国公労新聞人勧特集号2019年8月10日(1528号)

【データ・資料:国公労新聞】2019-08-07
月例給一部・一時金引上げも生活悪化に拍車
ご都合主義の「民間準拠」 基本権制約の代償たり得ず
非常勤職員に夏季休暇新設

 
【声明】
 人事院は本日、政府と国会に対して、国家公務員の給与に関する勧告及び公務員人事管理に関する報告を行った。
 官民較差は、月例給で387円(0.09%)、一時金は0.06月と、ともに6年連続で民間が公務を上回ったが、俸給表の改定は、一般職試験(高卒程度)初任給を2000円、総合職試験および一般職試験(大卒程度)初任給を1500円引き上げ、30歳代半ばまでの職員が在職する号俸の改定にとどまった。
 一時金は0.05月引き上げて勤勉手当に充てたが、現行の人事評価制度は公平・公正な評価が困難であり、職員の意識と行政の質の変化が危惧されているにもかかわらず能力・実績主義強化の配分を行った。
 「給与制度の総合的見直し」をはじめとした制度改悪によって賃金水準が切り下げられた高齢層職員をはじめ、すべての職員の生活悪化がすすむもとで、政策的な賃上げを行うよう追及してきたが、官民較差が小さかったことを理由に俸給表全体の改定を見送った。10月から消費税の10%への引き上げが強行されようとしているなか、生活悪化にいっそう拍車がかかることが想定される。また、定員削減で厳しい職場実態のなか、行政の現場第一線で重要な職責を担い奮闘している高齢層職員にとっては、モチベーションの維持も困難になる。こうした状況下で非常に重要な意味を持つ勧告であるにもかかわらず、このような結論を導き出した人事院は、もはや労働基本権制約の代償機関たり得るのか疑問である。
 7月31日に地域別最低賃金の引き上げの目安が示されたが、その額・率にも満たない初任給・若年層の引き上げでは不十分である。高卒初任給は時給に換算すれば897円であり、最賃の全国加重平均にも届かず、最賃割れとなる地域が年々増加している。これでは、優秀な人材確保が困難となり、ひいては良質な公務・公共サービスの安定的運営に支障を及ぼしかねない。初任給の官民格差解消に、人事院が抜本的な対策を講じなかったことはきわめて問題と言わざるを得ない。
 
 民間では昨年、無期転換申込権が保障され、来年4月からは大企業に「正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止」が義務づけられるなかで、国で働く非常勤職員の雇用の安定や均等待遇の実現にむけて、制度の抜本改善を強く求めてきた。
 遅きに失した感は否めないが、新設された非常勤職員の夏季休暇は、昨年の結婚休暇などに続いて勝ちとった要求であり、これまでの運動の成果である。しかし、もう一方の強い要求であった無給休暇の有給化や生活関連手当の待遇格差是正要求は、「民間準拠」や「常勤職員の給与との権衡」を理由に退けた。また、重点として追及してきた任用更新にかかる公募要件の撤廃や無期転換制度と同様の制度構築についても、これまでの回答を繰り返すのみでまったく応えず、給与も事実上勧告の埒外においたままである。公務・民間、常勤・非常勤の違いはあっても同じ労働者、国家公務員であるにもかかわらず、本来保障されるべき権利が保障されていないことは、憲法第14条の法の下の平等に反するもので、人事院の責務が問われる重大な問題である。
 
 再任用職員に関しては、ゼロ回答となった。昨年、「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」で、「複雑高度化する行政課題に的確に対応し、質の高い行政サービスを維持していくためには、60歳を超える職員の能力及び経験を60歳前と同様に本格的に活用することが不可欠となって」いるとしていることからすれば、相応の処遇を手当することが当然である。再任用職員の生活と労働の実態を顧みない姿勢は許されない。
 
