大幅賃上げ実現、平和求める市民と連帯を
第166回中央委員会ひらく
国公労連は4月17日、第166回中央委員会を東京都内で開催し、中央委員19人が出席しました。中央委員会では、国民本位の行財政・司法の確立、人事院勧告期・概算要求期闘争をはじめとする賃金・労働条件の改善、組織強化・拡大のとりくみなどを柱とする夏季闘争方針案を議論し、「2026年夏季闘争方針案」「概算要求期重点要求」「人勧期要求」「中間会計決算報告」などを全会一致で決定しました。
冒頭のあいさつで浅野龍一委員長は、「ストライキを構えたたかった全医労、国共病組の皆さんの勇気と行動に心より敬意を表する。国公労連は、ケア労働者の処遇改善など26春闘後段のたたかいに結集するとともに、今年の勧告に向けては人事院が検討している『新たな人事制度』について、能力・実績主義強化に反対し、人事院との交渉・協議を強化していく。人手不足や長時間労働が深刻となる中で、国公労連は、厳しい職場実態を訴え、国会内外の世論形成に向けて、公務・公共体制拡充運動を強化していく。いま世界では法の支配や国際法を無視した『力による支配』が横行。高市首相はその『力』に依存し、大軍拡を『抑止力』の名のもとに進めている。一方、全国で広まっている市民の運動こそが改憲を止める力となっている。今日の情勢のもとで、『ふたたび公務員は戦争の奉仕者にならない』との決意を新たにしたい」と述べました。
続いて、笠松鉄兵書記長が2026年夏季闘争方針案などを提案し、討論では13本の発言がありました。
討論(要旨)発言順
〈全労働〉加入勧奨では、これまでの経験や全医労のとりくみを参考に、青年層からの働きかけを意識的に行ったことで、安心感・親近感につながり、昨年を上回る加入状況となっている。
〈全労働〉裁量労働制の見直しが検討されているが、長時間労働に繋がりかねなく、政策決定にも大きな問題がある。また、自民党からは労働監督署からの指導の緩和を求める提言が政府に提出されているが、労働監督署は労働者の健康を守るために指導をしているのであり、指導内容が十分に理解されていない。
〈全労働〉職場ではすでに人事評価制度は破綻しており、短期の評価を処遇に反映させることへの不満は大きい。制度廃止を求める意見もある。職場の意見を吸い上げた議論を。非常勤職員の雇用問題では非常勤職員のまま雇用を安定させ、雇止めの不安を払拭し、定員枠外となる無期契約の非常勤職員制度として新たな創設が望まれる。
〈全通信〉平和運動のとりくみの熱量を高めるためには、本能や五感を刺激する体験が重要。特に2月の沖縄支援・連帯行動は「1人ひとりに人生があり、それを一瞬で壊してしまうのが戦争だと感じた。自分たちに何ができるか考えていかなければならない」との感想からも、平和の尊さを刻む体験となった。加入勧奨では、春の青年セミナーで学んだ助言を活かし、徹底的な準備を実施。従前加入ゼロ支部で100%加入を実現。参加者の要求にマッチした説明ができるかが今後の課題。
〈開建労〉琉球列島では自衛隊のミサイル部隊の配置、師団化、建物強靭化・地下化が進んでいる。辺野古沖転覆事故は痛ましい惨事である一方、事故を契機に基地反対行動への誤解や反発も生まれている。知事選も控えており、反対運動の手は緩められない。振興予算よりも防衛局予算が上回る実態も見てもらいたい。沖縄支援・連帯行動の継続を。
〈全法務〉定年延長、再任用制度の改善に向け、アンケート実施。大多数が収入面で問題と回答。「職務と給与が見合っていない」「休暇が現役時から引き継がれていない」など、国公労連の要求と同じ結果に確信を持ち、早急な改善を求めていく。
〈全法務〉26春の組織拡大強化月間のとりくみの具体化に向けて、各種会議、全支部オルグ(WEB)等にて意思統一を図ってきた。すべての新規採用者に加入を呼びかけるとともに、単組新聞等の配布、交流企画の周知など減らさないとりくみも行っている。
〈全医労〉病院機構との25賃金闘争は、不十分ながらも前進回答を引き出させたことを運動で状況を切り開いたと評価し、ストライキを回避。宣伝行動は、皆さんからの支援の声が力強い後押しとなった。ハンセン病患者差別である菊池事件への署名協力を。春の拡大は640人。さらなる拡大に向け来週の作戦会議で意思統一を図る。
