国による不当解雇を免罪する不当判決に抗議する
――社保庁解雇撤回裁判・愛媛事案の一審判決にあたって(談話)

【私たちの主張:私たちの主張】2016-03-31
2016年3月31日
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
書記長 鎌田 一
 
 高松地方裁判所は3月30日、旧社会保険庁・愛媛社会保険事務局職員3人の分限免職処分の取り消しを求めた裁判で、「原告らの請求をいずれも棄却する」という不当な判決を行った。
 判決は、主な争点となっていた、①国家公務員法78条4号(行政組織の改廃による本人の意に反する免職)の妥当性、②分限免職努力違反・裁量権の逸脱・濫用、③国賠法上の違法性、の三点についていずれも原告の主張を退け、国による不当解雇を認定しないきわめて不当なものである。
 
 判決は、分限免職の妥当性について、「(国会の)判断により、従前公務とされていたものが別法人や民間に委ねられた結果、公務員たる地位を失う者がいたとしても、相応の理由があるならばやむを得ない」と建前の理屈を頼りに社会保険庁解体を容認した上で、雇用承継義務についても「移行の保障がなかったとしても、機構法が憲法14条、25条に反するとは解されない」と判断した。これは当時、年金未納や年金記録問題など年金制度に対する国民の不信が高まる中で、過剰なバッシングを背景に、政府が自らの責任を社会保険庁に転嫁して、社会保険庁の廃止・解体へと強引に進めた事実を一顧だにしない不当なものである。
 
 また、分限免職回避努力義務・裁量権の逸脱・濫用については、免職回避努力義務の主体について、政府全体の義務は認めなかったものの、厚生労働大臣が義務を負うという原告の主張を認めた。しかし、義務の程度については、「行政組織は国民の民主的統制下にあるべきものであり、民間における整理解雇の4要件が直ちに妥当するとは解されないし、その身分が民間労働者以上に保障されるとも解されない」とし、具体的な回避努力についても、ことごとく努力義務違反も裁量権の逸脱・濫用も認めなかった。これは、2008年7月に「懲戒処分を受けた職員は年金機構には採用しない」との過剰な閣議決定を行い、現実に分限処分回避の努力を十分実施しなまま、525人もの分限免職処分・不当解雇を強行した政府の責任を免罪するに等しいものである。
 
 このように今回の判決は、こうした私たちの主張を一顧だにせず、政府の主張に従った不当なものであり、厳重に抗議する。
 不当解雇撤回を求める裁判は、現在、北海道、秋田、東京、愛知の事案で一審、京都で控訴審でのたたかいを展開している。また、国公労連・全厚生がILO(国際労働機構)の結社の自由委員会に対し、「不当解雇は団結権の侵害によるもの」と申し立てた事案について、昨年11月、結社の自由委員会が日本政府に勧告を行い、労使協議の重要性を求めると同時に追加の情報提供を求めており、国際機関でのたたかいもこれからが正念場である。
 
 年金は、高齢期の生活には欠かせない制度で、憲法で保障された国民の権利であり、政府は年金制度の安定的な運営を行う義務がある。その年金の運用に関わる社会保険庁を、「政治のパワハラ」とマスコミから指摘されたように、熱に浮かされて冷静な議論がないまま廃止・解体し、業務に精通した職員の大量解雇を強行した政府の責任を不問にするわけにはいかない。
 国公労連は、今回の不当判決に屈することなく、控訴して逆転判決をめざす。また、この間ご支援・ご協力いただいた多くの労働者・国民のみなさまに心から感謝を申し上げるとともに、引き続き、全厚生闘争団を全面的に支援して、不当解雇撤回をめざすすべての裁判闘争と連帯して完全勝利にむけて全力をあげる決意である。
 
以 上