 人事院は、住居手当について支給対象となる家賃額の下限を4000円引き上げるとともに、最高支給限度額を1000円引き上げるとした。これによって、わずかながら手当の改善となる職員もある一方、改悪となる職員が多数生じる。この
間の職場からのとりくみと交渉での追及によって経過措置を講じさせたものの、家賃支払い額が比較的低いと思われる地方勤務職員や単身若年層職員にとっては改悪の影響が大きいことが想定され、若年層に対するわずかばかりの賃上げも効果が打ち消されると同時に、手当を含めた賃金の地域間格差が拡大することとなる。
 転居を伴う人事異動は職務命令であるとともに、国家公務員宿舎の大幅削減や使用料引き上げなどが国策として行われてきたことを踏まえれば、原資の配分変更による「見直し」ではなく、住居手当は「較差外」として必要な原資を確保すべきである。
 また、遠距離・新幹線通勤などの実情から、職場の強い要求であった通勤手当の改善を見送ったことも見逃せない問題である。
 
 公務員人事管理に関する報告では、長時間労働の是正にむけて、今年も定員問題に言及し、定年年齢の引き上げにむけた措置の早期実施にふれたことは、運動の反映である。一方、人事評価制度が「公務職場に定着してきている」として、能力・実績主義の強化や分限処分を厳正に行うことが必要だとするなど、森友・加計問題をはじめとした行政の歪みや私物化の進行に手を貸すものとなっている。
 また、少子化対策として国全体で力を入れている不妊治療と仕事の両立について、「不妊治療を受けやすい職場環境の醸成等を図る」にとどめたことは大変不満である。その他、ハラスメント対策では人事院の検討会での議論を進めるとしているものの、具体的なスケジュールも示されていないこと、障がい者雇用について、採用のあり方や合理的配慮の提供に言及しているが、障がいを持つ職員を支援するための体制整備にはふれていないことなど、我々の要求からは不十分な内容にとどまっている。
 
 国公労連は、秋季年末闘争においても、給与改善勧告の早期実施、住居手当改悪の中止・撤回、実効ある長時間労働規制、安心して働ける定年延長の実現などを求め、政府交渉をはじめとする運動を引き続き推進していく。あわせて、最賃引き上げのたたかいや、地方公務員・独立行政法人等で働く労働者の賃金・労働条件の確定闘争も本格化するもとで、すべての労働者の賃上げと安定した雇用の確保にむけた官民共同のたたかいにいっそう奮闘する。
 きびしい職場実態のなかで、春闘から本日の勧告まで要求実現をめざして奮闘された全国の仲間のみなさんに心から敬意を表するとともに、引き続くたたかいへの結集を呼びかける。
 
2019月8月7日
国公労連中央闘争委員会
 


 
中高年層の生活改善に目を向けず
 人事院は月例給に関し、387円、0.09%(昨年655円、0.16%)の官民較差があったとして4月に遡って給与改善を行うとしました。月例給の改善はこれで6年連続となります。
 本年の春闘結果は図表1のとおりであり、民間の賃上げ状況は昨年とほぼ同程度であったことから、民間準拠を基本とする人事院勧告の仕組みからは、わずかな額の勧告にしかなり得ません。
 較差の配分では、俸給表の改善に344円、はね返り分(俸給表改定により連動して改善となる手当への影響額)に43円を充てるとしています。
 俸給表の改善では、「総合職試験及び一般職試験(大卒程度)に係る初任給について1500円、一般職試験(高卒者)に係る初任給について2000円、それぞれ引き上げることとし、これを踏まえ、30歳台半ばまでの職員が在職する号俸について、所要の改定を行う」としています。30歳台半ばを超える号俸については、再任用職員を含め俸給表の改定はされない勧告となりました。国公労連は、この間、「給与制度の総合的見直し」等が強行されたもとで、職務上の重責を担っている中高年齢層の生活改善を重要視し政策的な賃上げを求めてきましたが、これにまったく目を向けない勧告となりました。
 一方で民間との初任給格差を踏まえれば、原資を若年層に厚く配分することは、一定理解できます。しかし、人事院の調査結果でも、民間の賃金は一律に支給される給与を含めた額であるものの、2015年勧告時では1万4348円、今回の勧告時では1万4812円公務が下回っており、格差は広がっています。また、2000円引き上げ後の高卒初任給の時間給は897円(俸給の月額(14万8600円+2000円)×12月/1週間あたりの勤務時間(7時間45分×5日)×52週として算出)となり、最低賃金の全国加重平均にも届かず、東京、神奈川、大阪、愛知、埼玉、千葉、京都、兵庫で地域最低賃金を下回ることとなります。国家公務員は最低賃金法の適用はありませんが、法が賃金の最低額の保障による生活の安定などを目的としていることからしても、国家公務員がこれを下回って良いというものではありません。初任給格付けの改善など、抜本的な見直しが必要です。

