非常勤職員の「公募3年要件」撤廃
雇用の安定化へ大きな前進
人事院は6月28日、非常勤職員の再採用、すなわち1年ごとの任期の更新に当たって、公募によらない採用を連続2回までとする各府省の努力義務(いわゆる「公募3年要件」)を撤廃しました。
一部では人権侵害と指摘され、「パワハラ公募」とも呼ばれたこの不合理な任用のルールは2010年から運用され、地方自治体で2020年に導入された会計年度任用職員制度のモデルにもなり、国と地方で全国の非正規公務員に精神的な苦痛を与え続けてきました。
今回の見直しは、人事院が昨年8月に「非常勤職員制度の適切な運用の在り方等について検討」すると報告したことに基づくものです。将来的に生産年齢人口が減少していくなか、「行政サービスの提供を支える有為な人材を安定的に確保することができるような環境を整備することが重要」という認識などが前提となっています。
それを踏まえれば、①「無期転換ルール」の導入など任期の抜本的な見直し、②住居手当・扶養手当・寒冷地手当などの支給、③任用当初からの年次休暇の付与、④病気休暇や子の看護休暇などの無給休暇の有給化など、非常勤職員の劣悪な勤務条件の全般の見直しに至らなかったことは今後の課題です。
しかしながら、「公募3年要件」の撤廃は、少なからず雇用の安定化につながるものであり、それが全国の非正規公務員に波及する可能性も踏まえれば、たたかいの大きな前進です。
また、これまでの運動に結集してきた多くの非常勤組合員をはじめ、職場・地域で奮闘したすべての仲間による運動の成果です。
「たたかい続ければ、いつかは要求が実現する」という教訓のもと、非常勤職員という「身分」に基づく差別的な取扱いを是正するとともに、労働者としての地位と権利を保障することを政府・人事院に求めていきましょう。
非常勤の仲間が交渉に参加 人事院前行動でもアピール
国公労連は7月4日午前、単組の調査政策担当者を中心とした100分以上にわたる人事院交渉を配置し、8月の人事院勧告に向けた重点要求を追及しました。後半からは非常勤組合員3人が加わり、2月に提出した「非常勤職員制度の抜本改善にむけた重点要求書」の実現を求めました。
人事院からは、特筆すべき前向きな回答を得られませんでしたが、「公募3年要件」の撤廃というひとつの到達点を得た直後の交渉は、更なる要求前進に向けて勇気の出るものになりました。昼休みには人事院前要求行動を実施し、諸要求を霞が関周辺にもアピールしています。
午後からは、非常勤職員の要求課題で内閣人事局交渉を配置し、政府の使用者機関に対して、雇用の安定化へのさらなる措置などを求めました。
それぞれの交渉では、①「公募3年要件」が撤廃されたとしても、勤務実績などを適正に評価しない恣意的な公募や脱法的な「5年雇止め」など、当局の不適切な運用が懸念される、②非常勤職員であっても、継続的かつ専門的な業務に従事しているため、長期勤続を前提とした任用のルール、常勤職員と同等の研修などが不可欠である、③障がい者雇用の合理的配慮が普及していないため、非常勤職員が職場に定着できない実態など、自らの経験に基づく切実な要求を主張しました。
給与制度のアップデートでブロック国公代表が交渉
国公労連は7月5日、ブロック国公の代表者9人の参加で、6月17日に提出した「労働者本位の『給与制度のアップデート』を求める要求書」の実現と地域ごとの実情の反映をめざして、①昼休み人事院前要求行動、②ブロック国公交渉担当者会議、③人事院交渉を終日にわたって展開しました。
総勢13人で臨んだ交渉では、①若年層はもとより、すべての職員の給与改善が実現しなければ、「若者の公務員離れ」などに歯止めがかからないこと、②地域手当の見直しに当たって、誰一人として給与水準の引下げは許されず、地域間格差を早急に解消すべきこと、③通勤手当の改善は、あらゆる事情で全額支給を実現するため、実費弁償を徹底することなどが強調されました。
人事院は、いずれも「現在検討中」であることを理由に曖昧な回答に終止しています。最後に国公労連は、仮に勤務条件の不利益変更のおそれがある場合には、それを回避するための労働組合との協議の時間が保障されるよう、次回の交渉で明確に回答することを求めました。
公務・公共サービス拡充請願署名
紹介議員107人に広がる
国家公務の職場は私たちの運動もあり、少しずつではありますが増員が図られてきています。しかし、能登半島地震からの復旧・復興をはじめ、国民からの期待やニーズに応えるには、まだまだ不十分です。とりわけ、国民と直接向き合って仕事をする地方出先機関に増員が行き届いていません。
国公労連はこの現状を改善するため、総定員法の廃止、定員合理化計画の中止・撤回、増員による必要な行政体制の確保などを求めて、今年も「公務・公共サービスの拡充を求める請願署名」に職場・地域を中心にとりくみました。また、今年は、夏に新たな定員合理化目標数が策定・通知されることが想定されたため、各ブロック・県国公では、国会議員の地元事務所への訪問・懇談をはじめ運動のいっそうの強化を図ってきました。
署名は衆・参両院で3万2539筆を第213回国会に提出し、内閣委員会に付託されましたが「審査未了」となり、請願採択とはなりませんでした。しかし、紹介議員は新規18人を含む107人(昨年95人)にのぼり、紹介議員にはなれないけど「請願趣旨やみなさんの運動には賛同する」との議員も多く、着実に私たちの主張に理解が広がっています。
こうした世論の広がりがある一方で、政府は6月28日に「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」(2014年7月25日閣議決定)の一部変更を決定しました。国公労連はこの決定に関する書記長談話を7月3日に発表しました。詳細は裏面をご参照ください。