〈全経済〉本省支部で残業アンケートを実施。転職希望は20~30代と多く、超勤が多く賃金が見合っていない、ワークライフバランスが実現できない、国会対応はやってられないとの意見多い。超勤20時間未満でも転勤希望があり、育児・子育て含め将来が見えないとの意見も。人材不足が原因、純増求め宣伝していけば加入に繋がる。
〈国土交通〉今後より一層国公労働運動を発展・強化させるために、しっかりとした総括と方針の提起を。その上で、情勢を見定め、方針議論を意思統一し、組合民主主義のもととりくみを実践することが重要。人事評価制度は能力実績主義を導入した是非も制度官庁に追及していくこと、一方的な制度設計をさせないとりくみが必要。
〈国土交通〉反戦平和、憲法改悪阻止等に向けたとりくみ強化が必要。単組として、憲法会議発行のパンフレットを活用し学習会を開催。引き続き継続していく。予備自衛官等兼業特例法案は、公務破壊、戦前の国家総動員法の恐れ、応募への圧力等問題がある。
〈国公一般〉国公一般への障がい者雇用の方からの労働相談が増加傾向にある、要求化を。非常勤職員の長年の要求であった、採用時からの年次休暇が実現。無給休暇の解消や月給制を強く求める。定期大会での非常勤職員交流会の開催は好評だった、引き続き企画を。 〈全司法〉全司法は研修の合間に行うファーストアタックと、加入後に行うセカンドアプローチを一体でとりくむことを組織拡大の軸に置いている。ファーストアタックは、「困ったときに頼れる存在」「具体的な成果」「不安な気持ちに寄り添う」の3つに絞り、2分で説明し、全体10分で終了。詳細な説明は、判断材料を増やし、加入しない理由を与え加入のハードルをあげてしまう。現状4割以上が加入、増勢見込み。入り口は「シンプルに」、まずは加入してもらい、日々の対話を積み重ね関係性を構築していくことが重要。
2026年【要旨】夏季闘争アピール
2026年4月17日国公労連第166回中央委員会
国公労連は本日、26春闘の経過と到達点を確認するとともに、26年人事院勧告や27年度概算要求などにむけた夏季闘争方針を確立し、たたかう決意を固めあった。
国公労連は、26春闘で全労連・国民春闘共闘委員会が提起する「社会的な賃金闘争」に結集し、公務員賃金改善を要求の柱に職場・地域でたたかいを展開した。全医労及び国共病組では、ストライキを構えたたたかいで賃上げなど要求の前進を勝ち取った。これら26春闘における官民共同のたたかいによって、政府・財界に物価上昇を上回る継続的な賃上げの実現を言及させるとともに、昨年並みの賃上げ水準を確保し、その流れを継続させている。しかし、終わりの見えない物価上昇と実質賃金の低下は、国民・労働者の生活を一層追い詰めている。
国家公務員の賃金の在り方をめぐっては、民間の春闘相場を下回る賃金改定率、年齢差別である高齢層の理不尽な賃金抑制、同一労働同一賃金の原則に矛盾した地域手当による地域間格差、再任用・非常勤職員の劣悪な勤務条件など、さまざまな課題が積み残されている。2026年人事院勧告に向けては、これらの課題を解消するための要求を強化する。
また、人事院が検討している「新たな人事制度」は、人事評価を徹底し、人事管理を強化するねらいがある。すべての職員が納得でき、すべての世代の職員が将来にわたって希望を持てる制度こそが、魅力ある公務職場をつくり、安定した行政サービスの提供につながる。国公労連は、能力・実績主義の強化に反対し、労働組合との十分な協議とその透明性の確保を強く求める。
東日本大震災から15年を迎えたなか、防災庁の設置準備が進められている。国民の安心・安全の確保が一層求められる一方、必要な人的体制と予算措置なくして適切な職場環境は確保できない。この間のたたかいで定員合理化目標数を半減させたものの、もはや職場は人員削減の余地がなく、業務遂行に必要な体制の限界を超えている。国民のいのち・くらし・権利、そして職員の健康を守るためにも、定員管理政策の抜本的な転換と次年度定員要求での大幅増員の実現を追求していこう。
