改正給与法の成立にあたって(談話)

2025年12月16日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 笠松 鉄兵

 本日、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(以下、改正給与法案)が参議院本会議において、可決・成立した。

 国公労連はこの間、政府に対して物価高騰から公務労働者、ひいては国民・労働者の生活を守るために生活改善できる大幅な賃上げの早期実現を求めてきた。しかし、生活改善には不十分であり、かつ、成立時期も遅く極めて不満である。

 そもそも、改正給与法案の閣議決定日が12月8日では、人事院勧告が想定している一時金の基準日である12月1日までの成立はそもそも不可能である。こうしたことが2年連続、直近5年で3回も発生しており、異常な事態と言わざるを得ない。政府が多岐にわたる賃金改善を事実上「凍結」状態としたことは、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告をも軽視する重大な権利侵害である。また、地方自治体や独立行政法人など約900万人の労働者の賃上げや労働条件の確定も遅延させており、政府及び国会が国民・労働者から最も求められている生活改善にブレーキをかけていることも重ねて問題である。

 このように、人事院勧告制度がないがしろにされ、もはや十分に機能していない実態を踏まえれば、労働基本権の全面回復は待ったなしの課題と言える。国公労連はあらためて、公務労働者の権利回復を求めるために、職場内外で世論を高めるとりくみをすすめていく。

 一方、独立行政法人や国立大学法人等の労働条件決定は、労使自治のもとで決定される仕組みになっており、人事院勧告に準拠する形がとられてきたものの、国立病院機構をはじめとする一部の組織では、その水準すら確保できない状況に置かれている。そこで働く労働者の生活はもとより、各法人における人材確保や学費の値上げなど、深刻な影響を及ぼし、先の改正給与法案をめぐる国会審議でも問題視されている。こうした課題の解消にむけて運営費交付金を措置・拡充するなど、政府の責任を果たすことを求める。

 2026年国民春闘が幕を開けようとしている。円安の進行や、トランプ政権の高関税政策の影響が懸念されるもと、2026年国民春闘こそは生活改善できる全労働者の大幅賃上げ・底上げの実現が求められている。国公労連は、社会的な賃金闘争(公務員やケア労働者の賃上げ、最低賃金、公契約)を基軸に、900万人の労働者に影響を及ぼす公務員賃金改善を柱に春闘を主体的にたたかう決意であり、すべての組合員が職場・地域で提起される行動に積極的に参加するよう呼びかける。労働者・労働組合の団結の力で国民春闘勝利をめざし、職場・地域で大いに奮闘する決意である。

以 上

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