26人事院勧告の取扱い〈政府と最終交渉〉
給与改定の先送り許さない
(リード)
国公労連は10月8日、2026年人事院勧告(以下「26人勧」)の取扱いに関する政府(内閣人事局)との最終交渉を実施しました。内閣人事局は、「人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、…明日、勧告どおり令和8年度の給与改定を行うとの取扱方針が決定される方向である」と回答しました。終息する兆しのない物価上昇に苦しむ職員とその家族の生活実態を改善するため、26人勧に基づく賃金改定を完全かつ早期に実現させる必要があります。
(本文)
近年の人事院勧告の取扱いは、過去5年間の3回にわたって、政局に紛れたまま放置され、改正給与法の成立・施行が遅延しました。労働基本権の代償措置である人事院勧告を軽視する重大な権利侵害であり、とりわけ直近の2年で賃金改善が「凍結」状態となったことは、到底容認できません。10月5日に臨時国会が召集されましたが、最大の論点である消費税減税の財源が明示されておらず、歳出の見直しによる国家公務員の人件費への影響も不透明ななか、最後まで予断は許されません。
さらなる賃金改善に向けた諸課題
26人勧では、多岐にわたる賃金改善を実現しましたが、さまざまな課題も残されています。
総務省が9月に公表した2025年の消費者物価地域差指数では、総合物価水準で最高の東京都が104・2、最低の群馬県が96・2であり、その格差は8・3%です。国家公務員の地域手当は、東京都特別区の支給割合が20%であり、消費者物価指数と約12ポイントも乖離する賃金の地域間格差は、生計費原則を形骸化させています。
本指数では、第3位に北海道、第6位に沖縄県、第9位以下に山形県、岩手県、高知県、熊本県、長崎県とつづいています。いずれも都道府県ごとの地域手当の非支給地であり、むしろ生計費が重視されるべき地域別最低賃金のCランクの道県が上位を占めています。官民を問わず賃金の地域間格差が労働者の生活実感、すなわち生計費に見合わないものとなっています。これらを早急に是正するためには、地域手当を「将来的には廃止し、その原資は全世代を対象とする俸給額の引上げに活用すること」という要求をさらに主張していく必要があります。
また、再任用職員には、前年を大幅に上回る賃上げが期待されています。26年人勧では、「いずれの役職段階においても公務が民間を下回る状況にある」ことを踏まえ、平均改定率が8・5%とされました。
しかしながら、これまでの人事院の説明では、「再任用職員の給与は、民間の再雇用者の状況も踏まえつつ、俸給と特別給を合わせて適正な年間の給与水準を確保し得るように設定されて…いる」というものに終始していました。
再任用職員の職務・職責の変化と高度化を踏まえれば、単純に「民間の再雇用者の状況」と比較し、「俸給と特別給を合わせて…年間の給与水準」を設定することそのものが不合理であり、むしろ職務給原則を徹底し、常勤職員との均等・均衡待遇こそを実現すべきです。期末・勤勉手当は常勤職員の約5割の支給月数にとどまっていますが、人事院の職種別民間給与実態調査では、民間の再雇用者のボーナスの平均支給月数を対象としていないこととされています。「年間の給与水準」を設定するに当たって、「民間の再雇用者の状況も踏まえ」てきたという説明にも疑義があります。
最終交渉では、再任用職員の不合理で差別的な賃金体系について、人事院が長期間にわたって放置していることを踏まえ、政府として抜本的な措置を早急に講じることを求めました。
情報漏えい追及 職員の不安解消を
賃金以外の諸課題として、デジタル庁が9月に公表したGSSでの個人情報の漏えいも追及しました。
職員の氏名、メールアドレス、電話番号、住所等の約18・9万件が漏えいした可能性があり、その被害は甚大です。デジタル庁が周知しているとおり、「現時点において、…個人情報の悪用等の二次被害は確認されて」いませんが、「なりすましメールやフィッシングメール等に悪用される可能性」があります。国民の財産や権利を侵害するおそれがあることはもとより、その加害者として疑われ得る職員の不安も深刻です。
行政DXを推進する場合であっても、その基盤である情報システムの脆弱性が解消され、安定的かつ効率的な運用を確保する必要があります。これまでにも情報システムの不具合によるリカバリーの業務が増大し、職場の負担感や長時間過密労働に拍車をかけ、行政サービスの利用者の不満や不信感は、カスタマーハラスメントにもつながってきました。
行政DXの在り方は、職員の労働条件にも影響することを踏まえ、労働組合との交渉の機会を確保することが不可欠です。
憲法守れ、戦争させない
9・19全国331カ所で声上がる
安全保障関連法の強行成立から11年となる9月19日、全国各地で憲法9条を守り、戦争反対を訴える集会やデモがとりくまれました。
国会正門前には1万5000人が集まり、全国47都道府県331カ所で約2万6000人が参加しました。各地では国公のなかまも行動に加わり、憲法9条を守り、平和な社会の実現を求めました。
【愛知国公発】愛知では、愛知国公のなかまが「憲法をくらしと政治にいかす 改憲NO!あいち総がかり行動」の集会とデモに参加しました。名古屋市内で開かれた集会には500人が参加し、東京大学大学院教授の本田由紀さんが高市政権の問題点などについて講演。集会後は栄の繁華街をデモ行進し、沿道からピースサインを送る人や、飛び入りで参加する若者の姿も見られました。