 

 
【一時金】今年も改善分はすべて勤勉手当に
 一時金については、期末・勤勉手当の年間支給月数(4.45月)が民間を0.06月下回っていたとして、0.05月引き上げて4・5月とするとしています(図表2)。一時金についても6年連続の改善となります。
 人事院は「支給月数の引上げ分の配分に当たっては、民間の特別給の支給状況等を踏まえつつ、勤務実績に応じた給与を推進するため、引上げ分を勤勉手当に配分する」としています。勤勉手当への配分について、人が人を評価することには限界があることなどから人事評価の結果を直接給与に反映する勤勉手当は圧縮すべきであり、少なくとも、引上げ分は期末手当に配分すべきです。
 再任用職員の一時金の改定は行われませんでした。人事院は「期末・勤勉手当の年間支給月数は0.05月単位で改定を行ってきており、改定のない場合があり得る」としています。国公労連はこれまでも再三、再任用職員の賃金水準が低いことを指摘してきました。そもそも同一労働同一賃金が社会的合意となるなかで、一時金が常勤職員の約半分であること、改定も約半分であること自体が問題です。



 
【住居手当】一方的な引き下げを強行
 住居手当については、2020年4月から「公務員宿舎の使用料の上昇を考慮し、手当の支給対象となる家賃額の下限(当該額を超える家賃を支払う場合に住居手当支給対象となるとともに、手当額算定時に家賃から控除される額)を4000円引き上げ(現行1万2000円を1万6000円に引き上げる)、最高支給限度額(手当の上限額)を1000円引き上げる」としています(図表4)。また、「手当額が2000円を超える減額となる職員については、1年間、所要の経過措置を講ずる」としています。
 7月26日の中間交渉の際に人事院は、国家公務員給与実態調査において、公務員宿舎使用料の平均使用料が2万円を超えていることに言及し、そのことなどを踏まえて、手当の支給対象となる家賃額の下限と最高支給限度額の見直しの検討をすすめるとしていました。一方、この間の人事院に対する「職場要求決議」をはじめとする職場からのとりくみや交渉での追及によって、当初人事院が想定していた家賃額の下限の引き上げを2万円から1万6000円に引き下げさせたこと、最高支給限度額を2万7000円から2万8000円に引き上げさせたこと、1年間ではあるものの経過措置を設けさせたことは、これまでのとりくみの反映です。
 しかしながら、国の施策に基づいて、宿舎に入居できる職員を5類型によって大幅に制限し、宿舎の削減をすすめてきた影響は、全国転勤が必要な国家公務員にとって深刻です。そのうえ、宿舎使用料を大幅に引き上げたことからすれば、住居手当は較差外として原資を確保し改善すべきです。民間の住宅手当月額の最高支給額の中位階層が公務より約3〜4000円高くなっているなどを踏まえて、少なくとも民間並に全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げるべきです。



 
【通勤手当】職場実態に背を向けた対応
 通勤手当については、言及がありませんでした。職員は命令である人事異動に否が応でも対応しなければなりませんが、育児や介護などの家庭の事情により異動できない職員や広域異動、官署の廃止などによって、新幹線による通勤者が増加しています。命令である以上、人事異動によって職員に自己負担が生じることはあってはなりません。通勤手当の特急料金部分の引き上げや駐車場料金を対象とするなど、通勤手当の支給要件・支給額の改善が必要です。多くの職員が広域異動を強いられているなかで、長時間通勤の解消といった観点からも、通勤手当の改善と転居を伴う人事異動自体を縮小することも必要です。
 また、職員は災害時においても、国民の安心・安全をまもる職責を果たすために勤務地に赴かなければなりません。こうした実態にあわせて通勤手段の変更や宿泊が必要になった場合などに、柔軟な運用を可能とすべきです。
 



