国公労新聞2017年1月10・25日号(第1476号)

【データ・資料:国公労新聞】2017-01-25
オスプレイ墜落、辺野古新基地・高江ヘリパッド強行
沖縄県民を犠牲に進む米軍強化


 沖縄では2016年、米軍属による婦女暴行・殺人事件、米軍辺野古新基地建設をめぐる沖縄県と政府の対立、東村高江のヘリパッド建設の強行、オスプレイの墜落など、沖縄県民のいのちにかかわる重大事件が相次ぎました。しかし、本土のテレビや新聞などのマスコミは、事件の概要は報道しますが、どこか「余所事」のような扱いです。
 そこで、「沖縄で何が起きているのか」について、10月30日に沖縄県国公の協力を得て現地取材してきました。取材では、米軍基地がはびこっているが故に、同じ日本とは思えないほど、米軍と日本政府に虐げられている沖縄の数々の実態を目の当たりにしました。その一部を紹介します。(文責=国公労連書記長・鎌田一)



オスプレイ配備の世界一危険な基地
 まず最初に普天間基地を視察しました。普天間基地周辺は、沖縄戦の激戦地であり、いまなおその爪痕が散見できます。公園の小高い丘を登ると普天間基地が一望できます。基地は、一見すると飛行場で、基地の手前と後にそれぞれ10機ほど配備されている巨大な新型輸送機オスプレイが確認できました。基地周辺は、町並みに囲まれており、オスプレイが墜落した場合を考えると、「世界一危険」といわれていることが直ぐに理解できました。
 この普天間基地の移設先として政府は辺野古新基地建設を強行していますので、次に辺野古新基地建設現場に向かいました。高速道路経由約一時間で、基地建設現場のある米軍キャンプ・シュワブ(海兵隊基地)の第一ゲート前につきました。

辺野古新基地建設のねらいは軍備増強
 ゲート前には、反対する住民らが24時間監視・座り込みしているテントがいく張りもあり、テントの中には、これまでの闘争写真などが展示されていました。地元の人によると、この座り込みは1997年から始まっているとのことでした。
 ゲートから車で20分ほど北に向かうと、大浦湾が一望できる浜辺があり、湾の右端の辺野古岬にキャンプ・シュワブの建物が確認できました。地元の人に確認すると、その岬の先の海を広い範囲で埋め立てる計画で、当初は仮設で予定した基地でしたが、1800メートルの滑走路を2本備え軍港にもなり得るしっかりとした基地として資金はすべて日本政府がまかなうのだと教えてくれました。また大浦湾は、天然記念物のジュゴンの生息地であり、珊瑚礁が広がるきれいな海だそうで、そんなきれいな海を失ってまで、他国の基地が必要なのか、私には理解できませんでした。
 地元の人は、米軍基地が存在するために不幸な歴史を刻んできたことから、米軍基地撤去が願いであり、普天間基地の移設と新基地建設を天秤にかけ、事実上軍備増強しようとしている日本政府と米軍の理不尽さを切々と語ってくれました。
 取材時は、3月の「和解」によって工事が中断していたようでしたが、辺野古埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の対応について、自治体が国の指示に従わなかったことについて国が「違法」確認を求めた訴訟で、最高裁判所が12月20日、国の主張を認めた不当判決を行ったことで、工事再開の動きもあり、新基地建設反対の輪を全国に広げなければならないと痛感しました。



