国公労新聞2016年8月25日号(第1468号)

【データ・資料:国公労新聞】2016-08-25
人勧取扱いで内閣人事局交渉
扶養手当改悪するな

 国公労連は、8月8日の2016年人事院勧告の取扱いにかかわって、翌9日に政府・内閣人事局に対して要求書を提出し、私たちの要求を踏まえた交渉協議に基づく合意のもとで決定することを強く求めました。国公労連からは岡部委員長など8人が参加し、内閣人事局側は三輪和夫人事政策統括官ほかが対応しました。
 交渉では冒頭、岡部委員長が、「2016年人事院勧告の取扱い等に関する要求書」(下記に要求事項)を提出しました。鎌田書記長から、賃金改善にかかわって「人事院勧告が約770万人もの労働者の賃金決定に影響を及ぼすことを踏まえれば、『給与制度の総合的見直し』措置を中止して、地域間賃金格差の是正とともに、物価上昇を上回る大幅な賃金引上げをおこなうべきだ」と主張しました。
 さらに扶養手当の「見直し」について「多数の職員が労働条件引下げとなる。最大の問題は、重大な労働条件の不利益変更にも関わらず、当事者・労働組合との協議や職場合意を経なかった。人事院が一方的に政府・使用者の要請にのみ従った労働条件改悪を勧告するのであれば、人事院勧告制度という『代償措置』が本来の機能を果たしていないといわざるを得ない。勧告内容が、『代償措置』の体をなしていない以上、勧告に基づく扶養手当『見直し』などあり得ないものであり、勧告の不実施は当然である」と主張しました。
 非常勤職員課題について「政府は『同一労働同一賃金』を打ち出し、『非正規雇用という言葉をなくす』との決意で待遇改善を進める方針を示す一方で、公務職場に働く非常勤職員の問題を事実上放置している。職務給原則にも反する非常勤職員の処遇を改善し、不安定な雇用を是正するため、政府・使用者として、制度の抜本見直しに着手せよ」と追及しました。
 内閣人事局は「国家公務員の給与については、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国政全般の観点から、その取扱いの検討を進る」と従来の回答にとどまりました。
 8月15日に第1回給与関係閣僚会議が開催され、菅官房長官は「人勧制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国の財政状況、経済社会情勢など国政全般の観点から検討する」と表明しています。このように政府は、勧告の取扱いの検討に着手し秋の臨時国会での給与法等の成立をめざしています。
 引き続き、政府に対して改善勧告の早期実施をせまるとともに、非常勤職員の労働条件改善や扶養手当の改悪反対で追及を強めていきます。


 
核兵器のない世界を
原水禁2016年世界大会

 8月4日から3日間、「核兵器のない平和で公正な世界のために」をスローガンに、「原水爆禁止2016年世界大会」が、広島市で開かれ、のべ1万人を超える参加者が集まりました。
 開会宣言で全労連・小田川議長は、国連で核兵器廃絶のための法的措置に向けた議論が始まったのは、これまでの被爆者のたたかいと世界大会がつくりだした到達点だとし、新たに始まった「ヒバクシャ国際署名」は核兵器固執勢力を世論の力で追い詰める最重要のとりくみだと訴えました。
 
「ヒバクシャ国際署名」をすすめよう
 リレートークでは、ベトナム平和委員会のブイ・リエン・フオン事務局長がすでに集めた8万の署名目録を被爆者代表らに手渡すなど、それぞれ国際署名にとりくむ活動を披露しました。
 ヒロシマデー集会(閉会総会)で、「平和・いのち・くらしをまもる願いをひとつに、『非核平和の日本』と『核兵器のない世界』を実現しましょう」と、広島からのよびかけに、満場の拍手で決議が採択され、閉会しました。
 
国公平和のつどいでとりくみを交流
 国公労連は、8月5日、広島市内で「国公労働者平和のつどい」を開催し、35人が集まりました。
 被爆者の吉岡幸雄さんから、当時16歳の学生で、クラスの半数が生死を分けたこと、就職してからの差別など被爆体験を話していただきました。
 吉岡さんは「『伝え、署名を集めること』が私たちの出来ること、『無関心は戦争に荷担している』ということだ」と訴えました。
 単組からは、これまでのとりくみの交流がされ、新たな国際署名のとりくみに力をあげることを確認しました。

 

