国公労新聞2017年7月10日号(第1486号)

【データ・資料:国公労新聞】2017-07-10
分限免職取り消し判決勝ち取る
東京地裁判決を社保庁解雇撤回の完全勝利にむけた突破口に


一部勝訴を勝ち取る
 6月29日、東京地裁(清水響裁判長)は、旧社会保険庁職員3人の分限免職処分の取り消しを求めた裁判で、原告1人の分限免職処分を取り消し、残る2人の請求を棄却する判決を行いました。

1人とはいえ画期的判決
 1人とはいえ処分取消を勝ちとったことは、全国で処分撤回を求めて裁判を軸に展開してきた運動が反映したものです。分限免職の不当性を司法がはじめて認定した点で画期的な判決です。
 一方で、2人の請求を棄却した判決では、社会保険庁の業務が日本年金機構に引き継がれるため、国家公務員法78条4号による廃職等にはあたらず分限免職の要件に該当しないという原告の主張を退け、要件に該当すると判断しました。また、分限免職回避努力義務の主体については、政府の責任を認めたものの政治的責任に矮小化して、「任命権者がその権限の範囲内で行う分限免職回避努力義務の限度では図られているものというほかない」と事実上、社会保険庁に限定しました。
 これらの判断は、政府の責任を社会保険庁に転嫁して、廃止・解体へと強引に進めて大量解雇を強行した、政府の責任を不問にする不当なものです。


裁量権の逸脱・濫用をはじめて認定
 判決は、分限免職回避について全体としては「努力は行っていた」としつつも、原告の個別的な事情を踏まえた検討を行い、懲戒処分のない1人の原告について、機構発足時に社会保険庁からの正規職員の採用予定人員に381人の欠員が生じていたことに着目して、「仮に追加募集がされていたならば、原告が正規職員として採用された相応の蓋然性もなお十分に存したというべきである」としました。その上で追加募集の努力を怠ったとして「社会保険庁長官等が分限免職回避努力を尽くさなかったことにより、その裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるというべきである」と処分取り消しの判断を行いました。
 これは、これまでの私たちの主張が反映したもので、これまでの政府の主張のみに従った不当判決と一線を画して分限免職回避努力の裁量権の逸脱・濫用を認定した点で、今後の足がかりとなる判決です。
 ただし、懲戒処分歴のある職員の一律排除については、「政策的判断として不合理であるとまではいえず、このような基準を設けることが機構法に違反するということもできない」と原告の主張を退けたことは問題です。

不当解雇の撤回へ全力をあげよう
 処分取消を勝ちとった原告は、裁判後の報告集会で「皆さんの希望になればと思う。頑張っていきたい。これからも応援お願いしたい」と感想と今後の決意を述べました。また、棄却判決を受けた原告は、「(処分取消)おめでとう。政府の無責任が証明された。職場に早く戻し、残った原告も勝訴にむけ奮闘したい」と裁判結果が分かれたものの、ともに勝利の喜びを分かち合うとともに、今後の決意を表明しました。
 不当解雇撤回を求める裁判は、現在、秋田事案で一審、愛知・広島・愛媛事案で控訴審、京都事案で上告審でのたたかいを展開しています。国公労連は、引き続き、全厚生闘争団を全面的に支援して、不当解雇の撤回をめざすすべての裁判闘争と連帯して完全勝利にむけて全力をあげる決意です。



賃下げ違憲訴訟のとりくみ強化を
職場討議、署名を推進しよう


 国公労連は、政府による不当な賃下げ(2012年4月から2年間)に対して、「公務員賃下げ違憲訴訟」をたたかっています。この裁判は、①憲法で保障されている労働基本権制約の代償措置である人事院勧告に基づかずに政府が一方的に賃下げを強行したことは憲法28条違反であり、ILO(国際労働機関)条約違反であること、②十分な交渉・協議を尽くさなかったことは団体交渉権の侵害であること、など国家公務員労働者の権利侵害を最大の争点としてたたかっています。

職場討議資料の積極的な活用を
 提訴から5年が経過していますが、裁判闘争は、昨年12月の控訴審の不当判決を受けて最高裁に上告及び上告受理申立を行い、上告審段階に移っています。上告は、高裁判決が憲法解釈に重大な誤りがあるとして上訴したもので、上告受理申立とは、高裁判決が判例違反等の法令の解釈に重要な誤りがあるとして上訴したものです。

 上訴した理由を弁護団がとりまとめて今年4月に最高裁に上告理由書及び上告受理申立理由書を書面で最高裁に提出しました。国公労連は、上告審での勝利をめざしたとりくみを推進するため、理由書の解説をQ&A形式の職場討議資料として作成しました。