改憲の動きが強まる今、平和憲法を守り、いかす正念場である。全国各地や国会前行動では「戦争反対」「憲法守れ」と訴える行動に、多様な人々が駆けつけ、新しい市民運動が広がっている。生活への不安、未来への危機感、そして「このままではいけない」という想いが、人々を動かしている。いつの時代も歴史の転換点には女性や青年の運動がある。憲法擁護と反核・平和を求める市民との連帯・共闘を広げ、人権を踏みにじる戦争や改憲を阻止しよう。
組織拡大・強化なくして諸要求は前進しない。対話と学びあいをさらに広げ、すべての組合員が主体となって仲間を増やし、第72回定期大会を増勢で迎えるために全力を尽くさなければならない。
2026年夏季闘争では、「戦争する国づくり・改憲反対」「国民のいのちとくらしを守れ」の国民的共同を追求するとともに、最低賃金、公契約、公務員やケア労働者の賃上げを図る社会的な賃金闘争を官民一体で推進し、すべての組合員が切実な要求の実現のために職場・地域から大いに奮闘しよう。
改憲って必要?そもそも憲法ってなんだろう
わたしたちの日常を守るルールの話

4月8日、国会前で行われた「平和憲法を守るための緊急アクション」には約3万人が集まり、オンラインでは7万人が視聴しました。会場では20〜30代が半数を占めるなど、憲法をめぐる関心が世代を超えて広がっています。全国163か所でも同様の行動が行われ、憲法の問題を自分ごととして受け止める人が増えているといえます。
青龍美和子さんに聞いてみた!
「明日の自由を守る若手弁護士の会」の会員で、けんぽう漫才でおなじみ「四谷姉妹」などでも活躍されている青龍美和子弁護士
Q1憲法ってなんのためのルール?
A1:ひとことで言うと、憲法は国家権力をしばるためのルールです。
まず、人権は、年齢、性別、国籍、障害の有無などに関係なく、どんな人も生まれながらに持っている、侵すことのできない権利です。
しかし、国家権力を持つ権力者は、歴史的に、その絶大な権力を自分の利益のために使おうとする傾向があります。例えば、アメリカのトランプ大統領は選挙で勝つため、また自身の不正を隠そうとするためではと疑惑の目を向けられる中で、権力を意のままに軍隊を使い、ベネズエラへの侵略やイランに軍事攻撃をしたりしていますよね。その結果、大勢の人たちが殺され、経済的にも世界中に大きな悪影響を与えています。
このように、権力者が暴走することにより、人々の人権が蔑ろにされ、究極的には命を奪われるということが繰り返されてきました。そこで、市民が声を上げ、権力者が暴走して人々の人権が侵害されないように、憲法というルールを作りました。
ただし、憲法というしばりがあるだけでは権力者はそのしばりを緩めようとしたり、平気で破ろうとします。だからこそ、「おかしいぞ!」と主権者である私たちが声を上げて、権力者に憲法を守らせる必要があるのです。
Q2私たちの日常に関係している?
A2:私たちは、体調が悪くなれば、あたりまえに病院に行って医師に診てもらい、治療を受けますよね。健康保険の仕組みがあり、たいていの人は医療費3割(昔は1割でした)で医療サービスを受けられます。これは、憲法25条が「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めているからなんです。この憲法25条をもとに、法律が作られ、健康保険の制度ができています。医療だけでなく、保育や介護などの福祉サービスも、義務教育も、おおもとに憲法があります。
また、公務員も含む労働者は、労働時間の制限や最低賃金の定めがありますが、これは憲法27 条2項が「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」としているもとで、国会が労働基準法や最低賃金法という法律を作っているからです。そうした規制がなければ、行政機関も労働者を雇う企業も、いくらでも長時間に、低賃金で働かせることができてしまいます。
憲法が、私たちの命や生活を守ってくれているんですね。
Q3なぜ、いま改憲が話題に?
