政府による情報隠蔽、言論統制は許さない
戦争する国への暴走政治にストップを
――特定秘密保護法の強行成立の暴挙に断固抗議する(談話)

【私たちの主張:私たちの主張】2013-12-07
2013年12月7日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 鎌田 一
 
1.自民・公明両与党は昨夜(6日)、参議院本会議で特定秘密の保護に関する法律案(以下、特定秘密保護法案)の採決を強行し、成立させた。しかも11月26日の衆議院特別委員会と本会議での強行採決からわずか10日でこの危険な法律を成立させた。
 参議院での強引な審議には、すべての野党が異論を唱え、慎重審議を求めていたにもかかわらず、5日の参議院国家安全保障に関する特別委員会での突然の質疑打ち切りと強引な採決に続く暴挙である。
 この法案は、国会での審議が進めば進むほど、問題点が多岐にわたって明らかになり、マスコミ関係をはじめ法曹界、学者・研究者、文化人など多くの団体・個人が反対の声をあげ、国連の人権高等弁務官までもが懸念を表明するなど、「知る権利」を脅かす法案への警戒感が広がった。そして各種世論調査でも反対意見が多数を占め、圧倒的多数が慎重審議を求めるなど、日を追うごとに法案に反対する声が広がり、国会周辺や全国各地で反対運動が広がった。
 国公労連は、法案提出時から反対の立場を明らかにして、廃案をめざすたたかいに結集してきた。
 こうした国会内・外の世論と運動を無視して、乱暴な国会運営で強引に成立させた巨大与党の数の力の暴挙に、国公労連は厳しく抗議する。
 
2.法案は、衆議院を通過する際に一部修正が加えられたが、当初から指摘されていた問題点は何ら解消されなかった。それどころか秘密指定の有効期間の上限を60年に延長したうえに例外事項を設けた。また、参議院の審議で政府は、監視機関として、①「保全監視委員会」(内閣官房)、②情報保全諮問会議(有識者)、③独立公文書管理監(内閣府)、④情報保全監察室(内閣府)などの設置に言及した。しかし法案は修正せず、いずれの機関も権限と機能が曖昧で、第三者機関たり得ないものであり、法案の危険性はいささかも変わらない。
 特定秘密保護法の問題点は、なんといっても憲法で保障された国民の権利を制限する内容が随所に盛り込まれていることである。
 もともと政府が広範な情報を隠蔽すること自体が憲法で保障された国民の知る権利を著しく制限するものである。その上法案は、特定秘密の対象、秘密の指定と解除の方法、処罰の対象行為など、そのすべてが曖昧であり、政府の解釈によって一方的な運用が可能であることから、政府による情報隠蔽、言論統制などの懸念が払拭できないことに最大の問題がある。特に処罰の対象が国家公務員だけではなく、すべての国民に及ぶことへの懸念は大きい。
 法案では、罰則の対象としている秘密を漏らす行為や秘密の取得がどのような行為を指すのかが明らかにされず、「その他」に括られる行為も少なくないことから、罪刑法定主義(どんな行為が犯罪か、犯罪にいかなる刑罰を与えるかはあらかじめ法律に定めなければならない)という原則に反するものである。
 その上、その曖昧な行為についての「共謀、教唆、扇動」も処罰の対象としている。すなわち、話し合うだけでも「共謀」として、聞きただそうとしただけでも「教唆」として、呼びかけるだけでも「扇動」として、処罰の対象となり得る。これは、犯罪の実行前の行為を処罰の対象とするもので、犯罪の実行を罰する近代刑法に反するものである。
 しかも、自首した者の刑の軽減、免除の規定をあえて設け、密告を促す仕組みを盛り込むなど、思想・信条の自由、言論の自由を制限し、幅広い市民活動を弾圧することが可能な危険な法律である。
 
3.この法律は行政の在り方と国家公務員の役割に大きな影響を与える。
 特定秘密保護法は、情報公開という国民監視の流れを変え、政府が意図的に情報を隠すことが容易となり、各府省の運用によって秘密の対象範囲が拡大していく危険性は極めて高く、国民による行政のチェックが困難となる。また、情報を管理する行政府の力が突出し、司法・立法からの監視が形骸化して、三権分立のバランスを崩すことにもなりかねない。さらに、国家公務員による国の違法行為の告発がこれまで以上に困難になり、仮に告発したとしてもそれを立証・立件することも困難となるなど、公益通報制度が形骸化しかねない。
 特定秘密の指定が民間企業に及んだ場合、行政機関として、そこで生じた不正行為の摘発や労働者の権利救済が困難となりかねないなど、行政による国民の権利保障機能が後退しかねないものである。
 特定秘密を扱う者に実施される適正評価は、職員や関係業者とその家族の人権が侵害されかねない内容である。さらに問題なのは、国家公務員は日常的に政府の監視下に置かれ、職員の選別が行われて、道具のように政権に忠実な職員をつくりだすことである。これでは、公正・中立な公務の運営が損なわれる危険性は極めて高い。
 このように特定秘密保護法は、国家公務員の職務に大きな影響を与えかねないし、何よりも職員が萎縮して職務を遂行しなければならなくなる。そうなると職員間の信頼関係が損なわれ、関係団体や各省など多方面との必要な情報交換ができにくくなり、国民のために真に必要な政策立案さえも困難となりかねない。
 
4.政府が特定秘密保護法の成立にこだわった背景には、12月4日に設置した国家安全保障会議(日本版NSC)に情報を集中して機能させ、集団的自衛権などの武力行使を視野に、「戦争する国づくり」をめざすからにほかならない。そのため特定秘密保護法によって、都合の悪い情報を隠蔽し、目的達成のために言論統制や市民・労働組合活動を弾圧できるしくみを整えたものである。
 こうした危険なねらいがある以上、特定秘密保護法を廃止させ、主権者である国民が、国がどのような情報を得て何をしようとするのかを監視できる社会を確立して、「戦争する国」への政治の暴走を止めなければならない。
 そのため国公労連は、憲法尊重擁護の義務を負う国家公務員労働者として、幅広い団体・個人、国民諸階層と連携して奮闘する。