 
非常勤職員の労働条件 夏季休暇勝ちとる
 
 国公労連が重点課題として追及してきた非常勤職員の処遇改善に関して、今年も人事院は「職員の給与に関する報告」や「勧告」では触れず、「公務員人事管理に関する報告」において言及するのみでした。
 同報告では、17年7月の給与指針改正について「引き続き、常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう取り組んでいく」とし、休暇については「民間の状況等を踏まえ、新たに夏季休暇を設けることとする」としました。
 夏季休暇は私たちの切実な要求の一つであり、これまでの運動の成果といえます。人事院規則等の改正により措置するものと思われますが、具体的な措置の時期や付与日数は明らかにされていません。また、勤務日数・勤務時間数の少ない非常勤職員についての扱いも不明ですが、短時間再任用職員と同様の扱いとすべきです。人事院が言及した「民間の状況」は昨年秋以前の調査結果であることからも、即時の措置と厳密な均等待遇を求めていく必要があります。なお、夏季休暇の新設と同時に現行の年次有給休暇の前倒し付与の運用は廃止されます。
 一方で、私たちが強く求めてきた病気休暇をはじめとする無給休暇の有給化や生活関連手当の支給などの均等待遇、更新時公募の撤廃要求などについてはゼロ回答でした。非常勤職員の給与が給与勧告の埒外に置かれ続けていることも含め、今年の勧告においても、人事院は非常勤職員に対する労働基本権制約の代償機関としての責任を果たさなかったと言わざるを得ません。

均等待遇には遠く
 働き方改革関連法により、民間では来年4月から大企業で、21年4月から全ての企業で正規労働者と有期雇用・パートタイム労働者との不合理な待遇差が禁止され、待遇差の内容・理由についての説明義務が使用者側に課せられます。それにともない、昨年末には「同一労働同一賃金ガイドライン」が公布され、基本給・昇給・賞与・手当・法定外休暇・教育訓練にいたるまで、いかなる待遇差が「不合理」となるのか、原則となる考え方と具体例が示されました。また、それらに関わる行政ADR(履行確保措置及び裁判外紛争解決手続)も整備されました。
 政府としてこれらの格差是正・均等待遇政策を推進するもと、今年の人事院勧告・報告においては、国家公務員についても踏み込んだ均等待遇措置と、考え方や問題意識の表明が求められていましたが、夏季休暇の新設を除けば、残念ながらそうした問題意識は認められませんでした。
 図表5に示した国の非常勤職員と常勤職員の休暇制度の格差をはじめとして、住居手当や寒冷地手当などの生活関連手当が支給されていないことからも、現行制度が均等待遇からほど遠いのは明らかです。政府は民間事業所を指導する立場であり、模範的な使用者として、少なくとも非常勤職員から「不合理」と指摘されている休暇や手当の格差について是正ないし説明する責任があります。
 17年秋の「民間企業の勤務条件調査」では、夏季休暇を均等待遇にしている事業所が約44%、病気休暇を均等待遇にしている事業所が約33%であり、働き方改革関連法が成立した後の昨年秋の調査ではさらに率が上がっているものと想定されます。「情勢適応」を口実にしながら、国が率先して行うべき均等待遇措置を遅らせ、民間後追いとなっている人事院の姿勢を批判するとともに、国会や世論に実態を訴えていく運動も重要です。

