2023春闘スタート|激しい物価高騰からくらし守る賃上げを
人の命・健康に関わる物価高騰
誰もが安心して暮らせる社会へ
<1/6 新春宣伝行動>
全労連・国民春闘共闘は1月6日、2023年春闘のスタートを切る新春宣伝行動にとりくみました。東京では5か所でとりくみ、国公労連・各単組は虎ノ門交差点で宣伝を実施。国公労連・九後健治委員長(全労連公務部会代表委員)が「物価が大幅に上昇している。とりわけ電気代・ガス代など激しいエネルギー価格の高騰と多数の食料品の値上げなど、文字どおり人の命や健康に大きく関わる事態になっている。大幅賃上げ・賃金の底上げなどで誰もが安心して暮らせる社会にすることが必要なのに、岸田政権は1発3億円とも言われるトマホークミサイルを500発も買うなど防衛費の増額を狙っており、まったく逆の方向を向いている。いま必要なのは、外交努力による平和の構築と、税金を労働者・国民のために使うことだ。今春闘で大幅賃上げ・底上げを実現しよう」と訴えました。
内部留保を賃上げに
バルーンでアピール
<1/12 経団連包囲>
1月12日には全労連・国民春闘共闘が「2023年春闘闘争宣言行動」を実施。厚生労働省前行動、丸の内デモ、経団連包囲行動を展開しました。
国公労連・各単組から50人が参加。経団連包囲行動で「内部留保505兆円」「最賃1500円」のバルーンを掲げ、マスコミにも報道されるなど大きくアピールしました。
全労連・小畑雅子議長は経団連包囲行動で「長引くコロナ禍、物価高騰のもとでも大企業は内部留保を増やし今や505兆円。他方、労働者の実質賃金は27万円減。財界は賃上げを言いながら不安定雇用をさらに広げる雇用流動化政策を推進しようとしている。これでは経済再生は望めない。すべての労働者に物価高騰を超える賃上げの実現、最低賃金再改定と全国一律最賃制が必要だ。暮らしをおしつぶす大軍拡を許さず、憲法活かす社会をつくろう」と訴えました。
国公労連統一要求を決定
すべての職場で上申を
<第1波全国統一行動>
国公労連は1月13日に中央闘争委員会を開催し、月額2万5千円(6・2%)以上の賃上げをはじめとする2023年春闘における統一要求を確認しました。この統一要求を「第1波全国統一行動週間」(2月6〜10日)を基本に、任命権者・所属長に対して提出し、物価高騰を上回り生活改善できるすべての労働者の大幅賃上げ・底上げなど、組合員の切実な要求の実現にむけて、交渉を積み上げていくこととしています。それぞれの職場で所属長に対して要求書を提出し、3月3日までを基本に春闘統一要求の上申を勝ちとりましょう。
3/2 中央行動、3/3 国会
議員会館一斉要請行動の成功へ
<公共サービス拡充署名の集約を>
全労連・国民春闘共闘は3月2日に、「2023春闘勝利3・2中央総決起行動」にとりくみます。この行動は、歴史的な物価高騰やコロナ禍によって国民のいのちと暮らしが脅かされるもと、生活改善できる大幅賃上げ・底上げの実現や、誰もが安心して働ける労働法制の確立、全国一律での最低賃金1500円の実現など春闘課題を大きく前進させるとともに、政府に対して軍拡・増税ではなく暮らしを支える対策を求める総決起の場となります。
国公労連は、こうした国民的な要求課題とあわせて、大幅増員をはじめとする公務・公共サービスの拡充や、非常勤職員の均等待遇実現と雇止め阻止、再任用職員の処遇改善、定年延長など安心して働ける高齢期雇用の実現など、国公労働者の要求課題もかかげて結集します。
また、中央総決起行動の翌日の3月3日には、公務・公共サービスの拡充を求める請願署名の採択にむけた国会議員会館一斉要請行動にとりくみます。中央総決起行動および国会議員会館一斉要請行動の成功にむけて、公務・公共サービス拡充署名のいっそうの集約など職場・地域からとりくみをすすめしょう。
