国公労新聞2019年7月25日号(第1527号)

【データ・資料:国公労新聞】2019-07-25
住居手当の不利益変更は許さない 2019人勧・概算要求期山場で交渉

 19人事院勧告、概算要求の山場を迎えています。人事院勧告では、住居手当の「見直し」や、非常勤職員の休暇などの均等待遇に関する課題について言及することが想定されます。

住居手当「見直し」を明言
 人事院勧告にむけ、各級機関での上申交渉等や国公労連本部・各ブロック国公と人事院との間で重点要求にかかる交渉が積み上げられています。7月16日には単組書記長による交渉を行い、人事院を追及しました。
 人事院は、「労働基本権制約の代償機関として、人事院としての責務を着実に果たすよう、国家公務員の給与と民間企業の給与の精緻な調査にもとづき、その精確な比較を行い、必要な勧告、報告を行う」と基本スタンスを述べた後に、住居手当について「本年の勧告における見直しを念頭に検討を進めている」と言及しました。
 具体的には「①いわゆる基礎控除額(当該額を超える家賃を支払う場合に住居手当支給対象となるとともに、手当額算定時に家賃から控除される額。現行1万2000円)について、公務員宿舎使用料の引き上げも考慮し、公務部内の均衡を図る必要があることから、引き上げを行う。②最高支給限度額(現行2万7000円)の取り扱いについては、本年の国家公務員給与実態調査における状況等を踏まえて検討することを方針としている。最終的には、国家公務員給与実態調査の結果等を踏まえ、見直しについて判断することを考えている」としています。この「見直し」では、基礎控除額の引き上げを明言していますが、そうなれば、多数の職員の住居手当の受給額が改悪になってしまいます(詳細は、学習討議資料「住居手当の改悪を許さず、生活改善できる見直しを(2019年7月)」を参照)。
 九後書記長は、「国策で宿舎が廃止されたことをふまえれば、一人でも不利益変更があってはならない。昨年の民調では、最高支給限度額の中位階層が、公務より約3000~4000円高くなっている。『民間準拠』という観点から全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げること、住居手当を較差外におくなど、手当の位置づけも含めて検討すべき」と、今年の勧告での「見直し」は見送ることも含めて追及しました。
 
夏季休暇など均等待遇は当然
 郵政「労働契約法20条」裁判や、民間企業では来年4月から「正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止」が義務づけられるなかで、非常勤職員の均等待遇について人事院が今勧告で何を打ち出してくるのかが注目されています。
 人事院は「給与については、指針の内容にそった適切な処遇が図られるようとりくんでいきたい」、「休暇については、民間における措置の状況を見つつ、必要な改善を図っていきたい」「基幹業務職員制度については、各府省において、本制度を設けた趣旨に則った適正な運用がなされるよう、制度の周知等を行うなどとりくんでおり、関係方面と協力しながら、適切に対応していきたい」と従来の回答を繰り返しました。
 各単組書記長が職場の実態を踏まえた追及を行い、九後書記長は「民間準拠という点で、雇用の無期転換制度がないことは公務の重大な不利益部分である。非常勤職員の有給休暇は労働基準法にほぼ準拠しているが、労働契約については準拠しないなど、自分たちの都合のよいところだけ準拠するのは許されない。公務において同様の権利がない合理性は全くなく、民間に合わせて改めることが必要である。パートタイム・有期雇用労働法により不合理な待遇格差は禁止となっている。特に職場からの要求の強い夏季休暇の制度化や有給の病気休暇に関する措置をはじめ、不合理な格差を完全に解消すべき」と今後の交渉での前進回答を求めました。
 
新たな定員削減は認められない
 7月19日には、概算要求期の重点要求にかかわって各単組調査部長による政府・内閣人事局との交渉を実施しました。
 各単組は、6月28日に「令和2年度から令和6年度までの定員合理化目標数について(内閣人事局通知)」が発出されたことに対して抗議するとともに、この間の自然災害への対応などでの過酷な職場実態を突きつけ、増員による体制確保を求めました。
 また、現時点でも全体像が明らかにされていない定年延長について、早期に全体像を示して労働組合との合意を前提にした協議や、職場で大きな問題となっている赴任旅費の実態に見合った改善などを求めました。
 19人勧・概算要求のたたかいも大詰めです。国公労連は、要求前進にむけて、交渉での追及強化などとりくみを強めていきます。
 


