セクハラ問題などへの政権の対応について懸念あり
一連の疑惑の全容解明を求める(談話)

【私たちの主張:私たちの主張】2018-04-24
2018年4月24日
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
書記長 鎌田 一
 
 ここ数年の安倍政権の問題対処がモラルハザードをまねいているとの指摘がある。

 直近でも、財務省福田事務次官のセクハラ疑惑では、週刊誌で報道され音声データが公表されているにもかかわらず、麻生財務大臣は「本人が否定しているから」と直ちに謝罪や本人を処分しないばかりか、事実解明のための協力要請と称して被害者に名乗り出るようメディアへの圧力をかけて乗り切ろうとした。そのため、被害者が所属するテレビ朝日が事実であるとの認識にたって財務省に抗議をした。政府は本日(4/24)の閣議で疑惑を否定したまま当該事務次官の申出による辞任を了承したが、これは、セクハラが人権問題であるという基本認識が欠如した対応であり、被害者の保護を最優先して早期解決と再発防止を図らなければならないという基本原則に反している。

 セクハラについて、人事院規則等では「相手を不快にさせる性的な言動をいい、基本的には受け手がその言動を不快に感じた場合にはセクシュアル・ハラスメントとなる」とし、懲戒処分の対象とされている。今回の事案は、国家公務員の最高ポストに就く責任ある立場にある公職への疑惑であり、セクハラ行為を具体的に指摘されただけでも、当該本人及び財務大臣の責任は重大である。さらに財務省をめぐっては、森友学園疑惑で公文書改ざんを「単なる書き換え」などと矮小化して、与党が関係者の証人喚問を頑なに拒むなどの経緯があり、国民の不信は高まっている。

 問題は、セクハラ疑惑だけではない。加計学園疑惑や「働き方改革」をめぐる対応、自衛隊の日報隠蔽問題などでの真相解明への消極的姿勢や選挙応援での稲田朋美防衛大臣(当時)の発言など政権に近い閣僚や秘書官などへの寛大すぎる対応、国会での与党議員の暴言に近い発言も議事録の削除などで不問にされているなど、一連の対応に懸念が募るばかりである。

 与党である自民党は、この間の国家公務員制度改革に際して、公務員に信賞必罰(賞罰を厳格に行うこと)を求め、それによる人事評価制度の導入や懲戒処分指針の厳格化が進められ、現在では、軽微な行為に対する処分も徹底されている。その一方で、最近の政権の対応は、閣僚や側近などの身内への対応が寛容すぎる。本来、議院内閣制の下では、政府部内で生じた問題や疑惑についての真相解明や国会への説明といった責任は内閣総理大臣や当該大臣が負っているはずである。それにもかかわらず、役人へ責任を押し付けるという「トカゲのしっぽ切り」対応が目に余る。信賞必罰というなら公序良俗にもとづいて公正でなければならないが、責任を回避しようとする身勝手な対応は、保身と利益誘導のためと指摘されてもやむを得ず、このような事態が容認されるならば、社会規範が揺らぎ、モラルハザードをまねきかねない。

 安倍首相は、「行政のトップとして一つ一つの問題に責任をもって全容を解明し、膿を出し切る」と繰り返し語っている。本当にその言葉のとおりに対応するのであれば、「全体の奉仕者」たる政権自らがその責任を自覚して、真相を解明し責任の所在を明らかにすることで全国の公務員に範を垂れるべきである。

 国公労連は、一連の疑惑の全容解明と公正で民主的な公務員制度の確立をめざすことで、行政への国民の信頼を確かなものにするよう政府に強く求めるものである。