定年年齢が2023年度から段階的引上げ
定員・級別定数が不足のおそれ
政府・人事院が「特例定員」措置提示
2023年度から開始される定年引上げは、2031年度まで2年に1回の段階的な引上げとなっているため、定年退職者が2年に1回はゼロとなり、新規採用数を安定的に確保できないことが懸念されています。
また、いわゆる役職定年制の導入に伴い、60歳を超えた管理職員が下位の官職に降任・降格(役降り)させられるため、管理職員以外の級別定数が不足することとなり、これまでの昇格ペースを維持できないような事態も想定されています。
内閣人事局と人事院は昨年12月23日、こうした定年引上げに伴う弊害を解消・軽減するため、特例的な定員と級別定数の措置に関する「考え方」を各府省に提示しました。
級別定数の措置としては、「世代間の公平」に配慮し、職員のモチベーションの維持・高揚を図る観点を踏まえ、中堅・若手職員の昇格に必要な級別定数を確保することとされています。
定員の措置としては、組織の円滑な運営や国家公務員の志望者確保に支障をきたすことを回避し、定年引上げの影響を緩和して新規採用数を確保することを目的として、定年退職者が発生しない年度の翌年度に「特例定員」を1年時限で措置し、その両年度(最初は2024年度と2025年度)の試験採用数の平準化を図ることとされています。いわば、一時的に(2年に1回のスパンで)予算定員の枠外にある特例的な定員が措置されるイメージです。
内閣人事局は、「特例定員」の措置などをさらに検討し、2023年夏にとりまとめる2024年度の人件費予算の配分方針において、「特例定員」の要求上限基準を反映することとしています。
なおも懸念される人事管理の弊害
定年引上げに伴う影響は、とりわけ中堅・若手職員の不利益として転嫁すべきではなく、昇格における「世代間の公平」を徹底して実現することが不可欠です。
人事院が提示した級別定数の措置は、「中堅・若手職員の昇格に必要な級別定数を確保する」という文字どおりの運用が実現するならば、一定程度の実効性を期待できますが、さまざまな不確定要素や人事院の査定に当たっての姿勢などにも左右されるおそれがあります。これまでの昇格ペースが維持されるよう、必要な級別定数の確保を人事院に要求していかなければなりません。
一方で、内閣人事局が提示した定員の措置は、実質的に予算定員の超過が許容されるものとなりましたが、「特例定員」が1年時限であることは致命的な問題です。その翌年度にはすべて解消されてしまうため、定年引上げが完了するまでの10年間の新規採用数は、これまでの5割程度に抑制されることが想定されます。
その結果として、新規学卒者などが国家公務員に就労する機会を剥奪されるばかりでなく、国の行政機関としての機能を将来にわたって確保するため、各組織の年齢別人員構成の均衡を図ることも困難となるおそれがあります。適切な人材確保などにあたって、想定されるあらゆる問題を解消するよう、内閣人事局に要求していく必要があります。
また、職場の労働組合として留意すべきことは、職員への高齢期雇用の情報提供・意思確認などにあたって、新規採用数の確保を口実とした暗黙的な退職の強要(定年引上げの希望撤回の勧奨など)を許さないことも極めて重要です。
さらに、人事評価制度を悪用し、昇格要件を得られるような上位の評価を意図的に付与しないという運用も懸念されます。その結果として、昇格該当者が減少し当選率が高くなることにより、もともと従来の昇格ペースを維持する級別定数が不足していたことが見えなくなり、昇格ペースが後退するおそれもあります。
2024年度の定員と級別定数の措置を決定する2023年夏の概算要求期に向けては、各級機関の当局交渉を強化するとともに、各府省・職場レベルの監視を強化していくことが不可欠です。