働きがいのある職場づくりに向けて引き続き奮闘しよう
――2020年統一要求に対する政府・人事院回答を受けて(声明)

【私たちの主張:私たちの主張】2020-03-23
2020年3月23日
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
第2回中央闘争委員会
 
1、政府および人事院は、国公労連が2月19日に提出した「2020年国公労連統一要求書」および「非常勤職員制度の抜本改善を求める重点要求書」等に対し、3月23日に最終回答を行った。
 昨年10月の消費税増税によって10~12月期の実質成長率が大幅なマイナスとなり、この1~3月期もマイナス成長が予想されている。そしてそれに追い打ちをかける新型コロナウイルスの感染拡大によって日本における経済活動の停滞が懸念されるもと、内部留保を活用した賃上げが求められていた。しかし大企業は莫大な内部留保を抱え込んだまま、今春闘における賃上げ回答はベアゼロ・低額にとどめるなど労働者に犠牲を強いている。
 政府・人事院は私たちの要求や主張に対し「人事院勧告もふまえ、国政全般の観点に立って総合的に検討」(政府)、「情勢適応の原則にもとづき、必要な勧告を行う」(人事院)と従来どおりの回答にとどまった。そもそも現在の不況の発端はアベノミクスによる格差と貧困の拡大によって生み出されたものであり、これを打開するためには労働者・国民の所得を改善し、消費拡大をはかることこそが必要となっている。そうした点からすれば「国政全般の観点」からも労働者全体の賃上げを打ち出すとともに、770万人の労働者に影響を与える国家公務員賃金を引き上げることこそが求められている。
 
2、地域手当によって生じている賃金の地域間格差は、国公労働者の生活や働きがい、人事管理など部内にとどまらず、最低賃金とも相まって地域経済にも少なくない影響を与えている。与党内に全国一律最低賃金制をめざす議員連盟が結成され、日弁連も意見書をとりまとめるなど世論が高まっていることをふまえれば、政府として足下にある賃金の地域間格差を解消することこそが求められている。
 非常勤職員の処遇改善について、政府「申合せ」や人事院「指針」により、給与水準の引き上げ、通勤手当や一時金の支給などの改善が行われているが、非常勤職員の定員・処遇は「予算の範囲内」という制約があることから、賃金単価は改善されても年収が変わらないなどの問題が生じている。また、雇用の安定をめぐっても、総人件費抑制政策や総定員法を理由に職場実態を顧みない建前だけの回答に終始し、無期転換を含めた雇用の安定をはかる立場には立っていない。パートタイム・有期雇用労働法により同一労働同一賃金の実現が社会的な要請となり、民間では有期雇用労働者に無期転換権が保障されているなかで、国家公務員だけを対象外とする不誠実な国の姿勢は許されない。
 
3、通常業務に加え新型コロナウイルス対策をはじめとして政治主導で矢継ぎ早に打ち出される新規業務・新規施策などによって、職場体制は限界を超えている中、昨年4月から超過勤務命令の上限規制等がスタートしている。しかし、超過勤務削縮減に向けた具体的な方策が示されない中で上限規制だけが先行していることに加え、人事評価目標として数字ありきの超過勤務縮減が優先されていることなどによってサービス残業やかくれ残業が増加している。
 人事院が「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会報告」をふまえて制定(4月1日公布、6月1日施行)する規則には、行政利用者による言動もパワー・ハラスメントと位置づけるなど私たちの要求を反映した部分もあるが、具体的な運用にあたっては、被害者が泣き寝入りしなければならない事態を生じさせない相談対応の実現などを求め引き続き職場からとりくみを進める必要がある。
 定年延長をめぐって、3月13日に国家公務員法「改正」案が閣議決定されたが、付則に盛り込まれた能力・実績主義強化や給与カーブの検討をはじめ、国家公務員の定年延長が地方公務員や民間労働者に与える影響をふまえ、広範な労働者と連帯して要求実現に向けたとりくみを進める。同時に、再任用制度を含めた雇用と年金の確実な接続、処遇改善に向けたとりくみも強化する必要がある。
 非常勤職員制度、行政需要への対応や長時間労働の是正、ハラスメント、定年引き上げと高齢期雇用、女性活躍とワークライフバランスの推進、障がい者雇用などの問題の根底にあるのは定員問題に他ならない。政府は「行政需要に対応していくために業務見直しや定員の再配置を進めていく」「ワーク・ライフ・バランス定員などできる工夫を行っている」としているが、現在の定員管理政策が破綻していることは明らかであり、国公労働者の働きがいが実感できる職場の実現、国民本位の行財政・司法を確立するうえでは、総定員法の廃止や定員合理化計画の中止による定員確保が必要なことは明らかである。
 昨年に引き続き、労働基本権の回復や人事評価制度の見直し、行政の公正・中立・透明性の確保などを求めて「国家公務員制度に関する要求書」を提出し、ILO勧告にもとづく交渉・協議の場を早急に設定するよう強く求めた。しかし政府は私たちの再三再四にわたる要求に背を向け、具体的な回答すら行わなかった。森友・加計問題をはじめ、「桜を見る会」や検察官の定年延長問題など安倍政権による行政と税金の私物化が極まる中、真相の解明と公正で民主的な行政運営・公務員制度の確立こそが求められており、引き続き政府への追及を強めていく必要がある。
 
4、国公労連は、今春闘で賃上げとともに重点課題の要求前進をめざし奮闘してきた。人事院勧告をはじめとした制度的な制約もあり、春闘期での決着はかなわなかったが、引き続き要求実現に向けてたたかいを進める必要がある。
 国公労連は2020年春闘のたたかいをさらに発展させ、最低賃金の引き上げや全国一律最低賃金制の実現と結合した公務員の賃金改善、非常勤職員や中高年齢層・再任用職員、障がいを持つ職員など国家公務で働くすべての職員はもとより、公務・民間を問わず誰でも安心して働き続けられる社会の実現、憲法に保障された権利を守るための国民本位の行財政・司法の確立に必要な大幅増員、憲法9条「改正」をはじめとした「戦争する国づくり」を許さないために引き続きたたかいを進める。
 国公労連中央闘争委員会は「ひとり一行動」のスローガンの下、2020年春闘の諸行動に結集されてきた全国の仲間に敬意を表するとともに、新型コロナウイルスによる先行き不安が日本全体に広がっているからこそ、春闘最終盤までの奮闘と人事院勧告期へと続くたたかいへの結集を呼びかける。