A3:「改憲」は、憲法ができてしばらくしてから、常に話題になってきました。
1950年代半ば頃から、新聞社が憲法改正の必要があるかどうかを世論調査をして、継続的に発表するようになります。
日本は、日中・太平洋戦争でアジア太平洋の国々に軍事侵略を行い、とんでもない被害を及ぼしました。その犠牲者は2000万人以上とも言われています。また、日本国内でも各地にアメリカ軍による空襲、沖縄は陸上戦、広島・長崎での原爆投下などにより尋常ではない被害を受けました。二度と戦争はしないという誓いとして、憲法9条がつくられましたが、その後、東西冷戦が始まり、日本を占領していたアメリカ軍による日本の再軍備化が狙われます。日本政府は、アメリカの言いなりになって自衛隊を創設し、軍備拡大を進めてきました。
それでも、憲法9条のしばりがあって、アメリカの行う戦争に全面的には参加せず、戦後80年にわたり、戦争による直接の犠牲者は出ていません。
大切な視点は、「改憲」が常に政府の側から提起されていることです。憲法を守らなければならないはずの総理大臣や国務大臣ら政府と政府を支える与党議員が、自ら憲法を変え、自分たちに対するしばりを破ろうとしているのです。その歴史的背景を知ることも大事です。
今年2月の総選挙後、衆議院では自民党をはじめ、「改憲」を推進する議員が3分の2を優に超えてしまいました。憲法改正を発議して、いよいよ「改憲」を実現できる可能性が高まってきたと改憲推進政党・議員らは考えているでしょう。そのため、いま「改憲」がとくに話題にされているのです。
Q4自衛隊は憲法に明記すべき?
A4:自衛隊ができて、なんと70年以上が経過しました。災害時の救助など、市民に身近な存在になっていることから、「自衛隊を憲法に明記したほうがよい」と考える人も多いでしょう。自衛隊を憲法9条に書き込むという改憲案を出している自民党も「自衛隊が憲法違反と言われるのはかわいそうだ」と説明しています。
憲法9条は、戦争放棄と戦力不保持を明確に定めていますが、憲法制定直後から、日本政府は「自衛のための戦争は憲法9条のもとでも許される」「自衛のための必要最小限度の実力は『戦力』には当たらない」と解釈し、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」だと説明してきました。
しかし、政府主導の法律によって次々と自衛隊の出動要件や行動範囲が広げられ、2015年に成立した安保法制以降、日本の防衛とは関係のない目的で自衛隊を海外に派遣することができるようになっています。また、2014年以降、防衛費も5兆円を超えて増え続け、安保三文書が閣議決定されてから防衛費は2倍と膨れ上がり、さらに増額されようとしています。世界の軍事費ランキング2024年で日本は世界第10位でした。長距離ミサイルも次々と沖縄をはじめとして、全国の自衛隊基地に配備されています。
このような自衛隊を憲法9条に明記すれば、自衛隊を憲法上の存在として、ますます権限を拡大させるでしょう。しかも、自民党の改憲案を前提にすれば、自衛隊は内閣総理大臣が統制するため、出動の決定は内閣が決めることとなり、事前に国会でその是非を議論することもできなくなります。
日本が、軍隊を持つ「普通の国」として戦争できるようになってしまいます。自衛隊員が戦争で命を奪ったり、逆に殺されたりする可能性も出てきます。そちらのほうが、自衛隊員やその家族にとって辛いことではないでしょうか。
Q5公務員として権力を使うとき気をつけることは
A5:ご自身の権力性について自覚されているのは素晴らしいことですね。自身の職務上の行為、例えば、市民や行政サービスの利用者等に対する言動が、相手の権利を侵害するかもしれないという自覚を持つことは難しいことです。国家公務員は権力によって人権を侵害し得る存在であると同時に、その権力を広く市民のために行使して、たくさんの人を幸せにできる存在です。例えば、防災のために国土や河川を整備する、公共施設をつくり利用しやすく直す、福祉サービスを提供するなど、一度に大きな影響力を及ぼすことができ、私たちの生活に欠かせない重大な職務だと思います。憲法15条2項が公務員を「全体の奉仕者」としている意味がそこにあると私は考えています。
人権侵害は社会的に弱い立場の人や少数者に集中しがちです。しかし、法律や行政上の行為はこうした人たちを保護の対象から排除することがあります。そうした時に、国家公務員としては行政の担い手ですから、できることに限界を感じることもあるかと思います。そのような時には、人権侵害を許さず、人権救済を求めて他の市民とともに声を上げてほしいと思います。専門的な知識や技術をお持ちの方は、それを運動に活かすために協力するなど、できることで構いません(ただし、国家公務員には守秘義務もあるのでどこまでできるかは難しいところです)。充実した仕事をすることができるよう、労働組合に結集して仲間と一緒に声を上げることも重要です。
Q6なんで労働組合が平和活動?