150万全労連へ方針確立
全労連第28回定期大会
賃金底上げ、暮らしと雇用守り、戦争法廃止を

 全労連は7月28日から3日間、東京都内で第28回大会を開き、向こう2年間の運動方針を決定しました。
 あいさつした小田川義和議長は「市民と野党が力を合わせて、戦争法廃止のたたかいをはじめ、国政選挙や都知事選挙で与党と対決する新しい局面を切り開いた。労働者の平和、立憲主義、民主主義の危機を共有したものであり、この共闘をさらに発展させよう」と強調。「労働者の暮らしや雇用が悪化している。今大会で提案している地域活性化大運動、全国最賃アクションプログラムでアベノミクスに対抗していく」と述べました。
 井上久事務局長は2年間の運動方針について①4か年計画を柱に組織拡大強化を追求する活動スタイルを確立し、150万全労連をめざす②安倍政治による矛盾が集中する地域で暮らしと雇用を守る共同の前進③戦争法廃止、安倍政権を退陣させ、改憲と戦争する国づくりを阻止するために全力をあげる――を基調に運動をすすめていくと提起しました。
 討論では、国公労連から2人が発言。川名代議員(全厚生副委員長)は、社保庁職員不当解雇撤回裁判のたたかいを報告するとともに、日本年金機構で有期雇用職員の雇止め、経験豊富な職員の削減、外部委託拡大などが行われている実態を告発。「経験ある元職員を職場に戻し、安定した年金業務運営にしたい」と決意を述べました。
 花岡代議員(中部ブロック事務局長)は、国家公務員の約4分の1が非常勤職員となっていることを紹介。「ハローワーク窓口では、ほとんどが非常勤職員というところもある。国公労連は、非常勤職員の雇用の安定と均等待遇を重要課題として全力をあげてたたかう」と強調しました。
 議長に小田川義和氏(再・国公労連)、事務局長に井上久氏(再・日本医労連)、常任幹事に川村好伸氏(再・国公労連)らを選出しました。


 
【インタビュー】同一労働 同一賃金とは 何か?
労働社会学者(元昭和女子大学教授) 木下 武男さん

きのした たけお 1944年福岡県生まれ。元昭和女子大学教授。専門は現代社会論、労働社会学、女性労働。著書に『若者の逆襲―ワーキングプアからユニオンへ』(旬報社、2012年)、『格差社会にいどむユニオン―21世紀労働運動言論』(花伝社、2007年)、『日本人の賃金』(平凡社新書、1999年)、共著に『なぜ富と貧困は広がるのか―格差社会を変えるチカラをつけよう』(旬報社、2009年)など。

 「同一労働同一賃金」の実現を安倍政権が主張しています。この同一労働同一賃金とは何か? 鎌田一国公労連書記長が木下武男さんにお話を伺いました。その一部分を紹介します。インタビューの詳細については、『KOKKO』9月号に掲載しますので、ぜひご購読ください。

 鎌田 安倍政権は労働者派遣法の改悪などによって不安定雇用労働者を増大させています。また昨年、野党が提出した同一労働同一賃金推進法案を骨抜きにしました。このような安倍政権が同一労働同一賃金を打ち出してきました。木下先生はこの動きについてどのように見ていますか?
 木下 安倍首相が今年1月22日、国会の施政方針演説で「同一労働同一賃金の実現に踏み込む考え」を表明したとき、この言葉は安倍首相にだけには使ってほしくなかったのに、と思いました。同一労働同一賃金はとても気高い志の高い原則です。日本では遠大な道のりが必要ですが、実現をめざすべきものです。雇用改悪を進める安倍首相の考えとはもっとも遠いところにある原則です。
 非正規労働者の待遇改善のために同一労働同一賃金原則の実現をめざすこと自体は正しいのです。しかし、そもそも安倍政権の同一労働同一賃金原則についての理解は間違っていますし、その狙いが選挙目当てであることははっきりしています。
 
現行の賃金制度・雇用慣行のもとでは実現不可能
 鎌田 安倍政権の理解が間違っているというのは、どういったところでしょうか?
 木下 いちばん大きな問題点は、同一労働同一賃金の原則が、現行の賃金制度・雇用慣行のもとで実現が可能であるかのように考えていることです。
 安倍政権が6月2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」には、「同一労働同一賃金の実現に向けて、我が国の雇用慣行には十分に留意しつつ、躊躇なく法改正の準備を進める」としました。
 また、経団連の榊原定征会長は、「職務内容だけではなく、労働者に対する期待、役割、将来的な人材活用の要素、さまざまな要素を勘案して、賃金を決定して」いるから、「単純に同一の職務内容なら、同一の賃金という考え方にならないように」「我が国の雇用慣行に合った、同一労働同一賃金を実現していく必要がある」と述べています(一億総活躍国民会議・第5回会議、2016年2月23日)。経団連が7月19日に発表した「同一労働同一賃金の実現に向けて」と題した提言でも「日本型同一労働同一賃金」を実現すべきとされています。
 これは現行の賃金制度のもとで同一労働同一賃金の実現が可能とする立場ですが、私は実現不可能と考えています。不可能だけれども是非とも実現できるようにすべきとの立場です。
 
現行の賃金制度には「同一」を測る物差しが存在しない
 なぜ実現できないかと言うと、現行の賃金制度には「同一」かどうかを測る物差しがないからです。同一労働同一賃金の原則は、同じ仕事ならば同じ賃金、つまり「同一ジョブ」=「同一賃金」のことです。ところが、今の日本は、正規労働者には年功賃金の賃金制度で、非正規労働者には雇用形態を基準にする賃金制度で賃金が支払われているのです。この2つの賃金制度がともに「同一」を測る物差しにはなりえません。
 非正規労働者の場合ですが、これは年功ではないので、「ジョブ型」と思われがちですが、基本的には雇用形態という属人基準、属人給の一種だと考えています。つまり、「おまえは派遣、あなたはパート」という雇用のされ方を処遇基準にすることで、それは欧米のジョブ型世界ではあり得ないのです。ジョブ型の世界でなければ「同一」を測る物差しが存在しえないので、現行の賃金制度をもとに同一労働同一賃金を実現することは不可能なのです。