国による理不尽な解雇を正当化する不当判決に抗議する
――社会保険庁職員不当解雇撤回・北海道事案の一審判決にあたって(談話)

【私たちの主張:私たちの主張】2017-04-25
2017年4月25日
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
書記長 鎌田 一
 
 本日(4/25)、北海道地方裁判所民事第1部(内野俊夫裁判長)は、社会保険庁職員の分限免職(解雇)処分の取消等を求めた裁判で、原告の請求をすべて棄却する不当な判決を言い渡した。
 
 国家公務員は、日本国憲法で定められた全体の奉仕者として公正な職務の遂行を担保するために身分が一定保障され、本人の意に反して降任や免職を行う場合(分限処分)は、その事由も限定され、「公正でなければならない」(国家公務員法74条第1項)と公正原則を根本基準としている。とりわけ、分限による免職処分は、極力回避され1964年以降一度も発令されてこなかった。
 今回の免職処分の事由である社会保険庁の解体と日本年金機構の設立は、国民の年金に対する不信・不満を社会保険庁職員に転嫁して強行された「政治のパワハラ」であり、廃職による分限とすること自体が不当であり、職権濫用である。さらに日本年金機構発足にあたって大量の欠員が生じていたにもかかわらず、懲戒処分歴のある職員の不採用にこだわり、分限回避努力も尽くさなかった当時の政府・厚生労働省の対応は、不公正際まりないものであった。
 
 しかし判決は、「当該職員の分限免職を回避する措置が十分とれなかった場合や、当該措置において対象者の選定が公正かつ平等にされなかった場合、当該廃職による分限免職は、任命権者がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして、違法というべきである」とこれまでの判決を踏襲したが、社会保険庁の解体は「国家公務員法78条4号の『官制の改廃により廃職を生じた場合』に該当する」と決めつけた。
 
 また、分限免職回避措置の主体については、社会保険庁長官ほかの任命権者に加えて厚生労働大臣にも分限回避措置の職務上の義務を認め、さらに、内閣及び内閣総理大臣も、「分限免職を回避する義務を負っていたと解する余地がないものではない」と主体の範囲を幅広く認める姿勢を示した。しかし、内閣及び内閣総理大臣は、「分限免職回避の措置をとることに必要に応じて協力し、それを補完する義務を負うにとどまるもの」と矮小化して、分限回避措置を「十分とらなかったということはできない」と判断した。厚生労働大臣や社会保険庁長官ほかの任命権者についても、分限回避措置を「十分とらなかったということはできない」と裁量権の逸脱・濫用を一切認めなかった。
 
 処分歴のある職員の一律不採用についても「合理性を欠くということはできない」とし、「対象者の選定が公正かつ平等にされなかったということはできない」と断じた。
 
 今回の判決は、不十分な回避措置も免職にあたっての不公正さも認定せず、国の理不尽な解雇を容認する不当な判決であり、公正さを旨とする司法の姿勢が問われるもので、厳重に抗議する。
 不当解雇撤回を求める裁判は、現在、京都事案が最高裁に上告、愛知・広島・愛媛事案が控訴審、秋田・東京が一審段階でのたたかいを展開している。国公労連は、国と厚生労働省に不当解雇の即時撤回を求めるとともに、全厚生闘争団を全面的に支援して、不当解雇撤回をめさすすべての裁判闘争の完全勝利にむけて全力をあげる決意である。
 また、国の不当解雇の背景には、労働者の雇用と権利が軽視されている社会環境がある。したがって国公労連は、すべての労働者の雇用の安定と労働条件の確保をめざすたたかいに奮闘する決意である。