A6:私は、労働組合が平和を維持し実現するための活動をすることは、必要不可欠だと思います。もちろん、労働組合は、組合員・職員の労働条件の向上・改善のために活動することが主目的です。しかし、安全が確保された職場環境で安心して働くためには、戦争のない平和な社会であることが大前提です。
国が戦争を始めたら、行政の担い手である国家公務員は率先して国に従わなければならず、また、国民を従わせる立場にあります。「戦争反対」という意見を持っていても、国家公務員という立場上、信条に反して職務を行わなければなりません。その場合は辞めればいいじゃんと思うかもしれませんが、簡単に辞められるでしょうか。仮に辞められたとしても、人手が少なくなれば動員され、従わなければペナルティが課せられるかもしれません。そのような状況になるのは、究極の場合かもしれませんが、日本の社会がそのような極限状態までにならないように、戦争を始めさせないように、戦争につながるあらゆる施策に抵抗したいですね。
Q7まず私たちができることは?
A7:まず、憲法は人権保障のために国家権力をしばるもの、という大事なことがまだまだ知られていません。ご自身の仕事の社会における位置づけを知るためにも、ぜひ憲法や人権保障のしくみ、背景となる歴史的な事実について知ってほしいと思います。
私は韓国ドラマや韓国映画が好きなのですが、韓国のエンターテイメントは、自国の負の歴史も含め、社会問題や政治上の出来事を物語とあわせてドラマチックに描くことが非常に上手いです。そういった作品に、誰でも知っている有名な俳優たちがたくさん出演しているので、多くの市民が視聴しているところも特徴です。もちろん、日本の映画やドラマにも憲法や人権のことを考えるきっかけになる作品がたくさんあります。NHK朝ドラの『虎に翼』がまさにそれです。そういった、取っつきやすいものを入口に、憲法を身近に感じてみてください。 自分が楽しくなければ続かないし、他の人にも勧められません。最近、国会前にカラフルなペンライトを持った人たちがたくさん集まって、「憲法守れ」「戦争反対」「改憲反対」と楽しく声を上げています。憲法12条が言う「不断の努力」って、こういうことなんだなと思って励まされています。
[解説]立憲主義と国家公務員
国公労連顧問 鎌田一
立憲主義は権力をしばる
国家公務員の職務は、所属する各府省設置法や所管する法律に規定され、その法律に基づいて職務を遂行しており、私たちの仕事は、国民の生活確保と権利保障と分かちがたく結びついています。他方で法律には、必ず目的があり、権力の意思が反映する傾向が強いことから、国民に寄り添った法律がある一方で、大企業や富裕層に必要以上に配慮した法律も存在しています。これらの法律でも、権力が国民の権利を侵害することを許さないしくみが、立憲主義に裏打ちされた日本国憲法です。
立憲主義は、「権力に勝手なことをさせない」ために、権力が守るべきことを定めたものです。「民主主義が十分に機能すれば問題ないのではないか」という指摘もあります。しかし、民主主義国家は多数の意思に従って物事を決めるしくみですが、戦前の日本やナチスドイツ、ナポレオン帝政のように、独裁や一党支配の暴走への規制が機能しなかったなど、多数意思が過ちを犯す危険を持っていることは歴史が証明しています。そのため、近代国家では多数決でも変えてはならない事項をあらかじめ憲法に規定すること、すなわち、民主的に選ばれ正当性を持った国家権力をも制限する立憲主義が採用されています。
憲法を尊重し擁護するとは
