2018年統一要求に対する政府・人事院回答をうけて
――すべての労働者の賃上げで景気回復をめざそう(声明)

【私たちの主張:私たちの主張】2018-03-26
2018年3月26日
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
第2回中央闘争委員会
 
1、政府は26日、人事院は23日、国公労連が2月に提出(政府には15日、人事院には20日)した「2018年国公労連統一要求書」及び「非常勤職員制度の抜本改善にむけた重点要求書」並びに「定年延長の実現など高齢期雇用のあり方に関する要求書」(政府には12月21日提出)と「定員管理に関する要求書」(政府のみ)について、最終回答を行った。その内容は、賃上げ要求に対して「人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点から検討」(政府)、「情勢適用の原則に基づき、必要な勧告を行う」(人事院)とする従前の回答を踏襲した。
 公務労働者は、「給与制度の総合的見直し」によって高年齢者と地方勤務職員を中心に賃金が不当に引き下げられ、現給保障期間中であったことなどから、前年までのわずかな賃上げさえも反映されずに、当該者の生活は悪化の一途をたどっていた。そのうえ本年4月から現給保障措置と扶養手当改悪の経過措置終了による賃下げとともに、宿舎使用料の大幅値上げなどから、さらなる生活悪化が懸念されている。
 そのため国公労連は、組合員によるアンケート結果を重視して月額23,000円以上の賃上げ要求を掲げて、政府・人事院との交渉を重ね、すべての労働者の賃上げに結びつくよう国が率先して大幅賃上げの姿勢を示すことを求め、職場・地域から奮闘してきた。
 しかし、従前の回答に終始した政府・人事院の姿勢は、組合員の生活実態と社会一般の情勢を見誤った不当な対応であるといわざるを得ない。
 
2、前年までの4年連続の賃上げが極めて低額であったことから、実質賃金と可処分所得の改善には結びつかず、景気は低迷したままである。経済の好循環のためには、GDP(国内総生産)の6割を占める個人消費を促すことが不可欠であり、そのためには一時金ではなく月例給の改善が必要である。したがって、今春闘では、景気回復に結びつくベースアップを基本とする大幅賃上げを実現することが最大の焦点となっていた。
 そのため国公労連は、公務労働者が国民春闘に積極的に結集することを重視して、「較差と貧困をなくそう……過剰な蓄財を社会に還元を」キャンペーンを全国で展開するなど、大企業の内部留保の活用と不公平税制の是正ですべての労働者の賃上げが可能であることを内外に発信してきた。
 政府も春闘にあたって財界に「3%の賃上げ」を要請したこともあり、春闘の中間回答(3月15日)では、大手企業が前年を上回る3%程度の賃金改善を示し、連合集計では加重平均で額・率ともに前年を上回った。しかし賃金改善は、諸手当などを組み合わせたものが多く、月例給でみると定期昇給分を除くとベア1%未満が大勢を占めるなど不十分な状況であった。他方、国民春闘共闘は、ストライキを背景にたたかいを展開しており、中間集計(3月15日)では単純平均及び加重平均ともに前年を上回る回答額を引き出したが、率ではいずれも前年を下回るなど、春闘全体の賃上げ相場に追いついていない。
 春闘のたたかいは、中小や未解決組合を中心にこれからが正念場である。賃上げの流れを本格化させ、すべての労働者の賃上げと雇用の安定にむけて、4月9~13日の統一行動ゾーンなど官民共同のとりくみを引き続き追求する。
 