高裁判決の憲法判断誤りを主張
 上告理由書は、①人事院勧告に基づかない賃下げは、労働基本権を保障した憲法28条違反と判例違反であること、②議員立法で一方的に引き下げたことは、国会の裁量権の逸脱であり、「法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理する」と内閣の職務権限を定めた憲法73条4号に違反すること、③労働条件の不利益変更法理と同等の基準に照らした憲法28条違反と判例違反であること、④必要性・合理性の基準に関する憲法28条違反と判例違反であること、⑤団体交渉権の侵害による憲法28条違反と憲法73条4号違反と判例違反であること、⑥ILO87号条約及び98号条約についての解釈に誤りがあること、などを具体的事実を含めて国公労連の主張を展開しています。
 最高裁の審理のパターンは、弁護団によると主に次の3パターンがあります。
 ①上告理由及び上告受理申立理由は認められず「棄却・不受理」される場合。この場合、ある日突然文書により通知されます。
 ②上告理由又は上告受理申立理由を受理して、法廷で判決を言い渡す場合。この場合は、結論が高裁判決と変わらず、法解釈などで新たな判断がされます。
 ③上告理由又は上告受理申立理由を受理して、法廷で弁論を開く場合。この場合は、原判決の結論が変わります。

公正な判決を求める署名の強化を
 裁判の勝利に向けたとりくみとして、現在、公正な判決を求める個人署名を全国でとりくむとともに、毎月、最高裁判所に署名を携え要請行動をとりくんでいます。
 新たな職場討議資料を活用して、裁判闘争の意義・目的と運動の到達点や今後のとりくみについて意思統一をすすめ、逆転勝利にむけて力一杯とりくみましょう。



実践で学び 楽しく交流
国公青年セミナーひらく


 6月16日〜17日、東京で2017国公青年セミナーを開催しました。今年の青年セミナーには、北海道から沖縄まで全国の職場から44名(8単組・1ブロック国公)の青年層役員・組合員が参加しました。
 セミナーの目的として「国公労働運動を実践的に身につける」、「青年運動の相互交流をはかる」の二つを掲げ、一日目に国会議員要請(定員課題)・人事院交渉(青年層要求)・財務省交渉(宿舎課題)にとりくみ、二日目には声かけの方法などを中心に組織拡大の学習・ワークショップを行いました。

鎌田書記長「いまこそ青年協再開を」
 開会あいさつで国公労連・鎌田書記長は、これまでの国公労働運動が青年協の活躍で前に進んできた経過を紹介。青年が増えてきた今こそ休眠中の青年協を再開したいと力強く語り、青年たちにエールを送りました。
 つづいて、議員要請・人事院交渉・財務省交渉について、各目的や意義を青年運動推進委員から解説し、全体で共有したあと、グループに分かれて行動しました。
 議員要請グループは、定員合理化計画中止と増員を求め、衆・参の内閣委員60名に要請行動を実施しました。自らの言葉で職場実態を伝えながら、行政・司法の体制・機能拡充の必要性を訴えました。
 人事院交渉グループは、青年層の処遇改善要求書をもとに前薗職員団体参事官と交渉し、職場の青年の切実な要求を訴えました。交渉後の振り返りでは「人事院の回答は不十分」という感想が多く出されましたが、「人事院の考え方が分かった」「本音が透けて見えた」など次に生かせる経験も共有しました。
 宿舎課題での財務省交渉は、「親子交渉」として単組調査部長なども交え実施し、ずさんな宿舎管理の実態、原状回復の考え方など、青年から具体的な追及を行いました。

笑いながら学べた「声かけ」実演
 2日目には、全教の市塚絢子青年部事務局長から、全教青年部のとりくみについて講義を受けました。職場に一人しか組合員がいない場合でも、「誘いたい相手の要求をつかむ」ことが声かけと組織拡大にとって重要だとの内容に、多くの青年が聞き入っていました。
 講義につづき、「良い声かけ・ダメな声かけ」をテーマにグループディスカッションと声かけのロールプレイを実施しました。ロールプレイでは、「とにかく(加入届けを)書け!」などのダメな声かけの実演に会場は笑いに包まれ、「強制的に加入させるのは良くないと実感できた」「問題点が共有できた」などの感想を交流しました。

【参加者の声】
「とても充実していた」
「すごく楽しかった」
「地元へ戻っても今回の内容を紹介して単発で終わらせないように拡げていきたい」



国研集会 科学技術の危機と対峙


 第35回国立試験研究機関全国交流集会が6月22日、国公労連と学研労協で構成する実行委員会の主催により、「科学技術の危機と国立研究機関の行方」を集会テーマにつくば市で開かれ、105人が参加しました。
 記念講演を行った海部宣男国立天文台名誉教授は、「運営費交付金の削減、任期付き若手研究者の急増が日本の科学技術退潮の背景にある」「科学研究の目標は、人類の平和的発展に寄与することで軍事研究とは相いれない」と指摘しました。
 パネルディスカッションでは、東京新聞の望月衣塑子記者と全大教の長山泰秀書記長が急進展する軍事研究・軍学共同等について報告。集会にむけてとりくんだ個人アンケートで「軍事研究を進めるべき」が33%、「進めるべきではない」が59%となっており、若い世代ほど「進めるべき」が多くなっている問題について参加者を含め活発な討論が行われ、労働組合は対話を通じて研究者の社会的役割を若い世代にも広げていく必要性などが語られました。
 産総研労組の川中浩史学研労協事務局長からは、運営費交付金の削減やトップダウンの運営により基礎研究が困難になっている状況、国土交通労組運輸研究機関支部の安達雅樹氏からは長期的視野に立った研究の重要性が報告されました。