国家公務員は、主権者であると同時に公権力を行使する側にもいるため、立憲主義に基づく憲法上のしばりがあります。それは、憲法第15条二項の「全体の奉仕者」の規定とともに公務員の原則を定めた第99条の「憲法尊重擁護義務」です。最初にこの規定に直面するのは、採用時の宣誓です。「私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の勤務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います」(職員の服務の宣誓に関する政令)という宣誓を全員が義務付けられています。憲法尊重擁護義務は、法的効力に影響のない訓示規定だとか、単なる倫理的・道徳的義務などといわれることもありますが、最高法規に明文化され、職務上も違反は懲戒処分の対象となり、宣誓の義務が課せられていることから、尊重擁護義務は立憲主義を構成する重要な規定であり、法的義務であるといえます。
自民党の高市総裁は、四月の党大会で来年に向けて改憲発議を実現する道筋をつける意欲を示しています。自民党は既に憲法改正草案を2012年に発表しており、草案では、国民にも憲法尊重の義務を課すなど、国民の義務を現在の教育・勤労・納税の三つの義務から「国防」、「日の丸・君が代尊重」、「家族助け合い」など、十以上の規定に国民へのしばりを課して立憲主義を転換しようとしています。
実際、自民党の改憲草案を推進する自爆連(自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合)の改憲草案の解説では、「国民は国にたいして、もっとつくすべきではないでしょうか」「立憲主義の考え方を日本式にあらためます」「新しい憲法草案では、この原則(立憲主義)が逆転し、国民が尊重しなければならない」としており、「個人の人権を守るために国家を縛る憲法」から「国民を支配する道具としての憲法」に転換しようとしています。
ふたたび戦争の奉仕者にならない
戦前、1925年の治安維持法、1938年の国家総動員法、1940年の大政翼賛会発足など、戦時政策が急速にすすめられ、当時の大日本帝国憲法で天皇に対して従順であることが義務付けられていた官吏(国家公務員)も戦争への協力を余儀なくされました。その過程で国民を監視、統制下におき、市民の熱狂をあおり、個人の権利は画餅に帰し、世界大戦へと突き進んだ結果、日本と世界の多くの人々が犠牲となりました。
国家公務員が「ふたたび戦争への奉仕者にならない」ためにも、憲法の全体の奉仕者の観点に立ち職務にあたることはもちろん、憲法を権力側の意図で立憲主義を転換しようとする動きに対峙していかなければなりません。憲法を尊重し擁護すること、すなわち、憲法の規定が守られない事態に積極的に対抗する義務を負う公務員として、その役割をいかんなく発揮できるよう自らの使命を問い直す時期に来ています。
【参考】
◆日本国憲法
第三章 国民の権利及び義務
「第十五条二項 すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」
第十章 最高法規
「第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」
◆大日本帝国憲法(明治憲法)
上諭(君主が臣下に諭し告げる文書。前文にあたる)
「朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ」
◆自由民主党日本国憲法改正草案(二○一二年四月二十七日)
第十一章 最高法規
「第百二条 全ての国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。」
戦争で真っ先に狙われる沖縄
沖縄では、基地負担や島民避難計画など、憲法で守られるはずの「あたりまえ」の生活が足元から揺らいでいます。沖縄で育ち、憲法を学んできた崎浜空音さんは、3月25日の「平和憲法を守るための緊急アクション」で、憲法が暮らしに届いていない現実とともに、平和に対する切実な思いを語りました。
先日卒業した大学の法学部で憲法を学んできました。憲法という最高法規が沖縄では十分に尊重されていないのでは、という問題意識があったからです。
