国公労新聞2020年6月10日号(第1544号)

【データ・資料:国公労新聞】2020-06-10
夏季闘争方針を確認
人事院勧告は9月下旬以降
公務員バッシングはねかえし賃上げへ


 国公労連は、6月5日に開催した中央闘争委員会で夏季闘争方針を確認しました。当初は、4月24日に第155回中央委員会を開催し、概算要求期や人事院勧告期における要求実現のとりくみをいち早く展開することとしていましたが、コロナ禍を踏まえ中央委員会は中止としたものです。
 今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から政府による外出自粛が要請され、企業活動の縮小・停止など世界的に経済が大きなダメージを受けました。
 こうした状況の下でたたかわれた2020年春闘では、新型コロナ禍を口実にベアゼロや低額回答が相次ぎ、雇い止めや解雇、休業手当の未払いなども深刻な状況になっています。また、労働組合のとりくみにおいても春闘期の集会・行動が中止・延期されています。
 
狙われる賃下げ共感ひろげ賃上げへ
 国公労働者の労働条件をめぐって、通常なら5月の大型連休明けからスタートするはずだった民間給与実態調査が6月末から実施されることになっており、例年なら8月上旬に出される人事院勧告も9月下旬以降になることが見込まれます。加えて、新型コロナ禍の下で民間における賃上げや一時金の支給状況がきびしくなっている中での調査であり、勧告内容そのものもきびしいものになることが想定されます。
 さらに、一人あたり10万円を支給する「特別定額給付金」や、国家公務員の定年延長などをめぐって「公務員は優遇されている」といった主張もあり、公務員の賃下げが狙われる危険性についても注意しておく必要があります。
 一方、新型コロナの感染拡大を食い止められなかったのは国立感染症研究所の人員や予算が切り捨てられてきたからという指摘や、国民の暮らしを下支えする雇用調整助成金や持続化給付金、生活支援金などの業務がスムーズに行われていないことについて、業務に携わる公務員が圧倒的に少ないことが国会でも取り上げられるなど、この間国公労連が主張してきたことに対する理解や共感も広がってきています。

6・7月の全国統一行動で職場から声をあげよう
 こうした中でたたかわれる夏季闘争は、国公労働者の生活と働きがい、国民のくらしと権利を守るという点で重要な意義を持っています。
 先述したように人事院勧告の時期は例年より大幅にずれ込むことになりますが、概算要求の提出についても、例年より1カ月遅い9月末とされています。行政としての責任を果たそうとしても、脆弱な体制の下で多くの国公労働者が、長時間過密労働を余儀なくされ、健康に危機感を感じながら奮闘しています。こうした奮闘に報いる処遇や労働条件を実現することは当然です。そのためにも来年度の概算要求に私たちの声を反映させる必要があります。
 以上の点をふまえ、政府・人事院側のスケジュールは後ろ倒しになっているものの、私たちの運動はそれにあわせるのではなく、国公労働者の要求実現にむけた国民世論づくりや当局追及をいち早く開始することとします。したがって、6月22日の週を「第1波全国統一行動週間」として、職場集会を開催し、概算・人勧期の重点要求を確認するとともに、少なくとも任命権者が在する全機関で要求書を提出することを提起しています。さらに7月20日の週は「第2波全国統一行動週間」として、要求をめぐる情勢や運動の到達点を確認し、押し上げをはかる意思統一を行い、政府・人事院あての「職場要求決議」を採択・送付することを提起しています。また、人事院勧告作業や概算要求作業がヤマ場を迎える9月に設定されている全労連公務部会の「夏季闘争独自行動」に結集するとともに、地方でも人事院地方事務局追及などのとりくみが求められています。

定年延長の実現 行政体制の拡充を
 国家公務員の定年延長法案は、検察庁法「改正」案をめぐる混乱によって、今通常国会では成立しないこととなり、今後の取り扱いも不透明なままとなっています。しかし、一方で雇用と年金の確実な接続の実現が求められていることから、検察庁法「改正」案から「特例定年」条項を削除したうえで法案を分離するとともに、国家公務員の定年延長については、給与水準のあり方や役職定年制などの諸問題について早急かつ丁寧に議論するよう求めていく必要があります。
 春闘段階からとりくんできた「公務・公共サービス拡充を求める国会請願署名」は、新型コロナウイルスや国会の混乱などの状況をふまえ、次期臨時国会での請願採択をめざすこととします。したがって各ブロック・県国公を中心に、コロナ禍で明らかになった行政体制の脆弱性を訴えるなど、引き続き紹介議員の獲得を求めて地元国会議員要請にとりくむことを提起しています。
 6月1日から人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)が施行されました(2面参照)。この間、国公労連として人事院ヒアリングでの意見表明をはじめ、交渉等でも追及を重ねてきました。今後は現場における運用が実効あるものとなるよう、職場からの監視を強めることが重要となっています。
 新型コロナの影響により、多くの職場で在宅勤務が命じられたり、メーデーをはじめとした集会や行動も中止・縮小が相次ぎ、職場内での労働組合活動も極めて困難になりました。加えて、4月の新規採用者に対する研修の中止によって組合加入の訴えも十分行えなかったという報告もあります。
 依然として感染拡大防止が課題となる一方で、それぞれの行政としての対応が求められており、業務の繁忙が増すなかで職場でのコミュニケーションがとりにくくなっています。だからこそ組合員同士の対話が重要であり、それを通じてこの間勝ちとってきた新型コロナにかかる特別休暇などの到達点を知らせ、職場で起こっている問題や要求などを掘り起こし、働きやすい職場をつくっていくことが求められます。


