公務の中立・公正性を損ない、使用者権限を強化する「改革」は認められない
――「今後の公務員制度改革について」の推進本部決定にあたって(談話)

【私たちの主張:私たちの主張】2013-06-28
2013年6月28日
国公労連書記長 岡部勘市
 
 政府・国家公務員制度改革推進本部は本日、「今後の公務員制度改革について」と題する方針(以下、「方針」という)を決定した。
 
「方針」は、民主党政権下での「国家公務員制度改革関連4法案」が廃案となったもとで、第1次安倍内閣が2007年に閣議決定した「公務員制度改革について」の延長線上に位置づけられ、2009年に廃案となった「国家公務員法等の一部を改正する法律案」(以下、「09年法案」という)を基本に、①幹部人事の一元管理、②幹部候補育成過程、③内閣人事局の設置等、④国家戦略スタッフ、政務スタッフ、⑤その他の法政上の措置の取り扱い、に関する制度設計を行うとしている。しかし、2008年成立の国家公務員制度改革基本法(以下、「基本法」という)第12条で「自律的労使関係制度を措置する」とされた労働基本権については、一言も言及されていない。
 国公労連は、ILOから8度も勧告されている労働基本権の回復を棚上げしたまま、公務員の人事管理・統制を強化する「方針」を到底認めることはできない。
 
 また「方針」は、その「改革の必要性」や「改革の目的」で、「強い日本を取り戻すため」「国家公務員としての使命感や行政のプロとしての誇りを持って」「国家・国民のために」「『闘う公務員』を創ることを目指す」などと、安倍内閣の特異な認識が散りばめられている。
 しかし、この間の「給与改定・臨時特例法」による賃下げや退職手当の大幅削減、宿舎廃止など、現場第一線で公務・公共サービスを支えている公務員労働者の労苦を顧みず、誇りや気概を踏みにじってきたのは使用者たる政府である。他方、自民党の「日本国憲法改正草案」では第28条に2項を新設して「公務員の権利の全部または一部を制限することができる」としているように、公務員労働者の基本的人権である労働基本権回復など念頭にないことは明らかである。
 国公労連は、こうした歴代政府・安倍内閣の姿勢に怒りをこめて抗議する。
 
 具体的な「改革」方向についても、「09年法案」がベースとなることから重大な問題がある。
「内閣人事局の設置」は、「基本法」の想定を超えて人事と組織の管理機能を政府・使用者が一手に握ることになり、公務員の管理統制が強められることとなる。「内閣機能の強化」とも関わって、内閣総理大臣が人事院規則の制定改廃に関して意見を申し出ることを可能とすることや、人事院の機能と権限を政府・使用者である「内閣人事局」に移管することは、第三者機関としてのチェック機能を失わせ、公務員の身分保障や政治的中立性が確保されないばかりか、憲法第15条の「全体の奉仕者」が名ばかりとなる危険性がある。
 とりわけ、公務員個々人の給与決定の土台となる級別定数は勤務条件であるが、政府は「管理運営事項」との姿勢に終始してきた。「内閣人事局」が国公法第108条5の交渉応諾義務に応じないとなれば、公務員労働者はまったくの無権利状態に置かれてしまう。この設定権限を人事院から移管するというのであれば、同時に労働基本権問題を解決しなければならない。
 
「幹部人事の一元管理」として、各府省の行政に精通しているとは言えない内閣総理大臣による「幹部候補者名簿」の作成および各省大臣との協議による選考は、政権党による情実派閥的な任用が危惧され、中立・公正であるべき行政運営を損ないかねない。「幹部候補育成過程」についても、新採用試験制度のもとで専ら「総合職」を対象とする新たな特権階層の制度化に他ならない。
 また、政治主導の名のもと、内閣官房に「国家戦略スタッフ」、各府省に「政務スタッフ」の設置がうたわれているが、政治任用の拡大が想定され、専門集団としての職業公務員の中立・公正性や、安定的・継続的な行政サービスの提供に影響を及ぼすことが懸念される。官民人材交流の促進とも関わって、民間登用の拡大は財界・大企業と政権与党との関係がいっそう緊密なものとなり、公務員が「一部の奉仕者」に変質させられる危険性が高まると言わざるを得ない。
 
 以上のように、重大な問題点をもつ「方針」の撤回を求めるとともに、具体的な制度設計をすすめる場合は、当事者である国公労連と十分かつ実質的な交渉・協議を尽くすことを強く要求する。同時に、憲法にもとづき国民の権利保障のために公務・公共サービスに従事する労働者・労働組合として、公平・公正・民主的な公務員制度の確立に向けて、引き続き運動を強化する。