予備自衛官等兼業特例法案に反対し、廃案を求める(談話)~予備自衛官等になることの強要・強制は絶対に許されない
2026年4月15日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 笠松 鉄兵
政府は本年4月3日、「予備自衛官等の職務の円滑な遂行を図るための国家公務員及び地方公務員の兼業の特例に関する法律案」を第221回国会(特別会)に提出した。
本法案の提出に至った経緯としては、2024年12月20日に決定された「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」のなかで、自衛官等の処遇を改善するとともに、「国家公務員又は地方公務員が予備自衛官等の職を兼ねる場合においても、訓練に参加しやすくするための施策を講ずる」とされたことにある。
本法案は、兼業許可制度に係る国家公務員法等の特例として、①予備自衛官等になる時に招集に応じることも含め承認を受ける、②職務専念義務は免除とする、③訓練招集に応じた期間の本務の給与は減額しない措置を設けるもので、いわば予備自衛官等の兼業を行う場合に召集に応じやすい環境を整備するためのものとされている。
しかしながら、国家公務員は、「国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」(国家公務員法第96条第1項)とされていることから職務に専念する義務が課せられ(同第101条)、兼業は原則として禁止されている(同第103・104条)。この大前提を乱暴に覆し、政府の都合により特別立法によって形骸化させることは断じて認められない。
また、所属長の判断なしに職務専念義務が免除されることとなれば、必然的に招集に応じる義務が生じる。国家公務員等の兼業は、職務の遂行に支障のない範囲で例外的に許可されるに過ぎない。職場の人的体制が不十分なもと、招集に人員がさかれれば、本務業務の遂行に影響を及ぼすことは必至であり、国民に対する公務・公共サービスの低下につながる恐れもある。他の職員の労働強化も不可避であり、勤務条件や健康問題、人事評価、代替要員とその確保に必要な職場予算などにも影響する問題である。それにもかかわらず、政府は国公労連との交渉・協議も行わないばかりか、一方的に本法案を閣議決定し、国会に上程した。このような政府の不誠実な対応に厳重に抗議する。
そもそも、予備自衛官等の兼業を行っている国家公務員等から本法案で定める特例を求める声が多くあがっているのか疑わしく、なぜ公務員を中心に招集を求めるのか政策的な妥当性の議論が不足しており、立法事実が乏しいと言わざるを得ない。職務専念義務と給与減額の特例を予備自衛官等の兼業にだけ適用することも極めて不均衡であり、その合理性が見当たらない。
したがって、本法案には反対であり、廃案にして白紙撤回すべきである。
近年、自衛官の定員割れが続き、予備自衛官等も含めて充足率(自衛官:約9割、予備自衛官:約7割、即応予備自衛官:約5割)が十分でなく、政府としては自衛官等の確保が至上命題となっている。この背景には、政府が2014年に集団的自衛権行使を容認する閣議決定を行い、安保法制を強行(2015年)、2022年には安保三文書を策定し、これらに基づく大軍拡をはじめ、アメリカと一緒になって「戦争できる国」づくりをすすめてきたことがある。
現在、自民党内部では、安保三文書の年内改定に向けた議論もはじまり、党大会では高市首相が憲法改正について今後1年で国会発議に道筋をつける考えを表明するなど、改憲に向けた流れをいっそう加速させようとする動きが顕著になっている。さらには、アメリカ・イスラエルによる国際法を無視したイラン攻撃などが現実として起こっているなかで、まさに、日本がアメリカの戦争に追随し、自衛隊員が人の命を奪ってしまう、自らの命が奪われてしまう将来が目の前まで迫っていると感じている国民も少なくない。本法案の国会提出に対し、SNS等で「徴兵制への第一歩」「戦争準備」などの批判の声もあがっている。
本法案は、国家公務員等が予備自衛官等になることを推奨するものではないはずである。ましてや予備自衛官等になることを強要・強制することは、国家公務員等の職業選択の自由を侵害するものであり、絶対に許されない。「ふたたび戦争の奉仕者にならない」とのスローガンを掲げている国公労連として、仮にそうした場面が現出すれば、その阻止にむけて組織の総力をあげてたたかう決意である。
以 上
