘する。
〈福 島〉県国公対策については、活動が止ってしまう前の段階から早めの伴走型支援を。
〈秋 田〉寒冷地手当の非支給地拡大をしないように求める団体署名にとりくんだ。全国のみなさんの協力で多くの署名が集まり、国会に提出した。
〈埼 玉〉地域手当の見直しにより、埼玉県と東京都との地域間格差が拡大したことを受けて、埼玉出身の国会議員35人に要請書を送付。国公労連としても、早期の地域手当見直しの追及を。
〈岐 阜〉地域手当は、どの地域でも同じ仕事をしているのになぜこれほどの差があるか。寒冷地手当の支給地決定も疑問。人事院は生活実態を見ていないと思う。
〈福 井〉寒冷地手当の支給地決定の基準は、人事院の適当な物差しで決められている。人事院は実態を知るべきだ。
〈全通信〉24人勧は、中高年層には生活改善に程遠い内容。25人勧での大幅賃上げ実現が重要。給与がどう決まっているのかを知らない若手組合員も多い。春闘では対話と学びあいを意識してとりくみたい。
〈開建労〉昨年12月に米兵少女暴行事件が発生。人権侵害で絶対に許せない。辺野古では新基地建設が進み、安定しない地盤への杭の打ち込みも始まる。米軍基地をこれ以上拡大させないとりくみを引き続き沖縄から広めていきたい。
〈国公一般〉非常勤職員の課題について、国公労連として最終ゴールをどこに置くのかを示す必要がある。国公労連に非常勤部会の設置を。
〈青 森〉承認案件について経過を説明。今後は、組合活動そのものをアピールして対話を重ね、県国公の立て直しに奮闘したい。
〈岩 手〉日本被団協のノーベル平和賞受賞を契機に、私たち労働者が平和課題にとりくむことの意義を再確認すべき。歴史をきちんと学び、説明することが大事。
〈中 部〉高齢期職員の処遇改善が必要。再任用職員の賞与は定年前の4分の1、賃金は7割もない。退職金の改善も必要。
〈全厚生〉全厚生組合員でもある非常勤職員を中心に進めている「あんみつキャンペーン」への協力に感謝。当事者は勇気をもらっている。国立感染症研究所の法人化の問題でも非常勤の雇用不安が広がっている。
〈近 畿〉賃上げ、増員、宿舎改善、組織拡大、こういったものを実感できるとりくみが労働組合に求められている。
〈神奈川〉12月に「公共の再生セミナー」を開催。労働組合だけでなく他の民主団体や法曹関係者などと一緒に公共の問題にとりくんでいきたい。
非常勤組合員集会
病気休暇の有給化を実現「組合の力の大きさ感じた」
国公労連は12月14日、オンラインで非常勤組合員集会を開催し、例年を上回る約60人(うち非常勤組合員が半数以上)が参加しました。人事院が今年6月に期間業務職員のいわゆる「3年公募要件」を廃止したことを受け、これまでの運動の成果を確認し、雇用安定に向けた今後の課題を共有・交流する場となりました。
前半は、笹ヶ瀬調査政策部長が情勢報告を行いました。人事院の「3年公募要件」廃止の趣旨と経緯、人事院が11月に公表した「期間業務職員の採用等に関するQ&A」の問題点、今後課題となる「能力の実証」のあり方、来年4月から実現する休暇等の改善などについて解説した上で、「3年公募要件の廃止や病気休暇の有給化を実現するとりくみの過程には、当事者の組合員が大きな力を発揮した。中央交渉にも自ら参加し、セルフストーリーとして不合理な境遇などを主張した結果、今回の成果につながった」と述べました。続いて、全労働と国土交通労組から、この課題に関わって単組の状況と課題を報告しました。
後半は分散会を行い、多くの参加者が発言して思いを共有しました。参加者からは「労働組合の持つ情報をどのようにすべての職場に浸透させるかが課題」、「障がい者雇用の取扱いが今後どうなるのか不安」、「恣意的な能力評価や運用を許さないとりくみが重要」、「みんなが労働組合で運動した成果としてもっと周知する必要がある」、「今回の休暇の改善は本当に大きい」などの発言が相次ぎました。
集会への感想では、「いろんな省庁の状況を聞くことが出来て、大変参考になった。情報共有の大切さを感じた」、「組合の力の大きさを感じている。無期雇用になる日が来ることを願う」といった声が寄せられました。
みんなの力で病休を有給化 さらなる改善へ声あげよう
人事院は12月2日に人事院規則を改正し、子の看護休暇、病気休暇(私傷病)、人間ドックを受診する場合の取扱いについて、非常勤職員の処遇を一部改善しました。これにより、2025年4月から、子の看護休暇は「子の看護等休暇」と名称が変わり、対象となる子の年齢・対象事由・対象職員が拡大します。病気休暇は無給休暇から有給休暇になり、人間ドック受診の際は有給の職務専念義務免除を利用できるようになります(上の表参照)。病気休暇の有給化は「安心して休みたい」という職場の長年の要求であり、労働組合で諦めずに声をあげ続けた一人ひとりの力が人事院を動かしたものです。
改善が実現してもなお、子の看護等休暇については非常勤職員のみ無給休暇のままであること、病気休暇の常勤職員との日数の格差(常勤最大90日、非常勤最大10日)は維持されることなど問題は多く残りますが、今回の改正内容と声をあげれば必ず変わるということを職場に広く知らせ、仲間を増やし、さらなる改善を勝ちとる契機としていきましょう。