人権侵害の公募黙認
 また、「公務員人事管理に関する報告」で、非常勤職員の最も強い要求である更新時の公募要件の撤廃や無期雇用化などの雇用の安定化措置について触れなかったことは、人権侵害やハラスメントの温床となっている公募制度の問題について人事管理上黙認したに等しく、決して許されるものではありません。昨年4月から民間の有期雇用労働者には労働契約法の無期転換権付与が始まっていますが、国の非常勤職員は無期転換制度がないため「民間準拠」にさえなってません。
 なお、給与については、今回の勧告で1級初号俸が2000円、2級初号俸が1500円プラス改定されます。人事院の給与指針では、非常勤職員の給与は属する職務の級の初号俸を基礎として決定するとされているため、このベースアップは非常勤職員も受けるべきものです。政府の「申合せ」も踏まえ、各府省に対しては常勤職員に準じて確実に賃金単価を上げさせ、勤務時間数の確保も含め年収ベースでの賃上げを早期に実施させるため、職場段階からの追及を強化していく必要があります。


 

【再任用職員】俸給・一時金ともに改善なし
 今年の勧告は、初任給・若年層職員以外の給与改定は行わないとしたことから、再任用職員の俸給月額も改定がなく据え置きとなりました。
 さらに、一時金は一般職員が0.05月引き上げられる一方で、再任用職員は据え置きとなりました。昨年初めて常勤職員と同じ月数が引き上げられたにもかかわらず、今年は一転して再任用職員の処遇だけを置き去りにする勧告であり、生活できる労働条件改善を求める職場の要求を無視するものです。
 今回、再任用職員の一時金を引き上げなかった理由について、人事院は交渉時に次のように説明しています。
「01年に再任用制度をつくり、02年度勧告で一般職員と同様に一時金を0.05月引き下げたところ、ベースの俸給・月数が違うため痛みが大きいという議論になり、03年度勧告から、内部の基準で02年度の一般職員と再任用職員の一時金の月数のウェイトをベースにし、上がるときも下がるときも同じウェイトを維持するというやり方になった」。
 つまり、一般職員の約半分という一時金の待遇格差を今後も維持するということであり、職務給原則に反するこの人事院の基準自体を改めさせる必要があります。
 
手当・年休繰越もゼロ回答
 
 また、私たちの強い要求である生活関連手当の支給や定年退職前の年休の繰り越しに対してもゼロ回答でした。
 国公労連が昨年秋に行った要求アンケートでは、再任用者の約4人に3人が「生活が苦しい」と答えています。
 再任用職員の処遇について人事院は、「公務員人事管理に関する報告」の「定年の引上げ」の項で言及するのみでした。そこでは「厳しい定員事情等もあって、一般行政事務に従事する行政職俸給表(一)の再任用職員のうち、ポスト(職務の級)が主任級(2級)又は係長級(3級)の者が約7割を占め、また勤務形態は短時間勤務の者が約8割となっており、再任用職員の多くが下位の官職に短時間勤務で就いている状況が続いている」と述べたうえで、政府に定年年齢の引き上げの早期実施を改めて要請しています。
 しかし、定年延長はまだ全体像すら示されていない段階であり、定年延長が実現したとしても当面は現行の再任用制度が存置されます。人事院に求められているのは、いま職場で奮闘している再任用職員の劣悪な処遇を早急に改善することです。定年延長が実現すれば問題が解決するかのような書きぶりは責任の放棄に他なりません。
 長年の知識や経験を活かせる職務とそれにふさわしい労働条件は、均等待遇の面でも喫緊の課題であり、人事院は定年延長を待たずに再任用職員の処遇を大きく引き上げるべきです。


 


