国公労新聞2016年11月25日号(第1474号)

【データ・資料:国公労新聞】2016-11-25
国の主張のみに沿った不当判決に抗議する
社保庁解雇撤回裁判・京都事案の控訴審判決にあたって(談話要旨)

 11月16日、旧社会保険庁・京都社会保険事務局職員(全厚生組合員15人)の分限免職処分の取り消しを求めた控訴審で、大阪高等裁判所は請求を棄却するきわめて不当な判決を下しました。国公労連は以下の鎌田書記長談話(要旨)を発表しました。


 大阪高等裁判所は11月16日、旧社会保険庁・京都社会保険事務局職員の分限免職処分の取り消しを求めた控訴審で、「控訴人らの請求はいずれも理由がない」とし、「原判決(一審判決)は正当であるから、本件控訴を棄却する」という不当な判決を行った。
 判決は、国による社会保険庁解体と分限免職処分を容認した。
 これは当時、年金未納や年金記録問題など年金制度に対する国民の不信が高まる中で、過剰なバッシングを背景に、政府の責任を社保庁に転嫁して、社保庁の廃止・解体へと強引に進めた事実を顧みない不当なものである。こうした不当処分が容認されるならば、国家公務員を分限免職処分するために、当該部門を民営化・外部委託等すれば、不当解雇が正当化されることとなり、公務員の身分保障は画餅に帰し、公務の公正・中立性の確保が困難となる。
 「分限免職回避努力義務・裁量権の逸脱・濫用」について判決は、分限免職処分について「転任のための合理的努力を尽くさずに、任命権者において同処分をした場合、当該処分は、任命権者が有する裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして、違法なものになることがあるというべきである」と裁量権の濫用等の可能性を指摘した。しかし、「裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があることは、当該処分が違法であると主張する当事者(控訴人ら)に立証責任があるものと解される」として、任命権者の一方的な強権発動に関して処分された側に立証責任があるという不当な見解を示したうえで、「(国による)転任のための合理的な努力がされた場合において、更に努力の余地があったからといって、直ちに違法評価を受けるものではない」と国の裁量権濫用等を認めなかった。
 このように今回の判決は、こうした私たちの主張を一顧だにせず、政府の主張に従った不当なものであり、厳重に抗議するものである。
 不当解雇撤回を求める裁判は、現在、北海道、愛知の事案で一審段階が結審を迎えるほか、秋田、東京での審理が進められている。また、愛媛・広島では高裁でのたたかいを展開している。
 さらに、ILO(国際労働機構)の結社の自由委員会は、2015年11月に日本政府に対して社保庁の分限免職処分に関して労使協議の重要性を求めると同時に追加の情報提供を求める勧告を行うなど、「不当解雇は団結権の侵害」の可能性について強い関心を示しているが、本判決は国際世論に関しても真っ向から応えていない。
 このたたかいは、社会的にも意義がある。
 政府は、社保庁の廃止・解体を強行したうえに、年金積立金を投機に使用しているが、政府には、年金制度の安定的な運営を行う義務があり、このたたたかいを通してその責任を明らかにして年金制度の拡充・強化を図ることが求められている。また、不当解雇などの労働者の権利侵害を社会的に抑止し、人間らしく働くルールを確立するためにも重要なたたかいである。
 国公労連は、今回の不当判決に屈することなく、上告して逆転判決をめざす。また、全厚生闘争団を全面的に支援して、不当解雇撤回をめざすすべての裁判闘争の完全勝利にむけて全力をあげる決意である。  

 
11月16日 改正給与法が成立 
 私たちの賃金をはじめ、労働条件を定めている「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」が11月16日に参議院本会議にて可決・成立しました。
 これにより、賃金は4月に遡って平均708円(初任給は1500円、高位号俸者は400円)、一時金も0・1月改善されることになります。これは、16春闘から労働条件改善にむけて官民共同の運動を積み上げてきた成果です。
 しかし、「給与制度の総合的見直し」の影響によって月例給だけで言えば44%の職員が賃上げなしとなります。また、扶養手当の改悪も2017年度から段階的に実施されることになります。この改悪をめぐって国会では、45%の職員の手当が減額される大変な不利益変更にもかかわらず、人事院が乱暴なやり方で強行してきたことが明らかにされました。
 一方、参議院の内閣委員会では、ほとんどの政党が非常勤職員の労働条件課題について政府を追及し、人勧に基づく給与の改善については、給与法22条2項で「各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給する」とされているためバラバラになっている実態、3年一律で公募にかけられ、大半の非常勤職員がその後、再度採用されていない実態などが鮮明となりました。「非正規をなくす」「同一労働同一賃金」を掲げている安倍内閣に対して統一的に改善していくことなどが各議員から提起されましたが、「非常勤職員の『実態調査』をふまえ、関係各所と連携してとりくんでいく」との回答に終始するにとどまりました。
 非常勤職員の賃金を常勤職員と同様に4月に遡って改善させるために、各級機関で追及をつよめるととともに、第148回拡大中央委員会で決定する「非常勤職員制度の抜本改善要求と運動の基本方向(案)」の職場討議をすすめましょう。



