賃金改善2年連続3.5%超、再任用8.5%
能力・実績主義強化の「人事制度の見直し」には反対
――2026年人事院勧告にあたっての声明――
2026年8月7日 国公労連中央闘争委員会
人事院は本日、政府と国会に対して、国家公務員の給与に関する勧告・報告及び公務員人事管理に関する報告を行った。
官民較差に基づいて、月例給は3.51%(15,056円)、一時金は0.05月分の改善を勧告した。この勧告の背景には、26春闘で全労連・国民春闘共闘に結集する労働者・労働組合が、ストライキ権を確立・行使するなど、交渉力を発揮し、粘り強くたたかうなかで4%に迫る賃上げを勝ち取った運動の成果がある。このたたかいに結集された全国の仲間のみなさんの奮闘に心より敬意を表する。
今回、月例給は昨年に続き3.5%を超える改定率となった。
官民較差の配分では、初任給をそれぞれ9,500円引き上げるとともに、すべての職員を対象に俸給表全体を引き上げた。各組織の業務遂行において重要な役割を担っている中堅層以上の職員についても、配慮した改定が行われ、昨年を上回る改定額となった。再任用職員については、「職種別民間給与実態調査」における民間のフルタイム勤務再雇用者の月例給との比較を踏まえて、近年の考え方に基づく改定率を大幅に上回る平均8.5%の改定が行われた。このことは、組合員やその家族の生活改善に向けて全世代の賃上げを要求してきた私たちの運動の成果である。
しかしながら、頻発する自然災害への対応をはじめ国民のいのちやくらし、権利を守るために昼夜を分かたず奮闘している職員の労苦に報いるには不十分である。「令和8年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」との比較では、定昇分込みで試算しても依然0.7ポイント程度の官民較差は解消されない。「骨太の方針2026」で「物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を賃上げのノルム(社会通念)」として定着させることや賃上げが「成長戦略の起点である」などと謳われていることを踏まえれば、約900万人の労働者に影響する国家公務員の賃金改定率としては低水準である。
高齢層職員の処遇も一定の改善が図られたものの、物価上昇分に及ばず、さらには55歳超職員の昇給停止・抑制措置、60歳超職員の賃金7割措置という過剰かつ不合理な賃金抑制は残されたままであり、職務・職責に見合う早急な是正が必要である。とりわけ、情勢適応の原則に反しているとも言える賃金7割措置の是正が給与勧告に反映されないことは極めて不満である。7月28日に政府が公表した「人材改革プラン」のスケジュールにこだわることなく、官民較差が確実に解消されるよう、必要な措置を早急に検討・実現することを求める。
今回、転勤する職員の経済的な負担をより軽減するための措置として、広域異動手当の支給割合の引上げと転居手当(仮称)の新設、特地勤務手当に準ずる手当の支給対象官署の拡大が打ち出された。広域異動手当については、現行の距離区分が2区分しかなく、経済的な負担の解消もさることながら、「給与上のインセンティブを更に向上させる」うえでも、その設定をよりきめ細かくすべきである。転居手当については、単身赴任の場合にも支給期間を3年間とすることに伴う勤務条件の不利益変更は到底容認できない。単身赴任の特例を定めるなど、勤務条件の不利益変更を確実に回避するとともに、異動に伴う職員の精神的・経済的な負担の解消を求める。
人事院が、人材確保に向けても喫緊の課題である住居手当の改善や、一時金について成績査定分に相当する勤勉手当ではなく職員の生活悪化に少しでも歯止めをかけるべく要求してきた生活補給金に相当する期末手当への重点配分に応えなかったことは看過できない。
再任用職員については、一時金が常勤職員と同じ0.05月の改善となったものの、支給月数が常勤職員の約半分とされている問題は解消していない。
非常勤職員については、7月22日に「給与に関する指針」などが改正され、扶養手当と住居手当の支給を促進する措置が講じられた。これは当事者と一緒に格差是正を追及してきた私たちの運動の成果である。一方、今回の勧告に伴い、常勤職員に連動した賃上げは想定されるものの、寒冷地手当の支給などには言及がなく納得できるものではない。
厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」の理念を反映し、再任用職員・非常勤職員と常勤職員との不合理な格差は即刻解消すべきである。
公務・民間問わず、優秀な人材確保が至上命題となっているもと、その方策として「人事制度の見直し(骨格)」が示された。
この見直しでは、「激しい人材獲得競争が続く中でも、公務に志高く優秀な人材を確保し、定着させることが不可欠である。そのためには、採用の種類や年次に縛られず、人事評価に基づき、幅広い人材から登用・抜てきを行うなど、優秀な人材が魅力を感じる人事制度を実現する必要がある」とし、実力本位で活躍できる公務として能力・実績主義をさらに強化しようとしている。その基礎となる現在の人事評価制度には、公正性・透明性・客観性・納得性が確保されておらず、職場での矛盾と弊害が顕著となっている。「人が人を評価すること」の限界と困難性を踏まえれば、その恣意性を完全に排除できないことなど、人事制度としての致命的な欠陥がある。そうした評価結果を直接的に反映する昇給や勤勉手当の給与格差は、職員の不公平感を蔓延させ、過剰かつノルマ的な業績管理は、職場の疲弊や職務へのモチベーションの低下につながってきた。人事評価制度は職員の成長支援や人材育成に活用すべきであって、能力・実績主義の強化に活用すべきではない。
一方で、「総合職試験等からの新規採用職員に対するアンケート」(人事院)の結果を見れば、若年層を中心とした職員の価値観は、能力・実績主義の強化よりワークライフバランスを重視する傾向が顕著となっている。前述した人事院の前提が正しい認識に基づくものなのか、職員のニーズなどを改めて検証することが必要である。
いずれにせよ、「新たな人事制度」などを検討する場合であっても、勤務条件そのものに直接的に影響することを踏まえ、その過程で広範かつ透明性のある議論を保障するとともに、人事評価制度への責任を自覚しつつ、国公労連と実効性のある交渉・協議を実施することを求める。
職場では変わらず長時間過密労働が蔓延している。人事院は公務員人事管理に関する報告において、働きやすい環境の整備として月100時間等の上限を超える超過勤務の最小化に向けて伴走支援の対象府省を拡大するとしているが、長時間過密労働の根底にある人員不足を解消しない限り、抜本的な改善は見込めない。超過勤務を規制する強制力をもった措置とあわせて、人的体制を充実させるよう、政府・内閣人事局への働きかけを引き続き強めることを求める。
今後のたたかいは、政府との交渉へと移る。国公労連は27春闘を視野に入れ、各単組・ブロック・県国公と連携して職場・地域からの運動で要求を前進させてきたことを確信に、公務員賃金の早期確定、公務・公共体制の拡充など諸要求実現をめざす。同時に、要求実現に不可欠であるたたかう体制の確立、「対話と学びあい」による組織拡大に全力をあげる決意である。
人事院勧告期のたたかいに奮闘された全国の仲間のみなさんに心から敬意を表するとともに、引き続く国公産別のたたかいへの結集を呼びかける。
以 上