希少な生物の宝庫「やんばるの森」を破壊
マスコミが報じない高江住民の負担増

オスプレイの訓練で日常が壊される


ヘリパッドの発端は「沖縄県民の負担軽減?」だった
 米軍基地増強の動きは、沖縄県の北部でも進行しています。
 次に、7月の参議院選挙後に米軍ヘリパッド建設反対で座り込んでいた市民を強制排除してまで建設を再開した東村高江地区に向かいました。辺野古からは、車で1時間半ほどで高江地区に到着しました。高江地区周辺は、深い森(「やんばるの森」)に覆われていますが、日本政府は高江地区を囲むように、6つの米軍ヘリパッドを建設していました。ヘリパッドは、N4地点の2つは既に完成しており、N1(2カ所)、G、Hの3地点に4つ建設中でした。
 N1地点には2つのヘリパッドが建設されており、その入り口ゲートの表と裏には、反対派のテントがあり、市民が常時監視・座り込みしていました。
 N1ゲート裏のテントでは、このヘリパッド建設の経緯や問題などを解説してくれました。
 発端は、相次ぐ米軍による不祥事をうけ日米両政府が1996年に「沖縄県民の負担軽減・基地の整理縮小」のために「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」を設置して、米軍の北部訓練場の一部返還とその交換条件として変換する地域にあるヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)6カ所の移設と上陸訓練のための水域の提供が合意されたことであるという。2006年に移設するヘリパッドが高江を取り囲むように建設する計画が判明して、日本政府と沖縄防衛局は2007年に建設工事を強行したが、完成したのは2カ所だけで、工事開始の前日から反対する住民が座り込み、それから9年間、工事を阻止してきたという。ところが今年7月22日、防衛省沖縄防衛局は、残り4カ所の建設に着手するため、県外から動員した機動隊500人を加えて1000人の機動隊員によって住民を強制的に排除して建設を強行したということでした。
 しかも、米軍が望んだヘリパッドは、実際はヘリ用ではなく直径75メートルもあるオスプレイ用の離着陸帯でオスプレイパッドだという。また、周辺の森林は、地球上で唯一残る湿潤亜熱帯照葉樹林帯で「やんばるの森」と呼ばれ、ヤンバルクイナやノグチゲラなどの希少な生物が多数生息する地域であり、その自然破壊は深刻で、ダンプのための工事用の道路を造るために既に3万本以上の立木が伐採されたという。本国ではハワイ州でオスプレイの訓練計画が浮上した際は、環境影響評価(アセスメント)を実施して、下降気流が悪影響を与えるとして計画が変更になったこともあるのに、日本政府は言いなりだと指摘。政府は、「年内完成」にこだわり、安全や環境対策がずさんで、実際、ダンプの過積載や違法改造が発覚しても見て見ぬふり、それどころか機動隊がダンプを現場まで先導することもあるという。 

沖縄県民の安全確保を口実に強制排除
 次に車で約20分ほど森林を迂回して、反対住民を強制排除したN1ゲート前のテントを訪ねてみた。
 ゲートは、物々しい警備で、最前線には民間の警備会社の職員が構え、その広報に機動隊が待機するという構図でした。
 そこで監視・座り込みしていた女性に話を聞いたところ、この女性は、7月の強制排除の渦中にいたという。22日にゲート前にいつもと同じく車で封鎖して座り込んでいたところ、突然大勢の機動隊が住民も車も強制的に数の暴力で移動させて、ゲートを開いたという。女性は、「9年間守ってきたのに悔しい。特に悔しいのは、米軍属による婦女暴行・殺人事件を利用して住民の安全確保という口実で大量の機動隊を反対派排除に利用したことです」と悲しげに語ったことが印象的でした。
 その機動隊500人は、近くのリゾートホテルに宿泊して日夜、反対住民対策しているという。また、こともあろうに、機動隊の車が作業員を運ぶこともあるという。

 突貫工事のうえ、12月16日に日米両政府が離着陸帯の完成を強引に確認して、それと引き替えに沖縄県東村と国頭村にまたがる米軍北部訓練場(約7500ヘクタール)のうち約4000ヘクタールが12月22日に返還されました。
 政府は「負担軽減」といっていますが、返還後もなお、全国の在日米軍専用施設・区域が沖縄県に占める割合は70%と集中しています。
 地元の人は、米軍が使っていない地域が返還され、その見返りとしてオスプレイ訓練施設を提供したことは「負担軽減ではなく増大だ」と指摘。返還される区域の99%が公有地であり、住民にメリットはほとんど感じられないとも指摘しています。
 また、オスプレイの訓練は、年間420回も想定されており、低空飛行の騒音で日常生活に支障をきたすし、墜落の危険にさらされると不安を隠しきれないという。
 実際、12月13日にオスプレイが墜落した地点は、集落から一キロもなく地域住民も釣りなどで訪れるという。

沖縄への理解と支援を
 取材して感じたことは、米軍基地に反対する住民は、日常的に不安にさらされたうえに、郷土の豊かな自然も破壊されており、基地撤去はきわめて切実であるということ。そして、沖縄県民に対する米軍と日本政府の数々の非礼は、本土では余り報じられていないことに憤りを感じたことです。10月に大阪府警の機動隊が米軍基地反対の人に「土人」と発言したことを政府関係者は問題視せずに、こともあろうか、差別用語にあたるかどうか「一義的に述べることは困難」との答弁書を閣議決定したことと、マスコミの姿勢は無関係ではないと痛切に感じました。
 基地建設反対の住民テントには、多くのボランティアが無償で協力している姿勢に励まされるとともに、これらのテントに様々な若者が次から次へと訪れて住民の話に耳を傾ける姿に、希望を感じました。
 「百聞は一見にしかず」。新年にあたって現地への理解と支援が広がることを期待するものです。




