廃止・縮小ありきの独立行政法人「改革」は許されない
――独立行政法人通則法「改正」法案の閣議決定にあたって(談話)

【私たちの主張:私たちの主張】2014-05-07
2014年5月7日
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
書記長 鎌田 一

 政府は4月15日、昨年12月に閣議決定した「独立行政法人改革に関する基本的な方針」(以下、「基本方針」)にもとづき、独立行政法人の分類「見直し」やPDCAサイクルを強化した業績目標・評価のあり方、主務大臣による是正・改善命令権の付与などを盛り込んだ「独立行政法人通則法の一部を改正する法律案」(以下、「改正」通則法案)を閣議決定し国会に上程した。
 
 「改正」通則法案の最大の問題点は、第35条において、業務実績評価にあたって主務大臣が「業務の継続または組織の存続の必要性」など業務と組織全般の検討を行い、その結果にもとづいて「業務の廃止若しくは移管又は組織の廃止その他の所用の措置」を講じるとしていることである。
 そもそも独立行政法人が行っている業務は、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業」(独立行政法人通則法第2条)であり、「業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」(同法第3条)のである。「基本方針」で、「今般の改革は、各法人が国民に信頼され、国民のために機能するために行うものであり、また、各法人の職員が誇りを持って職務を遂行し、職員の自発性、創意工夫を通じて経済成長や国民生活の向上に最大限貢献できるようにする」としていることからも、その役割を十分に発揮するための体制拡充こそが求められている。業務や組織の廃止・縮小ありきの独立行政法人「改革」は断じて認められず、同条文は削除するよう求める。
 
 また、内閣総理大臣が任命する「独立行政法人評価制度委員会」を総務省に設置して、業務や組織の改廃措置の内容について主務大臣に勧告することや内閣総理大臣に意見具申する権限を付与していることも問題である。主務大臣の判断に反して、財界など特定の利益代表の委員の思惑によって当該組織や業務の廃止を内閣総理大臣に意見具申することも可能であり、結果として国民の権利や利益が損なわれることが懸念される。公平・公正な委員の任命とともに、評価制度委員会の所掌と権限は、国民的、専門的な立場からの業務実績の評価に限るべきである。
 
 「基本方針」では、「肥大化防止・スリム化」を目的としてあげる一方、「法人の政策実施機能の最大化」も目的にあげている。主務大臣の統制強化だけではなく、調達の合理化、画一的な効率化目標の見直しがうたわれ、給与については、国家公務員、民間企業の水準を考慮するとともに、説明責任を果たすことを前提に国家公務員を上回る水準とすることを容認している。
 しかし、調達の合理化は通則法改正案には盛り込まれず、画一的な効率化目標の見直しは規定されているものの、総務大臣に委ねられている。給与水準についても、国家公務員を上回る水準を容認する規定は盛り込まれていない。このように、今回の「改正」通則法案は、「基本方針」に盛り込まれたわずかな改善策さえもほとんど反映されず、統制強化、減量化推進を主体としたものとなっているのである。
 また、「基本方針」で「法人の統合は政策実施機能の最大限の向上を図る観点から実施するものであり、(中略)、統合直後には拙速な組織のスリム化は控える」、「独立行政法人で現在働いている職員の士気の向上や雇用の安定にも配慮する」と明記しているにもかかわらず、職員の雇用継承規定が設けられていないことは大問題である。
 
 国公労連は、独立行政法人が公共的役割を一層発揮するためには、運営費交付金の確保・拡充をはじめ、労使自治による労働条件決定の保障を含めた法人運営の自主性・自律性の拡大、調達制度の改善、法人を統合する場合の雇用承継規定や安定した雇用を確保することが不可欠であると考える。したがって、「改正」通則法案の国会での徹底審議と抜本的・根本的な修正を強く求めるとともに、問題点が解決しない場合には廃案を求め奮闘するものである。