私たち沖縄県民は、憲法の上に日米安保条約や地位協定がある中で暮らしています。「憲法を守れ」と言うとき、改憲から守るだけでなく、沖縄に憲法を適用してほしいという思いがあります。変えるべきは憲法ではなく地位協定です。もし改憲され戦争になれば、軍事力が集中する沖縄が真っ先に狙われるでしょう。沖縄戦を経験したのに、再び「日本を守るため」の最前線に立たされています。
祖父母の住む石垣島をはじめ、宮古・与那国・竹富・多良間では、台湾有事を想定した島民の避難計画が進んでいます。戦争が始まったら、リュック一つで島を出ろと言われてしまう恐れがあります。「琉球弧の戦場化を許さない」で検索すると状況がわかります。沖縄を戦場にしないため、一緒に声を上げていきましょう。
そして私たちは誰かを傷つける加害者にもなりたくありません。米軍は中東に派遣され、沖縄にいた部隊が誰かを傷つけているかもしれません。どの国でも戦争に加担したくない。沖縄を二度と戦場にしないため、平和と憲法を守り続けましょう。戦争のない世界を願い、共に歩んでいきたいと思います。
憲法特集は以上
Q&Aでよくわかる「明調」ってなに?
人事院は、4月22日から6月16日までの日程で、2026年(令和8年)の「職種別民間給与実態調査」(民調)を開始しました。人事院勧告の基礎資料となる重要な調査であることから、国公労連は民調の改善要求を毎年提出しています。改めてどんな調査なのか、Q&Aでまとめました。
Q1調査の目的は?
Q2調査対象は?
Q3今年のポイントは?
選択的夫婦別姓など女性差別なくす
「ジェンダー4署名」学習会ひらく 国公女性協
国公女性協は3月27日と4月15日に、憲法と女性差別撤廃条約にもとづくジェンダー平等の実現をめざして、「ジェンダー4署名」の請願内容を学ぶオンライン学習会を開催し、4単組3県国公からの参加がありました。
この学習会の開催は、女性協春の代表委員会の討論の中での「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意義が分かりにくいため、学ぶ機会を設けられないか」という意見がきっかけです。
国公女性協は、婦人団体連合会(婦団連)が提起する「選択的夫婦別姓の導入など民法・戸籍法の改正を求める請願署名」をはじめとした「ジェンダー4署名」に毎年とりくんでいますが、これまで署名の請願内容や意義を各組織に十分に伝えきれておらず、学習等の署名の推進は各組織に任せきりでした。そこで、この学習会では「請願趣旨」だけでなく、請願を求める理由や採択されたら社会はどう変わるかという視点も盛り込みました。
採択後のイメージ共有
「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める請願」が採択されれば、国内裁判に人権の国際基準が反映への後押しとなること、「選択的夫婦別姓制度」が導入されれば、性別に関係なくすべての人が自らのキャリアやアイデンティティを守れるようになることなど、採択後に予想される変化を具体的に伝えました。
意見交換では、「特に選択的夫婦別姓制度について理解を深められた」「請願採択されたら社会がどう変わるかという点の説明は難しい。もっと学習したい」「いろいろな署名があるが、意義を理解した上でとりくむ活動はできていない。今回のように学ぶ機会があるのはよい」「提出した署名の取扱いなど、フィードバックがほしい」といった感想や積極的な意見が出されました。
学習会のまとめでは、婦団連幹事として選出している根本副議長から「婦団連は毎年、ジェンダー4署名の提出集会及び請願趣旨に関する省庁要請を実施している。省庁要請では、外務省、内閣府、経産省など幅広い省庁と懇談し、署名に関連した要望だけでなく、女性労働者の強い要求を伝えている。今年は5月20日に署名提出行動が予定されているので署名集約にも協力願いたい」という呼びかけがされました。今後は、国公労連のジェンダー平等推進委員会の運動とも連携したとりくみを検討していきたいと思います。