 
ハラスメントは禁止
パワハラ防止等にむけた人事院規則が6月から施行



 本年4月に公布されたパワー・ハラスメント(以下、パワハラ)の防止等にむけた人事院規則10-16が6月1日から施行されました。また、各省庁においても防止等にむけた訓令が制定されています。
 人事院規則ではパワハラの定義について、「職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。(人事院規則10-16第2条)」と規定しました。そして、「職員は、パワー・ハラスメントをしてはならない。(人事院規則10-16第5条第1項)」と禁止しました。
 「職務に関する優越的な関係を背景として行われる」言動については、「当該言動を受ける職員が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの(運用通知第2条関係第1項)」とされ、①職務上の地位が上位の職員による言動、②同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な状況下で行われるもの、③同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの、とされました。
 検討段階では、公務職場特有のハラスメントである「他省庁の職員による言動で、当該言動を行う職員の所属部局の権限の関係で、当該職員の了解を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な状況下で行われるもの」「職員が担当する行政サービスの利用者等からの言動で、当該行政サービスをめぐるそれまでの経緯やその場の状況により、その対応を打ち切りづらい中で行われるもの」もこの言動例に盛り込まれることが想定されていましたが、今回の規則改正等では、「各省各庁の長の責務(人事院規則10-16第4条)」に盛り込まれました。
 これに関し人事院は「他省庁の職員による言動については、規則第4条第2項において、パワー・ハラスメントになり得ることを当然の前提として、各省各庁の長の責務を規定することから、運用通知第2条関係第1項において『職務に関する優越的な関係を背景として行われる』言動の典型例として重ねて掲げる必要はないと法制的に判断したもの。さらに、省庁間をまたいで優越的な立場にある職員に自制を求めるべく、職員が認識すべき事項として運用通知別紙第1『パワー・ハラスメントを防止しパワー・ハラスメントに関する問題を解決するために職員が認識すべき事項についての指針』の第1の1の五において規定した。また、行政サービスの利用者等からの言動に対しては、組織として対応するということを明らかにするため、各省各庁の長の責務として運用通知第4条関係第1項第5号で規定する方が適切と判断したもの。」としています。

職員を増やすなど職場環境の改善も
 利用者等からの言動例が盛り込まれなかったことは問題ですが、「各省各庁の長の責務」となった以上、この責務を果たさせる追及を強めていくことが重要です。
 また、運用通知第4条関係第1項第2号では「パワー・ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するため、業務体制の整備など、職場や職員の実情に応じ、必要な措置を講ずること」とされています。この間、頻発する自然災害や今般の新型コロナウイルス感染症の拡大であらためて「公務員が足りない」状況が明らかになっています。職場では長時間過密労働が蔓延し、職員どうしのコミュニケーションがなかなかとれない状況とともに、人事評価の導入・実施もあって、人間関係もギスギスしがちです。ハラスメント一掃と公務・公共サービス拡充の観点からも、職員を増やすなど職場全体を改善することを求めていくことが必要です。

ハラスメントの根絶で誰もが安心して働ける職場へ
 パワハラをはじめとするハラスメントを根絶するためには、労働組合の役割はきわめて重要です。国公労連が2018年6月に実施した「国公職場におけるセクハラ・パワハラ実態調査」では、ハラスメントが起こった際に「労働組合に相談し、パワハラ(セクハラ)をやめるよう伝えてもらった」場合に約6割が改善される結果となっています。
 「各省各庁の長の責務」を果たさせることはもちろんのこと、ハラスメントが起こっていないかどうか、職場の隅々までアンテナをはり、相談活動を展開すること、監視の目をより多くするために組織を強化拡大することが求められます。
 新型コロナウイルス感染症対策等で職場が多忙になっている今だからこそ、ハラスメントの根絶をはじめ、「誰もが安心して働ける職場」をめざして労働組合の役割をおおいに発揮していきましょう。