 
能力・実績主義徹底に言及
公務員人事管理に関する報告
 

分限処分の厳正化に言及
 「公務員人事管理に関する報告」では、「能力・実績に基づく人事管理の推進」にも言及しています。具体的には、「(人事評価)制度導入以来10年が経過し、制度に対する職員の理解も進み、公務職場に定着してきている」としたうえで、「人事評価により職員の能力・実績を的確に把握し、その結果を任用、給与等に適切に反映させることによって、より一層、職員の士気を高め、組織活力を向上させることが期待できる」としています。しかし、人が人を評価することにも限界があります。実際に、人事評価制度が恣意的に運用され、混乱している職場もあります。「公正な評価がされず、上司の顔色をうかがうようになった」「評価されにくい仕事は後回しになる」「数値目標が横行している」など、数多くの問題が指摘されています。「人事評価の適正な運用の徹底を図った上で、勤務成績が良くない職員については、降任・免職等の分限処分を厳正に行うことも必要」と分限処分に関する運用を徹底することにも触れています。恣意性を排除した公正なルールの徹底ができなければ、分限処分が乱発されるおそれもあります。労使委員会で協議するなどで管理者がフリーハンドで処分できないようにすべきです。

要員確保が必要
 「勤務環境の整備」については、「勤務時間等に関する取組」として「長時間労働の是正」をあげています。4月から導入した超過勤務の上限規制等について「他律的業務の比重が高い部署の範囲などの制度の運用状況を把握し、必要に応じて各府省を指導するとともに、関係機関と連携しつつ、各府省における長時間労働の是正に関する取組を支援していく」と述べ、あわせて、各職場でのマネジメントの強化、府省のトップが先頭に立って組織全体として業務削減・合理化にとりくむことなどが必要としています。今年も「マネジメント強化、業務合理化等を進めてもなお恒常的に長時間の超過勤務を行わざるを得ない場合には、業務量に応じた要員が確保される必要がある」と定員問題に言及したことは運動の反映と言えます。
 「仕事と育児、介護等の両立支援制度」について、「引き続き、制度の周知に取り組んでいく」としていますが、それだけでは不十分です。制度が活用しやすい職場環境をつくっていくための責務を人事院に果たさせる必要があります。ここで、「不妊治療と仕事の両立」にも触れていますが、国全体で少子化対策をすすめているなかで、昨年同様では不十分で、民間の動向等を注視するだけでなく国から率先して不妊治療にかかる休暇等の制度化をはかっていくべきです。
 
ハラスメントの根絶を
 「ハラスメント防止対策」は、パワハラについて事業主が講ずべき措置等に関する指針についての労働政策審議会の審議など「民間の状況」と人事院の有識者による「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会」の議論結果を踏まえて、新たな防止策を講じていくとしています。一方、ILO第108回総会で「仕事の世界における暴力とハラスメントの除去に関する条約」が採択されています。このことも踏まえて、定義の明確化、包括的な対策、相談対応の強化など実効性のある対策を講じることが必要です。
 
誰もが安心して働ける環境を
 「障害者雇用に関する取組」は、「各府省における障害者に対する合理的配慮の提供に資するよう、厚生労働省等と連携して、募集・採用時や採用後における障害者に対する合理的配慮の提供状況を把握し、優良事例に関する情報を提供するなど支援していく」としています。「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」でも「サポートする支援者の配置・委嘱」「作業環境を整えるための機器の導入・設備改善」が言われており、障がいを持つ職員を支援するための定員確保と予算措置をはじめ、誰もが働きやすい環境整備が求められています。
 「定年の引上げ」については、「意見の申出を踏まえ、定年の引上げを実現するための措置が早期に実施されるよう改めて要請する」と政府に早期実施を求めています。これは運動の反映であり、国公労連としても誰もが安心して働ける高齢期雇用の実現にむけて政府への追及を強めていく必要があります。
 
初任給抜本改善で人材確保を
 国家公務員採用試験の申込者数が近年減少するなかで、人材確保にむけて、「大学1、2年生や大学院1年生などにむけた啓発活動の充実を図る」ことや「現状を多角的に分析した上で、公務における人材確保をめぐる諸課題について幅広く検討することが必要」としています。
これらを否定するものではありませんが、まずは、民間企業の初任給との格差が広がっている現状を是正すべきです。
 また、最低賃金の目安額が発表されましたが前述のとおり、一般職(高卒者)の初任給(時給換算897円)が最低賃金の全国加重平均にも満たないことに加え、最低賃金を下回る地域が年々増加していることへの抜本的な対策も必要です。