【神奈川県国公発】神奈川では、神奈川県国公のなかまが桜木町駅前で行われた宣伝行動に参加しました。行動には約200人が集まり、デモカレンダーを見て訪れた人や、飛び入りでスピーチする人も見られるなど、市民の参加が広がりました。
【兵庫県国公発】兵庫では、兵庫労連の宣伝行動に兵庫県国公から4人が参加。公正・公平な行政と国民のいのちやくらしを守る公務労働者の使命を踏まえ、憲法を守るとりくみに加わりました。
新連載「新たな人事制度」をめぐる諸課題
第1話顕著な現制度の矛盾と弊害
2026年人事院勧告では、「公務に志高く優秀な人材を確保し、定着させる」ため、「採用の種類や年次に縛られず、人事評価に基づき、幅広い人材から登用・抜てきを行うなど、優秀な人材が魅力を感じる人事制度を実現する必要がある」という認識のもと、「組織のパフォーマンスを最大化し、職員が実力本位で活躍することができる魅力的な公務の実現に向け」、本府省幹部職員等(事務次官級から課長級まで)を対象に人事制度の見直しを先行実施するとして、「措置の骨格」が報告されました。27年夏には「具体的な内容」が報告されています。
国公労連は、こうした「新たな人事制度」の基礎となる現在の人事評価制度には、公正性・透明性・客観性・納得性が確保されておらず、職場での矛盾と弊害が顕著となっている実態を踏まえ、25年10月から人事評価制度に関わる要求事項を検討してきました。本年8月の第72回定期大会で確認した「人事評価制度の抜本的な改善に向けた要求書」は、9月25日に政府宛て、10月2日に人事院宛てに提出しています。また、「『新たな人事制度』等に関する検討会」を開催し、27年人勧などに向けた議論を継続しています。
本稿では、人事院が検討している「新たな人事制度」をめぐる諸課題を複数回にわたって解説します。
職務・職責をより重視した給与体系とは
26人勧では、本府省幹部職員等は、「高度な政策の企画立案や調整等を行い各府省の政策決定等において中核的な役割を担って」いるにもかからず、「人材獲得競争で競合する民間企業において同等の職務・職責を担っている役員等」の年収水準を「大幅に下回る状況にあるとの指摘もある」という前提のもと、「適切な人事評価に基づき、適任者が任用されることを前提として、…その職務・職責に見合った処遇を確保していく必要がある」としています。また、「新たな給与体系」として、次のような措置を検討しています。
給与の構成は、「簡素で分かりやすい構成とするため、俸給のほか、業績等手当(ボーナスに相当)、通勤手当、転勤に関する総合的な手当を基本とする」としています。人事院の説明では、「従来の期末手当、勤勉手当の『良好』相当分、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当、地域手当等」の諸手当は、俸給への繰入れが検討されています。
俸給は、「級・号俸から成る俸給表ではなく、年功的な要素を排し、現行の指定職俸給表を参考とした俸給表を新設する。同一役職段階の中でも、各ポストの職務・職責には違いがあることを考慮し、役職段階ごとに複数の俸給月額を設定した上で、各ポストの俸給月額をその職務・職責を踏まえて決定する」としています。人事院の説明では、本府省幹部職員等は「昇給しない」仕組みが検討されています。
さらに、「新たな給与体系への円滑な移行」を目的として、次のような措置を検討しています。①恒常的なポストの職務・職責の変化に対応するため、各ポストの俸給月額を変更する場合のプロセス、②年度単位のポストの職務・職責の変化を迅速に給与に反映させるため、暫定的に給与を調整する仕組み、③本府省から管区機関への人事異動など、円滑な人事異動にも資するよう本府省以外の幹部ポストの職務・職責を踏まえた給与上の措置です。人事院の説明では、③の「本府省以外の幹部ポスト」とは、「指定職俸給表が適用される官職」が想定されています。
本府省幹部職員等を対象とする「新たな人事制度」ですが、これらが私たちの職場にどのように影響するのでしょうか。次回からは、その諸課題を解説します。
国公女性協 秋の代表委員会
安心して働ける職場づくりを
国公労連女性協は、9月19・20日、都内で「2026年秋の全国代表委員会」をオンライン併用で開催しました。7単組1ブロック6県国公から27名が参加し、26年度運動方針や統一要求等を確立しました。
国公労連の伊吹五月書記次長から来賓挨拶をいただいた後、関口香織議長が26年度運動方針案等を提案しました。全体討論では、「家庭事情からやむなく離職した職員がいたが、こうした職員をなくしたい」「当局には、カスハラは絶対に許さないという立場を明確に打ち出してほしい」「交替制勤務の職場だが、人手不足で、妊娠しても夜勤のない部署への配置換えがされにくくなっている」「短期介護休暇について、1人につき10日間とする等、具体的に要求してほしい」「学習会の参加者が毎回同じ顔ぶれなので各単組は積極的な声かけを」など職場実態だけでなく、改善に向けた要求についての発言が多数ありました。今後、要求書の文言検討や交渉での主張に活用していきます。
次年度の役員体制については、女性協議長に関口香織現議長の再任が承認されました。今後、各単組の協力を得ながら体制の構築をはかっていくとともに、国公女性協運動のとりくみをさらに強化していく観点から運営事項の「申し合わせ」についても議論を深めていくことを全体で確認し、委員会を終えました。