「パワハラ公募やめよ」「夏季休暇を」
非常勤組合員集会ひらく


雇止めありきのパワハラ公募やめよ
 国公労連は7月12日、非常勤組合員集会を東京都内で開催しました。
 午前の集会には、全国から集まった非常勤組合員10人を含む約20人が参加しました。冒頭、國本調査政策部長は、国公労連として非常勤職員制度の抜本改善要求を柱にすえて1年間運動を進めてきたことを述べ、一時金支給の拡大や慶弔休暇での均等待遇などの私たちの運動の成果、現時点での政府・人事院交渉での回答水準などの情勢を報告しました。
 参加した非常勤組合員や単組本部役員が、「6年目の更新時の公募の面接の際、『5年間の勤務実績は一切見ない』と言われるなど、雇止めありきのようなパワハラ公募が横行している」、「勤勉手当支給のための勤務実績把握として、数値目標の強化が行われている。職場では実名入りのグラフで目標の達成状況が順位づけされている」、「非常勤職員は原則的に超過勤務をしないという建前のもと、災害時や繁忙期に必要があって超過勤務をしても超勤手当が支払われない」などの実態を報告・共有し、交渉での追及点を確認しました。

人事院前で「無期転換権」を要求
 昼休みには、人事院前で要求行動を実施し、非常勤組合員から職場実態と思いを訴えました。
 全労働熊本支部の福原さんは、「ハローワークで、ホームレスの方や、母子家庭のお母さんなど、様々な事情を抱えた方の相談を受けている。無期転換ルールが始まり、私も事業所に問い合わせるが、『5年経過すれば無期転換する』と答える事業所がほとんど。しかし、私たち期間業務職員は毎年雇用不安を抱え、3年経ったら公募にかけられる。無期転換ルールもない。私は労働基準監督署に訴えたいとも考えているが、その権利さえはく奪されている」と訴えました。
 国交労組北海道航空支部旭川分会の櫻田さんは、「旭川市の冬はマイナス20度になり、暖房なしには生きていけない。非常勤常勤職員には寒冷地手当が支給されない。日給制である私たちは、12月から2月は勤務日数が少なく生活がひっ迫する」と正規職員との待遇格差を指摘しました。

非常勤自ら人事院・内閣人事局を追及
 午後は「非常勤職員制度の抜本改善にむけた重点要求書」にもとづき、人事院・内閣人事局との交渉を実施しました。
 交渉では、参加者から「採用後半年間は年休が付与されないのは問題であり、夏季休暇がないことも恥ずかしくて人に言えない。無給である病休などもすべて有給としてほしい」、「いま非常勤職員がしている仕事は、以前は常勤職員がしていたもの。臨時的な仕事だから無期転換に当てはまらないという言い分はもはや通用しない」、「仕事をどれほど頑張っても働き続けられないということは、結局は行政サービスの質の低下につながる」、「公募制度の撤廃にむけて具体的な方策を示してもらいたい」、「非常勤職員は、公募で採用された最初の時点で平等取扱の原則はクリアしている。人事院は、無期転換制度も成績主義を理由に拒否しているが、制度整備すらしないのはただの怠慢ではないか」といった声が次々とあがりました。
 しかし、私たちの追及に対する人事院と内閣人事局の回答は従来の域をでず、議論は平行線のまま交渉を終えました。
 安定雇用と均等待遇の実現のためには、引き続き、制度当局とともに、地域での世論への働きかけや国会議員への要請などを強め、人事院や政府の姿勢を変えさせることが求められます。
 

 

ソサエティ5・0は財界発のフェイクニュース
ドイツの研究者は5時に帰宅  国研集会で多彩な議論

 第37回国立試験研究機関全国交流集会(国研集会)が7月3日、つくば市で開催され70人が参加しました。主催は国公労連と学研労協で構成する実行委員会で、今回の国研集会は「ソサエティ5・0、AIを研究現場から検証する」を集会テーマに掲げ、マスコミ4社が取材に訪れました。
 日本科学者会議科学・技術政策委員会の野村康秀氏が「ソサエティ5・0、AIの可能性と科学技術政策を検証する」と題し講演。野村氏は、「政府の骨太方針にも柱として登場するソサエティ5・0とは、政府の説明によると、『狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな社会』とされている。しかし、ソサエティ5・0という言葉は、科学技術面でも日本が国際的に立ち後れていることに焦りを感じた財界が持ち込んだものだ。具体的な経緯を見ていくと、ドイツが掲げている『インダストリー4・0』(第4次産業革命)などに対抗して、日本の財界が『成長戦略の柱』として看板に掲げたもの。ソサエティ5・0には科学的な根拠もなく、財界自身がフェイクニュースの流し手になっている」と、科学技術政策に関連する政府と経団連の文書を詳細に分析し、ソサエティ5・0の問題点を指摘しました。
 
予算つかず研究危機
 集会にむけてとりくんだ個人アンケート(841人が回答)でも、「ソサエティ5・0は科学的な根拠が全くなく、科学技術政策に非常に不適切」「机上の空論だ」「ソサエティ5・0に関連した研究でないと予算がつかず研究の多様性が失われている」との批判的な意見が多く寄せられました。
 この問題に加え、パネルディスカッションではポスドク・若手研究者・大学改革・働き方の問題でも議論。ドイツで研究を行ったことがある国立環境研究所・中島英彰さんの「ドイツの研究者は毎日午後5時で帰宅。年30日は有給休暇を取得し、多くは夏と冬にまとめて2週間単位で休む」との話に、参加者から驚きの声があがりました。