新型コロナウイルス対応で要求書を提出
新型コロナウイルスの感染者が拡大するなかで、政府は2月25日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表し、2月27日には安倍首相が公立の小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業を要請したことなどから、その対応をめぐって多くのところで様々な問題が生じています。
帰国者やクルーズ船対応で不十分な感染防護対策等に不安の声
国公職場では、新型コロナウイルス対策として中国武漢からの帰国者への対応や、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号での対応に現場の職員が派遣され、国民の安心・安全を守るために日夜奮闘していますが、不十分な感染防護対策などに対して不安の声があがっています。
国公労連は2月28日に政府と人事院に対して「新型コロナウイルス感染対策」にかかる要求書を提出し、緊急の申し入れを行いました。
具体的には、①新型コロナウイルス感染予防、防護策の徹底、労働環境の改善に万全の策を講じること、②新型コロナウイルス対策業務に従事する職員の健康および安全を確保すること、③職員の子どもが通園・通学する施設および機関が閉鎖された場合の休暇を設けること、④2009年5月の「新型インフルエンザ等感染症により出勤することが著しく困難であると認められる場合の休暇の取扱い」と同様の通知を発出すること、⑤人事異動については柔軟な対応を行うこと、⑥新型コロナウイルス対策にかかる体制と予算を十全に確保することなどを申し入れました。
人事院は「要求の趣旨は承った。各担当部署でも情報収集を行い、必要な検討をすすめる」と回答し、内閣人事局は「時差出勤やテレワークは非常勤職員も対象になることを各省にも伝えている。その他の事項についても真摯に受け止め対応したい」と回答しました。
人事院が特別休暇(有給)を認める通知を発出
人事院はこうした状況を踏まえて、3月1日に「新型コロナウイルス感染症拡大防止において出勤することが著しく困難であると認められる場合の休暇の取扱いについて(通知)」(職職—104人事院事務総局職員福祉局長)を発出しました。
そのおもな内容は、職員自身やその親族に発熱等の風邪症状がある場合や新型コロナウイルス感染症対策にともなう小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等の臨時休業などで、子の世話を行わないといけない場合に、常勤、非常勤にかかわらず特別休暇(有給)を認めるものです。
ひきつづき、新型コロナウイルス対策に従事する職員等の安全確保や予算と体制の確保を求めていきます。また今回の緊急申入れ等によって措置された特別休暇を必要とする職員が休みを取得し、かつ、職場で働く職員が安心して働ける体制・環境の確保を求めていきます。
公立公的病院の再編統合やめよ
住民の命を守ろう、424共同行動の集会ひらく
全労連、日本医労連、中央社保協、自治労連、国公労連、全医労でつくる424共同行動は2月26日、公立公的病院の再編統合を阻止するための意思統一集会を参議院議員会館内で開催しました。集会には137人が参加。日本共産党と無所属の国会議員12人が駆けつけ、連帯と激励のあいさつをしました。
424共同行動は、昨年9月に厚生労働省が統合や再編の必要がある施設として全国各地にある424の公立公的病院のリストを公表したことに対し、これを撤回させるために結成されました。このリストの公表は、当該の地方自治体や地域住民、医療労働者の声などは聞かずに一方的に行われたもので、地方自治の本旨をも踏みにじる大変乱暴なものです。
集会では、全労連の岩橋副議長があいさつし、「厚労省は名指しした病院に対して3月をめどに再検証の具体化を求めているが、公的病院は地域住民のいのちと健康を守り、安心して住み続けられる地域をつくるために不可欠な存在だ」と述べ、再編統合阻止の運動を強めていく必要性を強調しました。
会場からは、「地域病院の救急機能をなくすことは住民の命にかかわる」「保健所が減らされる中、公的病院は公衆衛生の観点からも守られるべき」などの意見がだされました。最後に、日本医労連の森田委員長が「住民のいのちを守る視点でたたかいを強めていこう」と呼びかけ、集会を締めくくりました。
集会後には厚生労働省に対する要請を行い、3万5136筆の署名を厚労省に提出しました。
実効あるハラスメント対策の実現にむけて
パワー・ハラスメント防止にむけては、昨年人事院に「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会」が設置され、公務におけるパワハラ対策が検討されてきました。1月14日には、検討会報告書が提出され、人事院はその報告書をふまえた人事院規則改正や指針の策定にむけた検討をすすめています。
3月5日に人事院は、検討内容として「パワー・ハラスメント防止のための制度措置要綱」を明らかにしました。「要綱」では、「パワー・ハラスメントの定義」「人事院の責務」「各省各庁の長の責務」「職員の責務」などを人事院規則としてあらたに制定するとしています。
「パワハラの定義」は「職務に関する優越的な関係を背景として行われる、職員に精神的若しくは身体的苦痛を与え、職員の人格や尊厳を害する、又は、職員の勤務環境を害することとなるような、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動」となっています。
「職務に関する優越的な関係を背景として行われる」言動は、「当該言動を受ける職員が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの」とされ、①職務上の地位が上位の職員による言動、②同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な状況下で行われるもの、③同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの、④他省庁の職員による言動で、当該言動を行う職員の所属部局の権限の関係で、当該職員の了解を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な状況下で行われるもの、⑤職員が担当する行政サービスの利用者等からの言動で、当該行政サービスをめぐるそれまでの経緯やその場の状況により、その対応を打ち切りづらい中で行われるもの、が例として示されています。例示の④と⑤は公務職場特有の定義になり、⑤はいわゆるカスタマー・ハラスメントを指すものです。これは私たちが、職場でカスタマー・ハラスメントが問題になっていることへの対応を強く求めてきたことが反映されたものです。
「人事院の責務」は、パワハラの防止やパワハラが生じた場合の対応策の企画立案、各省庁の長の指導などとなっており、「各省庁の長の責務」はパワハラ防止策や生じた場合に必要な措置を講じることなどとなっています。
「職員自らの責務」では、当然ながらパワー・ハラスメントをしてはならないことや人事院の定める指針を十分認識して行動することが明示されることとなっています。
人事院は4月までに規則改正等を行い、民間と同様に2020年6月1日からの施行にむけて準備をすすめています。
今回の措置は、私たちの要求も一定盛り込まれたものとなっていますが、要綱ではカスタマー・ハラスメントが生じた場合への対処方法などが明らかになっていないなどの問題もあります。また、ハラスメントはそれぞれの職場で発生するものですので、それぞれの職場実態に見合った対策を具体的に講じさせていくことが重要です。すべてのハラスメントを根絶するため、職場実態をふまえた具体的な追及を各職場から行っていくことが必要です。