初任給・若年層の俸給表改善、一時金0.1月プラス
物価上昇に遠く及ばず生活改善できない低額勧告
~2022年人事院勧告にあたっての声明

【データ・資料:人事院勧告資料】2022-08-08

2022月8月8日
国公労連中央闘争委員会

 人事院は本日、政府と国会に対して、国家公務員の給与に関する勧告・報告及び公務員人事管理に関する報告を行った。官民較差は、月例給、一時金ともにプラスとなり、俸給表の水準は921円(0.23%)、一時金は0.10月分の改善を勧告した。
 22春闘では、労働者自らがケア労働者の賃上げを先導し、賃上げの機運を高めてきた。今年の勧告の背景には、国民春闘共闘委員会・全労連に結集する仲間をはじめ民間労組・労働者が、ストライキ行使を含む交渉力を発揮し、コロナ禍前の水準まで賃上げを勝ち取った運動の成果があり、民間労組・労働者の奮闘に心より敬意を表するものである。

 しかしながら、今年の勧告は、急激な物価上昇下の生活改善に遠く及ばない極めて低額なものであり、長引くコロナ禍のなかで奮闘する職員の労苦や、前年度の減額調整分と今年度の減額分が二重に減額されたことにより過去最大の減額となった6月期一時金支給直後の職員の生活悪化にも応えていない。この内容では、人事院が国家公務員の労働基本権制約の代償機関としての役割を果たしているとは言い難く、極めて不満である。
 今年の勧告は、俸給表全体の改定に及ばず、初任給と若年層の俸給月額の引き上げにとどまった。その結果、賃金抑制を強いられている高齢層職員をはじめ職員全体の俸給表改定に至らなかったことや再任用職員の俸給表改定が見送られたことは不満である。一方で、若年層職員の生活改善はもとより、国家公務員志望者の減少、若年層職員の中途退職の増加に歯止めをかけるためにも初任給の改善を重点に要求してきた立場から、初任給と若年層の賃金改善については一定受け止めるものである。しかし、中央最低賃金審議会は8月2日、今年の最賃改定を全国加重平均31円(3.3%)引き上げる目安を答申しており、国家公務員の高卒初任給が最低賃金を下回る地域がいっそう顕在化するため、初任給の官民較差の縮小・解消は喫緊の課題である。
 一時金の官民較差については、勤勉手当に配分している。6月期一時金は期末手当から「減額調整」されていることに加え、前述したとおり職員の生活改善が急務である現状からすれば、成績査定分に相当する勤勉手当に配分するのではなく、生活補給金に相当する期末手当に配分する方が情勢に適応している。ここにも人事院の能力・実績主義強化に偏重した姿勢が表れており、不当なものと言わざるを得ない。
 地域手当をはじめとする賃金の地域間格差の是正・解消、通勤手当の改善、コロナ禍のなかで窓口業務等で働く職員に対する手当の新設、具体的な枠組みを検討することには言及しているがテレワークにかかる費用負担軽減・解消などの要求については実質的に「ゼロ回答」で不満であり、引き続きそれらの要求課題の改善を求める。

 「職員の給与に関する報告」では、社会と公務の変化に応じた給与制度の整備、「公務員人事管理に関する報告」では、人材の確保、人材の育成と能力・実績に基づく人事管理の推進、勤務環境の整備(長時間労働の是正、テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の検討、健康づくりの推進、仕事と生活の両立支援、ハラスメント防止対策)について報告されているが、以降の点を求める。
 (1)社会と公務の変化に応じた給与制度の整備にとりくむとしており、とりくみ事項は、若年層を始めとする人材の確保等の観点を踏まえた公務全体のあるべき給与水準、65歳定年を見据えた60歳前・60歳超の給与カーブ、初任層・中堅層・管理職層などキャリアの各段階における能力・実績や職責の給与への的確な反映、定年前再任用等をめぐる状況を踏まえた給与など多岐に及んでおり、2023年に骨格案、2024年にその時点で必要な措置の成案を示し、施策を講ずることを念頭に置いている。これらは労働条件の重大な変更であり、職員個々が将来設計を描くうえでもきわめて重要な問題である。国家公務員法等改正法の附帯決議では、人事院に職員団体等の関係者の納得を得る努力を求めているが、納得を得る努力だけにとどまらず、国公労連との合意を前提とすることを求める。
 (2)長時間労働の是正に向けて、新設された勤務時間調査・指導室において客観的記録を基礎とした超過勤務時間の適正な管理の指導を行うとしているが、その基礎となる客観的な勤務時間管理を地方出先機関を含め徹底するよう求める。また、業務量に応じた定員・人員確保の必要性に言及し、定員管理担当部局に対して必要な働きかけを行うとしているが、この有言どおり人事院の役割発揮を求めるとともに、政府においては、現行の定員管理政策を抜本的に見直し、必要な定員・人員を十全に確保するよう求める。
 (3)人事院は、学識経験者による研究会の中間報告で提言されたフレックスタイム制及び休憩時間制度の柔軟化を速やかに措置するとしている。当該制度の柔軟化は、職場の人的体制を分散させ、業務の停滞など行政サービスの低下を招くおそれがある。職場はそれら施策よりも優先して、職員の長時間・過密労働とそれに起因する健康被害を解消することを求めている。テレワークや勤務間インターバル確保の方策など勤務時間制度の在り方について、引き続き研究会において検討がすすめられているが、国公労連との協議・合意を前提とするよう求める。
 (4)今回、非常勤職員制度について「ゼロ回答」であったことは極めて不満である。私たちの運動で、非常勤職員の労働条件改善は着実にすすんでいるが、病気休暇の有給化や採用時からの年次休暇の取得、生活関連手当等の措置、公募要件の撤廃による3年雇い止め廃止などの切実な要求は未だ実現していない。改正された「パートタイム・有期雇用労働法」により不合理な格差是正が求められる民間企業に遅れることなく、公務が率先して非常勤職員の安定雇用と均等・均衡待遇を実現するよう求める。

 政府の2022年度経済財政報告や日銀の金融政策決定会合議事録(6月開催)、経団連のシンクタンクである21世紀政策研究所の政策提言(中間層復活に向けた経済財政運営の大転換)など、各界から政策目標は異なるものの、「労働者の賃上げの必要性」が共通して言及されている状況も踏まえ、国公労連は、労働者全体の賃金を引き上げるには、社会的影響力が大きい公務員賃金を引き上げることが実効力を持つと主張し、人事院が社会的役割を発揮するよう求めてきた。しかし、今年の勧告は国公労連の主張に背を向けるものであり、あらためて日本の低賃金構造を固定化しているとの批判もある人事院勧告制度の社会的役割を問うものである。

 今後のたたかいは政府との交渉へと移る。政府は、昨年度のように勧告の取扱いを長期間放置することは二度と許されない。人事院勧告期のたたかいに奮闘された全国の仲間のみなさんに心からの敬意を表するとともに2022年秋季年末闘争への結集を呼びかける。

以上