国公労新聞2017年5月25日号(第1483号)

【データ・資料:国公労新聞】2017-05-25
共謀罪を廃案に
人権侵害の違憲法案を衆院で強行採決

 通常国会では、焦点とされていた共謀罪法案について、5月19日の衆議院法務委員会で自民、公明、維新の会が質疑を一方的に打ち切り、採決を強行しました。与党は、23日の衆議院本会議でも強行採決を行い、無理矢理衆議院を通過させました。



 共謀罪法案は、話し合うだけで処罰の対象とするもので、過去3回国会に提出されましたが、いずれも「人権侵害」などの世論の強い反対により廃案となったものです。今回、政府は、、法案の名称を「テロ等組織犯罪準備罪」に変更するとともに、処罰の対象を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」に変更しました。また、処罰行為については、計画(共謀・合意)だけでなく「準備行為」を付け加えるなど、「共謀罪の構成要件を厳格化した」と政府は主張しています。
 しかし、国会審議では、「テロ対策」が口実に過ぎず、国際組織犯罪防止条約の締結のための新規立法も必要ないことが再三指摘され、立法事実への疑念は深まるばかりです。また、政府は、「一般人が捜査、監視の対象になるのか」の疑問に対して、「100%ならない」と答弁したり、「対象とならないことはない」「嫌疑がある段階で一般の人ではない」などとちぐはぐな答弁を繰り返しています。
 「準備行為」について法案では、「資金や物品の手配」「関係場所の下見」などと定義が曖昧で幅広く適用することが可能であり、誰か一人が準備行為したと判断されれば、全員が処罰の対象となるもので、合意したことだけで罪に問われる従前の共謀罪法案とは本質的に同じであり、近代刑法の犯罪行為の既遂結果を処罰する行為主義の原則に反するものです。
 「組織的犯罪集団」について政府は、普通の団体が性質を変えた場合は処罰の対象となり得ることを認めており、捜査機関が判断すれば幅広く処罰の対象にすることができ、レッテルを貼れば一般の団体や労働組合が組織的犯罪集団となり得る危険性が明らかとなっています。

 このように審議が進めば進むほど法案の問題点が浮かび上がり、「内心=心の中」を処罰対象とする人権侵害、違憲立法の疑いが深まっています。このことは、5月18日に国連のプライバシーに関する権利の特別報告者が安倍首相に共謀罪法案がプライバシーや表現の自由を制約する恐れがあるとの書簡を送ったことからも明らかです。
 さらに法案には、戦前の治安維持法と同じ自首減免規定があり、他人を陥れるために利用する懸念や捜査機関が意図的に協力者・潜入者に準備行為をさせて弾圧することが可能となっています。そのうえ政府は、2016年の「改正」刑事訴訟法で通信傍受法による盗聴拡大と司法取引(自分の罪や他人の罪を供述するかわりに罪を軽減する取引)を導入しており、恣意的な操作が拡大し、監視・密告社会につながりかねない危険な法案です。
 戦前も治安維持法の運用過程で対象が拡大され、市民までも弾圧の対象とされ、世界大戦へと突き進みましたが、共謀罪も同様に真の目的は、戦争できる国を完成させるために、反対する市民、労働組合を弾圧することにあることは、歴史の事実からも明らかです。
 憲法を守り、「再び戦争の奉仕者にならない」ために、共謀罪法案の危険性を一人でも多くの国民に広め、廃案に向けて、幅広い市民との共同を職場・地域から広げていきましょう。


 

霞が関過労死110番を実施
日本テレビ、フジテレビなど マスコミも注目

 5月13日土曜日の午前10時から午後4時まで、国公労連は東京国公・霞国公と共同して「霞が関過労死110番」を実施しました。
 このとりくみは、マスコミにも大きく注目され、フジテレビが秋山正臣国公労連副委員長による記者発表の模様をテレビ報道(写真)したのをはじめ、朝日新聞などが紙面とネットニュースで事前の告知記事を掲載しました。
 5月13日の当日には、日本テレビが午前10時から正午にかけて取材に入り、鈴木賢一全経済書記長が電話相談を受けている場面(写真)などをテレビ報道しました。
 電話相談は6件、メール相談は3件ありました。国公労連は、これを受けて関係機関に対し、国家公務員労働者における残業規制の実現などの働きかけを強めていくことにしています。以下、主な電話相談の内容を紹介します。


月100時間超の残業
毎月過労自殺の報告
 ◇忙しい時期は月100時間を超える残業だが、残業代は4割程度の支給しかない。どこの職場にもうつ病による休職者が存在している。上位下達の職場のため、改善要望などの声を上げることもできない。毎月1〜2件自殺・自殺未遂の報告が流れてくるものの、行き過ぎた指導という「指導の範囲内」で済まされている。人手不足を何とかしてほしい。(A省職員)

 ◇1年8カ月前に息子がくも膜下出血で死亡した。たびたびメールで朝起こして欲しいとお願いされていたが、パワハラなどがあったのではないか。なぜ命を落とすこととなったのか、当時の働き方などを知りたい。(B省職員の母)

 ◇妻が本省で働いているが、毎月100〜120時間の残業をしており、身体を壊すのではないかと心配。手当は20時間分ほどしかついていない。プレミアムフライデーは「地獄のくじ引き」と呼ばれ、当たると休日出勤しなければならない。周りの職員に話をすると、本省の働き方はこんなものという答えしか返ってこない。公務員バッシングで不満を言ってはいけない気分になっている。(C省職員の夫)