メンタルヘルス対策の強化を
健康確保対策推進会議ひらく


 国公労連本部は、11月10日に健康確保対策推進会議を開催しました。
 この会議は、近年の職場の健康被害と新しくストレスチェック制度が導入されたことなどを受け、労働組合として安全衛生活動の活性化を目的として単組本部役員を対象に初めて開催したものです。
 講師には、元全労働本部調査部長の白﨑淳一郞氏(一般社団法人・白﨑労務安全メンタル管理センター代表理事)をお招きし、「公務におけるストレスチェックとメンタルヘルス対策の基本」と題した講演をしていただきました。  

多くの不備があるストレスチェック
 講演では、官民の労働者の健康状況データの紹介を交えながら、メンタルヘルス問題の基礎知識、うつ病の発生メカニズム、ストレスチェック導入の背景と制度の概要、集団的分析の際に注意すべきことなどが丁寧に解説され、メンタルヘルス対策には「一次予防…発生予防」、「二次予防…早期発見と対策」、「三次予防…治療と社会復帰」があり、ストレスチェックの目的は一次予防にあることが強調されました。
 しかし、国の職場でのストレスチェック制度を定めた人事院の指針は、民間制度に比べて多くの問題・不備があると白﨑先生は指摘。具体的に、「不調者の発見が一義的な目的ではない」という目的が明示されていないこと、実施事務従事者として任免担当職員や人事評価の評価者を完全には除外していないこと、集団ごとの集計・分析にあたっての労使協議が位置付けられていないことなどを挙げ、「公務員というのは虐げられているなとしみじみ思いました。これほど民間企業の労働者と比べてひどい規則になっているということ自体がおかしい。働く者たちを分断しているという点で、憲法14条の法の下の平等に反するのではないかと感じました」と述べられました。
 
精神疾患で長期病休が増加、労安活動を強めよう
 講演後の経験交流では、単組のとりくみについて全法務、全労働、国土交通労組から報告がされました。
 全法務からは「法務局の職場では精神疾患を原因とした職員の長期病休者が増加し、自殺すら相次いで発生する状況になった。全法務では2010年以降にこの課題での当局交渉を強化し、ほぼすべての法務局・地方法務局で健康安全管理委員会を設置させ、当局に健康管理に関する基本方針も出させてきた。ストレスチェック制度の実施にあっても委員会に積極的に参画し、全国の各職場から労安活動にとりくむ」との報告と決意表明がありました。
 全労働は「労働行政の職場体制には余裕がなく、長時間労働や目標管理などが心の健康を悪化させる要因となっている。メンタルヘルス不全に陥った組合員のサポートはもとより、予防するとりくみが重要。厚労省の健康安全委員会には全労働から3人の委員を輩出しているが、ストレスチェック制度導入にあたっても本部だけでなく全国の各支部から各局に問題指摘を行い、適切な運用を求めている」と報告しました。
 国土交通は、独法の自動車検査職場(自動車技術総合機構労働組合)のとりくみを紹介し、「労働組合の要求によって、全国の職場を包括する形で本部に安全衛生委員会が設置され、4月から月1回開催されている。委員会では、定例報告として事故の発生状況、病気休職者の報告、またストレスチェックの実施などの議論をしている。今後の課題としては、現在オブザーバーの立場で参加しているので、早期に議決権をもった参加を求めて交渉を強めたい」との報告がありました。
 最後に白﨑先生は「『知は力なり』と言いますが、相手・当局とケンカをするためには労働組合も一生懸命勉強をしないとなりません。私たちのようなプロを使って学習会を開いて下さい。『民間はこうなってるよ』『規則はこうだよ』と指摘するだけでだいぶ力になります。ぜひ学習してたたかって下さい」と述べました。
 最後に参加者で、会議資料などを活用した学習を職場で推進するなど、とりくみを強化していくことを確認して会議を終えました。



財務省交渉
【独法】運営費交付金の拡充を
 国公労連・独立行政法人対策委員会は、11・9中央行動にあわせ、運営費交付金の拡充を求め、学研労協、全大教、特殊法人労連と共同で財務省交渉を実施しました。
 交渉には、学研労協の瀬尾議長と小瀧事務局次長、全大教の長山書記長、特殊法人労連の篠原幹事のほか、国公労連の各単組独法労組の代表者ら14人が参加しました。
 
団体署名を提出
 交渉の冒頭、学研労協の瀬尾議長から、団体署名(累計1338団体分)を提出。国公労連の橋本副委員長は要求書を提出し、「独立行政法人・国立大学法人等の運営の基盤となっている運営費交付金は連年にわたって削減され続けている。そのため、医療・研究開発・教育など多岐にわたる業務を通じて国民の安全・安心を守り、産業活動の基盤を支える独立行政法人の業務遂行運営に支障をきたしている。同時に国民の教育を受ける権利の後退を招いている。運営費交付金の拡充は待ったなしだ。各組織からの代表も参加しており、職場の実情と要求を発言するので、その発言もふまえた財務省から対応について説明と回答を求めたい」と迫りました。
 参加者からは、老朽化した施設や機器の更新ができず、研究や事業運営への支障や職員への負担が増大している実態や、人件費枠の縮小により有期雇用研究者等が増加し、国民生活を支える基礎研究に影響が出ていることなどが次々と発言され、財務省に運営費交付金の拡充を求め、交渉を終えました。