3、今春闘では、安倍政権による改憲阻止、「働き方改革」による労働法制の改悪阻止と実効ある長時間労働の是正措置の確立と均等待遇の実現、森友・加計学園問題の真相解明、改正労働契約法の無期転換権の確立と不当な雇止め阻止なども重要な課題となっていた。そのため国公労連は、改憲阻止や労働法制改悪阻止などの一致する課題での共同行動に積極的に結集してきた。
 多くの労働者・国民との共同した春闘前段のたたかいでは、「働き方改革」一括法案から裁量労働制の適用範囲の拡大部分を削除させるとともに、森友学園問題で財務省による公文書改ざんを認めさせ国会で野党が与党を追い込む状況をつくりだした。また、労働契約法20条裁判で相次いで不合理な労働条件の是正を認めさせる勝利判決を引き出したことや、東京大学や理研などで無期転換制度の適用を逃れようとした不当な雇止めを撤回させるなど、非正規雇用労働者の均等待遇や無期雇用をめぐるたたかいは大きく発展した。
 春闘後段のたたかいは、今後の日本の社会の有り様にとっても重要である。安倍政権は、通常国会で労働時間法制の規制を受けない高度プロフェッショナル制度の創設など、労働法制大改悪の「働き方改革」一括法案の提出をねらうとともに、憲法改悪に向けた具体的作業を進めている。他方で、財務省による公文書改ざんの発覚を受けて、森友・加計学園問題での安倍政権に対する国民の批判は高まっている。
 春闘前段でのたたかいの到達点を活かして、一致する課題での共同をさらに発展させて、安倍政権の暴走にストップをかけるたたかいに職場・地域から積極的に結集することが求められている。
 
4、国公労連は今春闘で政府・人事院への追及を強化し、子の看護休暇の運用改善を勝ちとるなど、賃上げ要求とともに、重点課題の要求前進に力を注いできた。
 定年延長の実現については、「人事院における検討を踏まえた上で、具体的な制度設計を行い、結論を得る」(政府)、「民間の諸情勢を参考とするとともに、各府省や職員団体の皆さんの意見、行政現場の実態も聞きながら、鋭意検討する」(人事院)と、具体的な検討内容を示さなかったものの制度化に向けた前向きの姿勢を明らかにさせ、今後、国公労連の意見や職場実態を踏まえた検討を確約させたことは、一つの到達点である。引き続き、職場からの具体的事例を集約しながら要求書にもとづいた制度の確立を追及していくことが重要である。
 非常勤職員の重点要求書については、「申し合わせに沿った処遇改善が着実に進むよう、必要なとりくみを進める」(政府)、「慶弔にかかる休暇等について必要な検討を進める」「指針の内容に沿った適正な処遇の確保」(人事院)という従前の回答に終始し、注目されていた均等待遇の具体的措置について言及を避けたことは大変不満である。また、無期転換の制度化と更新にかかる公募要件撤廃の要求に関して、頑なに従前の姿勢を変えようとしない人事院の姿勢は、職場で生じている矛盾を顧みない不当な対応であり、引き続き、追及を強化していかなければならない。
 定員管理要求について政府は、最終回答では具体的な言及を避けた。政府の姿勢は、職場で最も切実な課題となっている問題から目を背けるもので、使用者としてあるまじき対応といわざるを得ない。引き続き、「国民の権利と安心・安全を守る運動」を軸に政府の定員管理政策を改めさせることが重要である。
 長時間労働の是正については、具体策についての言及は避けたものの、「是正に向けたより実効性のある対策を検討する」(政府)、「管理職員も含めて、適切な方法により職員の勤務実態を把握することが重要」(人事院)と従前から一定踏み込んだ回答を引き出したことは、今後の足がかりとなるものである。他方で国公労連が提案している窓口取扱時間の設定などについては、「各府省の責任」などと真剣に向き合おうとはしていないことから、職場実態を踏まえた追及の強化が必要である。
 
5、国公労連は、春闘のたたかいをさらに発展させて、大幅賃上げ、非常勤職員の処遇改善と雇用の安定、定年延長の実現、総定員法の廃止と大幅増員実現など、職場の要求実現に全力をあげるとともに、社保庁不当解雇撤回闘争の完全勝利にむけてたたかいを強化する。また、森友・加計学園問題の真相解明を求めるとともに、「全体の奉仕者」として公務の公正・中立性の確保とそれによる国民の権利保障機能を拡充するために、「公正で民主的な公務員制度の確立をめざす」運動と新たな権利確立に向けたとりくみを強化する。
 国公労連中央闘争委員会は、春闘の諸行動に結集して奮闘された全国の仲間に心から感謝するとともに、引き続くたたかいへの結集を呼びかけるものである。