オスプレイ落ちた日米同盟××
 「やっぱり落ちた」、地元紙は沖縄県民の気持ちを一面トップで報じた。2016年12月13日、夜間訓練中のMV22オスプレイが名護市安部集落からわずか800メートルしか離れていない沿岸に墜落したのだ。
 米軍の説明によると、沖縄本島の東約30キロの上空で夜間の空中給油訓練中、KC130給油機からオスプレイに燃料を送る給油管がプロペラを破損し、不安定になったためという。機体はその衝撃の強さを伺わせるようにプロペラがちぎれ、尾翼が折れ、胴体部分はバラバラに大破して無残な姿で波間に漂っていた。
 沖縄での米軍機墜落は日本復帰後48件目。年に1回以上、米軍機が落ちる都道府県がどこにあるだろうか。
 5年前に県民の反対を無視し12機が強行配備され、翌年に12機が追加配備され現在24機が運用されている。撤去を訴え続けてきた中での事故に不安が現実のものとなり、12月22日名護市内で開催され4200人が参加した「欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会」(写真)では「オスプレイが安全というなら総理専用機へ」と県民の怒りの声が上がった。

米軍ファースト、服従で成り立つ日米同盟
 多くの国民は、事故の映像を見て「不時着」との言葉に首をかしげる。米軍、防衛省ともに口を合わせ、マスメディアもこれに従いオスプレイ墜落事故を矮小化し、オスプレイが使用する辺野古新基地計画や本土飛行訓練等などへの影響を抑えようとする魂胆が見え過ぎる。
 日米地位協定の下では民間住宅のすぐ傍に墜落したとしても事故調査を行うことはできず、米軍からの詳細な説明もないまま「問題なし」と言われれば、住民が納得せずともそれに従い同じ訓練の再開を容認する。外務省や防衛省は、「国民の生命第一」ではなく「米軍ファースト」の基地政策を取り続けている。その結果、在沖米軍トップのように米軍の権利主張が強まり、過重負担の解消を求める県民の取り組みに露骨な敵意を示すようになったのだ。さらには、欠陥機と知りながらアメリカの押し売りにより17機のオスプレイを、いま国民が抱える待機児童問題を解消できる予算3600億円で購入するという。まさに血税で「危険」を買うのである。
 このように不平等な同盟関係は、国民に安全をもたらすどころか不安や苦しみを与え続けている。
 安倍政権は、今度の通常国会に東京五輪へ向けたテロ対策名目に過去3度も廃案となった「共謀罪」を提出する。政府の政策に反対する市民運動や沖縄の新基地建設反対の行動も対象にされかねない人権侵害の法案である。数の力による暴挙により、これまで以上に国民監視といじめ、アメリカにへつらう安倍政権を一刻も早く終わらせない限り私たちの未来に希望が持てなくなる。国公労働者の皆さん声をあげ行動を起こそう。




国公労連が記者発表
大企業の内部留保活用で景気回復・財政健全化、非常勤職員制度の抜本改善を


 国公労連は2016年12月27日、大企業の内部留保活用と税制改革の提言、非常勤職員制度の抜本改善の3つの新たな政策について、記者発表を行いました。
 大企業の内部留保の活用では、主要企業129社の内部留保の1%で49・6万人の雇用創出が可能になることや、主要企業54社において内部留保3%未満の取り崩しで月2万円の賃上げが正規・非正規労働者に可能であることを指摘。加えて、内部留保にわずか1.33%課税するだけで消費税増税が不要になることや、不公平税制の是正で最低賃金1500円が実現可能であり、大企業の内部留保を活用すれば景気回復・財政健全化ができると発表しました。
 また、2017年版「税制改革の提言」(月刊誌『KOKKO』1月号所収、4面参照)では、不公平税制の是正によって14兆1117億円の財源が確保できること、非常勤職員制度の抜本改善要求については、1月27日に開催する国公労連拡大中央委員会で、雇用の安定と均等待遇を図るための新方針確立をめざすことを明らかにしました。